6歳児とゆく温泉とおまんじゅうの伊豆ヶ岳
- GPS
- 05:17
- 距離
- 9.0km
- 登り
- 774m
- 下り
- 783m
コースタイム
- 山行
- 5:18
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:18
天候 | 曇りときどき晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
かえり:国際興業バス、森久保バス停→さわらびの湯→飯能駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
整備は完璧 高畑山から天目指峠にかけて通行止めの林道?が並行していて少しまぎらわしい |
その他周辺情報 | さわらびの湯 |
写真
感想
山に行きたい、でもウイルスこわい。
車をもたない我々、山へのアプローチはかならず電車である。そして昨今、電車は避けたほうがいいと言われている。
それでこの2週間、山のかわりにレンタカーで山のほうに遊びに行ったりしていたのだけれど。
息子も自分も、運動不足っぽい。緑にどっぷり浸かりたい。あと温泉行きたいね。
ということで秘策を思いついた。電車がよくないとされるのは、人が多くて密閉されるから。ならば、人がいない電車に乗ればいい。
都心から郊外に向かう、ある電車がものすごいガラガラであるという情報をかつて仕入れていた。今こそ、これだ。
それは、横浜・みなとみらいから西武秩父へと走る、S-Train。どういうわけか極端に乗客が少ないのだという。
そんなわけで握り飯をこしらえ、息子をたたきおこす。鉄道好きな息子は「えすとれいんのるよ」のひとことでパッチリ目を覚ます。
「特急で息子を釣るんじゃねえ」「電車ヤメロと言っただろ」など妻から暖かい声援を背に受けつつ出発、新宿三丁目からS-Trainに乗った。
乗ったことのない特急にワクワクの止まらない息子。乗り込んでみると狙いどおり! 先頭車両には我々ともうおひとりしか乗客がいない。しかもこの方も所沢あたりで降りていった。ごめんよ西武鉄道。
さて、今回の行き先は初めての埼玉。山梨方面にばかり行く我々はまったく勝手がわからない。
息子に就学前診断でみてもらった心理士の先生から聞いていたこの方面の山の名前、棒ノ折山に伊豆ヶ岳。西武沿線にお住まいで山好きの彼女とは、結果的に問題点のなかった息子の診断結果をさておいてほとんどの時間、山の話をしていた。
久しぶりの山だし、軽めの山にしよう。それに温泉にも行きたい、できれば、山あいの公営。ということで、伊豆ヶ岳に狙いを定める。
飯能で降り、三峰口ゆきの電車に乗り換える。なんとボックスシート、そしてハイカーさんたちで席が埋まってる。まあ自然を愛する方々だ、菌なんか持ってないでしょう!
駅ごとにハイカーさんたちが降りてゆく。そして正丸駅、ここでもたくさんのハイカーさんが下車。みんなやっぱり伊豆ヶ岳に行くのかな。
トイレをすませて駅右手の階段を降り、右に線路下を抜けて伊豆ヶ岳に向かう。前にも後にもハイカーさんの姿。こんなに人のいる山に登るのは久しぶりだ。笹子雁ヶ腹摺山でも百蔵山でも人を見ていない。我々はマイナーなところを登りすぎなのだろうか。
車道登りがちと長い。息子はブーブー言い出した、と思ったら「うんち」
おいおいおいおい、さっきトイレ行ったやんけ、、、なんで出してこないの、、、いや、これは久しぶりの登山なので僕の勘が鈍っていたのだ。息子のうんタイムを察する勘が。
息子がモジモジを強める、ヤバいなこれと思っていたら運よく、茶屋のおばあさんから声をかけられた。がんばってね、えらいね、という言葉に、といれかしてください、と返事する息子。なんというか、もう少し礼を尽くしてほしい。緊急時の6歳児には無理だろうけど。
昔ながらの◯っとんだけどよかったら、と心よく応じてくれるおばあさん。トイレは古いながらもよく手入れされていて、驚くほど清潔だった。安心して用を足した息子、「昔ながらとはどういう意味か」とたずねる。そんなことよりおばあさんにお礼を言っておくれ。
手作りというまんじゅうと梅干しを購入。息子はまだ保育園なんです、というとたいそう驚かれた。おばあさんにあたたかく見送ってもらい、息子の足取りは10倍くらい軽くなる。うれしかったようだ。
馬頭観音のところから、待望の山道に。咲いているミツマタを愛で、馬頭観音さまに山行の無事を祈る息子。山にもミツマタは生えてるかな、という。どうかな、これは人が植えたところに生えてるだけかもしれないね。
杉林のあいだの、とてもよく整備された登山道。ハイカーさんたちとよくすれ違う。人気の山なんだね。
それで困ることというと、息子のペースで登れないという点。スピードを出してるとき追い抜いたハイカーさんに、枝や葉で遊んでいてまた追い越される。同じ方を抜いて抜かれてというのはひどく気がひける。
