甲斐駒ケ岳(黒戸尾根)
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- GPS
- 33:44
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 2,500m
- 下り
- 2,494m
コースタイム
08:13尾白渓谷駐車場〜08:18竹宇駒ヶ岳神社08:23〜10:58笹の平分岐点10:58〜12:53刃渡り(昼食)13:10〜13:44刃利天狗13:44〜14:28五合目小屋跡14:47〜16:00七丈小屋16:03〜16:13七丈小屋テント場(幕営)
●2/10(日)
07:41七丈小屋テント場〜08:21八合目御来迎場08:25〜09:50甲斐駒ヶ岳10:04〜11:11八合目御来迎場11:11〜11:32七丈小屋テント場(昼食・撤収)13:32〜13:38七丈小屋13:38〜14:35五合目小屋跡14:53〜15:29刃利天狗15:29〜16:30笹の平分岐点16:42〜17:46竹宇駒ヶ岳神社17:49〜17:57尾白渓谷駐車場
天候 | 2月9日(土):快晴! 2月10日(日):快晴! 両日ともに風もほとんどなし。 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
7:45頃頃到着時の駐車率は2割程度。下山時はほぼ3〜4割。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース状況】 アイゼン行きは笹の平分岐点手前から、帰りは竹宇駒ヶ岳神社の吊り橋手前まで装着。 ピッケルは七丈小屋より上で使用。ワカンは使用せず。 ●尾白渓谷駐車場〜竹宇駒ヶ岳神社〜笹の平分岐点 駐車場から舗装された道を進みまずは竹宇駒ヶ岳神社へ。 この道にも雪が付いている箇所有り。 竹宇駒ヶ岳神社の本殿脇の吊り橋を渡り、 しばらく進むと尾白川渓谷と甲斐駒ヶ岳への分岐あり。 南斜面は雪が融けて落ち葉の道となっていて、アイスバーンの雪道とを交互に繰り返す。 笹の平分岐点の手前はかなりアイスバーン化が進んでいて、 この辺りからたまらずアイゼン装着。 ●笹の平分岐点〜刀利天狗 八丁登り付近から雪もグッと増えると同時にアイスバーンとなっているところも目立つ。 尾根が痩せてきてしばらく進むと刃渡りを通過。刃渡り通過後も痩せ尾根を進み、 その後ハシゴとクサリが出現し始める。クサリは雪に埋もれずに出ているが、 この付近のクサリ場は足元が完全に凍結していてカチカチのため アイゼンの刃が入りづらく厄介。 ハシゴ・クサリ場を過ぎると刀利天狗に到着。 ●刀利天狗〜五合目小屋跡 刀利天狗を過ぎると黒戸山を大きく右側(北側)に巻く比較的平坦な道が続く。 黒戸山を過ぎると大きく下り五合目小屋跡の鞍部に到着。 遠くに山頂の姿を目にすることができる。 ●五合目小屋跡〜七丈小屋 鞍部を過ぎると長いハシゴで登り返しスタート。 ここからハシゴとクサリが連続する区間に突入。 この区間のクサリもすべて出ている。 いくつかのハシゴ・クサリを登った後いったん下りになり、 木橋を渡るとハシゴ・クサリの再び急登に。 ここからはほぼ垂直のハシゴなどが連続する七丈小屋までの核心部となる。 クサリ&ハシゴ場を過ぎると左側が切れ落ちたトラバース気味のルートとなり しばらく進むと七丈小屋に到着。 七丈小屋からテン場までは雪の量が多くトレースもなし。 重い荷物を背負って嵌まると抜け出せなくなったりして、今回一番キツかった。 ●七丈小屋〜八合目御来迎場 小屋からは疎らな樹林帯の深い雪の急登となる。 トレースはあるものの雪が深くすぐに崩れてしまう。 剣と石碑まで急斜面を登りきると視界を遮るものが何も無くなる。 正面にこれから向かう甲斐駒の姿、左手には鳳凰三山とその後ろにそびえる富士山。 そして振り返ると登ってきた黒戸尾根と八ヶ岳や奥秩父がバッチリ見渡すことができる。 