5歳児とゆく麗しの大菩薩嶺(→丸山峠→裂石)
- GPS
- 06:21
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 574m
- 下り
- 1,244m
コースタイム
- 山行
- 5:01
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 6:17
天候 | 晴れときどき曇り 影のない尾根がつらくないくらいの日照 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
栄和交通のバスで上日川峠へ バスは原則全員座れるまで増便、3台出た模様 |
コース状況/ 危険箇所等 |
完全に整備されていた |
その他周辺情報 | 大菩薩の湯(時間切れで入れず) |
写真
感想
息子と山登りをしている、というとだいたい「どんな山に登りましたか?」と聞かれる。きっとそれは、息子もそうだろう。おともだちから先生から、どこにのぼったの? と聞かれているだろう。
高尾山、陣馬山、景信山。このあたりはわかってもらえる。けど最近はもう少し高いところに登ったりしている。
扇山、生藤山、馬頭刈山。最近はこんなところだが、山登りしてない人は誰も知らないシブいセレクトだ。これを先の質問に対して言うと「……へー。」という返事がきて会話が終わる。
もう少しメジャーな山に登ろう。高さがあって、わりとみんな知ってるところ。できれば、「そこ登ったんだ!」とびっくりされるようなところ。
夕飯までに帰れる、交通機関(除・特急)オンリーで行ける、そんな山は……あった。日本百名山のひとつ、大菩薩嶺!
息子に「すごい山登ろうよ」と誘うと「うんいくよ」とのご快諾。いつもより朝早くの出発だ。
家を6時半くらいに出て、9:04にJR甲斐大和駅。そこから栄和交通の「上日川峠」ゆきバスに乗る。
この路線はどうやらほぼ大菩薩峠登山のためのものらしく、観光バス用の車体が使われている。ICカード決済は無理、降りるときに千円札を運転手さんに渡すシステムである。大量の客を全員座らせて、余った客は次のバスに乗せて、と都合3台で出発。
1時間もの間、山道をバスに揺られていく。一応どこでも乗り降りできるシステムだが、誰ひとり使わない。乗客たちはみな話もすることなく、静かに乗っている。なんだか少し怖いような。
長いうねうね道のバス旅、酔い止めを飲んでいても酔う息子。お菓子をあげて頑張ってもらっていたけど、最後には座席で丸まってしまった。あと少しだよ、がんばれー……!
そうしてやっと、上日川峠に到着。人がたくさんいる。車もたくさん止まっている。こんな山の中に、こんな賑わう場所があるなんて! もはや観光地の趣きである。
トイレできっちりうんちまで済ませて、さあ登山スタートだよ。
上日川峠→大菩薩峠の中間地点・福ちゃん荘までの道は、とてもゆるやか。たくさんの人がのんびり登っている。福ちゃん荘への車道がすぐそばを通っていて、なんだか登山道というよりは自然遊歩道という雰囲気。
ほどなく福ちゃん荘に到着、北海道・神恵内で買った謎の魚のトバを食べてひとやすみ。息子が魚くさい。
そこから道が雷岩方面と介山荘方面に分かれるが、後者を登る。道はどうやら運搬用の軽車両が通るようで、きれいに整備されている。勾配もゆるやか、軽快に進む。途中ハイカーの方々に「ぼくは小学生? えっまだ保育園? えーすごい!」なんて声をかけていただき、自尊心でまんまるにふくれあがる息子であった。
そうしてあっさりと大菩薩峠に到着。介山荘は各種おいしそうなのみものがそろっていて素敵だが飲むわけにはいかない。けれどそんなことより、2000メートルクラスの山ならではのスーパービューが!! 素敵!!
さあはやくおにぎりたべよう、という息子だが、せっかくだし次のポイントにしようよ。どこでたべてもいいじゃない! と憤る息子。たしかにそうなんだけどさ。
それまでの安定した道とうってかわって、高山らしい岩がちの尾根をたどって進む。眺めは最高、天気もほどよく曇っていて暑くない。すぐに次のピークに到着、さあおにぎり! 冷やしきゅうり!
ちなみにこのピークは「親不知ノ頭」というそうで、親子登山にちょっと向いてない。
ここからいったん下って、「賽の河原」。無数の礫に覆われた山肌がみえる、コルのようなところだ。石積みがいたるところにあって、昔からハイカーたちが積んできたんだろうなーと思いながら5歳児がガッシャリ崩さないかを心配する。
再びのぼり、軽いロッククライミングのような岩場を越えて2000メートル地点、そして雷岩へ。
この間、ずっと雄大な景色のなかの尾根歩き。危なくない程度の岩場があったりして、それはもう見事なまでの非日常。ずっとうきうき歩いてる息子。来てよかった……!