他方、山には遊びに来ているのだから息子の新しい発見を大事にしてあげたい。その差配が、人気の山の場合は難しい。心を鬼にして、先を急がせる。
ハイカーさんがたくさん、でも子供はあまり登っていない山。そんなわけでみなさまにとてもかわいがってもらえる息子、よりいっそう鼻を高くしている。
名栗げんきプラザ方面との分岐を過ぎると、道は台風の影響を受けたらしく少しワイルドになる。とはいえ再整備は完璧になされていて、不安になるようなところはない。
若いハイカーさんには道を譲り、ゆっくりのシニアハイカーさんには道を譲ってもらいながらの山登り。人と会わない登山が多かったから、今日はいい勉強だ。
沢に沿ってしばらく進んだら、尾根を目指して急登。ジグザグに登るべきところを、まっすぐ登るアホな直登マンがいる。おいおい危ないから横に進め、と言うものの「木の根などの自然に捕まれば問題なく登れる」と40年来の山男みたいなセリフをぬかしてさっさと尾根に出てしまう息子。どう引き締めればよいのか。
岩がちな尾根を進む。このあたりからは眺望のよいポイントがところどころにある。遠くの山々を見ながら、ブルボンの苺たっぷりチョコレートを堪能する息子。ほどなくして五輪山に到着である。
読み方としては、ごりんざん、か。眺望はないがベンチがそろっている。関東ふれあいの道との合流地点でもある。
ここをくだると、いよいよ伊豆ヶ岳山頂へのアプローチである。岩をガンガン登る男坂……は危ないので閉鎖。ゆっくり
登る女坂……も崩落で閉鎖。現在の登山道はその間の坂となっている。
どうして男坂なの、とまた息子に聞かれる。山梨の高川山にもあったでしょ、キツいけど短い登りは男坂、ゆるやかで少し遠回りは女坂、と名前がつきやすいんだ。でもなぜきついと男なの、とまた食い下がる息子。ジェンダー論である。
伊豆ヶ岳山頂付近の岩は、生物の死骸が重なってできたチャートというものなのだそう。言われてみると、レンガ色の岩が多い。赤色チャートというもののようだ。興味津々の息子、そこらじゅうの岩を手に取り始める。うん、登山のじゃまだねほどほどにしてね。
消失する女坂を下に見て、ロープのある岩場の道をジグザグに登れば、伊豆ヶ岳山頂! なかなかの眺望、うわーきれい!と息子が声をあげた。
駅からカウントして、タイム2:15。途中う◯ちタイムをはさんでこれなのだから立派なものだ。予定よりも30分、ヤマレコのいう標準タイムより10分早い。すごいな息子……!
山頂は広く、たくさんのハイカーさんたちがお昼ご飯を食べている。山頂標で写真を撮って、奥の岩場で休もう。
一段高くなった岩のところに、石造りの山頂標がある。さてはここが本当の山頂……まあいいや、ここでおにぎりどうぞ。
いつものらーゆおかか、そしてうめかつおとおにぎりをうまそうに食べる息子。だが残り物のダルカレーを入れた父特製のインドおにぎりは拒否されてしまった。無念である。
そうそう、おまんじゅうも買ったのだった。どうかな、おいしいといいね、なんて言いながら食べてみると……
なにこれ、もんっっのすごくおいしい!!
皮はしっとり、あんこは甘すぎない優しい味。和菓子が得意ではない自分がもうひとつほしくなるレベルだ。これは正丸駅から伊豆ヶ岳登る人全員買うべき逸品!! なにもおトイレ貸していただいた御恩で書いてるわけじゃないよ!!!
お腹いっぱいで岩の上にのびていた息子を、いつのまにかハイカーさんたちが愛でている。この子ちゃんと登山靴よー、あら帽子はノースフェイスねおばちゃんのズボンといっしょ、ぼく何年生?あらまだ保育園なのえらいわねー、などなど。得意満面の息子である。横で見ていると霊験あらたかな仏像みたいだ。
さあ、ここをおりて温泉に向かおう。さきほど息子を愛でてもらった団体さんから少し時間をおいて出発。
頂上直下は急なくだり、ロープありのジグザグ。しかしくだりに絶対の自信をもつ息子、猛スピードで降下しすぐさま追いついてしまう。最後尾の方が前方に「特急通りまーす」なんて声をかけてくれて、息子(と僕)を先に通してくれる。ドヤ顔で通り抜けていく息子、ほんとすみませんと頭を下げながらの僕。
ほどなく古御岳、あずまやがある。お茶を飲むなどしていたら団体さんに追いつかれた。また抜き返すなどするのは迷惑なので先に出発する。
岩がちのところもあったりするけど、かなり歩きやすい尾根道。スギやヒノキの林を抜けていくのがまた心地よい。
林のなかの小ピーク、高畑山でご夫婦のハイカーさんにごあいさつ。さらにおりていくと、いきなり視界が開けた。牛の頭のかたちをした謎の鉄塔、遠くの山々を見渡せる見晴らしのよさ。
かなり不思議なポイントだが、息子はずいぶん気に入った様子。お茶を飲みお菓子を食べ、木の枝を拾い遊んでいる。先端からドリルが飛び出し人を倒す武器だそうだ。どどどどど。物騒だ。
