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Yamareco

記録ID: 1906903
全員に公開
沢登り
中央アルプス

(中央アルプス)伊奈川本谷

2018年08月18日(土) ~ 2018年08月20日(月)
 - 拍手
GPS
56:00
距離
27.6km
登り
2,673m
下り
2,013m

コースタイム

1日目
山行
7:20
休憩
0:00
合計
7:20
8:40
170
11:30
30
12:00
240
伊奈川本谷入渓点
16:00
ビバーク地(伊奈川本谷の河原)
2日目
山行
12:00
休憩
0:00
合計
12:00
6:00
680
ビバーク地
17:20
40
多段50m大滝
18:00
三ノ沢カール(泊)
3日目
山行
9:50
休憩
0:00
合計
9:50
5:30
50
三ノ沢カール(泊)
6:20
60
稜線
7:20
120
9:20
90
10:50
270
15:20
桂小場
遡行にかなり時間がかかっていますが(特に2日目)、ぶらぶら遊びながらゆっくり遡っていたためです。真面目に歩けば半分程度の時間で遡行できるのではないかと思います。
天候 8/18晴れ 8/19晴れ時々曇り 8/20晴れ時々曇り
過去天気図(気象庁) 2018年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車
中央本線倉本駅下車。登山道までは道標あり。初めは林道と登山道を併用しながら高度を上げていくので少しルートが入り組んでいますが、地図をこまめに見て、道標を見落とさなければ大丈夫だと思います。イザルボテ、中八丁を経由して、登山道が伊奈川本谷に降りたところから遡行開始。
コース状況/
危険箇所等
・倉本駅から中八丁を経由する登山道は、ガイドブックによっては通行止めとされているが、道標もあり踏み跡も明瞭で、手入れがされている形跡もあり、まったく問題なく歩けた。
・伊奈川本谷はひたすらゴーロと河原が続く谷で、危険個所はないが、大きい谷ゆえ下部は水量が多いので渡渉注意。さらに、下部は水温が驚くほど低いためあまり水につかりすぎないほうが良いかもしれない(中間部を越えると急に水がぬるくなる。おそらく湧水の関係だろう)。源頭のカール手前で多段50mほどの滝が現れるが、フリーで登れる(3級下程度?)。
・なお、伊奈川本谷は緩やかな地形が広がる割には意外に良い泊まり場が少ない(藪が多かったり、石がごろごろしていたり…)。私も1日目の泊は笹薮を押し分けてスペースを作るしかなかった。
中央本線の倉本駅に降り立つ。
駅がスタートだと、まさに山旅の始まりという感じでわくわくしてくる。
無人の静かな駅である。
2018年08月18日 08:41撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 8:41
中央本線の倉本駅に降り立つ。
駅がスタートだと、まさに山旅の始まりという感じでわくわくしてくる。
無人の静かな駅である。
倉本から中八丁を越えていく登山道は、ガイド本によっては通行止めとされているが、手入れもされており問題なく歩けた。
植林が多いが、奥に分け入るにつれ写真のような気持ちいい自然林に包まれる。
2018年08月18日 10:40撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 10:40
倉本から中八丁を越えていく登山道は、ガイド本によっては通行止めとされているが、手入れもされており問題なく歩けた。
植林が多いが、奥に分け入るにつれ写真のような気持ちいい自然林に包まれる。
中八丁。峠越えがある山旅はいいものだ。
2018年08月18日 11:31撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 11:31
中八丁。峠越えがある山旅はいいものだ。
中八丁から急降下して、ついに伊奈川本谷に降り立つ。深い緑に包まれた中、澄んだ青い水が白い岩の間を沸き立つように流れている。ここをこれから遡ると思うと心浮き立つ光景だ。
しかし当然だが水量が多い。大丈夫かな…。
2018年08月18日 12:08撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 12:08
中八丁から急降下して、ついに伊奈川本谷に降り立つ。深い緑に包まれた中、澄んだ青い水が白い岩の間を沸き立つように流れている。ここをこれから遡ると思うと心浮き立つ光景だ。
しかし当然だが水量が多い。大丈夫かな…。
少し遡ると取水ダムが現れる。ダムの右手の斜面を登ってダムの上に上がり、堰堤を越えてから梯子をたよりに流れに降り立つ。そして当然のごとく、この取水ダムを越えるとさらに水量は増す。
2018年08月18日 12:31撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 12:31
少し遡ると取水ダムが現れる。ダムの右手の斜面を登ってダムの上に上がり、堰堤を越えてから梯子をたよりに流れに降り立つ。そして当然のごとく、この取水ダムを越えるとさらに水量は増す。
ダムを越えてすぐ、いきなり立派な巨岩と轟轟と落ちる滝にぶつかる。水量の多さと相まって、これから悪場が始まるのではないかと緊張する場面。(この滝自体は右から簡単に巻ける。)
2018年08月18日 12:37撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 12:37
