危なかった〜!栂海新道:朝日岳〜栂海山荘〜坂田峠まで
- GPS
- 31:34
- 距離
- 29.9km
- 登り
- 2,865m
- 下り
- 2,948m
コースタイム
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 8:52
- 山行
- 11:12
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 12:20
天候 | 1日目:晴れ後くもり、時々雨 2日目:晴れ後くもり、夕方から夜は強い雨 3日目:くもり後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
【往路】 <7月25日> 上越新幹線:東京(10:16)→越後湯沢(11:35) [とき315号] 北越急行ほくほく線:越後湯沢(11:48)→直江津(12:58) 日本海ひすいライン:直江津(14:29)→越中宮崎(16:03) <7月26日> タクシー:民宿岬(5:00)→北又小屋(6:30) 【復路】 <7月28日> タクシー:坂田峠(15:30)→親不知観光ホテル(16:00) <7月29日> 送迎車:親不知観光ホテル→親不知駅 日本海ひすいライン:親不知(9:37)→糸魚川(9:48) 上越新幹線:糸魚川(13:46)→東京(15:52) [はくたか564号] ■コメント ・宿から北又小屋へのタクシーは予め予約が必要。割引情報あり: http://www.asahigoya.net/info/taxi.html また、途中でコンビニ(ファミリーマート朝日道下店)に寄ってもらったが、 運転手さんはあまり寄り道はしたくない感じだった。 ・山中から電話して坂田峠へタクシーに来てもらうことはできた。 (しかし、山中にて電話できるポイントは限られている) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■北又小屋から吹上のコルまでは、道がよく整備されていて危険なところは無い。 ■吹上のコルの先から(つまり栂海新道そのもの)、急に「踏まれていない」っぽい道になる。かなりジメジメした道が多く、防水性の無い靴だとツラいかも。 ■大きな雪渓はアヤメ平手前と、黒岩平かなり手前の2箇所。両方とも思ったより雪が締まっていて、軽アイゼン(4本歯)があった方が降りるのは容易。前者は後半の傾斜が急になるが滑ってもせいぜい数メートル、後者は傾斜は緩いが距離が長いので滑るとちょっとこわそう。 ■水場の様子は以下の通り(詳しくは写真で確認のこと): ・ブナ平:水は豊富 ・黒岩平:正確な水場の位置がわからず、登山道を横切る川っぽいところで給水 ・北俣ノ水場:水は豊富。ここの水は美味い! ・黄蓮ノ水場:水は豊富。沢への降り口が危険 ・白鳥の水場:未調査 ・シキ割:水はやや細いがすぐにコップ一杯の水は飲める ■【注意】黄蓮の水場は道を下って沢に出るところが滑りやすく危険。滑れば、数メートルの滑め滝を滑り落ちることになる。 |
その他周辺情報 | ■越中宮崎駅近辺の海岸が綺麗。通称「ヒスイ海岸」と呼ばれ、探せばヒスイを拾うことができるかも。 ■親不知観光ホテルから海岸まではかなりの距離を下る。もし、完歩していたらさぞ辛い目にあっただろう。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
ポール
|
---|---|
共同装備 |
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
|
感想
■準備
昨年、「還暦になる前までには剱岳に登ろう」ということで無事剱岳には行けたのだが、もう一つ気になるハードな山として「栂海新道」があった。こちらも歳と共に行くのが難しくなりそうな山で(体力的に)、たまたま昨年の秋にNHKで親不知から栂海新道を登る番組を観て、今年はなんとか実現したいとの意を強めていた。
