木曽駒ケ岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 21.3km
- 登り
- 2,005m
- 下り
- 2,005m
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
登山を始めて3年、何故か毎年登る羽目になっている木曽駒に今年も再びアタック。というのも登山を始めたきっかけが新田次郎を読んだことであり、聖職の碑を見るためであり、木曽駒に登ることであったからだ。1回目はロープウェイから出発し、悪天候のため8合目で断念。2回目は桂小場から出発し、時間切れで西駒山荘で断念。上からも下からも、あと一歩のところで引き返してきた。今回はまさに満を持し、桂小場からスタートで山頂小屋泊まりする余裕のスケジュール。膝がぶっ壊れているのでスーパースローペースでの登頂を目指す。
9月11日、7時前くらいに桂小場をスタート。屋久島の宮之浦岳の時といい、今年は山運が良く快晴に恵まれ、碑への期待が高まる。のと反比例して、まだ1時間も歩いてないってのに膝がおかしなことになってくる。だらだらとした緩斜面の上り坂が続く。下山時にこの坂が膝へとどめを刺すことは経験済み。やっぱり今回も、下山中ここで足腰がバカになった。
緩斜面を登り続けると、胸突き八丁へ到着。ここから急登が始まる。けど膝を壊してからというもの、急登ってのは下山の衝撃に比べれば大した敵では無い。息が切れるのはペース配分でなんとかなるけど、膝が痛いのはどんなペースでも痛い。で、この道を行くのは2回目ってこともあり、どれくらい歩けば良いのかも何となく分かっているので、さくさく登っていく。
そして胸突きの頭へ到達。ここからちょっと歩くと稜線に出るので、ようやく展望が開ける。季節は秋に入り、色んな草木に赤い実がついて、秋の花々が咲いている。やっぱり晴れているときの登山は色々見ることができて楽しい。
西駒山荘を通過すると、前回「これか?まあこれだろう」と無理矢理納得してお茶を濁した、偽聖職の碑が現れる。これ自体にもなんか由来がありそうなもんだけど、周囲にはそれっぽい説明無し。偽碑を通過して、ほんの少し。前回ここまで近づいていたのかと愕然とするほど近く。ついに・・・
キターー!!
こっちが本物。ついにここまで来ることができた。明るい秋の日差しを照り返し、あたり一面白く輝いている。噂通り、すっかり風化が進んでいる。横には近年追加され、景観論争に発展したというミニ碑も。確かにこのミニ碑は要らんでしょう。後ろに白い看板があるんだから、そっちを書き換えりゃ良いもんだと思うけど。この看板も風化が進んで殆ど読めません。
碑の場所から、碑を背にして山頂方面を眺めると、晴れ渡って素晴らしい展望。これから進む馬ノ背の尾根道(赤線)もくっきり青空に伸びている。遥か遠くに見える山頂。もう碑を見るっていう目的は達成したし、明日天気が悪くなることは分かってるし、これ以上行きたくない・・・けど、相当ガタガタになってる足で下山はもっと無理。仕方なく前進。あんなに良い天気だったのに、山頂へ近づくに従い、どんどん雲の中へ入っていく。
遭難記念碑を通過した後は、馬ノ背の急登。ここにきての最後のこの傾斜は、もう膝必殺。ていうか膝とかなんとかではなく、とにかくもう、疲労困憊。風も強く、展望はしばしばガスで閉ざされるようになる。ストックを片付けて、よじ登っていく。時間がまだ早かったので、ゆっくり行くことができるだけまだ、わずかに救い。
へろへろになって、ようやく山頂。朝7時に出て相当ゆっくり登ってきたとは言っても、まだ3時半。でも一面白いガスの壁で散策する気も起きない。というかそれ以上に足が痛くて一歩も余分に歩きたくない。山頂小屋まで「あと4分」の看板から10分以上かかって、倒れこむように到達。17時には肉じゃがとご飯の晩餐を掻き込み、濡れた下着を換えるのもおっくうで、そのまま18時には就寝(寒い)。疲れていたので、この時間からでも意外と寝れる。朝は5時前に朝食。夜より更に寒い。雨こそ降っていないが一面真っ白で、風が轟々と音を立てている。予報通りの悪天候。でも食堂ではお味噌汁もあったかいゆで卵も食べれて非常に感激。山小屋初体験の私にとっては、想像したより食事がデラックスだった。物資はヘリで運んでるらしいけど、人の棲まざる場所で、こうして猛烈な風雨をしのぎ熱いものを食べれる、ということへ素朴に感動した。
(二日目)
頂上は荒れていた。周りは何も見えず、押し倒されるほどの強風なので早く下山したい。ひたすら寝てただけなので、膝の疲労も随分回復した。下山したら下界は晴れているはず、温泉とソースかつ丼が待っている。立ちふさがる白いガスにソースかつ丼を見る。まって〜いかないで〜かつ丼!
下山は来た道ではなく、「聖職の碑」コース。この道を遭難した人々が暴風雨の中倒れて行ったのだ…とか感慨にふける余裕は全くない。風は無いけどぬかるんだ細い登山道。ガスでしっとり濡らされながら進んでいく。樹林帯に入ってからはたくさんの高山植物が咲いていて、大して植物に興味のない私でもちょっと反応してしまう。まあ晴れてればたくさん写真も撮ったんだろうけど、霧だし・・・カメラ出すと濡れちゃうし・・・
8合目の馬ノ背分岐にほど近い、濃ヶ池のほとりには小さな観音様か何かが立つまさに賽の河原で、霧の中音もなく、彼岸に立つとはかくあらん、心細い思いだった。
ここからは昨日来た道をひたすら下る。霧の中から現れる遭難記念碑の方が、その由来として風情がある。もうここには来ることないだろうな〜と思いつつ通過。触っとけばよかった。でももう余分なことは例え1歩たりともできないほど、膝は予断を許さない状態で、写真も撮らず、周りを見ることもなく、ただひたすらに下山することだけが目的の下山。足が完全に動かなくなる寸前で、桂小場登山口に到着。なにをどう下りてきたのか、もう何にも覚えてません・・・とにかく、登りの何倍も下りは辛かった。と相変わらずのコメント以外浮かばん。
山小屋泊りだったので入浴も着替えもしてないから、とにかく日帰り温泉へ直行。足を引きずりながら湯船へドボン!下着も換えてスッキリ!ソースかつ丼を満腹平らげ、地ビールでええ気分になりました。帰ってきて、こう人並みなことをしてると、なんとなく山のことは忘れてしまう。で、こんな辛かったのに、碑晴れとったな〜かつ丼旨かったし・・・と良いとこばかり覚えてるから、またヒザぼろぼろにしながら、どこかの山に登るんでしょう。非常に印象深い山行となりました。
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