虎毛山 赤倉沢を囲む稜線を周回
- GPS
- --:--
- 距離
- 20.8km
- 登り
- 1,434m
- 下り
- 1,422m
コースタイム
- 山行
- 10:44
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 11:11
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登りで登山道の一部を利用しましたが、ほとんどバリエーションルートです。 |
写真
装備
個人装備 |
スパイク長靴
|
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感想
虎毛山へ登る登山道は赤倉沢を辿ってから急坂を登る一本のみだが、積雪期は雪崩の危険や沢沿いの際どいトラバースが予想される。なんとか安全に尾根を登るルートはないものかと、地図を睨めっこした時期があった。結局その時は、宮城県側の水沢森を経由して須金岳山頂部に上がり、県境沿いにひたすら雪原を歩くという、非常に長いルートを往復したのだった。
ちょうど一年前、tooleさんと虎毛山の南西にある国道108号鬼首道路から鬼首峠を経由して虎毛山に登った。山頂部の強烈な藪漕ぎもあり、非常に印象深い山登りだった。またあの奥深い山へ、別のアプローチで臨んでみたい。県境稜線は一年前に歩いたから不安はない。県境が鋭角に曲がる先にあるP1,087と、そこから北方に伸びる尾根(赤倉沢左岸尾根)もなんとか歩けそうだ。この尾根を登って、県境稜線を辿って虎毛山に登り、下山は高松岳への縦走路上にあるP1,177から尾根を下って赤倉沢へ下り立つという、反時計回りのルートを考えた。
歩き始めてから、水量の増す夕方では赤倉沢を渡渉できないのではないかという思いが強くなった。そこで、朝のうちに渡渉してしまう時計回りのルートに変更する。そうなると登りが稜線に上がるまで急斜面になるし、下りではルーファイが難しくなりそうだが、ルートの一部を昨年歩いたという経験が、自分の中に楽観を生む。
登りでは読図が雑になるというのは私の欠点だが、今回もそうだった。渡渉した後に取り付いた尾根は、当初考えていたルートとは違っていた。すでに多くの時間を費やしたうえ、この後、金倉山と虎毛〜高松縦走路を繋ぐ、崖マークいっぱいの細い稜線が待っている。しかしこの細い稜線も以前から気にはなっていたので、進んでみることにする。金倉山と主脈縦走路を結ぶ稜線は細いが、大きな段差はなく、ロープは必要ないようだ。途中のP1,018への登りでは、ピンクテープをいくつか見かけた。
主脈縦走路上のP1,177に立つと、展望は大きく広がった。以後は巨大な虎毛ドームに向かっての、きついが楽しい登り。平原状の山頂部は雪消えが速いが、運良くすぐに登山道を見つけられた。
虎毛山頂に人の気配はなく、足跡も見なかった。ゆっくり展望を味わってから、南方向へ下山を開始する。昨年格闘した藪漕ぎを避けるため、東側から回り込んで残雪を伝い歩く。昨年よりは若干残雪が多めで、これも運良く切り抜けることができた。
以後は昨年も歩いた県境稜線をP1,085へ。さらに、県境が鋭角にカーブする先にあるP1,087へ登り返す。この鞍部付近は最深部の雰囲気が漂い、ブナ林も素晴らしい。P1,087山頂からは、今日歩いてきた稜線がぐるっと見渡すことができて、感慨深かった。
P1,087から北方に伸びる尾根を下っていく。P987までは残雪豊富で、とても歩き易かった。P987からは藪や杉の植林の、尾根分岐のはっきりしない急斜面で、感覚を集中させて慎重に下った。そしてヒバなどの歩き辛い細尾根を忠実に辿り、赤倉沢沿い林道に下り立った。最後は、捨てられていたゴミの袋を両手に持っての、長い林道歩きだった。
今回改めて強く感じたのは、奥羽山脈中央部に位置する虎毛山の展望の良さだ。無雪期は灌木などに遮られてしまう部分が多いが、今回はこれ以上ない大展望に恵まれた。お馴染みの山々の他、遠くは岩手山や森吉山、蔵王や飯豊連峰まで確認できた。特に、軍沢岳などの稜線が幾重にも折り重なり合う向こう、右に鳥海、左に月山という巨峰の間に展開する神室連峰の東面の眺めは、本当に素晴らしい。山頂から下り始めてP1,171に立った時は、しゃがんだり立ったりと、かれこれ20分以上も離れ難かった。
