笠ヶ岳(四ノ沢・試練のルンゼ滑降)
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 10:12
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 2,504m
- 下り
- 2,487m
コースタイム
- 山行
- 8:23
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 10:06
天候 | 快晴! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
◆新穂高温泉〜三ノ沢出合 ・一ノ沢からのデブリにより堰堤は埋まっており渡渉無し。 ・三ノ沢手前で右岸のへつり(雪壁の上を歩く)がある。自分たちは右岸から左岸に渡渉したが、前述のへつりで渡渉不要となる。 ◆三ノ沢出合〜ザイテンタール ・スキーハイク可能。 ・ザイテンタールで左の尾根を乗越して少し高度を落とし六ノ沢へ入る。 ◆六ノ沢 ・雪が硬ければアイゼンで、柔らかければスキーが有効。 ・今日は気温が高く雪が緩んでいたため基本的にスキーで登った。 ◆稜線〜笠ヶ岳山頂 ・多少のアップダウンはあるが気持ちよくシールハイク可能。 ◆笠ヶ岳山頂〜四ノ沢 ・今日の核心部。上部は狭い急斜面でデブリで埋め尽くされているので横滑りを混じえて慎重に高度を落とす。 ・落石もあるので慎重に、かつ素早く通り抜けたい。 ・四ノ沢は全般的にデブリと落石によりスキーはボロボロになる。 ◆四ノ沢出合〜三ノ沢出合(スキー滑走) ・少しデブリはあるが問題なく滑走できる。 ◆三ノ沢出合〜新穂高温泉 ・スキーを担いで来た道を忠実に戻る。 |
写真
感想
今日は若干曇り予報だが晴れると信じて笠ヶ岳へ行くことに。
実はまだ山スキーで笠を滑ったことはなかったのでYSHR先生に声をかけて是非行こうということになった。
1時スタートということだがいつも通りフライングスタート。
夜中の山行はもう慣れたもので何とも思わないが今日は月明りに照らされながらの明るいナイトハイクとなった。
ルートはこの時期鉄板の「穴毛谷」だ、
登りは六ノ沢を詰めて、その時の様子でどこを滑るか決めるという段取りになっていた。
運が悪いと穴毛谷に入ってすぐのところで堰堤の渡渉となるが、今年は一ノ沢からのデブリのおかげで渡渉は不要だった。
YSHR先生と「一ノ沢特需だな!」なんて会話しながら快調に歩いていく…が、三ノ沢の手前で行き詰った。
飛び石で何とか渡渉するもその先でも行き詰まって結局元来た道に戻ってなんとか別ルートでクリア。
30分くらいロスしたか。
すぐに次のハードルが現れた。
ここは右岸の雪壁をへつるか渡渉するかの2択。
まあ一応渡渉セット(といってもビニール袋だけど)を持ってきたので装着してクリア。
YSHR先生はしっかり沢靴でクリアしていた。
三ノ沢からは快適シールハイク開始。
雪も適度に締まっていて歩きやすい。
ふと後ろを見るとヘッデンがひとつ光っている。
しかもペースも早そうだ。
「単独で穴毛谷に来るとは只者じゃないな」
「この時期毎年ここに来てるmacoさんじゃないですか?」
なんてセンセーと会話しながらも黙々と高度を上げていく。
穴毛大滝を過ぎたら六ノ沢へ入るために一旦左の尾根を乗り越える。
後続の登山者とはさよならだ。
六ノ沢も良い感じに雪が繋がっていたのでここも順調にクリアしてアイゼンとシールハイクを使い分けながら稜線を目指す。
2,000mから2,700mまで狭いデブリの谷を詰めて700m上げるというのはなかなかハードだったが後ろにそびえる穂高連峰や稜線の岩稜帯の景色に励まされながら頑張って登ることができた。
稜線に登り詰めて深呼吸をしながら周りの景色を眺めていたら、なんと隣の七ノ沢から稜線に登り上げているスキーヤーがいた。
やはり!あの容姿はmacoさんじゃないか!
