室堂から槍へ 日本アルプスオートルート
- GPS
- 38:30
- 距離
- 67.9km
- 登り
- 4,775m
- 下り
- 5,656m
コースタイム
- 山行
- 7:32
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 8:34
- 山行
- 13:24
- 休憩
- 2:23
- 合計
- 15:47
- 山行
- 12:48
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 13:40
天候 | 1日目晴れ5〜1℃、 2日目曇り0〜-1℃、 3日目雨のち晴れ6〜0℃ ※気温は天気予報の値 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
※チケット販売開始前に搭乗口整列、ケーブルカー乗り場でロープウェイの整理券配布 ゴール:上高地終バスは17:25(その後の便がある日も)、それ以降なのでタクシー(1.2万)18:30になるとタクシーは引き上げるので要電話、松本電鉄、JRで信濃大町駅、タクシー(0.6万) |
コース状況/ 危険箇所等 |
スキー縦走には雪は十分 柔らかい雪が多いのでツボ足では埋まって苦労する 西鎌尾根は雨のおかげで雪が柔らかく、雪付きも良かったので条件としては良好だった、硬い場合は無理せずアイゼンが無難 |
その他周辺情報 | 下山が遅くなったので、飯と風呂に苦労した・・・ |
写真
装備
個人装備 |
水1.5L込み13.5kg
【シュラフ】ナンガノーマル380SPDX
【ウェア】スキンメッシュTT ウールシャツMW R1
【インサレーション】ポーラッテックαベスト スペリオダウンパーカ ナノエアJKT
【マット】ネオエアーサーモR
【ザック】オートルート40L アイゼンケース外付け
【ガス】SOTOガス缶250 SOTOウィンドマスター DUGHEAT-1
|
---|---|
共同装備 |
【テント】NEMO 旧ANDI 2P
|
備考 | 2日目悪天予報を見てインサレーション1枚追加、テルモス1Lボトルに変更 |
感想
先シーズンの目標は厳冬期槍ヶ岳、今シーズンの目標はオートルートとしていた
一人で計画していたが心強い仲間の先輩さん(schiroya)が参加してくれることに、気合いを入れて挑んだ
例年の雪の少なさから3月を予定していたが寒の戻りで大量の雪、
落ち着いた4月後半に決行
記録は超大作なのでGWの読み物にでも笑
写真はGWの参考に、いっぱいアップしました
◆1日目◆
扇沢始発バスは余裕で乗れた、先頭集団を狙うなら1時間前かな
室堂に着いたら一乗越を目指す
周りは立山周辺で登山と滑りを楽しむ人ばかり
まずは御山谷を滑る、滑りのいい雪を調子乗ってかっ飛ばしたら一回転転倒、初っ端から首がムチウチに笑
気を取り直してトラバースして鬼岳を目指す、巻道は雪が硬くクトー無しだとスリップした
巻き終えたらシールを剥がしてトラバース、獅子岳直下は急なのでツボ足で登る
獅子岳山頂ではこれから進む道、オートルート全景が見える、今回は薬師岳、黒部五郎岳、双六を経由して槍ヶ岳まで目指す
獅子岳からは南面の谷を滑ってザラ峠へ、柔らかい雪と程よい斜度で楽しく滑り落ちた
再びシール貼って五色ヶ原を通過、気持ちの良い広大な雪原だ
シールがよく滑るスイスイ進む
鳶山まで緩く巻き気味に登ったあとは細い尾根を滑り降りる
越中沢岳は初日の核心だった
最初の岩場は東側から巻けたがその先はアイゼン歩行になった、ズボる急斜面、岩場、バックステップ多用でなかなか精神が削られる区間だった
どっと疲れたのもつかの間、次はスゴの頭、山頂下で巻きを試みるも岩と藪にぶち当たったので素直に上に上がる
意外に楽チンに登れたのでリスクある巻きよりも良いと思った
西側尾根は少し細いが快適に滑って降りた
この日の残りはスゴの頭小屋でテントを張るだけだがそこまでの道はデコボコで通過に一苦労、最後は疲労した体に鞭打つような急登を登ったら小屋についた
テントを張って忙しく作業したら就寝、明日は長丁場なので1時起床とした、8時過ぎがらだから5時間もねれなくない?さっさと寝るしかない