雷岩では、おやつを食べてひとやすみ。テレビ局が来ていて、ハイカーさんたちに取材をしていた。
さあ、ここまで来たら大菩薩嶺の頂上まではあと少し。見晴らしのよい尾根歩きは終わり、道は林の中へ。
そして拍子抜けするくらいすぐに、山頂到着。見晴らしはぜんぜんないけど、高明山なんかもそうだったし別にそれはそれ。心地よい達成感に変わりはない。
さあ、お待ちかねの、クーラーボックスに入れてきた冷え冷えのナタデココパインゼリーを食べよう。息子「なたでここはぱぱにはあげません」
さて、下山どうしよう。雷岩からおりればすぐに上日川峠だけど、またバスに1時間乗ることになる。丸川峠経由だと、けっこう歩くけどバスは15分くらい。
意を決して、丸川峠へ! でもサクサク歩かないと早いバスに間に合わない!(→帰宅遅くなる→妻ブチギレ)
山頂から丸川峠への道は、それまでの賑わいがうそのように消えて、ほとんど人と出会わない。道は古くからの登山道といった雰囲気。うっそうとした杉林、まさしく山の中。
くだりに自信をもつ息子である。キツネノチャブクロを見つけて胞子をバフバフ飛ばすなど、アトラクションもやりつつずんずん進んでゆく。ハイカーさんをひとり追い越して、びっくりされていた。
そして突然視野が開けて、下草が茂る庭園のような場所にでたら、そこが丸川峠。丸川荘という茶屋がある。
そとのベンチで休んでいたら、うんちがしたいと息子さん。緊急事態だね!
丸川荘のトイレは、お店を使わないなら100円を寄付して使うシステム。でもそれならせっかくだし、飲み物をいただこう。
どうやらお店の方はここで生活されているようで、異世界の古民家のような独特の雰囲気が素晴らしい。
淹れたてコーヒーが自慢のようで、飲みたいんだけど息子は飲めない。ということでカルピスをオーダー、全量息子に吸い込まれる。彼は義祖母の家を思い出したようで、ふるいおうちだねー、という。
時間は14:50。ふもとのバスは16:43発。店主さんに「今ここなら間に合わないね、18:30のバスだねえ」と言われた私の脳裏に、激昂する妻の顔が浮かんだ。こいつはヤバい! 急ごう!
丸川荘のそとにある自然派トイレで息子のうんちをすませて、くだりを急ぐ。
山くだりに絶対の自信をもつ息子、とうちゃんを尻目にどんどんおりてゆく。落差のある岩をおりるなど、5歳児には大変そうなところの多い道だが、ひょいっひょいっと乗り越えてゆく。
見ていて危なげないけれど、油断はしないでね。そう伝えると、「ゆだんってこんなかんじ?」とふにゃふにゃ踊る息子。ああそうだ、それがまさに油断だ!
スピードを上げつつも走らず、途中きれいなつつじや大きなきのこを見つけて大喜びしながらいいペースで進んでいった。
そして最後に大きな岩をジャンプして、林道に出た! 時刻は16:00、あとは駐車場を経てバス停に行くだけ。余裕だ。ありがとう、よくできた息子よ。
きれいな白い蝶が飛んできて、近くの葉に止まった。アサギマダラ、どうやら産卵してる。感動して見ていた息子、よろけて落ち葉にざこっと踏み込んでしまい蝶は逃げてしまった。大変なときにお邪魔してしまい申し訳ありません。
平坦な道を進んでいくと、「あれーっ」
と声をかけられた。さっき追い抜いたハイカーさん。いつのまにうしろにいたの? と。たぶんうんちタイムですね。
もうひとりのハイカーさんと4人で、のんびり楽しく歩いた。息子はマムシグサやキノコの話をしていた。そのとりとめもない話を、お二方ともニコニコ聞いてくれた。山には素敵な出会いもあるんだね。
マムシグサを検査するなどしながらゆっくり歩いて、ついに「大菩薩峠登山口」バス停着! バス到着の10分前だった。
親切なふたりのハイカーさんは、私たちの写真をとってくれた。息子をずっとほめ続けてくれた。なんていい人たち。山はやっぱりよいものだね。本当にありがとうございました!
おふたりは大菩薩の湯へ。私たちは温泉の時間はとれないのでバスで塩山駅へ。
温泉入れなくて浮いたお金でアイス買おうぜ!
と、ついた塩山、コンビニなんてない。おみやげやさんしかない。アイスはどこだ? どこで手に入るんだ?
駅に上がるとそこにはミニキヨスクのようまお店が。息子の大好きな「信玄餅アイス」があったのでそれにする。とうちゃんは……小さいビールを買ったよ許しておくれ。
かくして初めての2000メートル登山は、発見と絶景と出会いに富む、すてきな旅になった。ハイカーの方が言っていた、お父さんが2歩くときに息子さんは3歩歩いてるね、と。大人でもキツいコース(実際モメてるパーティがあったくらい)を難なくこなした息子よ、また新しい山を目指してみようではないか。今日もよく頑張ったよ!
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