紅葉真っ盛りの九重連山へ☆三俣山〜久住山〜星生山
- GPS
- 08:54
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,372m
- 下り
- 1,370m
コースタイム
- 山行
- 7:49
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 8:54
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大曲から硫黄山林道に出るまでは登山道の泥濘が酷い 三俣山への登りも登山道の黒土は非常に滑りやすく、下山は注意を要する |
写真
感想
九州出張のついでに九重を訪れる。これまでにも幾度か訪れている九重ではあるが、家内と長男を伴って訪れた二年前の晩秋の時期は11月の半ばだというのに強烈な寒波に見舞われたのであった。季節外れの霧氷を見ることが出来たのだが、三俣岳、久住山の山頂を含め、登山中の大半のコースはガスの中であった。紅葉に彩られた九重の好展望を見てみたいと家内の願いを叶えるべく、人が相当に多いことが懸念されるものの九重に足を運ぶことにする。
数日前までは晴れの予報であったのが、直前には前日の金曜日から曇りの予報となる。九重の山の上は雨模様だろう。金曜日から入山して法華院温泉に泊まる予定を諦め、前日は九重の温泉に投宿し、山の様子を伺う。
早朝の起き出してみる山の上は雲はかかっておらず、高曇りのようだ。5時過ぎに牧ノ戸峠の駐車場に車を停めて、大曲へと車道を歩く。大曲が近づくにつれ三俣山や星生山のシルエットが綺麗に見え始める。大曲の駐車場に近づいて驚いたのは、まだ5時半過ぎだと云うのに手前から路駐の車の列が始まっている。勿論のこと、既に狭い駐車場は満車であり、大勢の登山者達が出発の準備を整えている。
大曲からの低木帯の中の道は先行する登山者の背中を見ながら進むことになる。おそらく前の晩に降った雨のせいだろう、予想通り泥濘が激しい。火山地方特有の黒土のせいで靴はたちまちのうちに真っ黒となった。靴が汚れるのはいいが、かなり滑りやすい。下山を牧ノ戸峠に選択したはこの泥濘みの道を避けたかったのも理由の一つだ。長者原からの硫黄山林道と合流すると黒土の泥濘から解放され、また道も広くなるので先行者のスピードに合わせることなく先へと進むことが出来る。
諏峨守越が近づくと空の雲がピンク・ローズに染まっている。朝焼けを期待して諏蛾守越まで急ぐが、あともう少しというところで雲の反射する朝焼けの色は瞬く間に消えていくのだった。諏峨守越からはそれまで休憩しておられた数名のパーティーが出発されるところであった。
三俣山西峰の斜面を登り始めるとすぐに久住の山々の好展望が開ける。しかし、西側から雲が湧いたかと思うと、瞬く間に山々の頂きを包み込んでゆくのだった。目の前の三俣山の山頂の方はしばらくは雲を免れていたが、雲に覆われてゆくのは時間の問題だ。西峰のピークに辿り着いた頃には視界は白い闇の中であった。
三俣山の山頂が近づくと再び黒土の泥濘が酷くなり、かなり滑りやすい。山頂直下で雲が切れて、まずは登ってきた西峰が雲の中から姿を現す。山頂へと歩むうちにまずは星生山、次いで久住山、中岳と九重の主だった山々が次々と姿を現す。山頂へと辿り着き、北側を覗き込んで驚いた。北峰の山肌が一面、紅や橙色のなんとも色鮮やかなパッチワークが覆われているではないか。緑色はカルデラの底の草原にわずかに認められるのみだ。
しかし晴れていたのはこの瞬間のみであった。カーテンを引いたかのように瞬く間に再び濃い霧がすべての景色を消し去る。踵を返し、諏峨守越に下りかけると案の定、黒土の泥濘は登りの時よりも遥かに滑りやすく、これで尻餅をつかずに下まで下ることが出来るのだろうかと不安になる。
先程は諏蛾守越で出遭ったパーティーの男性とすれ違うと「もう下るんですか?北峰の大鍋
、小鍋を見にゃ。それが楽しみに皆んなこの三俣山に登っているようなもんじゃけん」と貴重なアドバイスを頂く。これは北峰を訪れるまたとない機会を捉えるべきだろう。幸い本峰からはまだそれほど下ってはいない。再び濃い霧の中を本峰の山頂に向かうことにする。
三俣山の本峰から北峰まではかなりの急峻な下りである。足元も滑りやすいものの捉まるため樹の枝や幹に事欠かないのでさほどの危険は感じない。灌木の中の細い登山道を下るとまもなく北峰との間の鞍部に到着する。
依然として周囲は濃い霧に覆われたままであるが、登山路の周りは一面、紅葉した灯台躑躅が広がるようになる。北峰を過ぎて振り返ると一瞬、あたりの霧が晴れて北峰の斜面の紅葉のパッチワークが姿を現す。
小鍋の縁を周回して南峰への鞍部に至ると大鍋のカルデラの底部と北側の小ピークに向かう細い踏み跡が目に入る。まずは北側の小ピークに出ると大鍋、小鍋を眼下に見下ろす好展望が広がる。しかし、展望が得られたのはこの時のみであった。大鍋の底に下ると周囲を取り巻く紅葉の斜面は深い霧の中であった。
南峰からは西峰へと向かう周回路へと入る。この周回路に入ると途端に人影がない。下からご夫婦と思しき二人が登ってこられたので吃驚したが、南峰から北峰に向かうつもりでこの道を間違って下られたとのことであった。見上げると驚いたことに先程は雲の中であった南峰の山頂はすっかり晴れて、山頂の彼方には青空が広がっている。
