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Yamareco

記録ID: 220833
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ハイキング
甲信越

木曽御嶽山

2012年08月27日(月) [日帰り]
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GPS
05:20
距離
6.9km
登り
877m
下り
863m

コースタイム

JR木曽福島駅(08時40分発) − 田の原(10時00分着10時10分発) − ▲王滝山頂(12時10分) − ▲剣ヶ峰山頂(12時50分着13時00分発) −(途中15分昼食)− ▲王滝山頂(13時45分 − 田の原(15時20分着15時45分発) − JR木曽福島駅(17時00分着)
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2012年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
JR東海中央西線 木曽福島駅
おんたけ交通 田の原
コース状況/
危険箇所等
木曽福島−田の原間のバス料金は往復で、2,500円です。
現状のバスの運行時間(田の原10時00分着/15時45分発)だと、
日帰り登山は不可能ではありませんが、ゆっくりできないので、山小屋泊まりがオススメです。もしくは、タクシーで早めに田の原に到着したほうが良いでしょう。
なお、八合目と九合目に小さな無人小屋があり、風と雨よけとしてビバークに利用できます。

感想

木曽の御嶽山には、過去何度も日帰りで登山していたので、今回も日帰りの登山を計画した。ただ、以前よりは大分歩く速度が遅くなっているので、地図のコースタイム通りの予定を立てる。コースも一番楽な田の原コースを選ぶ。山頂まで登りが3時間、下りが2時間である。バスの時間を見ると、残りの45分で昼食が取れそうだ。

10時00分にバスで田の原に到着する。バスに乗っていたのは私を含めても10人に満たない。この時間に到着するバスしかないので、仕方ないのだが、登り始めるには何だか遅い時間のような気がする。自家用車で来ている登山者も何組かが登り始める。

最初は砂利道が延々と続く。少しでも急ごうとすると、すぐに砂利石が後ろに跳ね上がってしまい、滑ってしまう。滑るということは、前へ進むエネルギーが効果的に使われていないということである。これは、エネルギーの無駄使いだ。だから、一歩一歩踏みしめる場所を考えながら、ゆっくりと歩き続ける。そんな歩き方をしているので、当然最後尾だ。他の登山客はみんな、もうはるか前方を歩いている。

ようやく、普通の登山道になる。木々が生い茂っているので、風通しが悪い。登り坂が始まったわけだが、すぐに汗が吹き出す。ここで、はじめて準備不足であることに気づいた。水と麦茶は持ってきている。ただし、昼食以外の行動食、例えばキャンディのたぐいはまったく持ってきていなかった。しかも、朝はカップ麺しか食べていない。すでにお腹が空きはじめている。

とりあえず、ゆっくり登り続ける。この樹林帯で休憩している他のパーティーを何組も抜き去る。終始、ゆっくり登っているのだが、もう休憩をとっているパーティは、砂利道と風のない登山道で完全にバテてしまったようだ。

休憩している、とあるパーティの横を私が通り過ぎようとすると、そのパーティのリーダがいきなり出発の指示を出した。通り過ぎようとしている私の存在に気づかないということがあるのだろうか?普通は、私が通り過ぎるのを待つはずだ。これは、少し非常識な出発指示だ。

他のメンバーたちはさすがに私の存在に気づいているので、どんどん道を譲ってくれる。だから、必然的に私の位置は、先頭を歩き始めているリーダのすぐ後ろのポジションにおさまってしまった。

通常、パーティーは、2番目の位置にパーティーの中で一番体力のないメンバーを置く。先頭はリーダもしくはサブリーダが努め、2番目についてくるメンバーの力量に合わせて、パーティーの速度を加減する。私が2番目の位置にいて、しっかりとついていくので、リーダはどんどんペースを上げていく。私自身は抜き去る体力がないので、声をかけて「道を譲ってください!」と頼むこともできない。ただついていくだけだ。

何かの心霊現象の類なのだろうか?このリーダさんは、いったいどこで私の存在に気づくのだろうか?周囲にはすでにリーダさんと私の2人しかいない。それすらも気づいていないのか?残りのメンバーは、もうはるか後方である。姿も見えなくなっている。何度か、会社のお土産のことらしいことを質問してくれているようだが、意味が分からないので、私は黙ってもくもくと登り続けていた。一応ゆっくりのぺースである。逆に私のペースに合わせて、よそのリーダが私を先導してくれているようなものだ。これは随分助かる。