コメント
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こんにちは
20.8キロ11時間11分、徒渉あり細尾根あり雪原あり蜜藪あり・・と、大変お疲れ様でした。雪解けが進めば徒渉点探しにも苦労しますね。
今回もダイナミックな周回で、山域を熟知されていなければある程度のコンディション予測も立たないと思いますが、今回ルートもkamadamさんオリジナルのルートと言うところでしょうか。
県境の見事な雪稜や天空雪原の大展望等存分に堪能させていただきました。
いつもレコを丁寧にお読みいただきありがとうございます。返事が遅くなってすいません。
本当に、天気が良くて風のない日の稜線は最高ですね。天空雪原では足元に注意を払う必要もないので、神室連峰など山々を見渡しながら歩いていました。
その残雪豊富な稜線に上がるまで、そして稜線から下りる時が、おっしゃるように渡渉や密藪・ルーフファイ等あるのですが、それをこなしていくのがまた面白いですよね。
虎毛山へ登る、そうでなくとも県境稜線に至るルートとして、赤倉沢の左岸尾根はいいと思いますし、もしかするとオリジナルなルートになると思いますが、下部の歩き辛い細尾根が問題ですね。植林されているので、作業道をうまく利用すれば、もっと楽に歩くことができるのでしょう。赤倉沢の右岸側の尾根は、リボンも見かけましたので、登られているかと思います。
虎毛山は「虎」の付く山で日本一高いとか、広大な山頂湿原で有名ですが、晴れた日の展望の素晴らしさは特筆ものです。山頂小屋の屋根の上に上がることが可能なら、無雪期でもそれが実感できると思うのですが
前回の白岩岳周回ルートと同様、誰もが想像だにしないルートのレコを拝見させていただきました。kamadamさんのレコは行動や写真はもちろんですが、なぜそこを歩こうと思ったのか、過去の経緯や探索を求める理由が明白に記述されており、私はその点を興味深く読ませていただいております。ルポルタージュとでもいいましょうか、ルートに真摯に向き合う理由や心構えを読み取ることができ、その点が深く心に染み入ります。(エラそうに大変失礼しました。 )
最後のペットボトル等の写真ですが、先日の私の南八甲田山行でも同様でした。国道に出て意気揚々と御鼻部山展望台までスキーを担いで歩いていると、たくさんのゴミが。袋に詰められ明らかに意図的に捨てたと思われるものも…。自然を求めて訪れる人々が何故に…と思い、高揚した気分も少し興ざめしました。自分としては、最低限、自分ですべきこと、できることはしようと思っています。
それはさておき、お疲れ様でした。貴重なレコをありがとうございました。
mametan3さん、コメントありがとうございます。
返事が遅くなりましてすいません。県外へ出かけておりました。
ゴミは南八甲田でも同じですか?残念なことですね。
実は今回、写真に撮ったゴミは自分で拾ってきてはおりません。他のゴミを持ち帰るのに手一杯で、自分で忘れないように写真を撮ったものです。このレコを見た方が拾ってくださることもちょっぴり期待して・・
空き缶がたくさん入れられた袋も持ち帰りましたが、そういうのはリサイクルにも出せないので、平日の仕事の合間にゴミ処分場に直接持参しなければなりません。
捨てるのは登山者ではなくて山菜・タケノコ採りの一部の人たちだと思います。自然から恩恵をいただいているのに、そこを意図的に汚すというのは理解できないですね。
拙いレコですが、評価していただき、うれしい限りです。行きたいという気持ち、山へ向かう動機・モチベーションがまず出発点になると思うので、それを記述できたらいいなあと思っています。もちろん、ただなんとなくというのもありますが。
mametan3さんの、構想・準備に一年間かけたという情熱と実行力溢れるレコには心揺さぶられました。限られた時間の中ですが、山への情熱の火を燃やし続けたいものですね
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