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Yamareco

記録ID: 221725
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ハイキング
奥武蔵

谷津川林道から 熊倉山へ

1965年04月07日 [日帰り]
 - 拍手
GPS
07:09
距離
10.3km
登り
1,250m
下り
1,268m

コースタイム

日帰り
山行
0:00
休憩
0:00
合計
0:00
3:26
0
スタート地点
3:26
ゴール地点
◎[往路] 白久駅(9:13) → 鹿ノ湯分岐(9:32) → 大肌尾根分岐(9:36=9:42) → 炭焼き小屋(9:54)
→ 高畑(10:21) → 地獄谷(10:30=10:46) → 営林署小屋(10:58) → 山門の広場(12:04)
→ 熊倉山(12:10)

◎ [復路]熊倉山(13:45) → 笹平(14:20) → 造林小屋(14:59) → 寺沢出合(15:08=15:22)
→ 武州日野駅(16:22)

            −−− ☆★ 所要時間:7時間09分 ★☆ −−−
天候 快晴
アクセス
利用交通機関:
電車
◎ 大宮駅(6:28) − 熊谷駅(7:14=7:38) − 白久駅(9:09)
◎ 武州日野駅16:30) − 熊谷駅(17:55=18:10) − 大宮駅(18:56)
コース状況/
危険箇所等
◎ 今から47年前の記録です。ほとんど "日記" ですが、当時の記録から、
ほぼ"原文"のまま 載せます。

 空は、素晴らしく晴れ上がっていた。今日の山行きは、初めての
"単独行" である。
 すっきりした空は、心の中の不安を吹き飛ばしてくれた。
 「大宮」からの高崎線は、とても空いていた。

 足を前に伸ばして、西に見える山々に見入る。
 山行きで、朝に「高崎線」を利用するのは初めてだ。山々が西に、
はっきりと迫ってきた。
 区別できる山は「両神山」くらいで、武甲山は、見える方向がいつもと
違うので、何処にあるか見えない。

 「熊谷」に着く。少し待ってから、三峰口行きは出発した。
 浦和あたりの電車と違って、のんびりと走っている。
 脇には、国道が並んで走り、そしてその向こうには、荒川が大きな
蛇行を見せている。

 山々が近づいてきた。「寄居」を過ぎる。
 鉄道・道路・川が一帯となって、くねくねと山あいを進む。
 そして、晴れ上がった空の南に、「武甲山」の雄姿が見えてきて、たちまち
目の前に 大きく拡がってきた。

 その大きさ、威容は、素晴らしい。朝のしかも、こんなはっきりとした
「武甲山」は、初めてだ。
 武甲山西側の"石灰採掘場"は、露骨に岩肌が出ている。
 掘った跡が、不気味にえぐれている。その「武甲山」も、やがて後ろになった。

 電車内の客は、「三峰口」が近づくにつれて 非常に少なくなってきた。
 おれはさっきから、左側の山々ばかりを見つめていた。
「熊倉山」を捜しているのだ。
 やがて、かなりの"雪筋"を持った山なみが見えてきた。
 「白久」がすぐなので、これは「熊倉山」に違いない。
 「白久」に降り立つ。登山者は、わずかに自分一人だった。
 駅前には、店が幾つか並んでいた。

 靴の紐を締め直して、目の前の「熊倉山」を目指し、スタート。
 左側は、谷津川が心地よい響きを立てて流れている。暖かい日差しを浴びて、
山は光っていた。
 山を遮るものは、何も無い。熊倉バンガローを右に見て、
「鹿ノ湯分岐」に来る。
 流れも二つに分かれていて、指導標に従って、右折する。坦々とした道から、
急に山道になった。

 まもなく、「七ツ滝コース」と「谷津川林道コース」の 二つに分かれた。
 どっちを進もうか?ちょっと考えたが、一人でもあり、林道コースに入った。
 これから、多分ずっと一人に違いない。少なくとも、白久からの入山者は
一人と思う。
 不安 無きにしもあらず。とにかく木々の中を進む。

 上の方に、小屋が見えてきた。炭焼き小屋だ。小屋前を通過。
 ここから少し上に人がいた。炭焼きの人らしかった。人に逢えて
ホッとした。
 ちょっと道を間違えたが、すぐ判った。

