【締め括りアルパイン】鹿島槍ヶ岳東尾根
- GPS
- 30:45
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 2,315m
- 下り
- 2,312m
コースタイム
- 山行
- 9:51
- 休憩
- 3:22
- 合計
- 13:13
天候 | 13日:高気圧県内 快晴 14日:日本海低気圧の全面 晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一ノ沢頭以降から雪稜ルートが始まり、第1岩峰、第2岩峰と2つのポイントが出てくる 1日でピークまで抜けるにはそれなりに体力が必要 下降は赤岩尾根を尾根筋を少し下ろし谷に入り下降した ところどころデブリあり 雪稜ルート 白馬岳主稜や谷川岳東尾根よりも優しく大きな危険を感じる部分は少なかった。 第1岩峰(2450m) 雪壁70m 雪が豊富で雪壁をを登るノーザイル、出すなら50mで2ピッチいるかも。 第2岩峰(2650m) 35m 今回の核心。今回は雪多め。 少しリッジを進み、バンド状を左にトラバースしてルンゼを詰める。 ルンゼの出口にチョックストーンがあり被り気味となり、そこを越えて5mほどで終了点。 支点は全体的にハーケンがある。 件のチョックストーンは乏しいホールドを頼りに、細かいスタンスで両足を上げていく感じ。 上半身を乗り出せればお助け紐がある。後続にはお助けを継ぎ足すとスムーズ。 ホールドはハンドジャムやカンテ、スタンスは浅い横リス。 支点は取れて安心感はあるが、バンドの出だしやチョックストーンを抜けたところのホールドが少なかったりと緊張する箇所が多い。 |
写真
装備
個人装備 |
アイゼン
ピッケル
ビーコン
スコップ
ゾンデ
食器
ヘッドランプ
シェラフ
ツェルト
ハーネス
ヘルメット
ザイル(50m)
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
アルパインヌンチャク
スリング
ロープスリング
カム
ハンマーバイル
|
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感想
今シーズンの集大成という感じで企画していた鹿島槍東尾根、3月に天気で敗退しリベンジに燃える。
しかし、今回も日曜の天気がいまいちなので土曜のうちにピークまで抜けきり、あわよくば下山も目指す形とするが、コースタイムに不安もあったのでビバーク用に非常食、ツェルト、夏用シュラフを携行して望んだ。
13日 最高の東尾根
職場の歓送会を途中で抜け出して21時発で鹿島槍を目指す。
道中はずっと快晴、3月よりも除雪が入っており少し奥まで入ることができた。
すでに車は多く、先行者がいるようだ。山スキーの人もちらほら。満天の星空の下、準備して3時過ぎに出発。
30分ほど林道を歩き、S字カーブを越えたところにあるピンクテープを目印に東尾根に取りつく。
雪は少ないが踏跡になっており、アイゼンは着けずに登っていける。
少し登ると雪ベッタリとなるがトレースバッチリ。
スギの巨木をなんかを横目に白んでいく東の空を望みながら順調に高度を稼ぐ。
一ノ沢ノ頭を登っている途中で日の出を迎える。
周囲の山々が薄紫から燃えるように赤となり、オレンジに移ろうマジックアワー。
これから目指す鹿島槍も朝焼けに染まり気持ちが高まる。
一ノ沢ノ頭にでると鹿島槍とこれから歩くルートを望むことができる。
第一岩峰から先でピークに向けて高度を急に上げていく。果たしてどうなることやら。
ここでアイゼンピッケルにかえて先を目指す。
思っていたよりも鹿島槍を含む山々が白い!この3月、4月で結構降ったようだ。
ここからはアップダウンのある太い雪稜を行く。
二ノ沢ノ頭も通りすぎ、第一岩峰に向けてぐっと急斜を登る。
先行パーティが次々と第一岩峰を登っていくのが見える。どうやら数パーティいるようだ。
第一岩峰の手前にちょっとしたギャップがあったが、ブッシュも出ておりすんなり通過。
第一岩峰は雪がバッチリついており、雪壁の登りだ。
バッチリトレースもついているため、ザイルは出さずダブルアックスを効かせながら登っていく。
長さにして70mくらいか。もしザイルを出すなら途中のブッシュで一旦区切って抜けた先もブッシュを支点にしていく感じだ。
第一岩峰を抜けて再び太い雪稜を少し歩くと今度ははっきりとした岩壁を備えた第二岩峰が姿を表す。
先頭パーティが取りついておりその後ろに4・5パーティが順番待ち。
先頭も核心のチョックストーンで手こずっており時間もかかりそう。
防寒具を着こんで時間待ちの体制に入る。
遠くには3月よりも白くなった南アルプスや八ヶ岳、そのさらに先には富士山、槍穂方面もよく見える。
今日は火打のあたりに同じ会のスキー組が入山している。
火打山はその辺りでは一際白く、さぞかし楽しい1日を過ごしていることだろう。
寝不足もありうたた寝しながら先行パーティの通過を待つ。
核心部を越えるところで、下からガンバッ!ナイスッ!と声があがりなんだか和やかだ。
1パーティだけ左の斜面を下ろして大きく巻いていった。
なんだかんだで2時間くらい経過してしまったので核心上にあるお助け紐の継ぎ足しは残してもらう。
支点はすべてハーケン、少しナイフリッジ状のところを進み、バンド状のトラバースに入る。
トラバースに入る一歩が少し怖いがホールドはしっかりしている。
バンドから自然にルンゼに入っていき、出口に核心と言われる被り気味のチョックストーンが現れる。
