下ノ廊下(黒部ダム→欅平:阿曽原テン場大混雑)
- GPS
- 11:38
- 距離
- 36.4km
- 登り
- 6,817m
- 下り
- 7,698m
コースタイム
- 山行
- 5:47
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 6:06
天候 | 10/31 1日中快晴 11/1 曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
当日朝4時過ぎに駐車しましたが30台程度しか停まっておらずガラガラ。9月の3連休は超絶混雑で切符売り場も長蛇の列だったので念のため早めに行ったのですが、拍子抜けでした。 扇沢から1番バス(7時30分発)に乗って黒部ダムまで16分。 下ノ廊下へはバス停留所の先頭からダムへ出ずにダムの下へ直接下る別ルートで。そこで登山届を記入・提出できますが、モタモタしていると阿曽原のテン場確保が遅れる可能性が大きいので、ネット経由などで事前に提出したほうが良いと思われます。 帰りは欅平から1番トロッコ(9時37分発)で宇奈月温泉まで約1時間20分。その後は以下の経路をたどって車を回収しました。 欅平0937〜(黒部峡谷鉄道1980円)〜宇奈月1059/宇奈月温泉1116〜(富山地鉄1690円)〜電鉄富山1253/富山駅1410〜(濃飛バス2100円)〜平湯温泉1711(泊)0850〜(濃飛バス2700円)〜松本BT1015/松本1120〜(JR大糸線680円)〜信濃大町1215/信濃大町駅1220〜(アルピコ交通1390円)〜扇沢駅1300 |
コース状況/ 危険箇所等 |
「黒部に怪我なし」 黒部ダム建設時に作業員の間でよく言われた言葉です。下ノ廊下を歩くときは、まさしくこの言葉が当てはまります。その意味をよく考えたほうが良さそうです。 また、ルートが非常に狭いので自分より速足の人が来たら、場所を見計らって躊躇わずにさっさと抜かさせましょう。人や物の気配など周囲に注意を巡らせることも大切です。 一方で、速足の人は普段抜かされる機会が少ないので抜かされる側の心境を深く考えていないのかもしれませんが、迫られると結構心がザワザワします。特に吊橋やハシゴでそれをされると身の危険も伴いますので、幅寄せしないのが良心であると心得ましょう。吊橋やハシゴは1人ずつ!! まず、下ノ廊下を歩く際のポイントは大まかに言うと4つ。 1.頭上注意 岩が被って天井が低いところや、雪の重みにひしゃげた木の幹が垂れ下がっているところでは頭をぶつけやすいです。落石云々以前に自分の頭を守るためにもヘルメットは必須です。パーティなら声を掛け合いましょう。 2.ザック注意 ルートが狭いところが多いので、ザックが岩や木の幹に引っかかりやすいです。カラダは通ってもザックが通りにくい場合があるので、大きな装備(特にテント用のスリーピングマット)を横に付けることは避けたほうが良いです。やむを得ず付けるのならせめて谷側にするべきですが、左右の重量バランスを崩しやすいのでパッキングで重量配分を変えるなどのマニアックな工夫が必要です。 3.ストック不要 ストックは持参しても使う場面は少ないかと思います。使用することで却ってバランスを崩すものと考えられます。支持基底面を広げられるほど広い場所は多くありませんし、落石の誘発や石突きでのスリップによる事故にも繋がりかねません。 4.ながら歩きは厳禁 読んで字の如し。絶景が至るところに広がりますのでどんどん写真を撮りたくなりますが、マルチタスクは人間の脳でも非常に高次な機能ですので、スマホやデジカメをいじりながら狭路を正確に歩くことはそれほど上手にできないようになっていると考えておきましょう。 次にルートのポイントを列記します。あくまでご参考までに。 ・黒部ダム〜黒部別山谷 ダムの上から下まで一気に降りますが、朝方に気温が低いと凍結していることがあります。スリップ注意。そこから内蔵助谷出合までは比較的歩きやすいですが、濡れていたり凍結していたりするところもあります。黒部別山谷出合の近くにある大ヘツリのハシゴ桟道は高いところが苦手な人は大変。時間が遅くなると阿曽原から来た人と黒部ダムから来た人が行き交いボトルネックになりやすいです。譲り合いの精神で! ・黒部別山谷〜白竜峡〜十字峡 黒部別山谷〜阿曽原間ではこのエリアが最も切り立ち、岩が被っていると思われます。このエリアでは十字峡までこれといった休憩適地が見当たらないので、この間の1時間半程度が踏ん張りどころでしょうか。 ・十字峡〜半月峡〜S字峡〜東谷吊橋 十字峡までよりも危険箇所は落ち着きますが、油断は禁物です。東谷吊橋に向かう急な下りは、疲れた脚に結構堪えるかもしれません。 ・東谷吊橋〜仙人谷ダム内部〜飯場(人見平) 下ノ廊下ルートで唯一の落ち着いた場所。作業用の広い道があり、ダムに掛かる橋を横切って右下の階段を降りるとダム内部に入ります。中は時々ダム作業員の方やトロッコが通りかかるので、邪魔にならないよう。ダムの外に出ると飯場(宿舎)があり、その前が広場になっており、休憩適地です。 ・仙人谷ダム飯場〜阿曽原温泉小屋 飯場前の広場を過ぎるとすぐに急登が始まります。標高差120m程度で距離も短いですが、ここまで歩いてきた脚にはかなり堪えるのではないかと。金網が張られた大岩まで上がると再び水平に。途中トンネル1箇所。最後はほぼ同じ標高差を降って阿曽原温泉小屋着。この下りはいつも泥濘んでいますので、スリップに注意が必要です。 ・阿曽原温泉小屋〜オリオ谷出合 欅の始発トロッコ(9:37)に乗る場合、テン泊装備で脚の速さに自信がなければ阿曽原を4時前には出発したほうが良いです。速い人でも4時間程度は見ておくといいと思います。朝イチから140m程度の登り。その先はハシゴが所々あるものの、これまでに比べると平穏と思われます。 ・オリオ谷出合〜志合谷出合 長く切り立った危険地帯が続きます。特に志合谷出合付近は200mほどの急峻な崖が続いており、今シーズンも残念な事故が起こっています。また、志合谷出合は長く水浸しのトンネルがありますので、ヘッドライトは必携です。阿曽原を出発してから外さずに付けておくと楽です。 ・志合谷出合〜パノラマ展望台分岐 志合谷出合から短いトンネルを2つほど過ぎるとルートが比較的落ち着きますが、そこから結構長いです。始発トロッコに乗るなら時間とペース配分を計算しながら歩きましょう。「山と高原地図 剣・立山2020」では1時間30分と記されています。 ・パノラマ展望台分岐〜欅平駅 いわゆる激下り。標高差約250mとこれまでで最も急な下りです。つまり、欅から阿曽原に向かう場合は最初が最も急登ということを意味します。疲れが溜まった状態での急な降りなので、転倒には要注意。 |
その他周辺情報 | 阿曽原温泉のテン場はテント代800円+入浴代700円で1500円/人。今年は小屋営業ありませんが、小屋泊者は宿泊代に入浴代込です。温泉入浴は時間制で偶数時は女性、奇数時は男性、20時以降は混浴(その時々によって時間割は異なる模様。詳しくは小屋前に掲示されています)。 小屋は休業していましたが、スタッフ総出で登山者をお出迎えくださいました。また、ビールの自販機は稼働していました(500ml/800円)。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
携帯トイレ
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
ファーストエイドキット
ツェルト
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感想
阿曽原温泉小屋が閉まる前にと、2年ぶりに下ノ廊下を歩いてきました。
2年前は黒部ダムピストンでしたが、今回は欅平まで。
扇沢駅〜(トロリーバス)〜黒部ダム〜内蔵助谷出合〜別山谷出合〜白竜峡〜十字峡〜S字峡〜仙人谷タム〜阿曽原温泉小屋テン場(泊)〜折尾谷出合〜志合谷出合〜パノラマ展望台分岐〜欅平駅〜(トロッコ列車)〜宇奈月駅
高所恐怖症のkun_puさんも、このひと夏であれこれ歩いてだいぶ慣れてきただろうというタイミングを見計らい、秋山登山の締めとしてかねてから行きたいと言っていた下ノ廊下を選びました。
前月の立山縦走時の扇沢激混みの記憶も新しいことから、早い時間に扇沢に行ったのですが、さすがに既に積雪のある立山へ行く人は少ないらしく、思ったよりもずっと空いていました。
が!阿曽原温泉小屋が11/2で今シーズンの営業を終えること、そして今年はコロナ禍でテン泊のみ、小屋営業は中止ということもあり、今シーズン最後の下ノ廊下縦走者が多数訪れることが予想されていたし、ロッジくろよんに前泊する登山者もいると考えられたので、「絶対に1番バス(7時半)、それも先頭の方」「登山届は先に出しておく」という2点を示し合わせて入山しました。
今シーズンは下ノ廊下を歩く全登山者がテン泊装備なので、全体的に足が速い人が多いと予想されましたが、果たして黒部ダムにトロリーバスが滑り込んだ瞬間から妙に殺気立った雰囲気。。。ぼくたちは早すぎず、遅すぎずのペースで歩こうと思うも、後方から速足の登山者が次から次へとこられた上、高所恐怖症のkun_puさんは下ノ廊下の切れ立ったルートを歩くだけでも精神的に堪えたようで、序盤はだいぶ疲れてしまった様子でした。