ダムを越えてすぐ、いきなり立派な巨岩と轟轟と落ちる滝にぶつかる。水量の多さと相まって、これから悪場が始まるのではないかと緊張する場面。(この滝自体は右から簡単に巻ける。)
そして滝を抜けると、ひたすらゴーロ。曲がった先もゴーロ。も一つ曲がった先もゴーロ。平流天国である。さっきの緊張はなんだったのか。
2018年08月18日 12:55撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 12:55
そして滝を抜けると、ひたすらゴーロ。曲がった先もゴーロ。も一つ曲がった先もゴーロ。平流天国である。さっきの緊張はなんだったのか。
しかし、それがいい!
大きな山あいを緩やかに流れる本流を、ひたすらひたすら遡っていく。そんな沢旅にあこがれてここに来たのだ。空は青いし水もきれい。そして誰もいない。幸せである。
滝がなくてもいい。とにかく長い沢をひたすら歩きたい。そんなワンダラーにはお勧めの谷です。
2018年08月18日 13:02撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
1
8/18 13:02
しかし、それがいい!
大きな山あいを緩やかに流れる本流を、ひたすらひたすら遡っていく。そんな沢旅にあこがれてここに来たのだ。空は青いし水もきれい。そして誰もいない。幸せである。
滝がなくてもいい。とにかく長い沢をひたすら歩きたい。そんなワンダラーにはお勧めの谷です。
時々このように谷が狭まることもあるが、簡単に通過できる。
ただし水量が多いため、渡渉時は注意を。
2018年08月18日 14:12撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/18 14:12
時々このように谷が狭まることもあるが、簡単に通過できる。
ただし水量が多いため、渡渉時は注意を。
長いといっても、おそらく足の速い人なら一日で抜けられる伊奈川だが、せっかく長くて大きい沢に来たのだから、急ぎ足で抜けてはもったいない。途中で泊まることにする。
しかし意外なことに、河原は藪や石が多く、良い泊まり場が見つからない。仕方なく、少しはましと思える河原に、笹薮を分けてテントを張った(今回は稜線でもう一泊する予定のため、タープでなくテント。)。焚火を見つめながら夜が深まっていく。谷が深いほど、人の気配から離れているほど、焚火は楽しい気がする。
2018年08月18日 19:56撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
1
8/18 19:56
長いといっても、おそらく足の速い人なら一日で抜けられる伊奈川だが、せっかく長くて大きい沢に来たのだから、急ぎ足で抜けてはもったいない。途中で泊まることにする。
しかし意外なことに、河原は藪や石が多く、良い泊まり場が見つからない。仕方なく、少しはましと思える河原に、笹薮を分けてテントを張った(今回は稜線でもう一泊する予定のため、タープでなくテント。)。焚火を見つめながら夜が深まっていく。谷が深いほど、人の気配から離れているほど、焚火は楽しい気がする。
朝。奥の藪にテント張ってました。
一晩過ごした場所は、どんなに微妙な泊まり場でも、立ち去るときに何となく一礼してしまう。
2018年08月19日 05:30撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 5:30
朝。奥の藪にテント張ってました。
一晩過ごした場所は、どんなに微妙な泊まり場でも、立ち去るときに何となく一礼してしまう。
かなり遡ってきたはずだが、水はまだ滔々と流れている。
正面から朝日が昇ってきた。真東に向かって遡っているのだ。
2018年08月19日 07:12撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 7:12
かなり遡ってきたはずだが、水はまだ滔々と流れている。
正面から朝日が昇ってきた。真東に向かって遡っているのだ。
はるか彼方に山が見える。三ノ沢岳かな?
しかし、まだ遠いな…三ノ沢岳のコルまで詰めないといけないのだが…
2018年08月19日 08:03撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 8:03
はるか彼方に山が見える。三ノ沢岳かな?
しかし、まだ遠いな…三ノ沢岳のコルまで詰めないといけないのだが…
しかし、さすがに水量は減ってきて、次第に見慣れた沢の水量になってくる。
2018年08月19日 12:02撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 12:02
しかし、さすがに水量は減ってきて、次第に見慣れた沢の水量になってくる。
さらに水量が少なくなり、ゴロゴロした白い岩ばかりが目立つようになる。山が近い。そして雲も近づいている。高度が上がってきたのだ。
2018年08月19日 16:02撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 16:02
さらに水量が少なくなり、ゴロゴロした白い岩ばかりが目立つようになる。山が近い。そして雲も近づいている。高度が上がってきたのだ。
周りの山肌が高山特有の背の低い灌木と草原に覆われるようになった。
2018年08月19日 16:35撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 16:35