2・3歩両足のスタンスを上げて、お助け紐をつかみ細かいスタンスに前爪をかけてチョックストーンの上に乗り出す。
お助け紐を使わないなら、右手はハンドジャム、左手は側壁のカンテを掴んでスタンスを上げていく感じだろう。
手前にしっかりとしたハーケンがあるとはいえ、お助け紐なしや荷物が重いと怖い。
チョックストーンを抜けてからも少しホールドが乏しく慎重にバイルとアイゼンを効かせて5mほど登ると終了点。
そんなこんなでやっとこさ第二岩峰の上に出て後続のtentyoもゆっくりではあるが確実に抜けて核心部終了。ホッと一息ついたが、待ちで時間を食われ1日で降りきるのはちょっと微妙になってきた。
とりあえず、ピークまで行こうということで先を目指す。
第二岩峰以降もこれまでと変わらないくらいの雪稜が続く。
さすがに1700m近いコンタ上げに疲れが出てきたが、青と白い世界を存分に堪能しながらピークを目指して登っていく。
最後の登りを終えて北峰に出ると、白い剱岳が迎えてくれる。
今まで見た中で一番白い。
右手を見れば五竜から白馬まで繋がる白い山々が、左手は少しスケールは小さいが白い爺ヶ岳や針ノ木岳、鋭い槍〜穂高の稜線、黒部川を挟んで真っ白な薬師、立山、そして剱、この上ない景色だ。
写真を撮って南峰を目指す。
南峰も迫力があり稜線がいい感じで繋がっているがいかんせん登りがしんどくなってきた。
ひいひい言いながらピークへ。改めて最高の景色を満喫する。
ここからは特になんてことない尾根歩きだが、いかんせん冷池小屋までは距離があり、微妙なアップダウンもあってダルダル。
降りるかどうかは冷池まで行って判断といいつつ、半ば冬季小屋でビバークするつもりでえっちらおっちら歩いて行って16時半くらいに転がり込むように冬季小屋へ。
時間的にも体力的にも厳しいのでビバークを決め込む。
すでに二人組2パーティがおりスペースを開けてもらう。
マットがないので適当に荷物を敷き詰めて、棒ラーメン一食と余った行動食で寒くひもじいビバークになりそう。
まあ覚悟してたし、小屋なので十分贅沢なビバークだがちょっぴりブルー。
見かねたのか隣のパーティの方が持ってきすぎたからと袋ラーメンとドーナツ、きりたんぽを譲ってくれる。
情けないながら、感謝を込めてありがたくいただく。本当にありがとうございます。
そんなこんなでお腹は満たされ、持ってきた嗜好品でたっぷりお湯も飲んで着れるだけ着こんでシュラフにもぐりこんだ。
14日 満足の下山
明け方はさすがに冷えたが思ったよりも寝ることができた。
昨日いただいた袋麺に余っていた行動食のおにぎりを放り込んでおにぎり雑炊。一気に体が暖まる。
今日の天気は下り坂の予報だが、外を見ると曇りがちではあるが稜線は見えているようだ。のんびりめに準備して出発する。
赤岩尾根の頭を目指して登る。
前面晴れなのか青空も見えてきて、さすがに薬師はガスっているものの、立山、剱岳はばっちり見えている。
そして振り返って望む鹿島槍が最高にかっこいい!
名残惜しみながら稜線をあとにする。
赤岩尾根の出だしは急なのでバックステップ。
少し尾根を下ろしたところから西沢を下ろしていく。
ところどころ雪崩のデブリの跡もある。
シリセードを交えながらぐんぐん下ろしていく。
下部のほうはずぼずぼだったのでわかんを着けて汗ばみながら沢筋を下ろしていきスノーブリッジを渡って林道へ。
もうすっかり春の様相の林道をのんびり歩きながら駐車場まで。
振り返ればガスに飲まれつつある稜線にちょこんと鹿島槍の頭2つを望むことができる。
3年越しくらいの宿題を片付けることができて感無量。
温泉に入った後は久々に飯田の焼肉屋とくやまによって失ったたんぱく質を存分に補充し、雨に降られながら帰路につきた。
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「にこにこ」と申します。
仕事を引退後、家内共々若い頃に登った山々を眺めて暮らすのが夢で、8年前に湘南海岸から大町市に移住しました。
今の時季はことさら鹿島槍が素晴らしく、晴れるとカメラを車に乗せて出かけます。
この4月13日(土)も、いつものように東尾根を撮影いたしました。
当日の様子をブログにUPしていますが、ちょうど第鬼篳・第挟篳をtentyoさんとsamoaさんが取り付いているであろう時刻に撮っています。
もっとも13.5kmも離れた麓から撮っていますから、顔まで写るわけは無く、登攀者の方たちは黒い点にしか写ってはいませんが、お時間のあるときにでも、ご覧いただければ幸甚です。
山の写真(228):4月13日(土)、鹿島槍東尾根の登攀者たち(1)
https://ameblo.jp/niko-niko-shinsyu/entry-12483507854.html?frm=theme
そして北峰に13:27に立たれたとすると、次のブログの「13:11」の写真、北峰間近かの稜線上を行くのは、間違いなくお二人だと思います。
山の写真(228):4月13日(土)、鹿島槍東尾根の登攀者たち(2)
https://ameblo.jp/niko-niko-shinsyu/entry-12483507889.html?frm=theme
niko-nikoさん
お返事おそくなり申し訳ないです・・・
間違いなく私達ですね。それにしても麓からこんなに見えるとはびっくりです!
感慨深いですね。ありがとうございました!
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