十字峡を過ぎると次第に各々のペースがばらついてきたのか、追いつかれることも追いつくこともほとんどなくなり、落ち着いたペースで歩けるようになるとともに、kun_puさんも下ノ廊下の雰囲気に慣れてきて写真を撮る余裕が出てきたようでした。
阿曽原温泉小屋のテン場には14時前に到着。この時点では20数張程度の幕営数であり、ほぼ希望通りの場所にテントを張ることができましたが、どう考えてもただでは済まない日になることは予想されました。
温泉は密密の芋洗い状態でしたが、この山奥で湯に浸かれるとは何と有り難いことか。
温泉から帰ってくると、後続の縦走者が次々と到着し始めてテン場はカラフルに。2時間ほど経つと通路もなくなるほどの密集に。9月の涸沢や雷鳥沢はこんな感じだったんでしょうか。。。
やがては温泉への下り坂の途中の広場や小屋の前にまでテントが溢れ出る状態、小屋の方によれば、139パーティ、221人がキャンプしたそうです。
ここまですごい状況になったことがかつてあったのでしょうか。。。小屋のスタッフの方々、本当にありがとうございました。
翌日も欅のトロッコの混雑を避けるために4時過ぎに一番発ち。幾人かの速足の方々に先を行っていただいたものの、2日目ということもありkun_puさんもかなり余裕が出てきたようで、いろいろと道草を食いながら予定通り1番トロッコ(9:37発)に間に合い一安心。そこから長い旅路を経て翌日の昼に扇沢に戻り、デポした車を回収して帰路につきました。
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それにしても、この長いルートを色んな人が歩いています。
予め阿曽原温泉小屋のブログを読んでいるのに遅い時間に来て、早く着いた人たちに場所を開けてもらうことを前提にしている人、体力切れで明るいうちに阿曽原に着けず、仙人谷ダムの飯場の前でビバークする人、最後の登りで荷物を担げず常駐の警備隊が歩荷をしてあげてやっとたどり着いた人、細い崖ルートでストックを片手に持ちながら及び腰で歩いている人。。。
体力、歩荷力、地図読み力、時間管理力、情報収集力など、登山ではデバイスを用いられない原始的な力を多く必要とすると思いますが、いちばん大切なのは想像力と思いやりの力、この2点なのだろうなと思いました。
下ノ廊下はいつかは行ってみたい場所でしたが、
高所恐怖症なのでなかなか勇気が出なかったですが、最近の山行で体力がついてきたのとmotchさんがいるので思い切って連れて行ってもらう事にしました。
1日目は怖すぎて全く景色を楽しむ事が出来ませんでしたが、2日目は慣れたのか写真を撮れる余裕がでました。
山で温泉に入れるなんて最高です!
今までピストン山行が多い自分にとって、
トロッコに乗り平湯経由で帰るなんて自分には思いつかない山行なので豪華な山旅で大満足でした!
こんにちは、motchさんkun-puさん
記録的な少雪だったから、天気さえ合えば狙い目だった事に気付かされました。かと言って雪少ないのもテンション下がる訳ですが。
鎖や番線が何処でも、というわけにはいかないでしょうが、離合用にスリング+カラビナは用意してもいい感じでしょうか?
最後の一言、motchさんらしいですね。それとも、かなり丸くなりましたか?(冗談です)
お疲れ様でした!
おはようございます。
今年は谷の出合に雪はほとんど見られませんでした。
前月に行った剱沢でも例年よりも雪が少なかったことで、各バリエーションルートも早々に入れなくなってしまっていたようです。
kun_pu氏用に一応スリング&ロックビナは用意しましたが、一度も使いませんでした。
使うほど微妙なスタンスを要求される場所はありませんでしたし、使う余裕があるくらいなら先に進んだほうが良さそうでした。危険なところは大抵針金が通してありますので、それでバランスを取ることはできそうです。
最後の一言について。
普段はここまで混むテン場に行くことはないですが、今回は覚悟の上で行ったもので、行くからには多くの人ができるだけ楽しめればいいなあ。。。って考えれば、やっぱり想像力と思い遣りが必要なのかなあと。
あれだけ小屋の人が混むからね、長いからね、日が短いからね、と警鐘を鳴らしていても、聞く耳も持たない人も来るわけですし、皆が皆一番バスに乗る余裕があるとも限らないですしね。
それに、これだけアクセスの悪い場所に来てテント張れませんでした、では帰ってね、というわけにも行かないですもんね。
(どうしても張れない場合や時間切れの場合は仙人谷ダムの堤前か飯場前に張る人も。。。いるとはよく聞きます。とんでもなく遅発ちの人は十字峡の広場前に張ることも。。。💧)
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