ふたたび森に入る。さきほどのご夫婦がまた休憩されているのをみつけ、「さっきおあいしましたね」と声をかける息子。なんだその正確な敬語。
このあたりから、車で通れそうな幅の道が並走するようになる。ハイキングの道ではない、あっちを通るべし、とロープが張られている。かつての巡視路なのか、関東ふれあいの道の旧道なのか。小ピークを巻いて進むので、息子はそっちに行きたい様子だ。
大きめのピークを巻くようなので、ロープの張られていないところからその太い道に出てみる。がっしりした道だが、人の歩いた形跡があまりない。GPS的にも完全にルートから外れている。ただ方向は登山道と並行、同じ標高をたどっているので大丈夫と信じて進む。結果、中ノ沢ノ頭を大きく巻くかたちで登山道に合流した。合流地点にはテープが張られていた。やっぱりダメなのでした。反省。
なおもピークを巻く謎の道に行きたがる息子をなだめて小さなピークに登り、少し行くと山道?との分岐点。ここから尾根を外れて急斜面をジグザグに降りる。このあたりで、さきほどの団体さんに追いつかれる。あらあの子、あっちの道から来たのね、なんて声が聞こえる。そうです、あと途中でけっこう遊んじゃいました。
あんなにスピードあげておりてきたのにどうしておいつかれたんだろう、と首をかしげる息子。そりゃ遊んでたからだよ、あとこの団体さん、どうやらかなり熟練度が高い、つまりペースが速いんだよ。むしろ君のペースが変なんだよ。
そこから天目指峠まではすぐだった。うなぎにまつわる言い伝えがあるようで、看板にうなぎのえ。これはなめくじ?へび?と興味深々の息子。団体のリーダーさんが「むかしここでうなぎがとれたんだよ」と教えてくれた。
我々がひとやすみするのにあわせて、団体さんたちも休むことにした様子。子ノ権現を通り吾野駅方面に行くという。
こちらは、子ノ権現の手前、豆口峠というところから名栗のほうに降りようと思っていたけど、それでは時間がかかりそう。この峠から車道を降りることにする。
団体さんは息子をかわるがわる可愛がってくれ、辛口ピーナツやチョコなどをわけてくれた。本当にありがとうございました。
かくして団体さんと山道にばいばいしてアスファルトの道をくだってゆく。ヒルクライムの自転車がビュンビュン通るのさえ気をつければ気楽な散歩道。くだりだからアスファルトも気にならないよという息子、道端で草木や石垣と遊びながら進む。
小一時間歩くと民家がぽつぽつと現れた。名栗の杜、というとてもよさげなカフェ、そしてそこの方が住んでいるだろう民家がある。なんだかよさそうだ、と近寄る息子。すまないとうちゃんは今日お金ギリギリなんだ。
見事な梅を眺めながら歩き、森久保バス停に到着。バスまであと20分、旧名栗村の中心のほうまで少し歩かない?と提案したが、店じまいモードの息子はこれを拒否、おすなあそびを始めてしまった。
しかたがないので近くのカフェ「やまね食堂」(超よさげ)を視察するなどしていたらバスの時間に。ここから10分足らずで温泉「さわらびの湯」に到着である。
狙いどおりの軽くひなびた公営日帰り温泉、やや塩素強めだけれどよい湯だ。今日は早めに山をおりたからゆっくり浸かろう。
結局1時間以上のバスタイム、かなり気持ちのよいものだった。帰りのバスは飯能駅まで40分、たまらず眠りにおちる息子。
飯能駅でたたきおこすも、まだねむいだっこしろモードの息子さん。だがしかし今日は最後のイベントがあるんだよ。そう、特急ニューレッドアロー号! 無事目を覚ましていただけました。
パパには少しのお酒と豚タン、息子にはブルーベリーヨーグルトドリンクと山でもらった辛ピーナツを買い、乗り込む。
ぶたさんのよだれはだいじょうぶ?とおそるおそる食べるも結局豚タンのうまさに目覚めたという息子が9割がたを食べ、ピーナツもほとんど食べたのでパパは空酒を飲んだよ。胃がつらいけど元気だよ。
ニューレッドアロー号は3/13限りで池袋線から引退するという。そのほぼ最後に立ち会えたことも、息子は相当うれしかったらしい。
車両独占の特急に乗り山に登りまんじゅうを食べたくさんの人にほめられて、自然で遊んで温泉にゆったり使ってバスで寝て特急の最後の勇姿を味わう。あと豚タンも食べたな。なんというてんこ盛り。
でもなにより、試算していた予定時間を1時間以上、標準タイムを15分も下回る(正丸駅→天目指峠)ってのはほんとにすごい。う◯ちして遊び歩いてこれだよ? 速いからいいわけではないけど、やっぱりびっくりするよ、君の急速な成長ぶりに。
やっぱり冒険は楽しいね。君がイヤだって言うようになるまでひっぱりまわす所存ですよ。
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