 通ってきた下の方を見ながら、また元気に歩き出す。
 素晴らしい天気は、山に来ても変わらない。
 天気が良すぎて、廻りの景色を見るのを遮る 霞さえない。
 
 一人なので、廻りが開けたところはともかくとして、木々で暗くなっている
ところは、思わず廻りを見渡す。
 ここみたいな静かな山では、熊がいないとも限らない と思うと、
思わずビクビクする。

 何か物音がすると、ドキッとする。
 突然目の前を 凄い声をあげながら、何か細長い動物が 登山道を横切った。
 そういうことを考えながら歩いていただけに、思わず立ち止まってしまった。
 何の動物か判らないが、全くドキッとさせる。

 今度は上の方で、ガサガサっとかなり大きい音がした。
 まさかとは思いながらも、熊かと思って止まって耳を澄ました。
 何とここからは、人間の声がした。よかった。
 人影を見ることができなかったが、木こりだ。人が居て、元気が出た。

 武甲山が、見えてきた。秩父市も、白く光っている。
 10時30分、「地獄谷出合」に着く。
 ここで初めて、雪が出てきた。道には、ずっと雪が着いていた。
 こんなに、雪があるとは思っていなかった。凍っていて、中々滑る。

 営林署小屋を過ぎる。人は居なかった。
 空に雲は無い。歩いているので、セーター二枚に、チョッキ、ジャンパーは
とても暑い。
 熊倉山頂から北東に延びる尾根が、だいぶ白くなって目の前に迫ってきた。
 4月とはいえ、この尾根には多くの雪が見える。
 登山道の雪は、だんだん多くなってきた。
 途中、秩父市方面の景色には、足を止められた。

 向こう側の尾根が、すぐ横に間近に迫ってきた。
 尾根が低くなってきた。雪がとぎれず 長く続く道は、滑ってかなり時間が
掛かった。
 「山門の広場」を過ぎると、雪はほとんど無くなった。ここから、山頂は
すぐだった。
 12時10分、熊倉山頂に立った。ここにも、人の姿は無かった。
 秩父市、武甲山方面の展望は、木に邪魔をされ見えなかったが、反対側の
三峯−雲取山コースの展望は すこぶる良い。
 ケーブル山頂駅から「白岩山」までのコースが、すべて見える。

 「白岩山」は、まだ真っ白だ。太陽が頭の上にあって、ジリジリと暑い。
 一人で山頂を占領するなんて、気持ちがいい。
 山頂は狭く、立派な指導標が建っていなかったら、単なる道ぐらいにしか
見えない。
 握り飯3個を食ったら、もう1個は どうしても入らない。
 ケーブル口の向こう側に、煙が見えていた。(これが小さい山火事であると
いうことは、後になってわかった)

 全く素晴らしい天気に恵まれたものだ。
 地図と雲取山コースを比べて見たりしていたが、一人で話すこともないし、
まだ 出発するのには早すぎるし、新聞紙を敷いて 暫く寝た。

 太陽がジリジリと顔を照らす。暑かったが、楽しい時間であった。
 全く静かだった。それでもどこからか 伐採する機械の音が聞こえる。
 それでも、山の静けさに変わりはなかった。これこそ、俺が望んだ
静かさに違いない。

 13:45,長い休憩の後 山頂を出発した。
 「笹平」で 目の前が大きく開けて、秩父方面のすべてが見渡せた。
 少し下って行くと、前方から人声が聞こえた。二人の女性でした。
 この山で初めて登山者に会った。向こうの人も、初めて会ったらしい。
 いろいろ話をしたが、まだ雪があるという。「とにかく気をつけて」と
言って別れた。

 途中かなりの長さで雪が続いた。固まっているので、慎重に下った。
 ずっと下に「造林小屋」らしきものが見えた。
 この「造林小屋」を目指し、雪が無くなって歩きいい道をどんどん下った。
 小屋を過ぎて、寺沢と出会う。「武州日野駅」まであと1時間だ。
 沢の右へ行ったり、左へ行ったり、楽しい道だった。

 途中から道は、広くなった。それと共に、沢から遠ざかった。
 周りの山も、低くなってきた。さあ、もうすぐだ。寺沢の家々を通る。
 「酉谷山」の方へ行く道に出た。「天目山」まで3時間55分と
指導標に書いてあった。
 このあたりの「県境尾根」は、是非行きたいと思っている。