ここから八合目御来迎場までは開けた登山道となる。 森林限界を越えているため風もあるためか雪はそれまでと違って固くしまっている。 ●八合目御来迎場〜甲斐駒ヶ岳 八合目御来迎場を過ぎるとナイフリッジを通過。 その後、無雪期には急登のクサリ場が連続する地帯となるが、 クサリは下の方を除いてすべて雪に埋もれており、長いルンゼ状の急斜面となっている。 ここが最大の核心部で特に下りは滑ると間違いなく止まらないのでクライムダウンする必要あり。 難所を終了し2本の剣が刺さった剣岩を通過すると、いったん急登が終わる。 しその後トラバース気味に進んでいき、再び急斜面を登りまずは西峰に。 西峰から東峰に進み、北沢峠からの登山道と合流して頂上に到着。 【幕営】 七丈小屋のテン場の利用料金は一人600円 水は小屋で受付すると無料でもらえます この日テン泊は5組 【温泉】 尾白の湯は1月16日〜3月10日まで源泉ポンプ取替工事のため休館。 付近には他に温泉が見つからなかったため、下道で東京方面に向かい たまたま目に入った「ゆーぷるにらさき」に。尾白渓谷からはかなり離れている。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
改めてカレンダーを見ると厳冬期の三連休って今週がラスト。
しかも好天の予報ときている。
これを逃すと次のチャンスは何年後になるか分からない。
ということで黒戸尾根からテン泊で甲斐駒ヶ岳を目指すことに。
ひとつ心配なのが、komemameと一緒ということ。
黒戸尾根は夏に日帰りで登っているので、ルートのイメージはついているだろうものの、
今回は何せ雪とテン泊装備。
難しければ七丈小屋で停滞してもらうという選択肢も視野に入れてスタート。
●2月9日(土)
絶好の天気の中、竹宇駒ヶ岳神社に向かうと鳥居の手前でいきなりカモシカさんに出会う。
落ち葉のようなものを一生懸命に食べていて、
声をかけても手を叩いても我々のことはガン無視。
しばらく騒いでいたらようやくこちらを見てくれた。
吊り橋を渡り登山道に入ると、いきなり雪が付いていて、
やはりアイスバーン化が進んだ雪道と重荷のため、かなりのスローペース。
笹の平分岐まで無雪期の2倍以上の時間がかかっている。
八丁登りをヒーコラ言いながら登り、ようやく刃渡りが見えた頃にはお昼過ぎ。
「もっと早い時間に出発すべきだったなぁ」
「このペースだと七丈小屋まで明るいうちにたどり着けないかも…」
そんな思いで最初のクサリ・ハシゴ地帯をこなして刀利天狗を通過。
五合目小屋跡で幕営することを視野に入れながら黒戸山の巻き道を進んでいると、
komemameがペースを取り戻し始め、14:30に五合目に到着。
休憩がてらkomemameの意志を確認すると
七丈小屋まで頑張る気満々だったので先に進むことに。
ここからはクサリ・ハシゴのオンパレード。
さらには急斜面のトラバースなどで気を抜くヒマがなく、
そろそろ疲れもピークに達しようとしていたときに七丈小屋が見えてきた。
しかし!この日の核心はこれから。
ご存知のように七丈小屋からテン場までは少し離れている。
テン場まで雪が深く、ほとんど踏まれていなかったのでズボリズボリと膝まで埋まる。
下の段のテン場は先客がいて満員。
七丈小屋に着いた時点で、「もう登らなくていいんだ」とキモチは完全に切れていたので、
上のテン場までノートレースの急斜面を登るのがツライことといったら…。
さらに!テン場は使用した跡はまったくなく新雪の平原。
疲れたカラダに鞭を打って雪かき開始。
しかも!整地するためにショベルで掘っても掘っても地面が固まらない。
急がないと日もどんどん落ち始めている。結局50〜60cm掘ってようやく整地完了。
慌ただしくテントを設営し、ゴハンを食べ終わったころには19:30を過ぎていた。
日本酒の熱燗をグイッと飲んですぐに眠りについた。
