下の廊下(室堂〜剣沢〜池ノ平〜仙人池〜阿曽原〜下の廊下)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.6km
- 登り
- 2,896m
- 下り
- 3,874m
コースタイム
*寝不足による体調不良と雨のため、記録なし。おぼろげな記憶とコースタイムからの逆算です。
10月12日(日):4:30真砂沢ロッジ-5:30四ノ沢-6:00〜15二股-8:05〜30仙人峠-8:50〜9:00池ノ平-9:30〜10:00仙人池-
11:45仙人温泉小屋-14:30〜40仙人谷ダム-15:50阿曽原温泉小屋(泊)
10月13日(月):6:00阿曽原温泉小屋-7:00仙人谷ダム-8:40半月峡-9:20〜50十字峡-10:50白竜峡-14:35〜50内蔵助出合
15:40黒部ダム下-16:25〜35黒部ダム駅-16:50扇沢
天候 | 10月11日(土):雨のち曇り 夕方より晴れ 10月12日(日):晴れ 10月13日(月):快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2008年10月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
剣沢の雪渓は、クレバスや崩落が大きく、一定の所しか歩けない状態でした。 剣沢小屋などで情報あり。 下の廊下は、危険箇所には迂回路あり。ただ、迂回路のほうが危険箇所よりも怖い。 別山谷出合の雪渓はまだ厚く、横断可能でした。 雲取新道のコースタイムは厳し目のようです。 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
今年の紅葉山行は、秘境 下の廊下へ。
予想外の出来事だらけでものすごく恐怖な・・・でも素晴らしい経験ができました。
金曜日の夜出発、1時半ごろに扇沢駅近くまで。なんか知らないけど通行止めで5時まで通れない。
というわけで、道路脇に車を止めて、少し仮眠。寝不足のまま出発となる。
外は雨・・・テンション上がらず。
しかも切符を買うために並び、乗るために並び、トロリー、ケーブル、ロープーウェイ、そしてトロリーと乗り換え。
その途中も結構歩かされて初めからぐったり。
最初のトロリーからの乗り換えは雨の中外を歩く。
晴れだったらどれだけきれいなんだろうっていう景色。
なんだか残念だけど、でもここならいつでも来れるよね。
ロープーウェイの景色は雨で真っ白。
放送テープは天気によって数種類あるらしく、今日はもちろん雨バージョン。
『本日は・・・あいにくのお天気となってしまいました。
本当なら、雄大な○○、○○、百名山の山々がご覧いただけるはずなのですが・・・
まことに残念でございます!!』
何で上から目線?・・車(?)内は失笑の渦に沸く。
8時半、室堂到着。
外はもちろん雨と霧。風まで吹いてすごく寒い。
最初は石畳の道。濡れて滑って歩きにくい。
平坦か下りが主で、あまり疲れはしない。
雨は降ってるけど、霧は時々晴れて、素晴らしい紅葉を見せてくれた。
雷鳥沢の登りは、寝不足と雨で本当につらかった。
そんな急な登りではないはずなんだけど、寝不足がまともに響いてしまう。
風も強くて手はかじかんで動かない。
やっとの思いで剣御前に到着、中に入って一休みする。
親切で笑顔のスタッフ、ストーブに癒される。
ここでドリップコーヒーを頼んで気持ちも体力も回復。
ここからは霧でルートが分かりにくく、岩岩の道でマークも少ない。
ほどなく剣沢小屋へ到着。雨は激しい。
どうやらこの後の雪渓はとっても危険らしい。
剣沢の主人に聞くと、紙を見せつつルートを教えてくれたんだけど、
地図が読めない私には、一度見せられただけではよく分からない(==;
途中、逆側から歩いてくる人たちが雪渓の情報を教えてくれる。
とあるおじさん、『とりあえず大きな岩があるところまで行って。
その前に下りれる感じはするけど、大きな穴開いてるからね。
死にますから・・・』
ひぃぃ(ノ°▽°)ノ
雪渓にたどり着くまでの間、その言葉がグルグルと回り、不安で無口になっていく。
さて、雪渓に到着、アイゼンを装着。
思いのほか雪渓はしっかりしてそうだったけど、
でも歩いているとクレバスはあるし、水は浮いてきてるし、
アイゼン履いてても滑るし、もういやーーーーーーー。
向こう岸に辿り着いたときはもうぐったりだった。
この頃には天気も回復、素晴らしい紅葉が疲れを癒してくれた。
15時、テン場到着。
宿のオジサンは、親切に色々と教えてくれた。
ただのオジサンかと思ったこの人、
翌日とある登山者から聞いた話、8000m級を登るすごい人らしい。
ここはトイレもあるし水場もすぐ近く。とっても便利。
テントは全部で10張くらいだったかな、結構ゆったりだった。
それにしても・・・あぁぁぁぁぁ、眠い。
夕食を食べて、6時就寝。
ものすごく疲れていたせいか、その日は熟睡だった。
2日目は3時起床、夜明け前の4時半に出発。
今日のテン場は狭くて込むらしいので、早めの出発となる。
まだ外は暗い、満天の星空が広がる・・・今日は晴れだ!
