両神山(過去レコです)。
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.0km
- 登り
- 1,310m
- 下り
- 1,304m
天候 | 曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
鎖あります。 |
写真
感想
今日は両神山(りょうかみさん)のピストン、下山したら名古屋まで長時間かかって帰らなければいけない。4時半に起床し朝食もしっかり食べる。登山に必要の無い荷物は全てバスに預けて、軽くなったザックを背負う。果たしてポチはわれわれを案内してくれるか? 皆さん気になるところであるが、玄関を開けると喜んで跳び回り何処かに行ってしまう。5時45分、真っ暗な中、ヘッドランプを照らして登山道に入ると、ポチが跳んで来て皆さん大喜び。ポチを先頭にして、狭い登山道にヘッドランプの列が続く。今日のガイドは中祖さん、杉浦さんは最後尾、わたしは後から3人目。暗い中、看板があり、何が書いてあるのかとランプで照らすと、「熊に注意!」。誰も鈴などぶら下げず静かな隊列であるが、16人もいればクマも出てこないだろう。たとえ出たとしてもポチが戦ってわれわれを守ってくれるだろう。間もなく白み始めヘッドランプも必要がなくなる。軽いアップダウンを繰り返し、40分ほどで七滝沢コースへの道を分ける「会所」に降りる。ここでひと休みしていると、昨晩宿で一緒だったオバサン4人組がやってきて、ポチを見つけて大喜び。4人組は休まず先に進むがポチは付いていかない。七滝沢を渡ってトラバース気味になだらかな登りを進むと、薄(すすき)川の沢に出る。隊列はあまりにゆっくり、ポチは一人で先に行ってしまう。しばらくすると先の4人組が休んでいて、ポチも一緒に座っている。何か貰っているようで、われわれが追い越してもポチは付いて来ない。沢の左岸から右岸に移り、そしてまた左岸に移り登っていくと、だんだん沢が下になり、せせらぎの音も小さくなって行く。産泰尾根の斜面をトラバース気味に登っていくのだがこれが結構急坂である。昨日の疲れもあるのに、誰一人遅れる事も無く頑張って登って行く。再びポチが現れ、わたし達を追い越して先頭に立つ。でもちょっとポチも疲れ気味。時々現れる石碑や石仏が、いにしえから続いている修験者の道であることを窺がわせる。会所からは登り一辺倒、2時間かかって清滝小屋に到着。立派な小屋が2棟並んでいるが、入り口は閉ざされ人の気配はない。小屋の前の広場に座ってひと休み。ポチも色んな人からお菓子を貰って食べている。小屋の後から登山道に入り少し登ると、ポチは引き返して一人で帰って行ってしまった。ここからは九十九折れの急坂、鎖場が現れる。鎖にたよる程の岩場ではないが、ここをさっさと登れるオバサンは少ない。オジサンも同様で渋滞が発生する。急坂を登りきり尾根上に達すると赤茶けた柱の鳥居が現れ、社が建っている。両神神社の本社であるが、新建材などが使ってあって荘厳さのかけらもない。鳥居の両側に狛犬が相対している。頭でっかちのうえ、おでこに地衣類がついて余計にとぼけた顔つきとなっている。ではあるが口は大きく裂け、山犬(オオカミ)と云われればそうかなと思う事も出来る。秩父山中の神社はオオカミを眷属(けんぞく)とするところが多く、その代表は昨日雲取山から下りてきた所の三峰神社である。眷属とは神と人との間を取り持つ存在、神の使いであり、人が神に願い事をすると、その願いが叶うように働いてくれるという。本来、姿や形のない神が目に見える形で動物などを遣わすもので、その正体は自然霊や動物霊とされている。お稲荷さんのキツネ、伊勢神宮のニワトリ、春日大社のシカ、出雲大社のヘビ、熊野大社のカラスなどで、両神山の大口真神(おおくちのまがみ)は日本狼が神格化したものとの事である。神社正面の壁に板に彫って歌が書かれている。「當山古歌 讀人不知」、 「東路に八日見山の露こゑて 麓ハ久良き谷川の音」、両神山は八日見山とも呼ばれている。ヤマトタケルノミコトが東征したおり、筑波山より八日の間当山を望みながら当地に着き、神犬の導きによって登山して当社を建立し、伊弉諾命、伊弉冉命の二神を祀ったことが開創とされている。タケルが読んだ「筑波嶺を遙か隔てて八日見し妻恋ひかぬる小 鹿の野原」の碑が麓にあるという。イヌに導かれたタケルに我が身を重ね合わせ、ポチの先導で両神山に登るなんて、そりゃ人気も出るだろうしテレビ局も来るだろう。両神神社の奥には隣接して両神大神社(御嶽神社)があり、こちらの方がまだ奥ゆかしい建物である。この二つの神社は、いずれも修験者のためものであるが、宗派が異なる神社である。ここにもやはり一対の山犬の石像が並んでいる。両神神社の山犬のシッポはピンと立っているが、こちらのシッポはクルリとひと回りしている。秩父の神社には多くのオオカミ狛犬があるが、全て異なった個性があるようだ。神社をあとにし再び登り始める。どうってことも無い場所だが、尾根の東面に付けられた細い登山道には10mほど水平に真新しい鎖が付けられた場所がある。伊達に鎖は付けられていない、転落事故でもあったのだろう、舐めちゃいけないと鎖を辿りながら進む。急な登山道を登り尾根道に出ると、木々の間から頂上らしき峰がチラホラ見え始める。鎖のついた岩場が次々と現れ、これを登ると正面に両神山の山頂が現れる。左手にいくつものピークが鋸の刃のように連なっている。昨日霧藻ヶ峰から見た両神山が間近かにある。山頂直下の鎖場を登りきると剣が峰頂上1723mに到着。頂上は狭く、岩が盛り上がってフラットな場所は無いが、ここで昼食となる。まだ10時25分、昼食には少々早いが、朝食から5時間経っているので、両神山荘が作ってくれたオムスビ2個をペロリと平らげる。曇り空が広がり遠望は無く、昨日登った雲取山さえも見えない。休んでいると寒いし、人も一杯、30分もしないうちに下山にかかる。登りはそれ程とも思わなかったが、鎖場を過ぎても結構急坂。砂利道でズリっと滑って尻餅をつく。1000m以上の下りであるので、膝に来て遅れがちな人も出てくる。途中何度か休憩し、無事両神山荘に帰り着いたらポチが出迎えてくれた。およそ8時間の山行であった。
この奥深い秩父の山、深田が百名山に選ばなければ登る人は少なく、ましてや岐阜あたりからやってくる人は誰もいないだろう。
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