というわけで、前々から「栂海新道」に行ってみたいメンバーと共に山行は実現する運びとなった。ちなみに、昨年剱岳へ同行したSBさんは、無人小屋ではビールが飲めないという理由で不参加となっている。
しかし、今年は週末となると天気が悪くなる日が多く、たまに天気のいい日があっても今度はこっちの用事で山に行けない日が続いた。結局、昨年11月に景信山に登って以来、一度も山に行かない状態で出発日を迎えてしまう。体重は相変わらず100Kgを超えている状態で、特にスポーツクラブ等で運動もしていない。唯一頼りにしているのは、毎日通勤で家から駅まで片道25分かけて歩いて往復していることだけだった。
単独行ではないので、このような準備不足で歩けなくなってはみんなに迷惑をかけてしまう。ちょっとでも体に不調があれば、それを口実に行けないことにしてしまおうかと思ったが、幸か不幸か体重のわりには膝が痛くなったりなどは無く、不安を抱えつつも予定通り実施されることとなった。
■1日目
越中宮崎駅近くの民宿からタクシーで北又小屋へ到着。かなり登って下って1時間半はかかっただろうか。ここへ自転車でやって来る人がいてびっくり。北又小屋で水を汲んで出発だ。このデブデブの体ではたして登れるのだろうか。赤い吊り橋を渡るとすぐにイブリ尾根の急登が始まる。しかし、武甲山のように1合目、2合目、、と登る度に合目標識が出てくるので励みになる。
急坂を3時間ちょい登って5合目のブナ平に到着。ブナの梢が頭上高くにあり気持ちのよいところだ。ここから北東の方向に明瞭な踏み跡があり、水場へと続いている。水は結構残っていたがさらに補給のために水場へ向かう。片道7分くらいで水場に到着。水はわりと豊富で、2リットルくらいのポリタンならすぐにいっぱいになる。
ここからさらに3時間ちょい登ってついに今日の山場、イブリ山(=10合目)に到着。開けてはいるがあんまりピークっぽい感じはなくて道の途中という感じ。残念ながらガスってきてイマイチ景色を見渡すことができない。ここからは木道の道が続くはずなのだが、途中から工事中なのか木道はすべて剥がされていていて、泥でふわふわした道が続く。イブリ山から40分ほど歩くと1875m峰の手前あたりで少し崖っぽくなってきてちょっとした鎖場が出てくる。しかしたいしたことはない。
ここを越えると傾斜が緩んできて、ほどなく高山植物の群生が現われてくる。花の知識が皆無なのがいかにも残念だが、綺麗だったのは確か。所々雪渓も現れてきて水は豊富にあり、群生しやすいのだろうか。ゆっくり進むうちに木道は復活し、夕日ヶ原への登りが続く。
14時に夕日ヶ原に到着。山名表示板が倒れていて本当に夕日ヶ原か判然としない。雨がパラついたり、遠くに青空が垣間見えたりと天気は目まぐるしく変わる。基本的にはガスった天気で景色が見渡せず残念。しかし、ここから先も素晴らしい高山植物地帯が続き、そうこうしているうちに朝日小屋に到着。
朝日小屋の食事の良さについてはいろいろなところで流布されているのでここでは省略するが、残念だったのは生ビールが無いことくらいか(缶ビールならある)。あと、ここの笹寿司は断然おすすめ。酢飯なので水が乏しくても結構食べやすく栂海新道縦走にはうってつけ。8個も買ってしまったので結局翌日まで残ったが腐ることもなく、さらには固くなることもなく美味しくいただけた。
■2日目
朝4時きっかりに出発。今日は昨日のようなガスは無く、星空が拡がっている。天気は期待できそう。一路朝日岳ピークを目指す。途中雪渓を越える箇所もあったがアイゼンを必要とするような危険なところは無かった。1時間半弱で朝日岳ピークに到着。風は無くて静か。だんだん朝日が射し込んできて素晴らしいパノラマだ。
朝日岳ピークから30分ほど下って吹上のコルに到着。ここからがいよいよ本番、栂海新道縦走の開始だ。入口の大岩を越えて進んでいくと、とたんに道は狭くなり草木が生い茂り、さらに地面は泥でぐちゃぐちゃ。あまり人が通らないためなのか、先が思いやられる。