 16:22,「武州日野駅」に着いた。ちょうどよく、16:30に電車が出発した。
 「熊倉山」を一人で登ったという "満足感"で 一杯だった。
 脇に座っていた 高校の教員らしい人が、いろいろ話しかけてきた。
 山の話は、尽きなかった。
 この先生は、武甲山の壁に大分挑んでいるらしい。
 目前に近づいた「武甲山」を見ながらの話は、立体的で面白い。
この先生は、お花畑駅で降りた。

 熊谷駅から、高崎線へ。反対側の椅子に座った40歳ぐらいの人が、いろいろ
話をしてきた。
 この人は、昨日「和名倉山」の下の 大洞川に入って、「雲取山」へ
行ったという。
 そして、惣小屋へ泊まったらしい。
 若いときから山が好きだったらしく、地図には、沢山のコースが、
赤で塗られていた。
 さっきの秩父鉄道で話した人と同様、山の話には終わりが無い。
 これがまた、楽しいものだ。
 この 人間を40年以上もやってきた人は、「一人で山へはいくな」と
言った。
 確かに、一人では 危険なことが多い。
 この人は、家に帰れば 子供を持つ いい親父さんである。叔父さんは、
大宮の少し前で下車した。
 
 今日は晴天にも恵まれ、山の話も聞けて、楽しい山行きでした。
素晴らしい晴天の下、
目指すは「熊倉山」
2012年09月19日 16:23撮影 by  MP480 series, Canon
4
9/19 16:23
素晴らしい晴天の下、
目指すは「熊倉山」
「鹿の湯分岐」から
少し入ったところ
2012年09月19日 16:26撮影 by  MP480 series, Canon
4
9/19 16:26
「鹿の湯分岐」から
少し入ったところ
地獄谷出合にて
2012年09月19日 16:25撮影 by  MP480 series, Canon
2
9/19 16:25
地獄谷出合にて
地獄谷付近を見る
ここから、雪道が続く
2012年09月19日 16:28撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 16:28
地獄谷付近を見る
ここから、雪道が続く
2012年09月19日 16:31撮影 by  MP480 series, Canon
1
9/19 16:31
営林署小屋
2012年09月19日 16:33撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 16:33
営林署小屋
まだ雪の多い
山頂からの
尾根を見る
2012年09月19日 16:36撮影 by  MP480 series, Canon
9/19 16:36
まだ雪の多い
山頂からの
尾根を見る
2012年09月19日 16:37撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 16:37
2012年09月19日 16:38撮影 by  MP480 series, Canon
1
9/19 16:38
山頂近づく!!
多くの雪が白く光る
2012年09月19日 16:40撮影 by  MP480 series, Canon
1
9/19 16:40
山頂近づく!!
多くの雪が白く光る
雪多し!!
2012年09月19日 16:41撮影 by  MP480 series, Canon
1
9/19 16:41
雪多し!!
梯子橋
2012年09月19日 16:42撮影 by  MP480 series, Canon
2
9/19 16:42
梯子橋
真っ白な雪が目にしみる
2012年09月19日 16:44撮影 by  MP480 series, Canon
1
9/19 16:44
真っ白な雪が目にしみる
熊倉山山頂にて
2012年09月19日 17:05撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 17:05
熊倉山山頂にて
熊倉山山頂の
立派な道標
1,426.5m
2012年09月19日 17:04撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 17:04
熊倉山山頂の
立派な道標
1,426.5m
熊倉山山頂を見る
2012年09月19日 17:17撮影 by  MP480 series, Canon
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9/19 17:17
熊倉山山頂を見る
熊倉山山頂北側の
指導標
2012年09月19日 17:09撮影 by  MP480 series, Canon
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熊倉山山頂北側の
指導標
熊倉山山頂より
白岩山〜霧藻ヶ峰を見る
2012年09月19日 17:07撮影 by  MP480 series, Canon
7
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熊倉山山頂より
白岩山〜霧藻ヶ峰を見る
撮影機器:

感想

◎ 1964/08/16と、1965/02/28の サイクリングによる「正丸峠」越えは
別として、純粋な 山登りとしては、19回目にして 初めての "単独行" でした。

◎ 高校3年生直前の 春休みでした。

◎ 交通費は、以下のようでした。
 [行き]・浦和 − 白久 250円  [帰り]・武州日野 − 浦和 240円

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