【第二次三鎮作戦・その参】安達太良山・鉄山・箕輪山・あだたら渓谷【福島編】
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- GPS
- 07:09
- 距離
- 18.2km
- 登り
- 1,239m
- 下り
- 1,239m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況: スキー場なだけあって、最初の登りはきつい。ゴンドラ駅付近は楽。山頂直下は鎖もあり要注意。鉄山避難小屋-箕輪山間は藪漕ぎルート。 温泉: くろがね温泉(くろがね小屋内湯・400円) |
写真
感想
Q:震災被災者に限らず、困難の中にある人々のために何かする際には、何をもって基本とするのが良いのだろうか?
A:"I'm with them." "We're with them."じゃないかね。
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東北鎮行・第二弾。前年に引き続き、東北・福島の大地の鎮まりたまわんことと、災歿者の御霊の安らかならんことを祈る。特に福島においては、原発の爆発により現在も災害下にある地域があり、また、デマにより偏見と不利益を特に受けていることから寄せる思いも一入強くなる。お荷物に思われるのは誰でも嫌なものだ。
前年は岩手・宮城・福島とも最高峰ということで、福島は会津の燧ケ岳から祈りを捧げた。今年は浜通り又は中通りでと考え、それでも福島には魅力的な山がたくさんあって迷ったのだが、安達太良山に登拝することに決した。
安達太良山へはアプローチしやすいとの情報を得ており、また、中通りの市街地からもそれほど遠くないため、前日は福島市内のホテルに宿泊。福島の地ビールなどあればいただきたかったが、さらっと見て回った限りでは見つけられずエビスで労をねぎらう。初日バス内、二日目車中泊ときていたので、あまりの快適さにすぐに寝入り、十分な睡眠をとることができた。
8時頃に福島市街を出て安達太良へ。道も広めで走りやすい。
奥岳駐車場に着いて外に出ると焼け付くような日照りである。これは早めに切り上げた方が良いかもしれないと思う。その激烈な日差しの下、何も遮るものの無い道を歩き、早速汗が噴出する。しかし、間もなく茂みの中の道となり、暑さが若干和らいだ。雲が若干多く、太陽を遮ってくれることでへばることなく薬師岳・安達太良エクスプレス山頂駅に到達する。
水分を現地調達できる場合は、手持ちを温存して現地で得られるものをゲットするのが私のやり方である。駅構内か駅併設施設に何か飲み食いできるものがあるだろうと期待して脚を伸ばす。まず、駅併設のカフェに入ってみると、カフェとは名ばかりで空間があるのみ。単なる無料休憩所だった。では駅構内は…。お、自動販売機がある。ここで一杯。と、そこで係員から「故障中です」と言われる。よく見ると「故障中」の貼紙。ぬおお。失意の中、外に出た脇にあったのが「あだたらの名水(飲用可)」である。これはこれはありがたい。早速いただこう。汗で流れた分を取り返す勢いでしこたま水を飲み、元気も回復した。暑さも和らいでいるし、どこまでもぐんぐんいけそうな気がする。
山頂駅付近は道が整備されているのでペースにも拍車がかかる。その後、ガレた道に変わるが、整備された道路の余勢を駆っていけばそれほど難は無い。山頂付近は人が多く、この山の人気とアプローチのしやすさがうかがい知れる。
天空の城ラピュタの如くポッコリと膨らんだ山頂部によじ登り、今回の主目的である地鎮と鎮魂の祈りを捧げる。雲は多いが、今我が頭上には日が射している。同様に福島の大地にも光がもたらされますように。東北・福島の大地の弥栄と災歿者の靖魂を祈る。
主たる目的は達した。今度は火口部の様子を見て回ろうと鉄山へ至る稜線を歩く。安達太良山への道とは打って変わって黄土色の荒涼たる道だ。しかしそれが良い。中通り方面は雲が多くてよく見えないが、西側は火口部をはじめ、火口部の先にある船明神山、湖沼等がよく見通せる。
鉄山避難小屋まで到達して、さらに先まで足を伸ばすか考える。心配なのは雷雨である。こんなに雲が出張ってきているので、来るかもしれない。逃げ場は避難小屋くらいか。稜線を下り始める予定時刻から割り出して箕輪山往復は可能と判断し、最後のもう一歩。しかし、箕輪山までの道はそれまでとは違い難路である。火口から離れ植物がまた生えてくるのだが、草木が伸びて歩きにくい。その足下もよく見えない中を一旦下ってまた登るのだ。所々、数十センチの段差がある。気をつけないと尻餅コースだ。笹平の分岐にある標柱を見ると、僧悟台へ続く道など、どうも植生保護のため下草刈りなどしていないようだ。今後、通る人も少なくなり廃道に近い状態になることだろう。今でも十分少ないようだが。
最終到達点箕輪山。雲は多いが西側に展望を得ることができた。雲が多いと言っても雲と晴れ間が交互に訪れるまだら状態の空。トレースがあったので潅木帯に踏み入ってみるが、二進も三進も行かなくなって撤退。
最後に安達太良の最高峰から「東北の大地、弥栄!」と三唱して下山する。
当初は上空を通る航空機の爆音をすわ雷鳴かと思ったり、稜線を乱舞するトンボの羽音に雨が降り出したか?と戦々恐々だったりしたが、これは稜線下るまでは大丈夫だなと安心してくる。雨に降られた場合は締めの楽しみであるくろがね温泉をどうしようかと思っていたが、稜線を下りる頃には下山まで雨は無いと確信。岩がゴロゴロした道を下り、くろがね小屋内の温泉でゆったり疲れを癒す。
さっぱりして外に出ると、雲は消え、再び峰がさやかに見える。風の通る心地よい道を、湧き水を口にしつつ下る。雲で覆われて見えにくかった緑の大地も今では陽光に照らされて輝いていた。日本の復興もかくあれと祈るばかりである。
かくして、3日間にわたる東北鎮行は無事完了しただけでなく、いずれの峰においても太陽が輝くという、真にありがたく、さやけき成果を得られた。
私の前年及び今回の一歩は小さな歩みに過ぎないが、マザーテレサの言う如く、小さなことを大きな愛でやりたいという、その一心であった。
愛だけで飯は食えないが、集団移転問題等を考えると、「白い猫でも黒い猫でも鼠を獲るのが良い猫だ」とは言い切れないだろう。
私が望むのは彼らが望むこと。彼らが国を愛するように、国にも彼らを愛してほしい。ただそれだけだ。
〜 完 〜
今回のテーマ曲
「私にできること」KOKIA
「いつも何度でも」ナターシャ・グジー(作曲は木村弓)
思ひみる 人のはるけさ
海の波 高く上がりて
たゝなはる 山もそゝれり
かそけくも なりにしかなや
海山の はたてに浄く
天つ虹 橋立ちわたる
(折口信夫作詞・信時潔作曲「鎮魂頌」より)
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