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Yamareco

記録ID: 2664129
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沢登り
道北・利尻

氷のトンネル沢(藻興部川ウェンシリ岳東面)

2020年10月18日(日) [日帰り]
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horit nrtk7 その他1人
GPS
--:--
距離
6.0km
登り
803m
下り
803m

コースタイム

日帰り
山行
14:00
休憩
1:30
合計
15:30
6:30
300
スタート地点
11:30
13:00
420
Co650大滝
20:00
120
ウェンシリ岳
22:00
ゴール地点
林道終点から入渓。氷のトンネルは跡形もない。すぐに沢は狭い函となり、ブリッジングや突っ張りを駆使して越えていく。2~10m程の滝が休む間もなく連続し、ひたすらシャワークライミングを強いられる。しかもどれも地味にむずい。側壁は垂壁やズルズルの泥壁となっていて捲きやへつりの選択肢はない。水が氷のように冷たく、半端なく消耗する。適宜シュリンゲやザイルを垂らす。Co600あたりの7mチムニー滝をザイル出して越えると、上に雪渓の残骸があった。結局雪渓はここで見たのみだった。Co650二股の進む右股は、左岸から50m大滝となって注いでいた。右岸をザイル出して直登。カム、トライカム、ハーケンを総動員してランナーを取っていく。元蘢度だが極寒シャワーで痺れた。落ち口に古いRCCボルト1つあり。その上にも5~10m級の滝が5個ほど連続。北の山脈に載っていた士別山岳会の記録にある"120mの滝"とはここらへんのことであろう。これを一つの滝としてカウントするのはちょっと無理がある気がするが…。落ち口から振り返るとこれまで登ってきた谷がものすごい傾斜で削ぎ落ちている。Co650左股の奥には絶望的な滝が連続しているのが見えた。ここを抜けると二股となり、進む左股は門のような入口を構えた狭く深いゴルジュとなっている。中の滝を突っ張ったりシャワーを頭からかぶったりして越えると沢は開け、3段15mの滝が出てくる。1段目は右岸ザイル出して捲く。泥でコーティングされたルンゼ〜触れるもの皆浮石のトラバースで1段目落ち口まで。2段目もザイル出して右岸クラック沿いに直登。3段目は二股となっており、左股に進んだ。尚も狭い函滝がこれでもかという程連続し、ガタガタに震えながら突っ張りシャワークライミングを続ける。あまりの寒さに思わずごめんなさいと何かに謝りながら登る。何の修行だろうか。Co800付近には10m程の絶望的な滝が現れる。ザイル出して右岸に取り付いてみるが下部はかぶっており上部はホールド乏しそう。左岸も試してみるがこちらも傾斜強く厳しい。というか寒すぎて身体がうまく動かないし保持力がカスになっている。側壁はどちらも高い垂壁〜ハングで到底登れそうにない。もう辺りは薄暗くなってきている。何とかしてここから脱出しなければ。焦る気持ちを落ち着かせて、ラテルネをつける。唯一登れそうな少し手前の泥壁をザイル出して必殺・ダブルバイルで攀じ登り、灌木帯に突入。もう完全に暗くなっており沢に戻る選択肢はないのでこのまま尾根を登ることにした。一応もう1ピッチザイル出して薄い藪と灌木の尾根を登って平らなところまで。ザイルをしまい、灌木が疎らに生えた尾根を登りピークを目指す。植生が薄いので歩きやすく、見上げると満点の星空、見下ろすと西興部の村の明かりが輝いている。藪漕ぎ皆無でポンとピークに出て、熱い握手を交わす。ピーク付近には雪がうっすらと積もっていた。もう冬である。相変わらず歩きやすい夏道を下山し、愛別のコンビニで飯をかっ食らい、翌3時に帰札。
天候
過去天気図(気象庁) 2020年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
紅葉が見ごろ。
すぐに狭い函になる。
2020年10月18日 06:54撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
2
10/18 6:54
すぐに狭い函になる。
2020年10月18日 07:02撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
4
10/18 7:02
突っ張りまくる。
3
突っ張りまくる。
2020年10月18日 07:03撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
1
10/18 7:03
ツルペロ系もあり。
2020年10月18日 07:17撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
1
10/18 7:17
ツルペロ系もあり。
指の感覚が一瞬で消える。
指の感覚が一瞬で消える。
2020年10月18日 08:22撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 8:22
息をつく暇もなく滝が連続。
2020年10月18日 08:40撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 8:40
息をつく暇もなく滝が連続。
チン濡れもある。
2020年10月18日 08:57撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 8:57
チン濡れもある。
突っ張り。
寒すぎ。
2020年10月18日 09:16撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 9:16
寒すぎ。
Co600ぐらいのザイル出したやつ。
2020年10月18日 09:27撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 9:27
Co600ぐらいのザイル出したやつ。
みそぎ。
2020年10月18日 10:04撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
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10/18 10:04
みそぎ。
唯一見た雪渓の残骸。
2020年10月18日 10:43撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 10:43
唯一見た雪渓の残骸。
寒すぎるのでガスで湯沸かして飲んだ。
2020年10月18日 10:43撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 10:43
寒すぎるのでガスで湯沸かして飲んだ。
2020年10月18日 11:07撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
10/18 11:07
険しい谷。
Co650二股は左岸から50m大滝となって注ぐ。
2020年10月18日 11:09撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 11:09
Co650二股は左岸から50m大滝となって注ぐ。
右岸直登。
抜け口が核心。寒すぎる。
抜け口が核心。寒すぎる。
左股はやばそう。
2020年10月18日 12:32撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
10/18 12:32
左股はやばそう。
50m大滝上にも滝が連続する。
2020年10月18日 13:00撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 13:00
50m大滝上にも滝が連続する。
連続。
2020年10月18日 13:12撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
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10/18 13:12
連続。
高度感すごい。
上の二股の左股は門のようになっている。
2020年10月18日 13:39撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
10/18 13:39
上の二股の左股は門のようになっている。
ひたすら突っ張る。
2020年10月18日 13:47撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 13:47
ひたすら突っ張る。
修行である。
2020年10月18日 15:53撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
10/18 15:53
延々と突っ張り系が続く。
2020年10月18日 16:02撮影 by  KODAK PIXPRO WPZ2 , JK Imaging, Ltd.
10/18 16:02
延々と突っ張り系が続く。
ワイドのぼり。
2020年10月18日 16:36撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
10/18 16:36
ピーク
2020年10月18日 19:59撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 19:59
ピーク
もう冬。
2020年10月18日 20:02撮影 by  TG-6 , OLYMPUS CORPORATION
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10/18 20:02
もう冬。

