イドンナップ岳 新冠林道〜サツナイ沢西尾根コース
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- GPS
- 80:00
- 距離
- 75.8km
- 登り
- 2,391m
- 下り
- 2,390m
コースタイム
- 山行
- 7:27
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 7:40
- 山行
- 9:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 9:40
- 山行
- 11:35
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 13:18
- 山行
- 4:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:00
天候 | 1日目:曇り時々晴れ 2日目:曇りのちガス 3日目:晴れ 4日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
国有林ゲート〜新冠ダム〜サツナイ沢分岐(登山口手前)まで約30km。 サツナイ沢分岐までの区間は復旧工事も終わっていて(?)、四輪での通行にはまったく支障ない状態。早朝から関係車(大型車)の通行量も多い。 また林道内の各所で伐採作業を行っており、これも通行止めの一因と思われる。 日数はかかるが無難に徒歩でのアプローチとした。 |
その他周辺情報 | 新冠温泉レ・コードの湯 日帰り入浴500円 |
写真
歩いていると北電さんを始め多くの関係車両が抜いていくが、特に声をかけられることもない。徒歩は問題ないと判断しても良いのだろうか。
入山ポストの中は空だった。
矢印の方向に進むと10分ほどで林道終点(1/25000地形図で点線に変わる所)となり、最初の渡渉箇所になっていた。
感想
道内で「日帰り最難関」などと名高いイドンナップ岳。
登山道は藪に覆われつつあり、北海道の山と谷2でも「廃道 経験者向け」の表記がされている。おまけにダニの巣窟で、ネット上の山行記録を見ると決まって「もう行きたくない」といった感想が散見される。
そして何といっても極めつけはアプローチとなる新冠林道が2018年8月から閉まったままということだった。ゲートから登山口までは約30kmもある。林道が開通するまで待つか、見切りをつけて突っ込むかは相当悩んだ。日帰りで登れるはずの山にそこまでの労力をかける価値があるのか?
しかし、待っていても来年以降に林道が一般開放される保証は無いし、ここはチャリやバイクで進入するのはまずそうな雰囲気がある。となれば歩くしかない。せっかく時間をかけてテン泊装備で行くなら山頂泊もして、「また行きたい」と思えるような山旅にしてみよう。
登りのルートについても少し悩んだ。藪化した登山道は使わず、南側にあるシュウレルカシュペ沢を詰めて新冠富士手前に出るルートも検討した。沢としては難易度は低いようだし、林道歩きは24kmに短縮され、登り返しもない。が、沢経験の少ない自分が重装備を背負って沢を登れる自信が無かったのと、前日までの雨で増水が心配だった。不安要素が多かったので、やはり登山道で行くことに。
・1日目 8月31日
前夜は新冠の道の駅で車中泊。13℃と涼しかった。初日は林道30kmを歩くだけなのであまり早朝に出る必要は無いだろう。7:40に新冠林道のゲートを出発。歩き始めて早々、ザックの重さが堪える。脚を温存するためにストックを持ってくればよかったと後悔した。
1時間ほど歩いたところで休憩。路肩にザックを立てて置いておいたところ、バランスが崩れて倒れた。押さえる間もなく、ザックはそのままゴロンゴロンと崖下に転がっていってしまった。あぁ終わった・・・と思いながら崖下を見ると、幸いザックは5mほど下で倒木に引っかかり止まっていた。無事に回収。しかし、横に挿していたペットボトルは30mほど下まで転がって行った。脆い急斜面を慎重に下り、こちらも何とか回収。こんなところで何やってんだか・・・。
岩清水ダム、下新冠ダムを横目に進み、昼に新冠ダム。林道は関係車両の通行がかなり多く、伐採した木を積んだトラックが頻繁に往復していた。関係車両が近づくたびに路肩に寄り、通行の支障にならないように気を付けながら歩く。この状況で登山者の車なんかが入ってきたら、関係者にとっては邪魔でしかないだろう。
足裏が痛くなってきたころ、林道終点に到着。適当な空き地にテントを張った。沢沿いにしては虫は少なく、涼しくて快適な一夜だった。
(水2.2L消費)
・2日目 9月1日
3:40起床、まだ真っ暗。おにぎりを突っ込んでテントを片すと薄明るくなった。渡渉に備えて持ってきた沢足袋で4:55出発。
渡渉は数回、水深は10cmほどで、これなら沢足袋を持ってこなくても裸足で渡渉でも行けたと思う。作業道のような道は不明瞭な分岐も多く、どこも藪に覆われている。何度かダニもちらほら付くが、初夏のような数ではないのでまだ救いだ。
売山コルから先も笹に覆われた尾根が続くが、掻き分ければ足元にはだいたい明瞭な道がある。何か所か現れる岩場のロープもまだしっかりしていて、登山道と言えるかは微妙だが廃道というほどでもないのでは?と思った。
1200mを超えたあたりからわずかに藪が濃くなり、1300mあたりから名物?笹トラバースが始まった。笹が濡れていて滑りやすい上、重装備もあり2回ほどコケた。上の方はガスって視界もなさそうだし、つらい。
笹トラバースが途切れると不明瞭な地形に出た。鹿道、ヌタ場、藪が交錯する中、適当にそれらしい方向に進むとピンテが現れて安心。
その後は所々明瞭な登山道で標高を上げていき、最後はハイマツを除けながら進むと新冠富士到着!
