去りゆく冬を追って皆子山から雪解けの湿原へ
- GPS
- 05:29
- 距離
- 10.8km
- 登り
- 624m
- 下り
- 624m
コースタイム
- 山行
- 5:07
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 5:29
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一般登山道なし |
写真
感想
今週の日曜日に京都の北山に降った雪は週半ばの気温の上昇と雨でかなり融雪してしまったことが予想される。それでも僅かに残る雪を期待して山行先は峰床山か皆子山を考える。
大見の集落はすでに廃村となっている筈ではあるが除雪されており、問題なくたどり着くことが出来る。しかし、ここから先は道路には雪が少なからず残っており、車で通行するのは難しそうだ。必然的に峰床山を諦めて皆子山に向かうことになる。周囲の山の斜面にばほとんど雪は見当たらないが、山頂部には雪が残っていることを期待してリュックにスノーシューを括り付けて出発する。
まずは辿ってきた車道を戻り、松谷の林道へと入る。林道で一息に谷奥の出合までたどり着くと後は尾根を僅かに登るだけで西尾根に到着できるので、この林道は間違いなく西尾根にたどり着くための最短ルートを提供してくれる。谷奥から始まる数本の尾根はどれを登っても西尾根にたどり着くことが出来るが、真ん中の谷を進む。谷の左手には小さな滝が見えるので、立ち寄ってみる。
谷の奥から始まる尾根に取り付きには馬酔木が密生している。一見、取り付く島もないような馬酔木の濃密な藪ではあるが、馬酔木の間に鹿による微かな踏み跡がある。鹿道を追って尾根を上がるにつれて、やがて馬酔木の間の間隔が広がり、尾根の上部では林床には下生のほとんどない自然林の尾根となる。稜線にたどり着くと西尾根の南に広がるなだらかな源頭が視界に飛び込んでくる。
西尾根の左右の谷の源頭部には雪があることを期待してスノーシューを担ぎ上げてきたのだが、源頭には既に地面が露出している箇所も多い。源頭に降りてみると残念ながらスノーシューを必要とするほどの積雪ではない。
この日は晴れの予報ではあったが一向に晴空が広がる気配はなく、空には限りなく雲が広がっている。源頭の先には見える琵琶湖は空を反映して鼠色の水を湛えている。源頭を渡って隣の尾根に移る。ここから西尾根に戻る必要があるのだが、尾根上にはワカンのトレースの跡がある。ワカンの主はこの尾根の先で折り返されたようだ。数日前にここを歩かれたWTさんのものに思われる。
西尾根に乗りp926にたどり着くと東側から先導する一人の男性と七〜八名の女性達からなるパーティーがやって来る。「雪があることを期待してスノーシューを担いで来たのですが、その出番がなさそうです」と云うと、パーティーの皆さんもリュックの背中を見せて下さる。皆さんもスノーシューかワカンのいずれかをリュックに括り付けておられるのだった。
その後も尾根周辺の源頭を逍遥しながら皆子山の山頂にたどり着く。山頂の北東には武奈ヶ岳を綺麗に望むが、蓬莱山は雲の中のようだ。すぐ北側には峰床山の右手には経ヶ岳、そのさらに右手には特徴的な山容の百里ヶ岳を望む。山頂には一組の男女がランチ休憩をされておられた。
山頂を辞すと帰路はまっすぐ西尾根を辿る。なだらかに自然林が続く尾根と源頭の風景はいつ来ても魅力的なところだ。西尾根の端に近づくと先ほどのパーティーが折り返して来られる。
西尾根の端からは自然林の尾根を緩やかに辿ってp897に向かう。ピークの東側からは落葉のおかげで皆子山を正面に望むことが出来る。その肩には先ほどまで雲の中に隠れていた蓬莱山の山頂部もすっかり雲のヴェールを脱いでいる。
p897から尾根を北に辿ると途端に尾根上には雪が現れる。雪の尾根に踏み込むと雲の間から太陽が雪の上に樹々の淡い影を投射する。ふと気がつくと武奈ヶ岳の左肩にひときわ白く輝く山が遠くに見えている。白山だ。この尾根は何度か歩いてはいるが、白山が見えたのは初めてだ。
尾根からは北西に分岐する支尾根を辿って尾越の集落に出る。今回の山行では皆子山の他に雪が残っていることを期待しているところがもう一つ、正確には二箇所あったのだった。尾越と大見の集落の西側に広がる湿原である。尾越の湿原には期待通り、雪で覆われている。この湿原の中を自由に闊歩することが出来るのも雪があってのことだ。湿原とはいえ、雪で覆われている限りは単なる雪原でしかないのだが。
湿原も雪解けが進み、露出した湿原の地面と雪が複雑な模様を描いている。雪の上を渡りながら広い谷の奥へと進んでゆく。チセロ峠から南に続く尾根に乗ると一筋の薄い踏み跡が尾根上に現れた。踏み跡を辿って複雑な蛇行を繰り返す尾根を辿る。
