【境界作戦】三頭山・奈良倉山・大マテイ山【小菅周遊山歩】【丙51.2】
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- GPS
- 07:46
- 距離
- 23.4km
- 登り
- 1,938m
- 下り
- 1,763m
コースタイム
- 山行
- 6:57
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 7:46
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:西東京バス玉川バス停〜JR奥多摩駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況: 奥多摩湖の浮橋は終了。 三頭山はいきなり急登から始まる。 奈良倉山〜大マテイはあまり歩かれていないのか降雪のためか雪上にトレース無し。しかし、道がどこかはわかる。 三頭山までの雪はザクザク、以降はシャーベット状に。 雪は急勾配の所以外は恐れることは無い。が、片側が崖の細い道など景色に見とれて足元を疎かにしないこと。 |
写真
感想
桜が舞い、雪が積もり、若葉が顔を出して鯉のぼりが泳ぐ。甲武国境周辺を巡りながら季節の境目も巡ってきた。
休みをとった月曜日。前日までとは打って変わって天気は上々。
どこへ行こうかしらと考えた時に奥多摩方面というのがまず浮かんだが、最終候補は雲取、小菅、小金沢連嶺の3つに。
しかし、
・前日降雪があったようなので、2000m級は回避しよう。
・平前日だし、軽く済ませよう。
・久しぶりに小菅の湯に行きたい。
ということで、小菅周辺を軽く山歩することとした。
前日は自転車のタイヤのチューブを交換し、小菅の湯が月曜やっているかどうかとドラム缶の浮橋がまだあるかだけ確認してさっさと寝る。
当日、武蔵小金井駅近くの吉野家で腹ごしらえをして中央線に乗り込む。車窓からはドヨンドとした雲が垂れ込めているのが見えたが、日が昇るにつれて雲は姿を消し、青い空とまばゆい太陽の光に照らされて輝く多摩川、奥多摩湖、山々の姿があった。
ドラム缶の浮橋は既に撤去されているので小河内神社バス停ではなく、深山橋バス停で下車。早速歩き始める。奥多摩も桜は終わったと思っていたが、まだ若干残っていて風に花びらが飛んでくるのが嬉しい。
三頭山の正面を南の都民の森入口とすれば、背面である北側からのルートは登山道に入っていきなり急登で体にやさしくはない。どこからともなく桜の花びらがちらほらと舞い落ちてきて慰みになる。
緩やかな登りと急な登りを繰り返しつつ歩いて行くと雪が姿を現し、その量が次第に増してくる。ヌカサス山手前では、ただでさえ急勾配で荷重が下後方にかかるのに、雪が積もって崩れたりするので恐る恐る進む。そんなこともあって尾根に登ってからはかなり気が楽になった。三頭山北面というだけあって雪は固めで踏むとザクザク言う。人が立てる音といったらそれだけ。
三頭山頂周辺は日当たりがよいこともあり雪は軟らかくなる。西峰では静かな山頂に雪が融けるジワジワという音のみ響いていた。そんな中で東峰では奥多摩湖以東の山々、西峰では奥多摩湖以北の山々と南方冨士周辺の山々が期待通り、青空に威容を誇っている。近くの山はどこも真っ白だ。なぜか嬉しい。4月も下旬に入っているのに雪を踏みしめていることのありがたさか、はたまた、このような素晴らしい光景を独り占めできていることへの喜びか。最初は物事の半分と言うが、まさに最初が肝心だ。久しぶりの本格的な山歩きで、しかも足を踏み入れたら雪が大量に積もっているということで不安もあったが、三頭山からの景色に士気はいよいよ高まる。