周りの山肌が高山特有の背の低い灌木と草原に覆われるようになった。
ついに沢が傾斜を増し始める。息が切れるが、釣りやら何やらでゆっくりしすぎて、時間が押しているため歩を早める。すると霧の向こうから大きな水音が近づいてきて…
2018年08月19日 16:59撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 16:59
ついに沢が傾斜を増し始める。息が切れるが、釣りやら何やらでゆっくりしすぎて、時間が押しているため歩を早める。すると霧の向こうから大きな水音が近づいてきて…
たどり続けた平流の果て、初めての滝にして最後の滝、多段50mの滝の一段目が姿を現す。これをクリアすれば今日の目的地、三ノ沢カールにたどり着くはずだ。最後の最後でラスボスを用意してくれているあたり、心憎いはからいである。
2018年08月19日 17:26撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:26
たどり続けた平流の果て、初めての滝にして最後の滝、多段50mの滝の一段目が姿を現す。これをクリアすれば今日の目的地、三ノ沢カールにたどり着くはずだ。最後の最後でラスボスを用意してくれているあたり、心憎いはからいである。
といっても、この滝の登りはそんなに難しくない。フリーで直登可能で、大体3級下くらいだろうか。ずっと50m登攀が続くわけではなく、写真のような緩い部分も挟みながら多段の滝が続く感じなので、心理的な圧迫感も少ない。
今日は高度の高いカールで泊まる予定なので、あまり濡れたくなかったのだが、最後の最後でシャワークライミングさせられてしまった…寒い…。何といっても、ここの高度はもう2,500mくらいあるのだ。
2018年08月19日 17:30撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:30
といっても、この滝の登りはそんなに難しくない。フリーで直登可能で、大体3級下くらいだろうか。ずっと50m登攀が続くわけではなく、写真のような緩い部分も挟みながら多段の滝が続く感じなので、心理的な圧迫感も少ない。
今日は高度の高いカールで泊まる予定なので、あまり濡れたくなかったのだが、最後の最後でシャワークライミングさせられてしまった…寒い…。何といっても、ここの高度はもう2,500mくらいあるのだ。
もうすぐ登りきる。最後の小滝の上には、今までと違う大きな空間が広がっているのがわかる。
2018年08月19日 17:34撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:34
もうすぐ登りきる。最後の小滝の上には、今までと違う大きな空間が広がっているのがわかる。
三ノ沢カールに出た。
2018年08月19日 17:35撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:35
三ノ沢カールに出た。
来し方を振り返る。
改めて、高い山に囲まれた深い谷を辿ってきたことに気づかされる。
2018年08月19日 17:41撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:41
来し方を振り返る。
改めて、高い山に囲まれた深い谷を辿ってきたことに気づかされる。
三ノ沢カールは、草原とハイマツの間を小川のようになった伊奈川源流がゆるやかに流れる別天地。何年か前、三ノ沢岳に登った時に見下ろして、日本庭園のような眺めに心ひかれた場所だった。記憶の中のその場所の、ど真ん中をいま歩いている。不思議な感じだ。
カール底の一角に平らな砂地になった天然のテント場を見つけ、今宵の寝床とする。
2018年08月19日 17:59撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 17:59
三ノ沢カールは、草原とハイマツの間を小川のようになった伊奈川源流がゆるやかに流れる別天地。何年か前、三ノ沢岳に登った時に見下ろして、日本庭園のような眺めに心ひかれた場所だった。記憶の中のその場所の、ど真ん中をいま歩いている。不思議な感じだ。
カール底の一角に平らな砂地になった天然のテント場を見つけ、今宵の寝床とする。
アーベントグリューエンに染まった稜線。
2018年08月19日 18:26撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 18:26
アーベントグリューエンに染まった稜線。
夕焼けとくっきり空に浮かんだ稜線、そして雲海がきれいだった。
いつまでも見ていたかったが、最後の滝の登攀で濡れてしまった体に容赦なく高山の冷たい風が吹きつけて、寒くて仕方がない。ここまで登ってしまうとさすがに焚火ができないのがつらい。早々にテントにもぐりこんだ。
2018年08月19日 18:32撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/19 18:32
夕焼けとくっきり空に浮かんだ稜線、そして雲海がきれいだった。
いつまでも見ていたかったが、最後の滝の登攀で濡れてしまった体に容赦なく高山の冷たい風が吹きつけて、寒くて仕方がない。ここまで登ってしまうとさすがに焚火ができないのがつらい。早々にテントにもぐりこんだ。
朝、霧に包まれたカールを稜線に向かって歩いていく。伊奈川はすでに細い流れになって、ハイマツのなかにくねくねと伸びる散歩道のように見える。
