乗鞍岳(過去レコです)。


- GPS
- --:--
- 距離
- 5.5km
- 登り
- 390m
- 下り
- 374m
天候 | 雨。 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
感想
乗鞍は岐阜市からでも見る事が出来る親しみのある山で、何度も行った事がある。とは云え、スカイラインを車で通って畳平の駐車場まで行った事があるだけで、周辺の散策すらした事が無く、ましてや頂上まで行こうなんて考えた事もなかった。しかるに、山登りをする事が出来るようになってまず浮かんだのがこの山だ。日本には3000mを超える山は21座あるが、大抵は山小屋泊まりの登山となり中高年の登山初心者には敬遠される。「分県登山ガイド 岐阜県の山」の乗鞍岳の項には「スカイラインの終点、畳平は標高2702m。ここから頂上までは距離にして3キロなので、簡単に往復が出来る」と記されている。なんと、標高差は金華山と同じではないか、これなら大丈夫、妻と登ることにした。
前日の天気予報は雨であったので準備万端、黄色いポンチョを買っておいた。平成12年9月24日、乗鞍スカイラインを通って畳平に向かった。夏場なら大渋滞でうんざりするスカイラインであるが、シーズンオフの今はスイスイと通る事が出来た。駐車場に入った時は大雨で、ポンチョを用意しておいた事を喜んだ。早速着ようとしたが何せ始めての事で着方が判らず、雨の中で悪戦苦闘。妻は以前から持っていた紫色のポンチョをいとも簡単にかぶっていた。中途半端な季節で天候も悪いのに、登山姿の中高年の男女で賑わっていた。用を足し、軍手をはめ、根子岳で覚えた携帯ラジオをリュックのサイドポケットに入れ、ラジオを聞きながらいざ出発。駐車場を下におり散策路を過ぎるとすぐに登りが続き、最後に木の階段を登りきると車道に出た。どう見ても登山道という感じのしない車道をたらたら歩くと、コロナ観測所のある摩利支天への道が右に分かれている。これをやり過ごし、左手のガスで何も見えない道をしばらく行くと大きな山小屋に着いた。小屋の裏手が登山口で、すぐに溶岩だらけのつづら折れの登山道となった。歩きにくい溶岩の道が終わって尾根に出た途端、猛烈な風雨が右手下から吹き上げて来て、立っていることが出来ず二人とも座り込んで飛ばされるのを防いだ。乗鞍で遭難なんて笑い事ではない、引き返そうかどうしようか思案していると、霧の中からボンヤリと二人の人陰が見える。近付いてくると若い男女の二人連れという事がわかった。どうせ彼等もここに座り込むに違い無いと思っていると、二人は我々の傍らをスタスタ登って行ってしまうではないか。我々も勇気を取り戻し、山頂を目指す事にした。風に吹き飛ばされないように稜線をこわごわと、途中で再びしゃがみ込んだりしながらゆっくり進んだ。稜線の先に小さな小屋があり、それを回り込むとすぐに剣が峰山頂に辿り着いた。山頂には神社があり、その横で10人程の人が風雨を避けて休んでいた。われわれもその仲間に入り、ビショビショになった軍手を脱ぎ、冷たくなった手をマッサージし生き返った気がした。頂上からの展望はゼロで天候は一向に回復する様子はなく、冷えきった手は凍えっぱなしでいくらマッサージをしても暖まる事は無い。長居は無用、下山する事にした。風雨激しく寒い中を、吹き飛ばされないようにゆっくりと下った。ポンチョを着ていたので上半身は濡れなかったが、ズボンはビショビショになり、体中が冷えきった状態で駐車場に着いた。車の暖房を利かしても手指のシビレは岐阜に着くまで戻らなかった。雪の多い立山と比べると乗鞍は積雪量は少ないが、それは日本海型気候と内陸型気候の違いだと云う。雪が少ないから暖かいと云うわけでは無く、きびしい内陸型気候では凍ってしまうから雪が少ないのだと云う。いかに標高差が金華山と同じで車で気軽に行けるといっても、3000mの山の温度は平地より18度も低い。風速1mで体感温度は1℃下がると云う。高度3000mの風と雨と霧を体験し、山の装備の重要さを肌で覚えた一日であった。ポンチョを買い求め、軍手をはめ、準備万端のつもりであったがなんの役にも立たなかった。山登りは標高差だけで判断しては駄目、様々な要素を考えて準備を整える事が重要である事を学ばせて呉れた。以来このポンチョのお世話になった事はなく、山で軍手を使った事も無い。岐阜へ帰って早速、耐水性の山用の手袋を買い求めた。
ちなみに乗鞍スカイラインは環境保護のため平成15年からマイカーの乗り入れは禁止となっており、バスかタクシーを利用して畳平まで行く必要がある。ハイシーズンのあの混雑を見れば、これもまたいた仕方が無い措置である。
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