◆2日目◆
1時起床、2時40分発、この日は天気予報が悪く、気が重い、
風が強く、昼から雨またはミゾレの予報
深夜のうちは満月が照らしてくれたが
やがて曇り、ガスり、冷たい強風になった、カチカチ雪をクトーで進む
強風で一気に体温が下がり厳冬期のようだ、厳冬期用の装備で対応した
ダウンジャケットを着込み、電熱ゴーグル、フェイスマスク、厚手グローブ、で耐えながら
間山手前で時折耐風姿勢して、こんな序盤でこれだとこの後どうしようと弱気になる
ホワイトアウト状態なので石だらけだが道がわかる夏道を気をつかいながら進む
北薬師岳に近づくと時折ガスが取れて北薬師岳と薬師岳が顔をのぞかせるように、やる気が出てきた
北薬師はあっさり通過して進むと急な下り坂、アイゼンで慎重に通過したら直ぐにスキーが履ける
薬師岳まで登ったら本日初の滑走、
尾根伝いに薬師小屋まで滑ってそのあと夏道から離れて快適な斜面を選んで滑っていく、朝なので雪はまだ硬い
一部石の出た夏道も通った、板を傷つけないよう気を使う
薬師峠へ降りる斜面は雪が緩んで滑りやすい、
滑り終えたら太郎平小屋まで雪原を歩く
ここまで天候の移り変わりが激しかったので小屋で大休憩して落ち着く、
小屋の裏のトイレ入り口はドアが割れて雪が入っていた
作戦会議したが時間も早いし進むことに
小屋外で携帯電波が入ったので天気図を確認したが悪い方向ではなさそうだ
北ノ俣岳までゆるゆる登る、長く感じた、寝不足でうとうと
このあたりの斜面は広くて緩やかで山スキーには最適だな、斜面も綺麗だしGWは賑わいそう
北ノ股岳到着、先輩はここから双六までのルートは経験済み、トラバース任せます
山頂からちょっと滑ると雷鳥の軍団が、皆冬毛、雷鳥は愛おしいねえ
延々と東斜面をトラバース、腰が悲鳴をあげるがあっという間に距離を稼げる
中俣乗越からシールで2578を巻いたらいよいよ黒部五郎への登り
見た目近く見えるがなかなか時間がかかる登りだった
山頂上から雷鳥が風の乗って羽ばたいてきた!飛んでる雷鳥は初めて見た
黒部五郎に到着したらカールへ入るために一旦来た道を滑る
そして雪庇の切れ目からエントリー
カールの大きさに驚く、
少しだけ楽しく滑ってあとは右方向へトラバース、一気にカールを抜ける
カールを抜けて少し進むと下に黒部五郎小舎が見えた、ゆる斜面を滑り込む
天候悪化も加味してここで泊まろうかと思ったが翌日槍を狙いたいので双六まで頑張ることに
三俣蓮華岳までの登りはいい感じに足が疲れるしんどい斜度、疲れた体に鞭打つ、
登っていくと冷たい風が吹いて一気に体温を奪う、
今日は目まぐるしく天候が変わる、
自分は低体温気味になり肺がうまく広がらず呼吸が浅い、酸欠になりながら這い上がる
なんとか三俣蓮華岳に到着、直ぐ東面は雪庇が無いのでそこから東側斜面へエントリー、双六小屋までトラバースの開始、
途中岩場にぶつかるが下を巻いた、初見では難しいトラバースルートに思えた
少し降りすぎたのでスキーのまま登るが低体温で息が上がる、5歩進んでは倒れこむ始末
大した登り返しでは無いが時間がかかってしまった
シール歩行の方が酸素使う量少ないのではと思いシールに変えたらうまく進めた
あとは快適に双六小屋まで滑ってこの日は終わり
すでに夕暮れ、急いで水を作って飯食って明日の作戦会議、
深夜雨で朝から晴れる予報、それを信じて西鎌尾根から槍へ行くことに
夜は外の強い風、大きな雨音に不安になる
この日も9時過ぎ就寝から2時起床で睡眠時間は短い、、
◆3日目
3時過ぎに出発しようとするが外は大雨、強風、待機することに、6時過ぎたら新穂高にエスケープと決めたが
なんとか5時近くなってやっと小雨に、
晴れを期待して出発、
雨に濡れながら縦沢岳へ登っていくのは不安だった、もし悪天になったら一気に厳しくなる
雪が途切れるので藪や石の上を通過する
上に行くと雪たっぷり、山頂標識も顔を出していた
雨で柔らかくなった斜面をシールのまま滑る、視界がないので慎重にカニ歩きも挟む
コルで霧雨程度になったのでレインカバー外したりして装備を整えた
縦沢岳から直ぐ隣のポコは南面を下り気味にトラバース、
