【スイス】ヴァイスミース Weissmies
- GPS
- --:--
- 距離
- 6.4km
- 登り
- 906m
- 下り
- 906m
コースタイム
10:30 稜線肩
11:10 ヴァイスミース
13:30 ホーザース
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
ザースフェーからザースグルントへはバスで15分程度。ゴンドラリフトでホーザーズまで約20分。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
クレバス帯の通過あり。高山病対策さえ問題なければルートは比較的優しい。 |
その他周辺情報 | ゴンドラ終点のホーザースにはレストランあり。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
ネックウォーマー
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
ヘルメット
クライミングハーネス
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共同装備 |
50mザイル1本
|
感想
2018年にスイスの山を旅した時の記録です。
一大山岳リゾート・ツェルマットに数日滞在した後、お隣の谷のザースフェーにやってきた。アジア人旅行客、特に日本人であふれるツェルマットと違い、こちらは観光客も少なく静か。
もともとアラリンホルンをソロで登る予定だったが、たまたま出会ったドイツ人に声をかけられ、一緒にガイドを雇ってヴァイスミースに登ることに。
7:10
ザースグルント着。
ザースフェーより300mほど低いが、谷間で日が当たらないためか結構寒い。バス停から歩いてすぐにホーザースのリフト乗り場。10人程度がオープンを待っていた。7:30頃にゲートが開き、みんな続々と乗り込み始める。
7:40
前日にザースフェーのガイド協会で紹介してもらった登山ガイドのクルトさんがバイクでやって来た。50〜60代くらいの紳士で、ベテランクライマーといった風格がある。続いて昨日会ったドイツ人もやって来た。軽く自己紹介した後、ホーザースのゴンドラリフトに乗り込む。前日にホテルでもらったビューゲルカードがあるので、バス代とリフト代は無料だ。クロイツボーデン(2,400m)で一度リフトを乗り換え、ホーザース(3,101m)を目指す。
薄暗い谷に徐々に太陽が顔を出して来ている。前に見えるのがちょうどヴァイスミースの稜線のようだ。ガイドが指差す先には豆粒大の人間が稜線を歩いているのが見えた。左に見える岩峰はイェーギホルンといい、クレッターシュタイク(ヴィアフェラータ)のルートがオープンしたところらしい。
8:00
ホーザースに到着。ここからヴァイスミースまでの標高差は約900m。スキー場のコースを少し下ったところでアイゼンとハーネスを装着した。先頭はクルトさん、間にドイツ人を挟んで自分が殿だ。
ヴァイスミースは4,000m峰の中でも比較的登り易い山ということで、1対1の個人ガイドや4.5人のグループツアーなど10パーティ近くが入山しているようだった。ヨーロッパの登山ガイドは歩くのが大変早いと聞いていたが、クルトさんはかなりゆっくり目のペースで歩いていた。我々の高所経験を加味したペースを作ってくれているのかもしれない。お陰で高山病の心配はまだなさそうだった。
古い氷河跡というプラトーを抜け、巨大なクレバスの間を縫うように急斜面を登る。斜面の取り付きでストックからピッケルに持ち替えた。雪はまだ固く締まっておりアイゼンの爪がよくきまった。ドイツ人はアイゼンの使い方に慣れていないのか、よくロープに引っかかり、後ろに勢いよく足を振り上げる。アイゼンの爪が自分の顔の前を横切って何度かひやっとした。
やがてクレバス帯を抜けると広い尾根に出た。トレースはそのまま尾根を直登しているが、トレースを逸れてクルトさんは少し北東に回り込んでから登る。後から分かったが、これは気温が上がった下山時にグサグサになった雪の踏み跡を避けるため、新しいトレースをつけているようだった。
傾斜が平坦になったところで初めての休憩をとった。行く手にはまだ距離のあるヴァイスミースの山頂と、点々と続く登山者の姿が、背後にはドムをはじめとするミシャベルの山群が広がっていた。
5分ほどしたら出発。ここからはピッケルでもストックでも好きな方を選べと言われた。クルトさんはストックで行くようだ。ちなみに、彼のストックスノーバスケットではなく夏用のトレッキングバスケットがはめられていた。自分とドイツ人はピッケルで行く。
10:30
頂上へ至る稜線の肩に出る。風が強くなり、頬が痛い。フードを被ってしのぐ。登頂を終えて下山してくる登山者たちとすれ違いながら、徐々に細くなる稜線をゆっくり登っていく。
11:10
ヴァイスミース登頂。
細く狭い頂上からは360度の大展望が広がっていた。スイスで初めての4,000m峰。正面に連なるミシャベルの山々を改めて見渡し、心に刻む。クルトさんと握手。
風が非常に強いので、5分ほど滞在してすぐに下山を開始。今度は自分が先頭で、クルトさんが殿だ。
クルトさんの指示に従いながらトレースに沿って下る。途中で自分たちが行きにつけたトレースに移った。アイゼンを付けていると、ボコボコになったトレースよりもこちらの方が確かに歩きやすかった。
行きで休憩したところよりも少し下った、クレバス帯の直前で再度休憩。危険なクレバス帯で集中できるように計算しているのだろう。
今回の登山の核心はこのクレバス帯の下りだった。日が昇って気温が上がったことで雪が緩み、スリップしやすくなっている。アンザイレンしているのである程度は安心だが、ソロでは一歩間違えば数百mは滑落し、不気味なクレバスに飲み込まれてしまうだろう。
ゆっくり慎重に下り、30分ほどではじめのプラトーに戻った。ここからはクレバスが口を開け始める恐れがあるため、タイドロープを伸ばして歩いた。
13:30
無事にアイゼンポイントに帰着。ほっと一安心。
クルトさんは途中の小屋に次のガイド用の装備をピックアップしに行くということで、ここでお別れになった。最後にまた握手を交わす。
残されたドイツ人と自分は雑談しながらホーザースのゴンドラリフトにのんびり歩いて戻った。彼はレストランに行くというのでお別れ。ミシャベル山群とヴァイスミース頂上を一瞥し、高山病で徐々に始まった頭痛を我慢しながら帰りのリフトに乗った。
人生初のガイド登山となったが、ペース配分や歩行の指示など大変勉強になった。さすがは本場アルプスの登山ガイドだ。
『ヴァイス』はドイツ語で『白』、ミースは『苔』を意味する”Moos”が訛った言葉で、ヴァイスミースとは『白い苔』という意味らしい。山が雪と氷河におおわれて白くなっているさまを白い苔と表現するのは、なかなか日本人にはない感性で面白い。
初めてのスイス4,000m峰が良いガイドと素晴らしい天気に恵まれ、思い出深い山行となった。
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