白山オートルート(加賀-美濃禅定道)
- GPS
- 21:17
- 距離
- 43.7km
- 登り
- 3,575m
- 下り
- 3,414m
コースタイム
00:45 スキー場トップ
05:30 美女坂の頭
06:20 天池
10:20 白山 御前峰
11:30 南竜が馬場 野営場
14:20 別山
18:00 銚子ヶ峰
19:40 石徹白大杉
21:20 石徹白 中居神社
実際は23:40に出発た。
所用時間を計算しやすいように出発時間と各所の到着時刻に+20分している。
なので実際の到着時刻は-20分となる。
天候 | 高曇り-暴風雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
九頭龍-石徹白の127号は冬季通行止め。 冬の石徹白は白鳥からしかアクセスできない。 この通行止のおかげで石徹白から一里野まで2時間30分かかる。遠い。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
南竜-別山の尾根は難しい雪庇尾根になっていて冬季の通過は緊張が強いられる。 |
写真
装備
備考 | 山行中に口にしたもの 井村屋110gようかん 煉 5つ ランチパック 2つ 黒糖を溶かした甘いお湯500ml |
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感想
シーズンに1度は持てる力の全てを山にぶつけて下山後は一歩も動けなくなるほどクタクタになるような熱い山行で燃え尽きたい。そんなことを考えているとカタヤさんから「加賀禅-石徹白ワンデイやらないか」と誘われた。夜の加賀禅定道を行進し百四丈滝に圧倒されたら御前峰でお参り。南竜が馬場へ滑り込み、いつも眺めていた稜線を伝って別山ピークを獲る。高低差の激しい三二一峰-銚子ヶ峰を気合いで突破し、石徹白大杉に見送られてゴール。これを冬にやる。もちろん日帰りで。名付けて
『白山オートルート』
金曜は"はんどん"で仕事を切り上げ自宅を出発し石徹白へ。伊賀-石徹白は3時間。意外と近い。辺りはまだ明るく夕方16時だが仮眠できるのは5時間しかない。しかし緊張して1~2時間しか眠れず。21時に目が覚めてぼちぼち支度をしているとカタヤさんが到着した。僕の荷物をカタヤさん号に詰め込んで一里野まで2時間半のドライブ。こんなに長距離のクルマデポは初めてやる。一里野スキー場でパパッと支度をして元気に出発。満天の星空だが今日はきっと晴れない。こんな夜更けだがスキー場は元気に圧雪中。ここは登山者に優しいらしい。邪魔にならないよう端っこを歩いて1時間弱でスキー場トップへ。登っていると暑くて汗だく。ここから山に入るが途中までトレースがある。明るい時間に歩かれたトレースは正確だ。しかり場あたりまで楽させてもらう。先日の雨からまともに降っていないため雪面はカチカチだ。ラッセルが無いので早いが急斜面は気が抜けない。5時間ほどで第一の難所、美女坂に差し掛かる。足を踏み外したらどこまでも落ちていきそうなカチカチ急斜面だ。カタヤさんは当然クトーのまま難なく登っていくが、僕はササッとアイゼンを履いてサクッと登った。無理はしない。アイゼン最強、素晴らしい安定感。
美女坂を登ると左手に百四丈滝が見える・・・はずなのだが真っ暗で見えない。春に加賀禅を歩いたときも見逃したし、一体いつになったら氷壺を拝むことができるのだろう。四塚山の手前であたりが明るくなってきた。空はすっかり真っ白な雲に包まれている。晴れないのは残念だが雪が腐ることはないので悪くはない。今日はピストンではないので巻きは無し。愚直に一番高いところを進んでゆく。というかカチカチすぎて巻くのは無理。四塚山の手前で耐風装備に身を包む。七倉山の下りはカチカチ斜面でシールのまま降りるのは厳しい。かといって剥がして貼り直すのも手間なのでここから御前峰まで板を担いでアイゼンで通した。バリズボにはならずアイゼンがよく効いて歩きやすい。御前峰で安全祈願を済ませたらシールを剥がしていつものようにカチカチ斜面に飛び込んでゆく。今日もかなりのカチカチだったがエッジがあるので問題無し。山頂は視界が無かったが少し落とすと回復し、弥陀ヶ原ではスッキリ抜けて助かった。室堂まで半自動運転。そしてお楽しみのエコーライン-南竜滑降。ところどころ固いが気持ち良い滑りだった。本山行最初で最後のご褒美だった。