装備

共同装備
ガス ツェルト ダブルロープ60m×2 リンクカム マスターカム トライカム

感想

百名谷の1つ。
Web上に記録はないが昔は登られていたような雰囲気が、少ない記録から感じられる。

この沢は以前からターゲットには入っていた。
それでもこんな時期に誘われて「まじかよ」と思ったが、
好奇心が優ってほとんど悩まず決行となった。
はじめましてのnrtk7くんも参加となり、大変助けられた。

当日。
あろうことか雨具を忘れた。
百名谷の記録では「シャワー」の文字を見たが、1〜2箇所だろうと高をくくる。
すると入渓5分で釜を持つ小滝が現れ、その後はずーっと滝の連続。
水は恐ろしいほど冷たい。
しかもシャワーだらけ。
一度、シャワーを避けて側壁を登るも脆くお助けをもらう。
毎年1度は感じるが、「濡れたくない」やら「寒い」やらルーファイで雑念が入ると危険な登攀になる。
一度頭から水流に突っ込むと、低体温症の始まり。
震えは止まらず、全身の筋肉がつりそうになる。
手足は猛烈に熱感を帯び感覚がない。
内臓まで痛くなってくる。
お湯を飲むたびに意識が遠のいていたことに気づく。
体が思うように動かなくなり、呂律も回らない。
心は完全に折れていて、他の2人に頼りきり。
過去一でツラい山行になりました。

コンディションはさておき、素晴らしい谷でした。
深い谷、狭いゴルジュ、飽きるほどの滝。
一見難しそうに見えても取り付いてみれば登れる滝が多い。
ゴルジュ好きには是非おすすめ。
登られていないのが勿体無い。
ウエンシリ岳の他の谷も行ってみたい。

低体温で心折れてたから、グレードはよくわからん。
ラバーで行ったがヌメリがキツい部分もあったのでフェルトでもいいかも。
!!!*はありそう。
4級上〜
合羽必携。

2年前にエダマサクルー川を遡行した時から気になっていた氷のトンネル沢(藻興部川ウェンシリ岳東面)にやっと行くことができた。最近の記録は全く見つからず、4~50年前のものが数件見つかった程度。雪渓の多い沢なので、遅い時期に行くつもりだったが、天気等諸々の都合でこんな時期になってしまった。結果として、想像以上のシャワークライミングの連続に、身も心もガタガタに震える山行となった。しかしながら、その内容は入渓直後から上部までずっと続く狭い函の中に手強い滝の連続する、一瞬たりとも冗長なパートのない素晴らしいものであった。沢のスケールが違うので単純な比較はできないが、内容の充実度は中ノ川支六の沢右股に匹敵、密度はそれを上回るかもしれない。北海道で沢屋を名乗るのであれば、絶対に行っておくべき沢である思う。

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