その後macoさんと合流してしばし談笑。
打込谷に滑り込んでから一旦登り返して杓子平から穴毛谷を滑るのだそうだ。
さすがの体力とバリエーション、テレマークで剱の大脱走ルンゼを滑っただけのことはある。
さあとりあえず山頂へ行こう。
広大な稜線を各々マイペースで歩いていく。
もちろん天気も景色も最高なので写真撮りまくり。
もうすぐ登頂というところで何やらYSHR先生が谷の様子をうかがっている…自分にはわかる、このパターンはヤバい。
直後にセンセーから一言。「四ノ沢つながってるんじゃないか?」
ああ!やっぱりそう来ましたか。
地図を見ても等高線はちゃんとありそうだし大丈夫そうだけど…でもそう思って前に猿ヶ馬場行って崖から飛び降りたことがありましたよね!?
一緒に登頂したmacoさんも僕らの会話を聞きながら面白そうに笑っている…
「まあ何とかなるやろ!」
いや、このパターンは波乱の予兆。
残雪期の笠ヶ岳に初登頂したら優雅に杓子平から穴毛谷を滑って下山するというまっとうな山スキーヤーの夢はここで打ち砕かれた。
わかりました、四ノ沢行きましょう!
macoさんに何かあったらよろしくと伝えて滑降開始。
四ノ沢へのエントリーポイントを探ってドロップイン!
四ノ沢の源頭まで滑るとそこから下にはめちゃ狭い急斜面が延々と続いていた。
更にデブリやでかい立て溝まで…やっぱりここは試練だった。
まあいい、こんなところはYSHR先生と一緒じゃないと来るチャンスはない。
そう気持ちを奮い立たせて慎重に滑っていった。
さすがに上部はまだ硬いがカチカチじゃなくてよかった。
落石も多数あって除ける隙間もない。
ハッキリ言って奥穂の直登ルンゼや唐松のDルンゼ、Cルンゼが可愛く思えてくるほどだ。
気温も上がり石もちょいちょい落ちてくる…はやく脱出したい。むしろこっちが大脱走(したい)ルンゼなんじゃないのか。
結局山頂から四ノ沢出合までたった3km滑るのに1時間半もかかった。
途中落石のリスクがあるため休憩もできずに喉もカラカラになった。
四ノ沢出合でザラメ雪を詰めて飲んだコーラはこの世のものとは思えない旨さだった。
あとはのんびり穴毛谷を「普通に」滑って、最後は板を担いでゴール!
このコース、間違いなく2度目はない。
普通に杓子平を滑る日は来るのだろうか…
今日使ったバルトロは地雷踏みまくりで病院送りとなった…
今日も元気にがんちゃんと山スキーをしてきた。目指すは笠ヶ岳穴毛谷、六の沢を詰めて稜線に立ち、帰りにどこを滑るかは現地判断とした。22時に自宅を出て新穂へ向かう。深夜0時過ぎにがんちゃんと落ち合い0時40分にスキーを担いで新穂スタート、穴毛谷からの大きな雪崩で林道から川を渡るとすぐに雪が出て堰堤も隠れる勢いでガンガン歩いていく。
穴毛谷に入溪すると雪は切れて川がゴウゴウ、心臓に悪い、右岸から左岸へ渡渉して進むも行けなくなりまた戻って渡渉し直す。明るくなって見ると際どく右岸を進めば渡渉はいらなかった。三ノ沢出合あたりを進んでいると後方にライトが一つ、誰だこんな時間に単独で出るとは只者ではない。
後方を気にしながらガシガシ進んでいく。五の沢出合あたりでも後方ライトが見えて無事付いて来ているようだ。誰だろうかもしかしてカリスマのパートナーのマコ?彼ならありえるかもしれない。他には思いつかない。
穴毛大滝に着くも暗くて良く見えなかった。ザイテンタール途中で尾根を乗り越し少し下って六の沢出合へ大滝の上部に出た。後はガンガン稜線を目指すのみ最初傾斜は緩いのでスキーでしばらくでアイゼンに履き替えた。後続は見えない七の沢を詰めているのか?雪は固くてアイゼン歩行は快適だった、振り返ると槍穂がドン、やはり寝ている場合じゃなかった。マンダムな朝を迎えた。
稜線手前で雪がグズってきたので板を履いて最後稜線へ乗り上げた。ちょうど後続も到着、やはりマコだった。七の沢を詰めていた。いややはりこんなことを単独でするのはマコしかいなかった。納得、マコは笠山頂から打込谷を滑って登り返す計画だった。やはり化物であった。
稜線に出ると笠山頂までしばらくだった。新穂から7時間半だった。記念写真を取り合いマコを見送ってさあどこを滑ろうか?