南竜でシールを貼ったらいよいよ未知の領域、別山へ向かう。白山に登る時エコーラインから振り返って見ていたあの尾根を歩けるなんて楽しみだ。真冬の別山の記録はほとんどなく、白山から別山へ縦走した記録に至ってはweb上では見つけられなかった。全く情報がない。この尾根は夏に2度歩いているが夏道でもかなりの痩せ尾根で滑落しそうな箇所がいくつかある。冬は確実にヤバいことになっているだろう。想像どおり尾根は立派な雪庇が発達していた。東側には絶対に落ちれない。特に大屏風はかなりの迫力でチビりそうになる。第二の難所だ。百戦錬磨のカタヤさんが雪庇を避けて正確にトレースを伸ばしてゆく。この尾根はずっと緊張していたのでえらい疲れた。南竜から3時間弱で別山到着。いつの間にか視界は無く、西から暴風が吹き、雪も降ってきた。別山の神社の陰でシールを剥がして三の峰の鞍部まで滑り込む。ここも南の斜面なのでカチカチだ。しかも左手は雪庇で落ちれない。際どい滑りだった。
風雪はどんどん強くなる。こんな悪い予報だったっけ。三ノ峰でシールを貼って歩き始めるが、あまりの強風で押し戻されてしまうほど。これはなかなかの地獄だ。高度を下げると下りの斜面のカリカリ度が増してシールのまま下りるのが難しくなってきた。いっそつぼ足で歩いたほうが快適で安全なので三ノ峰から銚子ヶ峰までのアップダウンはつぼ足とスキーで処理していく。担いだスキーが風に煽られて肩ごともげそうだ。こんなところに第三の難所が潜んでいるとは。つぼ足はめちゃくちゃ埋まるが今日はラッセルをしていないので二人とも脚はまだまだ余っていた。風雪に耐え、深雪にもがき最後のピークを目指す。あれを登り切ればあとは滑るだけだ。力がみなぎる。銚子ヶ峰に着いたのは18時。あたりは暗くなりかけていた。これは予定通り20時間行動になりそうだ。
ヘッドライトを点けて暴風雪の中、石徹白へ向けて滑り込んでゆく。視界が悪すぎて何も見えない。気がつくと地獄ゴーグルの電池が切れていた。四塚から9時間もつけっぱなしだった。5000mAhでは足りなかった。決戦の時はもっと大きいバッテリーを持っていこう。視界が無くなって取り乱したが落ち着いてゴーグルを外し裸眼で下りる。顔が冷てぇー。顔中凍傷で真っ黒になるんじゃないかという冷たさだったがツラの皮は意外と厚い。標高を落としてきたのもあって顔はノーダメージだった。石徹白への滑りは深雪が20cmほど積もり雪は抜群に良い。しかし視界が悪くて楽しむどころではない。せめてトレースがあれば楽しいだろう。無事石徹白大杉まで下りてきた。すごく太いです。記念撮影をする元気も無かったのでさっさと林道に入った。トレースなどあるはずもなく下り7kmのラッセルだ。もう24時間以上起きているので眠くなってきた。意識が朦朧とする。雪が切れているところで板を脱いで歩いて板を履くときにビンディングが上手く操作できない。ナイフリッジに暴風雪滑降と難所では常にトップを務めてくれたカタヤさんも緊張の糸が切れたのか、僕と同じように板の脱着であたふたしていた。林道をふらふらとゾンビが2人。
21時ちょうどに林道ゲートに到着した。疲れた。このまま雪の上に倒れこみたいくらい疲れた。空っぽだ。久しぶりに心を込めて言いたい。完全燃焼、と。山で疲れているカタヤさんなんて一度も見たことが無くて想像もつかなかったが、今日はさすがの大魔人も披露困憊。楽しめていただけたようで僕も嬉しい。ガッチリ握手して無事のミッション完了を称えあった。21時間、44km, 獲得標高3,500mの激闘だった。一生忘れない山行となるだろう。
「来年になったらまたオートルートやるか!!ってなりますかね?」
「ないわ。二度目はないわ。」
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