ちなみに隣では甲府から来たという外国人の方と
少しお話ししながら設営していたのだけれど、
その方は雪を掘った後、いっこうにテントを立て始める気配がない。
気がつくと掘った穴(雪洞ではなく上は完全に露出)の上でシュラフに入り読書を始めた。
朝凍っちゃってるんじゃないかと心配したけど、
翌日起きてテントから覗くと出発準備をしていました。
これはもうカラダのつくりが完全に違いますね…。
●2月10日(日)
6:00起床。相変わらずテン泊だと良く寝てしまう。本日も出遅れ気味。
黎明の空を撮影後、急いで朝食を食べて山頂に向かう。
出遅れたおかげで、先行者のトレースがありありがたい。
でも森林限界を越えるまでは雪が多く踏み抜き多発で体力を奪われる。
八合目御来迎場からは最高の天気とほぼ無風の中、大展望を堪能しながら進んでいく。
しばらく歩くと痩せ尾根となりこの辺りから剣岩までがルート的には一番悪い箇所。
下りのことを考えちょっとブルーになりながら何とかkomemameと一緒にクリア。
山頂は風もなくポカポカ陽気。
今回、甲斐駒は3度目となるけど相性が良いようで3回とも晴れの山頂。
最高の眺望をしばらく楽しんで下山開始。
悪いところは一歩ずつゆしっかり足場をつくってクライムダウンで時間をかけて通過。
八合目御来迎場まで一緒に戻ってこられた時にはホッとした。
テン場に戻ってくると暖かく、外に雪で椅子とテーブルをつくって昼ゴハン。そして撤収。
下りはクサリ・ハシゴの通過に難儀して、これまた予想よりも時間がかかってしまい、
最後は暗い中歩かないといけないかなと覚悟して降り続ける。
日帰りの時もそうだったけど、下りの笹の平付近からが疲れが出始めてシンドイ。
今回もこの辺りからヘロヘロになり、やはりラクさせてくれませんでした。
この時期、樹林帯の木々は枯れ落ちているお陰で意外と暗くなるのが遅く、
何とかヘッデンのお世話になることなくギリギリ暗くなる前に下山完了。
今回は好条件が重なったおかげで、無事に二人でピークを踏み下山することができ、
感謝のキモチで一杯の山行となりました。
黒戸尾根。
無雪期はトレランの方が駆け抜けたりしていて何と言うかカラッとした印象だったけど、
雪道の中、一歩ずつ時間をかけて重い荷物を担ぎ上げて、降りることで、
本来の修験道の山としての雰囲気を味わうことができた。
気絶するかと思うほどしんどかったー、長かったー、怖かったー><
でも、行って良かった!!!充実度満点の黒戸尾根♪
【1日目】
黒戸尾根は去年の夏に日帰りで歩いたところ。
だから今回私は、どこかで「夏に行ったことあるし〜」と、タカをくくっていた。
でも思い返せば、あのときも長〜い道のりに、帰りはへとへとだったんだった。
スタート間もない時点ですでに「辿り着かないのではないか…」という不安がよぎる。
テン泊用の荷物&食料など荷物の重さに加え、アイスバーン&ずぼずぼ埋まる雪の道。
さらにはくさり場、雪で埋もれた垂直のはしご、つるつるに凍った岩。
ぜんぜんペースがあがらず、歩けども歩けども、目標地点に辿り着かない。
まさに夏と厳冬期の違いを身を以て知る。
…ちなみに夏のレコを見てみたら、2倍以上の時間がかかっていた。
救いだったのは、すばらしい天気と絶好の景色。
刃渡りの手前、樹林帯から覗く富士山がきれいにくっきり見えたときは、
思わず「あ〜!」とため息。
その後も素晴らしい景色が助けになって、一歩一歩歩くことができた。
そして七丈小屋のテン場から見えたオレンジ色の夕焼けときらきらの夜景。
私の山人生でこんなきれいな景色を見たのははじめてかも!?
ここのテン場はまたぜったい来たいところ!
【2日目】
実はdanyamaには黙っていたけれど、
前日、眠りにつくときは、頂上に行くのはやめようと思っていた。
だって、あまりにも疲れてしまったし、
来た道をまた下るのかと思うと、気が遠くなってしまったから。
でも、なんで翌朝行く気になったんだろう??