気温は上がって雪はザラメベストコンデション、ガンは当然杓子平を滑ると思っているが人生そんなに甘くはない、今日の条件を考えれば四の沢しか選択肢はなかった。名人と五の沢を滑ったのが15年前、それ以来次は四の沢と密かにもくろんでいたがチャンスはなかった。もう諦めていたが今日の条件は神様のプレゼントだ。四の沢に思い切ってチャレンジしなさいというお告げだろう。行くしかない、途中出滝が出てきたら登り返せば良いだけだ。
ガン腹をくくって行こうぜ、山頂から直に降りるコースは雪が切れていそうで崖が出ていたので緑の笠から迂回した。さて緑の笠から四の沢エントリー、うーんすごい高度感、マジですか、こんな緊張感やはり五の沢以来です。僕が先頭で戦闘態勢、がんちゃんビビりも入るがもう行くしかない、雪がザラメなのが救いだが、如何せん岩が多い上に沢の真ん中に深い縦溝が出来ていて沢が分断されて滑降スペースは極めて限られる。極めて難しい滑りとなる。
転けたらまず止まらない、下までボブスレーだろう。ワンターンも油断できない神経ビリビリの滑降が続く。岩が多くて何度も引っ掛けてバランスを崩すが持ちこたえながら落ちていく。時折降る落石も油断ができない。こんな難儀な滑降は多分初めてだろう。もう絶対二度目はないというやつだ。標高差で800mほどは本当に辛い滑りだったが穴毛本谷が見えた時はようやく闘いが終わったと安堵した。
穴毛本谷まで喉カラカラ汗ダクダク、本谷に合流してようやく休憩できた。本谷に合流してからはスキーゲレンデでした。
いやー今日の四の沢を滑れればもうどんな場所も滑れるでしょう。まさにそんな一日であった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
下から見て六の沢を上がり、四の沢にシュプールを見た日には、地獄の人?と噂してました。僕らはシンプルに七の沢で滑走を楽しんでました。山頂から西面滑る予定でしたが、時間切れでした。
やっぱり昨日は笠ヶ岳マニアにとってビッグデイだったようですね。
お会い出来ずに残念でした。
自分は残雪期初の笠でしたが毎年行きたい、滑りたい山になりました。(四ノ沢を除く)
また来年お会いしましょう!
お疲れ様でした。
ザイテンの尾根から稜線下を登る二人を眺めてました。
先生たちかなあと思ってましたがピンポンでしたね。
播隆平へのシュプールを見てもしやはありましたが四の沢出合のシュプール見てビックリです。
凄すぎます!
maoyukiさん、ご無沙汰しております。
お会いできずに残念でした。
今回の笠ヶ岳は身内のメンバーで盛り上がりましたね!
今回の笠ヶ岳は初スキーでしたが素晴らしいルートだったので毎年来たいと思います。
播隆平だけでも登り返して滑ったら楽しそうですね。(四ノ沢はもう行きません(^^;)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する