しかし、ほどなく眼前の視界が開け、泥の道は青空の下、池塘地帯を行く木道へと変わった。ここからはルンルン気分で景色を楽しむ。まさにこれが見たいために今回の山行はあったのだが、実現してよかった。吹上のコルから30分ほどで照葉ノ池に着く。池が木々で隠されてしまいがちで景色は今一つ。とは言え、ここからもしばらく気持ちのよい道が続く。
照葉ノ池から1時間ほど歩いたあたり、高度2080mあたり、長栂山から北に延びる尾根から北東へ外れるあたりに第1の雪渓が現われる。事前の情報でアイゼンが要りそうな雪渓は2箇所と聞いていたが、これが最初の雪渓。眼下にアヤメ平を見下ろして景色のよいところなのだが、雪渓越えがちょっと面倒。雪質はザラメの感じだがそんなにグズグズに崩れてはいない。結構滑る。最初はなだらかな傾斜なのだが、最後の高さ5mくらいが結構急になっている。グリセードでササっと行けそうな感じもするが、今は体が重くて、自分の体が信用できないのできちんと4本歯なんちゃってアイゼンを装着してゆっくり下る。
雪渓を下ってからまもなくアヤメの群生地あり。すばらしく綺麗。さらに10分ほど歩くとアヤメ平の看板を発見。アヤメ平から1時間弱で第2の雪渓が現われる。高度1870mくらい。この雪渓は先ほどの雪渓とは異なり、一定の傾斜だが距離は長い。雪質は先ほどと同じ。滑っても止まりそうな傾斜だが、やっぱりこわいので4本歯アイゼンで慎重に降りる。ここから4,50分で黒岩平に到着。
黒岩平には水場があったはずだが、それらしいものは見当たらない。仕方がないので先ほど登山道を横切っていた沢の水を使うことにした。沢と言うか川に近い水量の水だが上には何もないしまあ大丈夫だろうと。そういえばワンゲル時代も沢登りで普通に川の水飲んでたっけ(^^;
この辺りまで来るとショータイムは終了し、かなり疲れを感じてきた。雲が空を覆い始めて景色も暗くなってきたが、陽射しで暑い思いをしなくて済むとも言える。黒岩平から1時間ほどで黒岩山に到着。時刻は正午。天気は明らかに下り坂だ。そして、ガスの随に見える犬ヶ岳は遙か遠くに見える。あの山を越えなければ今日の宿泊地である栂海山荘には着かない。
というわけでみんな無言で縦走歩きを始める。雨も時折ポツポツ降ってくる。道は概ね整備されていて歩きやすいが、所々で切れ落ちているところもあり、一服の清涼剤となる。途中、文子ノ池を通過するが、蛙の卵でも見つかりそうなどんよりした池だ。そして、サワガニ山は地図では好展望とあるが、ガスって何も見えず。
黒岩山から2時間半弱で、犬ヶ岳への登りの開始地点となる鞍部:北俣の水場に到着。すでにド疲れだが水はどうしても必要なので汲みに行く。水場への道は明瞭。距離も意外に近く、片道5分程度。水量は豊富で、ブナ平の水場の倍はあっただろうか。そして、なぜかここの水は美味い。疲れていたからというのもあるかもしれないが、翌日飲んでも美味かったのでそういうことなのだと思う。
水を飲んで少し元気になったところで、本日最後の登りを開始するがかなりの急傾斜だ。かなり登ったところでついに土砂降りになってきた。雨具の装着に手間取りなんだかいろいろびしょ濡れになってしまった。犬ヶ岳ピークも土砂降りの中なんとなく通り過ぎ、16時半近くについに栂海山荘に到着した。まあ、こんな時刻ならば夏山なら雨になるよなぁ。
■3日目
昨日の夕方からずっと雨が降っていたが、今日の夜明けを迎えてもまだポツポツと降っている。それでも、小屋に泊まっていた大勢の登山者は次々と出て行く。と、言いたいところだが、トイレ渋滞も発生していた。ここのトイレは外に2箇所あり、1つは鎖できちんと出入りが制御されているが混んでいる。もう1つは風でヒラヒラしているブルーシート1枚で隔てられたワイルドなトイレだ。後者は使う人が少ないため、男性ならば迷わずこっちを使うべきだろう。