早朝テントから見えた朝焼けがうんときれいだったこと、
頂上を目指してテン場を早々に通り過ぎていく先行者の足音とピッケルの音が聞えたこと、
朝食べた野菜たっぷりのしょうゆラーメンがおいしかったこと。。。
自分でもよく分からないけど、いろんなことがプラスに働いたのか、
自然と出発の準備をしていた。
山頂への道は、正直怖かった。「なんで来ちゃったんだろ」と何度も思った。
一歩間違えれば、どこまでも落ちていきそうな斜面。
ひとりじゃぜったい登れないし、下りられなかった。
「ここに右足をかけて、次にそこの岩を手でつかんで…」と、
ひとつひとつdanyamaに指示をもらいながら、すすんだ。
終始「ぜったい安全に帰るんだ!」そればっかり考えていた。
無事竹宇神社に戻って来れたときは、
心から「ありがとうございます」と何度も何度も心の中でお礼をした。
今回は、経験的にも技術的にも学ぶことが多いものだった。
そして、いろんな意味で自分の“まだまだな感じ”を思い知らされる。
なんだか自分の弱さと向き合ってしまう、生真面目な思いにさせられる山行だったなぁ。
それにしても、このレコを書いている今、全身が痛くて痛くてたまらない…
あぁ、連休明けの仕事、しんどそう〜。。。(すでに弱音…)
danyamaさん、komemameさんはじめまして。
同じ日に単独でテン泊だったものです。
下のテン場でモンベルのテントでした。
翌日は夜明け前に私は出発したんですが、シュラフだけで寝てた外人さん見て私もビックリしました
凄い人がいるもんですね^^;
10日は風が強いとの予報だったんですが、ほんと無風で2日間最高でしたね!
私も北アルプス見えないなーと思ってたら向こうは荒れてたみたいで西穂ではまた2人が亡くなったそうです・・・
お互い無事登頂でき無事下山できて良かったです。
ほんとにお疲れ様でした!
maedatomoさん
はじめまして。
コメントありがとうございます!
maedatomoさんは剣岩付近ですれ違った、
アタマにカメラを付けていらした方ですよね?
動画拝見しました。臨場感があっていいですね。
「そうそうこんな感じだったなぁ」と記憶が鮮明に甦りました。
それにしても息も絶え絶え七丈小屋に到着し、
maedatomoさんがいた下のテン場が満員だったのが見えた時、
今回の山行で、一番絶望感に打ちひしがれた瞬間でした(笑)
上に登るのがツラかった〜。
そうそう、あの外人さんにはたまげましたね。
たま〜にいますよね東京にも。
真冬なのにタンクトップで観光している人とか。
ホントにコンディションに恵まれた2日間で、
お互い無事にピークを踏み下山できてよかったです。
西穂独標の遭難、状況がリアルで、
いたたまれない気持ちになりました。
冥福を祈るばかりです…。
こんばんは。相変わらず、タフな山行をされてますね
danyamaさんは兎も角、ついて行くkomemameさんも凄いです。
黒戸尾根、今度夏に挑戦して見ようと思っていますが、
途中でめげそうになったら、このレコを思い出して自分に鞭を入れようと思います
しかし外人さん凄いですね。笑ってしまいました。
danymaさん、komemameさん、こんばんは!
komemameさんの感想を読んでたら、涙がでてきてしまいました
私もどうしてこんな所に来てしまったんだろう、もう帰れない、一歩も動きたくないと何度か雪山で思った事があります、、。一つ一つ、指示をもらわないと下りられない。
『まだまだなんだよ』って思い知らされます。私もkomemameさんと同じで気持ちだと改めてレコを拝見し共感、感動しました。
最近、私にはこれ以上は無理なのかもとちょっと弱気でしたが、レベルアップも焦らずに少しずつ、特に1人では無茶しないで、頑張って行こうと思いました。
ご無事に下りてこれて、本当によかったですね。お疲れ様でした。
usatakoさん
こんばんは。コメントありがとうございます!
この日はほとんど風もなくて穏やか。
コンディション抜群で、歩くことだけに集中できたから、
私でも山頂を踏めたんだと思います
ほんとにほんとにラッキーでした。
外人さん、歩くのもちょー早いし、寒さにも強いし、
わたしもあの体力が欲しいー、と心から思ってしまいましたョ。
ちなみにこの外人さん、イケメンでした
夏の黒戸尾根もおすすめですっ。私も夏にまた行きたいと思っています
mipomipoさん
私の思いっきり弱気な山行記録に、あたたかなコメントありがとうございます。
すっごく嬉しかったです
甲斐駒ケ岳は夏に歩いたことのある道だったので、
今回、雪山になるとこうも厳しさが増し、変貌するのか、というのを目の当たりにしました。
「私は来ちゃいけなかったのかもしれない」って何度思ったことか…
でもやっぱり、それでも雪山が好きなんですよねー。
自分は「まだまだ」だということを心に留めつつも、
雪山での経験を大切に、楽しんでいきたいと思っています!
mipomipoさんは私にとってめちゃすごい人、目指す人なんで、
こんなこというのはおこがましいですが、
いっしょにレベルアップがんばっていきましょーー
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