2018年08月20日 05:45撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 5:45
朝、霧に包まれたカールを稜線に向かって歩いていく。伊奈川はすでに細い流れになって、ハイマツのなかにくねくねと伸びる散歩道のように見える。
ついに伊奈川の最後の一滴に別れを告げ、稜線への最後の登り。
2018年08月20日 05:54撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 5:54
ついに伊奈川の最後の一滴に別れを告げ、稜線への最後の登り。
伊奈川よ、さようなら。最後に見た伊奈川は朝霧に包まれていた。
2018年08月20日 05:54撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 5:54
伊奈川よ、さようなら。最後に見た伊奈川は朝霧に包まれていた。
そしてハイマツに突入。なかなか強烈で地面に足がつかない区間もあったが、地形図を見る限りすぐに登山道に出るはず。そう言い聞かせてハイマツを漕ぎ続ける。
2018年08月20日 06:12撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 6:12
そしてハイマツに突入。なかなか強烈で地面に足がつかない区間もあったが、地形図を見る限りすぐに登山道に出るはず。そう言い聞かせてハイマツを漕ぎ続ける。
やっと道に出た!三ノ沢岳と宝剣岳を結ぶ登山道の中間地点よりも少し宝剣岳方面に寄ったあたりだ。
2018年08月20日 06:21撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 6:21
やっと道に出た!三ノ沢岳と宝剣岳を結ぶ登山道の中間地点よりも少し宝剣岳方面に寄ったあたりだ。
ここからはもう下山気分といった感じ。しかし今回は、稜線を北上して木曽駒と将棊頭山を越え、桂小場へ下山するつもりなので、まだまだ先は長い。まず宝剣岳。
2018年08月20日 07:03撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 7:03
ここからはもう下山気分といった感じ。しかし今回は、稜線を北上して木曽駒と将棊頭山を越え、桂小場へ下山するつもりなので、まだまだ先は長い。まず宝剣岳。
千畳敷がちらりと見える。
2018年08月20日 07:06撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 7:06
千畳敷がちらりと見える。
霧に包まれた宝剣岳の岩稜はなかなかの迫力だ。
昔、中央アルプス北部を越百山から木曽駒まで縦走したときに、宝剣岳を初めて通ってめちゃくちゃ怖かったことを思い出した。今通るとそれほどでもない。何だか感慨深い。
2018年08月20日 07:07撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 7:07
霧に包まれた宝剣岳の岩稜はなかなかの迫力だ。
昔、中央アルプス北部を越百山から木曽駒まで縦走したときに、宝剣岳を初めて通ってめちゃくちゃ怖かったことを思い出した。今通るとそれほどでもない。何だか感慨深い。
宝剣岳山頂。大岩の上の「真」の山頂にもちゃんと登頂しておきました。
2018年08月20日 07:14撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 7:14
宝剣岳山頂。大岩の上の「真」の山頂にもちゃんと登頂しておきました。
稜線を北上。木曽駒は何度か登っているのでパスし、まだ行ったことがなかった濃が池(写真)を経由することにする。濃が池は静かな湖面に大きな緑の稜線が鏡のように写り、本当にきれいなところだった。
2018年08月20日 09:24撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 9:24
稜線を北上。木曽駒は何度か登っているのでパスし、まだ行ったことがなかった濃が池(写真)を経由することにする。濃が池は静かな湖面に大きな緑の稜線が鏡のように写り、本当にきれいなところだった。
将棊頭山を通過。
2018年08月20日 10:52撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 10:52
将棊頭山を通過。
美渓のあとに雄大な稜線漫歩もできて、天気も崩れず、ありがたいことだ。
2018年08月20日 10:53撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 10:53
美渓のあとに雄大な稜線漫歩もできて、天気も崩れず、ありがたいことだ。
桂小場に下山。登山道の途中で呼んだタクシーで伊那市駅へ。2晩沢で寝泊まりした体臭(沢臭+汗+焚火臭)は強烈だっただろうな…タクシーの運転手さんごめんなさい。
伊奈川本谷の湿り気が残る文庫本を読んだり、居眠りしたりしながら、電車に揺られて家路についた。よい山旅だった。
2018年08月20日 15:20撮影 by  FinePix XP120 XP121 XP125, FUJIFILM
8/20 15:20
桂小場に下山。登山道の途中で呼んだタクシーで伊那市駅へ。2晩沢で寝泊まりした体臭(沢臭+汗+焚火臭)は強烈だっただろうな…タクシーの運転手さんごめんなさい。
伊奈川本谷の湿り気が残る文庫本を読んだり、居眠りしたりしながら、電車に揺られて家路についた。よい山旅だった。