やがて眼下には法華院温泉を見下ろすようになる。草紅葉の坊ガツルの向こう側には大船山がすっかり雲が取れて山頂部に至るまで真っ赤に染まった山肌を見せている。車を大曲に駐車していたら躊躇なく大船山に向かったところだろう。
西峰のあたりは数多くの登山者が登っているようだ。昨年の秋にこの九重を訪れた際もこの道から直接、千里ヶ浜に下ったのだが、今回も踏み跡を辿り、ガレ場に出る。ガレ場に出る箇所では斜面の崩落がひどくなっているようだ。ロープでもない限り、ガレ場への着地がかなり難しいだろう。
なんとかガレ場に降り立つと、ガレた斜面をジグザグに下りながら右手の草地を目指す。草地にたどり着くと薄い踏み跡があるので、北千里ヶ浜に無事、たどり着く。登山路に降り立つとベテランらしい雰囲気のご夫婦が話しかけてこられる。以前、ミヤマキリシマツツジの咲く頃にこのガレ地を通るルートを通ったとのこと、その季節はこの周回路には一面にミヤマキリシマツツジが咲いて綺麗であったとのことであった。今日も三俣山を目指すつもりがこの雲なので大船山を目指すとのこと、見上げる先の三俣山の本峰には厚く雲がかかっている。
千里ヶ浜を南下して久住山を目指す。正面の山々にかかっている雲はまもなく晴れて、こちらもみるみるうちに青空が広がってゆく。
久住山別れと呼ばれる久住山と星生山の間の鞍部ににたどり着くとこちらも相当な人だ。久住山の山頂に至るまで行列が続いているといっても過言ではないだろう。スニーカーにカジュアル・ウェアといった軽装のスタイルの若者達がちらほらと見かけるのも、久住山ではよく見かける光景であろう。久住山の山頂は人が多いことは予想はしていたが、実際は予想をはるかに上回る人の数であった。丁度、昼時だったせいだろう、山頂で昼食休憩をとっておられた人の数は百人は下らないだろう。
この過密な山頂に長居をする理由はない。山の東側の斜面を下ると、こちらは全くといってもいいほど人影はない、静かな山の雰囲気となる。神明水に下って、美味しい水を頂きながら、水場でランチ休憩とする。今回は大分まで飛行機で来たのでガス・カートリッジを機内に持ち込むことが出来ず、鳥のタタキとチーズをパンに挟み、残りの鳥のタタキを胡瓜と煮卵と共にマヨネーズで和えたもので簡単なランチである。
稲星山のなだらかな山頂には疎らに人影が見えるが、他の山々に比べると圧倒的に静かな雰囲気がこの山の魅力でもある。当初は稲星山、中岳、天狗ヶ城といった山々を周回するつもりであったのだが、これらの山々を諦めて星生山を経由して牧ノ戸峠へと向かうことにする。というのも星生山の西側の斜面で見事な紅葉を期待してのことである。
まずは東千里ヶ浜の広大な草紅葉を眺めながら御池の脇の避難小屋へと登る。天狗ヶ城の姿と青い空を水面に映す御池の畔を辿って、再び久住別れへと向かう。数人の登山者とすれ違うが、久住山の混雑が嘘のように静かな雰囲気だ。
久住別れに戻ると再び久住山を往復する人の波に紛れることになる。北の方角に目を向けると三俣山からもすっかり雲が取れて、壮大な景色が広がる。
牧ノ戸峠から久住山を登る人のほとんどは星生山の南麓に広がる西千里ヶ浜の平坦な道を歩くので、星生山に登る人は少ない。それでも久住山ほどではないものの、星生山の山頂でもかなりの大勢の人が休憩しているのが目に入る。最初のわずかばかりの急登を登りきってしまうと後は西千里ヶ浜の平原を見下ろしながら、平坦な尾根の岩場を進む。斜面の北側には硫黄山の噴火口が
星生山の山頂から尾根を西に辿るとこちらも灯台躑躅の紅葉のタペストリーが山肌を余すところなく彩っている。二組ほど女性達からなるパーティーを追い越すが、「わぁー!きれ〜い!」という歓声が後ろから繰り返し聞こえてくる。星生山を下り、沓掛山に向かう尾根から振り返ると星生山の西側の斜面はかなり下の方に至るまで広い範囲にわたって色鮮やかな紅葉を見せているのだった。
登山路は時折、多少の泥濘があるものの、大曲からの登山路に比べたら遥かにこちらの方が歩きやすい。登山路の南側には扇ヶ鼻から岩井川岳の山肌のこちらもまた見事な紅葉のタペストリーを見ながらなだらかな尾根筋を辿って沓掛山に至る。
沓掛山から牧ノ戸峠へ下ると駐車場の周りの道路は案の定、路駐の車で溢れかえっている。牧ノ戸峠を出発し大曲に差し掛かるとこちらもかなり遠いところまで路駐の車が延々と続いている。改めて九州における九重連山の人気の高さを思い知る。
九重の夢大吊り橋に立ち寄ってから由布院の街で借りたレンタカーを返却すると、予約していた博多行きのバスの発車時刻にギリギリであった。本来は特急ゆふいんの森号の乗りたかったのだが、数日前にはまだまだ余裕があった筈の座席は二日程前には既に満席であり、博多に向かうにはバス以外の手段がなかったのだ。
どうやら明日は九州地方はどこも快晴のようだ。車窓からは夕方の黄金色の光が広がりつつある空を見ながら、瞬く間に微睡みに入った。
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