直下は急な雪の斜面で滑落したらもうどこまでも滑っていく感じ、
雪は柔らかいがたまにずり落ちるので足元が崩れないか不安で仕方なかった
山スキーやってて今までで一番緊張したかも
トラバースを終えたら広い尾根をシールで登り滑りして進む
やがて尾根上に雪が少なくなり、南側は藪と石、北側は雪、となるが雪の下には深いヒドゥンホールがあって一度先輩が落ちてからは藪側を歩くことに
硫黄乗越付近の夏道が狭く、凍った雪なのでここから板を担いでアイゼン
その先も夏道が出てたのでアイゼンでどしどし歩く
一度雪の壁をゆるいところ選んで乗り上げる
夏道をガシガシ進むと次第に雲が取れて槍ヶ岳が姿を現した、テンションが上がる
スキーブーツだが久し振りに北アルプスの尾根を自分の足で歩く、単純に楽しい
夏にも絶対に来よう
夢中で歩くと雪が繋がってくる、再びスキーに変えてラストスパートだ
細いリッジ、尾根上の岩を避けるために巻いたりとザ・アルプスの縦走といった感じで充実感がすごい、
3日目で疲れているはずなのに、
集中力は高く、やる気満々、パワー全開といった感じだ
眼前の槍ヶ岳の神々しい姿がなんとも言えない素晴らしさ、特別な空間にいるよう
今までの登山の中でベストな体験だ一生心に残る
飛騨乗越手前の鎖場は鎖が出ていた
雪の付きも良くないのでアイゼンで夏道沿いに通過して直ぐにスキーに変える
飛騨乗越からまた雪が切れるので自分はアイゼンなしのツボ足で、先輩はスキーのまま進む
途中で雷鳥に出会って癒されたり、飛騨沢の鳥の大群に驚く
上に行くと雪が繋がり槍ヶ岳肩へ詰めていく
広い沢状で雪が柔らかい、大きくジグを切る
残り100Mくらいで雪が硬くなりクトー、沢地形が狭くなるといよいよ肩トップだ
穂先が見えた、ゴールは近い
表面がバリバリの雪を割って進んだら肩に到着、
小屋方面を見たら多くの小屋関係者が小屋開けの準備をしていた
お声がけして荷物を置かせていただき、槍ヶ岳山頂へアタック
スタートが遅れたせいで上高地ゲートの時間が迫ってるので速攻で
雪は柔らかく登りやすかった
今までのことを思い出しながら感慨深く最後のハシゴを登ってゴール!!
達成感しかない、立山から薬師、黒部五郎、西鎌尾根と歩いてきた全景が今はスタート時から逆方向で見てる
北アルプスの山々はまだまだ冬らしさが残って雪がたっぷり
これからのGW多くの人が楽しむだろう
ちゃっちゃと写真を撮ったら速攻で下山、
小屋で滑りの準備をしてると小屋の全員が興味ありげに集まってきて談笑する
槍沢を滑るところを撮らせてと言われて快諾、
先輩は今まで見たことのないアグレッシブな滑りを見せた!
自分もこけないようそれなりに槍沢を滑る笑
我々のシュプールが山荘ブログに掲載
https://www.yarigatake.co.jp/yarigatake/blog/details/1240/
上部は雪重めだが広大な槍沢の滑りは爽快だ、雪面もすべすべ
下に行くにつれてクザグザで重たい雪に太ももが悲鳴をあげる
槍沢の下部から斜度が緩くババ平では手漕ぎで通過、槍沢ロッジまで雪繋がってるが直ぐ下で雪切れるので夏道沿いで進む
木のゴミや土で雪が汚れてたり、石が出てたり、小さなアップダウンなのでシール進む
自分はシール滑りで止まれず木に激突したり、あばらをぶつけたりでボロボロ笑
先輩も雪の上から橋に入ろうとしてコケて橋の中に転倒、側から見ててギョッとした
一つ目の橋はちょうど板をかけてるところだった
そんなこんなで横尾到着、こちらも小屋周りを除雪して小屋開け中、
トイレの水道は使えないが直ぐ横のドラム缶で水補給!ここまで汗だくだったので生き返る!
あとは除雪された車道と登山道をひたすら歩く、疲れた体にスキーブーツ歩きと重荷はつらい
唸りながら耐えて上高地到着、ゴール
もうクタクタヘロヘロ、完全燃焼
ーーー
持てる力を出し切れたいい山行だった、決行してよかった、悔いはない
頑張って頑張ってその先で想像を超える絶景に出会う、これが登山の最大の楽しさだ
これからも追い続けていきたい
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する