装備

備考 ・念のため20mロープを持参しましたが、使いませんでした。なくても可と思います。
・沢靴はラバーがおすすめ。岩は花崗岩質でぬめりも少なく、フリクションが良い。(ただ、源頭付近は急に苔が多くなり滑りやすいので注意。)

感想

 何年か前、三ノ沢岳に登った時に、稜線の左手に広がる三ノ沢カールの眺めに心を奪われた。ハイマツと草地がゆるやかに広がる中を、一筋の小川が散歩道のようにくねくね流れていて、牧場か庭園のよう。すぐにでも降りて行って散歩や昼寝ができそうだった。このカールの底を歩けたらどんなに楽しいだろう、と思ったものだった。
 その小川が伊奈川と呼ばれていて、遡ることができることを日本登山体系や数少ないネット上の記録で知った。地形図を広げて、源頭のカールに至るまでの谷の長大さに目を見張った。この谷をたどって、あの日見たカールの中を実際に歩いてみたい、できることならテントで泊まってみたい、と思ったのが今回の山行のきっかけだった。
 実際に遡行してみて、伊奈川本谷は予想通り素晴らしい谷だった。滔々と流れる澄んだ水と輝く白い岩、両岸を包む深い緑の森と青い空、上流ではそこかしこの瀬や淵にイワナが元気に踊り回り、この谷がどこまでも続けばいいのにと思ってしまった。滝登りやきわどいへつりといった登攀的な沢が好きな人には凡流としか映らないと思うが、とにかく長い沢を、風景を眺め、釣りをしながらひたすら遡るような沢旅が好きな人にお勧めしたい谷だ。最後に出てくる大滝の快適な登攀、そして滝を越えると一気に広がる別天地のようなカールというフィナーレも素晴らしい。カールの底で一晩を過ごすという本懐も遂げることができた(ただ、カールから稜線に出るまでのハイマツ漕ぎは短時間だがすさまじい…初めて三ノ沢カールを見たときに「散歩したら気持ちよさそう」と思ったと書いたが、実行に移さなくてよかった。)。
 今回の山行は3日かけたが、伊奈川本谷だけ遡行して千畳敷に下山するだけなら、足の速い人なら1日で抜けられるだろうし、ゆっくり辿っても2日あれば十分だろう。しかし、この谷はたっぷり時間を取ってゆっくり遡ったほうが良いと思う。1日で抜けても、ただ歩いたという記憶しか残らないだろう。
 この沢の注意点としては、意外にあまりよい泊まり場が見つからないこと(河原は笹薮や石が転がった場所が多い)、下部は水量が多く水が非常に冷たいため渡渉注意であることだろうか。また、下部は釣り人が入るらしく、渡渉点を示すかのように時々テープが目に入る(しかしそれもしばらく遡ると消え、完全な自然境に還る。)。今回は釣り人には会わなかった。唯一、中間部で沢を下ってくる3人パーティに一組会っただけだった。確かに、源頭部の大滝さえ処理できれば、下山のバリエーションとしても楽しいかもしれない。
 沢登りというよりは、旅をしてきた。そんな印象が残った山行だった。
 
 

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