前方に下山客が現れた。そろそろ前を歩くリーダさんに種明かしをする頃合だろう。

下山客、「こんにちわ!」
リーダさん、「こんにちわ!」
そして私、「こんにちわ!」

さすがに、私の挨拶の声で、前を行くリーダが振り返ってくれた。まさに、驚愕の表情!あわてて、私に道を譲り、遥か後方にいるであろうメンバーを探すために、額に手を当てていた。

それにしても、お腹が減った。もうエネルギーが残っていないという感じ。ゆっくりなら足を前に出すことができる。少しでも急ごうとすると、足に乳酸がいっぱい詰まったような感じになり、心臓も早鐘のように打ち、汗もどっと吹き出す。急ぐ必要はないのだが、どうにも帰りのバスの時間が気になってしまう。

「だめだ!だめだ!」

何度も自分にダメ出しをする。体にエネルギーがなくなっても、ゆっくりなら歩き続けることができる。一歩々々に集中する。お金もあるし、明日も休日なので、時間はたっぷりある。しかしながら、定期入れにはさんである当日限りの帰りのバスの切符が、どうにも惜しく感じてしまう。

「ゆっくり!ゆっくり!」

「焦らないことが肝心だ。ゆっくり、歩き続けることが、ベストのコースタイムにつながる。ジャストちょうどにバスの発車時間に下山できる!」と自分に言い聞かせながら、歩を進める。

いつしか、尾根道となり、快適な登山道が続く。ゆっくり登り続ける。途中、水を飲むために休憩するが、普段のように「ゴクゴク」では済まない。とにかく暑いので、「ガブガブガブガブガブ!」と勢い良く麦茶を飲んでしまう。空になった麦茶の水筒に0.5リットルほど、水を移し替える。麦茶のパックが残っているので、多少の色と味は出るだろう。行動食のたぐいは一切ないので、麦茶だけで我慢する。

王滝の山頂を、地図のコースタイムよりもやや早いペースで通過。休憩の回数と時間が極端に少ないからだ。でも、コースタイムには、休憩時間はまったく含まれていないはず。数歩先を常に見据えて、最適なコース取りをしているからかもしれない。エネルギーが少しでも無駄になるような歩き方は一切しない。でも、剣が峰への最後の登りが超辛い。あと少しなので、チョコチョコっと、一気に登ってしまいたいのだが、体がまったく言うことを聞かない。一歩一歩ゆっくり時間をかけて登る。最後の山頂への石段も完全にゆっくりなペースでしか登れなかった。

そして、ようやく御嶽山の最高峰である剣が峰に到着。しばし、休憩。隣の乗鞍岳や向かいの中央アルプスは雲に隠れてよく見えない。でも御嶽山自身の山頂部の眺めは絶景だ。もう少し、山頂の眺めに浸っていたかったが、これは昼食のラーメンを作っている時間はないようだ。

山頂は神社となっているので、食事は遠慮した。食事場所を探すためにすぐに下山をはじめる。王滝山頂への中間地点で、フランスパンとチーズを食べ始める。パンといっても、こぶし大の大きさしかない。とりあえずは、これで多少のエネルギー補給はできたはずだ。

膝を傷めないようにゆっくりと下り始める。またしても、帰りのバスの時間が気になり始める。登りよりは、下りの方が少しは速度が出るので、「123…」と10までカウントしながら、リズムをとりながら軽快に下り続ける。でも、この方法だと簡単に息があがってしまう。それに足もすぐに棒のようになってしまう。やはり、一歩一歩丹念に下ることにする。

「どんだけ、登ってきたんだ?」と感じるくらい、下りがものすごく長く感じる。八合目の小さな避難小屋を過ぎたあたりで、残り時間も大丈夫だと確信し、ようやく心の焦りを吹っ切る。一歩一歩、ゆっくりと下降を続ける。

結局のところ、登りもそうなのだが、焦らない方が早く楽に下降できるということを、改めて再認識する。

ようやく出発点に到着。バスの発車までまだ25分もある。水も、まだ1.5リットル残っているが、まずは、自販機のアクエリアスで喉を潤した。

たかが、数グラムのバスの切符が、超重たく感じた山行であった。

以上

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