計画ではこのまま本峰までのピークハントをするつもりだったが、往復4時間はかかることを考えると確実に日没を過ぎるだろう。ガスって視界も悪いし、今日はここまで。重装備を担ぎ上げるのは大変だったが、時間切れ=即撤退、とはならないのがテン泊の利点だ。
山頂にテントを設営し、ガスに包まれていく山々を眺めていたらすぐに夜になった。
周囲数kmには誰もいないであろう山中でのテン泊、独特の緊張感があって良い。
(水2.0L消費)
・3日目 9月2日
3:40起床。テントの中でお湯を沸かしてコーンスープとフルグラで朝飯。
外を見ると、雲は多いが昨夜までのガスは大分抜けているようだった。カムエクの北、・1917mあたりからうっすら朝陽が差し込む。主稜線の方向はまだ雲が多いが、悪くない天気だ。軽装備で本峰へ出発。
この区間ははっきりした踏み跡はあるが、稜線上に忠実に付いていたり、トラバース気味に付いていたりと分かりずらい所もある。ハイマツも伸びてきているし、所によっては低灌木と笹が混じってくる。手で除けないと進めないところも多い。ただ、日高の稜線としてみれば一級国道の部類なのかもしれない。
ぐるっと回り込むようにして三角点ピーク。その先は藪の状態はわずかにマシになったような、なっていないような。岩混じりの本峰が近づくにつれ、青空が出てきて完全に祝福モード。ここまでの苦労がやっと報われる。
2時間弱でイドンナップ岳本峰着!本当に長い道のりだった・・・。林道歩きも含めると、カムエクとかペテガリとか1839が楽勝コースに思えるくらいの遠さ。その分達成感は大きい。
新冠富士へ折り返すと、雲は完全に抜けて日高山脈の素晴らしい眺望が広がった。ハイライトとなる区間で天候に恵まれて本当に良かった。稜線上の涼しい風がとても心地よく、帰りたくないなーと思ってしまった。
下りでは気温が上がってきたせいか?標高1000m前後からちらほらとダニが付き始め、嫌な予感が。売山コルからの笹藪作業道ではダニだらけ・・・。必死でダニ払いを繰り返しながら沢まで降りてきた。もう9月なのになぁ。
翌日の行程を減らすため、林道を行けるところまで進む。途中、ランクルのお兄さんがUターンしてきて、「日が暮れますよ、乗っていきますか?」とお誘いが。もちろん自分の足で歩かないと意味が無いのでお断りさせていただく。
足裏が痛くなってきて、その辺に転がっていた枝をストック代わりに突きながら進む。何とか明るいうちに新冠ダムに到着。足の限界を迎えてしまったので今日はここまで。真っ暗になってから、ダムの石碑の近くにテントを張って就寝。
(水3.2L消費)
・4日目 9月3日
3:50起床。連休も今日で最後なので帰らないといけない。
普段の日帰り登山は限られた時間内でPHして戻ってくるという、いわば「競技」みたいなものだが、3日〜4日くらいになるとようやく「旅」という感じになってくると思う。どこまで行ってどこで寝るか、何を食べるか、その場で適当に決める。何日も風呂に入らず、衣類からは自分でもわかるくらいヤバい臭いがしてくる。雨に打たれ風に吹かれ・・・自転車やバイクで日本中を放浪していた学生のころを思い出し、すごく懐かしい気分になった。食料と燃料と休みが続くならまだまだ日高の山を歩き続けたい。今日で終わってしまうのが名残惜しかった。
岩清水ダムまで下りてきたところで行動食が底をついた。(アルファ米3食分は残ってたが)
帰りは新冠ダムから4時間でゲートまで。車のフロントガラスに「イドンナップ岳登山中」と張り紙をしておいたのだが、もしかすると昨日声をかけられたランクルの方からだろうか、ねぎらい(?)の缶コーヒーが置いてあった。感謝!
(水1.2L消費)
・まとめ
長い林道のアプローチ、延々と続く藪漕ぎ・・・長くてハードな行程ではあったが、稜線では天候にも恵まれ、意外と充実した山行だった。食糧や装備面での反省点もいくつかあった。携行食は十分すぎるくらいの量を持つこと、物を落失したり藪に引っかからないようなパッキングをすること等、今後の山行に役立てていこうと思う。
もう一度イドンナップに登りたいか?と聞かれたら登りたいと答える。ただし、できればダニのいない晩秋くらいがいいかな。
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