猿橋峠からは谷を下ると大見湿原に奥に下る。この大見湿原は昨年の1月に出張先での早朝のランニングで左足の膝蓋骨を骨折し、そのリハビリのための最初の山行先に訪れたのだった。その時はわずかに1mほどの段差を登ったり下ったりするのにも苦労したのだった。丁度一年前のほぼじ時期であるが、その時とは雪の量が全く違う。
いつしか空には青空が広がり、午後の傾いた太陽が雪の上に浅葱色の影を落とす。いつもは湿原の北側を歩くことが多いのだが、この日は南側を歩いてみる。湿原の雪も今週末の雨で一気になくなってしまいそうだ。
どこからともなく山スキーの跡が現れる。スキーの跡を追って湿原の東側に至ると、湿原の東側を流れる川を徒渉する場所を探すのに苦労する。川のほとりを歩くうちに思子淵神社にたどり着く。神社と云っても小さな祠があるばかりだが、その前で川にかかる橋を渡ることが出来る。最後は林道を歩いて大見集落に戻る。
あまりにも早く冬が過ぎて行ってしまうことに惜別を感じながらも、もう一度、雪の湿原の上を歩くことが出来ることに大きな悦びを感じる日であった。
昨年の初夏のレコです
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1899086.html
コメント
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yamaneko0922さん、こんばんは。
私が行った8日の源頭は傾斜地だと腰上までくる積雪の場所もありましたが
見事に雪がなくなっていますね
そんな中、私のミスって折り返したトレースがまだ残っているなんて
なんだか笑えますw
それにしても、展望が見えると、こうも風景が変わるとは驚きです
やはり、空が青くて、光があり、木の影があったりすると
立体感が増してよい雰囲気ですね!
私の時は一人も登山者と会いませんでしたが、意外と沢山の方が
登られているのですね。
woodtableさん コメント有難うございます。
陽光がさしてきたのは山行の終盤、大見湿原だったのですが、尾越湿原や大見湿原の方が山頂部よりも雪があるのでした。この湿原も季節ごとに趣があって素晴らしいところですので、もしも皆子山に来られることがあればおすすめです。
皆子山西尾根はこれまで何度も歩いているのですが、山頂はともかく、西尾根では人と出会った記憶がほとんどありません。パーティーのリーダーと思しき男性の方はこのあたりの山をよく知っておられる様子でしたが、向こうも驚いておられるようでした。
昨年の6月に皆子山を訪れた時のレコをリンクを貼らせていただきます。
yamanekoさん、こんばんは。
リンクありがとうございます拝見しました!
6月も青々としてキレイですね〜!
今度行く時は湿原も立ち寄りたいと思います。
ちなみに、西尾根の山行にmichikusa78さんのレコも参考にさせていただきました。
お二人とも、こちらのエリアを極めていらっしゃるのでとても参考になりました。
ありがとうございました。
woodtableさん レス返有難うございます。
6月になるとこの源頭部はイワヒメワラビが一面に繁茂して、若緑色の斜面がとても綺麗になります。7月以降は暑さが問題だと思います。
>西尾根の山行にmichikusa78さんのレコも・・・
michikusaさんには到底叶いません。特に上のmichikusaさんのコメントにある八丁平への山行のレコは山行記というより観察記になっていますから
yamanekoさん こんばんは。皆子山の山域、もっと雪があると思っていました。先週、ついにまとまった雪が降ったと思っていましたが、気温が高いのですぐに解けたのでしょうか。
11日に鎌倉山〜八丁平を歩いた際は、予想外の積雪でした。
尾越あたりは、春が近づいたような風景ですね。
今週はもしかしたらまた雪景色となるでしょうか。
michikusaさん コメント有難うございます。
>気温が高いので・・・
私は先週の半ばは京都にいなかったのですが、京都でも雨が降ったのではないでしょうか。気温が高くても雪は簡単には融けないと思いますが、雨が降ると一気に融けてしまいますよね。今年は根雪がつかないのも雪が降ってもすぐに雨が降ってしまうからのように思います。
>11日に鎌倉山〜八丁平・・・
11日は皆子山や八丁平はさぞかしいいだろうと思いながら、湖北に向かってしまって大変な目に遭いました。ラッセルが大変だったかもしれませんが、その分、最近では滅多にお目にかかれない雪景色に出会えたことでしょう。
>尾越あたりは、春が近づいたような風景ですね。
すっかり雪解けの景色で、あと数日で雪もなくなりそうな勢いでした。
今朝は京都も再び雪景色でしたが、果たしていつまで雪が残ってくれることやら
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