で、我々もなんだかんだ言っても午前5時には栂海山荘を出発する。北側の斜面をガバ下りに下って、黄蓮山を越えて、小屋から2時間ちょいで黄連乗越に到着。ここでテントを張っている人がいたが、水場が近いからかな?今日も長い行程なので黄蓮の水場に水を汲みに行く。水場へは5分くらい。ここも水場への道は明瞭だが、最後の方がちょっと急で手を使って下るところがあるので、水のボトルは背負っていったほうがいいと思う。
あともうちょっとで水場のある少し大きな沢に到達しそうなところで、先行するTさんの声が聞こえてきた「きゃー、滑るー、止まらなーい!」。最後の方は声が段々遠くなっていく感じ。これは大変なことになったと、頭が真っ白になった。急いで、件の沢に出て様子を見ると、沢への降り口がその沢の滑滝(なめたき)の落ち口に近く、Tさんは足を滑らせて滑滝を5メートルほど滑り落ちてしまっていた。しかし、Tさんは滑滝の滝つぼ(というほど水深は無いが)付近で立ち上がっていた。立ち上がることができるということは、不幸中の幸いでダメージは少なそうだ。どうやら、最悪の事態は回避できたらしい。
なんとか声を掛け合うこともできたが、下の様子がよくわからず、どうやら簡単にこちらに戻ってくることができないらしい。ザイルも無い状態で水流の際を登るとか、高巻きとかも難しいしどうしたものかと思っていたら、なんとか登れそうなところがあるとTさんが言う。こっちもしっかりした足場があったので、ある程度身を乗り出して手を伸ばすことができ、Tさんはなんとか登りきることができた。
簡単にダメージ箇所のチェックをしたがとりあえず重大なダメージは無さそうで、歩くのにも支障はないとのこと。とは言え、あれだけの距離を落ちているのでかなり心配もある。みんなで相談の結果、坂田峠で降りるということになった。ちなみに、黄蓮の水場の水量は今までの水場と同程度でそれなりの水量があった。
まずは白鳥小屋を目指すのだが、その途中、下駒ヶ岳を越えて白鳥山に登り返す途中の1117m地点でOさんが携帯の電波が入ることを発見!坂田峠にタクシーを呼ぶことに成功した。Oさん、あなたは偉い。黄蓮乗越から3時間半ほどで白鳥山に到着。白鳥小屋には誰もいなかった。白鳥山からは日本海がよく見える。Tさんの調子もよく、天気もよく、みんなで景色を楽しんだ。
白鳥山からはゆっくり歩いて2時間半弱でシキ割の水場に到着。ここは登山道のすぐわきに水場があり、わざわざ沢を下る必要は無い。水量は今までの水場に比べるとかなり細い。しかし、飲用には問題無いように見えた。
シキ割からは金時坂をガバ下りに下り、20分も経たないうちに、15:17、今日のゴール「坂田峠」に着いた。タクシーが既に待っていてくれたようで、坂田峠から先の景色をカメラに収めてから、親不知観光ホテルへ向かうのであった。坂田峠から親不知まで、いつか歩くことがあるといいな。
■反省点
(1)体力不足
・自分の体力が乏しく、かなり行動時間が長くなってしまった。2日目も早めに着いていれば、土砂降りに遭うこともなかったはず。
・3日目はある意味、坂田峠で終了してよかった。あれだけ疲労した状態で親不知まで行ったらあぶなかったかも。
(2)靴の不調
・実は、2日目から左右の靴の底が剥がれてきて、3日目には半分くらいまでパコパコ言うようになってきていた。このまま親不知まで行ってたら完全に剥がれていたりして。(タコ糸等リペアキットはあったが夕闇が迫っていれば修理も難しいか)
(3)緊急時の対処法
・Tさんが落ちたすぐ後、5分くらい安静にして気持ちを落ち着けてもらったらよかったと思う。今回は運よく岩を登ることができたが、途中で滑り落ちてしまったら、さらなるダメージを受けたかもしれない。
・太さ5mmくらいのザイルでも10mくらいあれば、救出方法の幅は広がったと思う。別に難しい岩を登る予定が無くても、今回のような事態に備えてロープの用意と簡単なロープワークの習得くらいはしておいた方がよかったと思う。
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