三頭山だけでも十分満足し得る成果だが、いよいよ小菅村へ。この小菅〜三頭山間については甲武東上戦時に苦い思い出もあるので気を引き締めて下る。さらに雪道だ。三頭山北面とは違い、雪が軟らかくなっているため時折足をおくとズシャーッと崩れる。積雪が多くないので滑る余地があまりないことと、雪解けにより地面が結構露出していることに助けられた。
鶴峠から奈良倉山登山口に入ると、JTの植林している森ということで村なのに道が広く歩きやすい。JTのCMで植林事業への取り組みを喧伝していたが、こんな間近でやっているのかと驚く気持ちがある。CMそのものはイマイチだと思うが。
そんな整備された道が大きくつづら折りになって上っていく。歩きやすいといえば歩きやすいのだが、架線工事等の作業をしている所を過ぎると人の足跡が無くなった。便が悪いとは言え、奈良倉に来る人が少ないとも思えないので、これが前日に降った雪なのだろう。三頭山付近の足跡はくっきりしていたので、あちらはほぼ残雪で、降雪は主に山梨であったのだろう。ちなみに手入れがされている=日がよく入るせいか、三頭山から降りてきたときは標高1100mを割ったあたりから積雪が激減したが、奈良倉山では標高1100mを回復しても積雪はさほど増えなかった。
それでも山頂付近は靴が8〜9割方埋まる程の積雪。指で見ると第2関節あたりまで+靴底下1〜2センチで合わせて7〜8センチと見た。以後、大マテイを過ぎるまで積雪の程度は同じくらい。
雪の山頂は相変わらずの好天でまたもや絶景を独り占め。自分の前を誰も歩いていない雪道を歩むと、あたかも自分が開拓者であるかのように思えてくる。その開拓の成果が画像に見られるような珠玉の山容だ。もう気分はゴールドラッシュ時の山師である。
以降、燦燦たる陽光の下、時折木々から落ちる雪が立てる物音にびくついたりしながら歩いたのだが、さすがにサングラスは用意しておけばよかった。
展望は各山頂と松姫峠からの眺めが遮るものがなく非常に素晴らしい他、稜線上歩きでも木の枝越しではあるが奥多摩、南方の山々常に視界に入る。カメラで写真を撮りたい人にはストレスフルだろうが、肉眼で十分楽しめる。そんな展望歩きが楽しめるのも葉が無いこの時期だからこそ。大型連休を過ぎると、若葉が木々を覆って展望は山頂(と松姫峠)だけになってしまうのだろう。
鶴寝山、大マテイ山と巡って下山分岐に至ると久しぶりに人の足跡が見つかった。どうも大菩薩〜小菅の湯間がメインストリームのようだ。下山に移ってからもしばらくは山稜を眺めながらの山行がモロクボ平まで可能である。ただし、左手側が物凄く急な坂すなわち崖になっているので、誤って足を踏み外さないよう注意が必要。
小菅の湯へはワサビ田経由の道と尾根筋のモロクボ平経由の道があり、メインストリームはワサビ田経由の道だ。進む道を選択してからそのことに気がつき、我が人生かくのごとしだなとしみじみ思う。雪が積もってそれが無くなった後の道はたまにぐっちょんぐっちょんになっていたり、不分明になっていたりして先行者のトレースが無いと不安になるのだが、モロクボ平経由の道人跡無しといえども無事通過。樹林帯に入る頃には雪もほぼ無くなり無雪期の山歩きと同等となる。
最後、下山したところで沢を橋で渡るのだが、日常と非日常の境目を表象しているようで面白い。橋を渡ったところで満開の桜の木が私を出迎えてくれた。
振り返り、今回歩いてきた山々に感謝と別れを告げる。
東京と山梨の境を巡り、冬と春の境を巡った。出迎えてくれたのは、桜をはじめとする花々に、新たに芽吹いた若葉に、白銀の雪に、青い空、輝く太陽、雪化粧をした山々、鳥のさえずり、……あらゆるものが私の感性をくすぐり、楽しませてくれた。私は幸せものだ。
今回の山行は私に「やっぱり山が好きだ」と再確認、再認識させる実り多き散歩であった。
ありがたや。ありがたや。
〜おしまい〜
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