二股に到着すると、見えるのは剣・立山の神々しい姿。
しかも・・・・焼けてるO(≧∇≦)O
しばらく絶景を楽しんだ後、ここから仙人新道を登っていく。
天気は最高、高度を上げる度に素晴らしい景色が眼下に広がっていく。
写真が止まらない、ペースも止まらない!
途中であったカメラマンのおじさんが、
『仙人池の紅葉は終わってるよ。池ノ平へ行ってごらん、きれいだから』
と教えてくれた。というわけで、予定になかった池ノ平へ行くことに。
紅葉はまだまだきれいで、広がる景色は素晴らしかった。
後で会った単独のおばさまは、元々は下の廊下へ行くつもりが、
池ノ平が気に入って、2泊することを決めたらしい。そんな所だ。
急いで戻って、仙人池へ。
やっぱり紅葉は終わっていたけれど、それでも圧倒的な存在感で、
さすが剣、憬れの山だけある・・・。
さて、ここからが長い道のり。
広がる紅葉はとてもとても素晴らしかったけれど、疲れはどんどんたまっていく。
池ノ平への余分な行程がこの後もじわじわと響いてくる。
これで今日のテン場に場所がなかったらどうしよう・・・不安になる。
仙人温泉は、まさに山の中の温泉、秘境の雰囲気をかもし出していた。
いい温泉らしい・・・いつかまた戻ってくるかな?
さて、問題の雲切新道、すっごい急だし。
歩きにくいし滑るし、ロープが所々に垂らしてある。
というか、ロープがなければ絶対に私には無理な道である。
足ももう踏ん張りがきかなくなっているので、
いけないとは思いつつ、ロープにほぼ100%体を預けてしまう。
なので、足が滑ると、もう斜面をズルズルと行くしかない。
途中、2,3度そんな訳で転びかけ、
1回はターザンのように、あぁぁぁぁとなってしまった。
しかも荷物が重いので起き上がれずジタバタともがく。
新しく作ってくれた道とはいえ・・・ちょっと急すぎない?
下りも嫌だけど、登ってくる人たちもかなりしんどそうだった。
仙人谷ダムへ着いたのは14時半。もう今日のテン場に着いていてもいい時間だ。
コースタイムを大幅にオーバーし、16時前にやっと阿曽原温泉小屋に到着。
テン場は既に混雑していたけれど、なんとか草むらの中に場所を確保できた。
あぁ・・・よかった。1日の緊張が一気に取れた瞬間だった。
さて、ここには温泉があるヽ( ̄▽ ̄*)ノ
混雑はしてるけど、湯船は広いし、すごく疲れが取れた。
今日の12時間行程で、もう明日の下の廊下は無理かもしれないと諦めかけていた気持ちが、
いけるかもしれないとちょっとだけ上向きになる。
明日起きて考えようか・・・といいつつ、
逆から歩いてきた人の、『最高だったよ!』の言葉に、
気持ちは既に下の廊下へ向いていた。
さて、、、3日目。今日は6時の出発となりました。
まずは昨日下った道を登り返す。
アサイチの登りはしんどいなぁ。
東谷の吊橋はめちゃくちゃでっかい!!!
そして隙間あり。人が落ちれる隙間です(==;
吊橋は好きなはずなのに、さすがに怖かった。
こんなもんで怖がってたらこの先思いやられます。
ここからは、もちろん断崖絶壁を歩くわけですが・・・
まだまだ道がいい。人もすれ違えるし、滑落!!!という所も少ない。
紅葉は全く始まっていないけれど、この高度感だけで素晴らしい。
でもここでまた、逆から歩いてきた人に、
『ここの道はまだすごくいいほうだよ。途中なんて・・・サーカスみたいだから』と・・・
また怖くなるような情報を頂いた・・・。
十字峡の吊橋を渡り、さて、ここからが核心部、危険箇所の連続。
道幅は更に狭くなり、崩壊した道の変わりに高巻きの迂回路が用意されていたりする。
でも、その迂回路が怖いの何の・・・。
まず梯子を上って、丸太橋を歩く・・・ここまではまだ良かった。
そして、また梯子を登って、丸太橋、そして梯子を下る・・・ここが怖い。
下に見えるのは何百メートル下の黒部川。
落ちたら終わり、それを肌身で感じてしまうから本当に恐ろしい。
手足ガチガチで何とか下りきったら、足はもう震えが止まらない。
そこでまた丸太橋・・・支えのワイヤーは細くて遠い。
もしふらついてもきっと私のことを支えてくれるものではないだろう。
足は震えてるし、たった5メートル位の距離なのに足が進まない。
今まで怖いと思ったことは何回もあるけど、足が動かないのは初めてだった。
渡りきった後もしばらく足の震えは止まらなかった。
さて、本当の核心部、別山谷へ到着。
雪渓が目の前に迫っている。
そこのちょっと手前の道で、
ちょっとジャンプしないと落ちてしまうような所があり、
怖がりの私はここも止まった。
今思えば、あの丸太橋よりも、こっちのほうが怖かったかもしれない。
そして、雪渓にたどり着くまでにまた丸太橋、いや今度は横梯子。
つまり、足元がぽっかり空いている・・・足を滑らしたら終わりの感じ。
もちろん怖いけど、まぁ仕方ない・・・進む。
雪渓自体はしっかりしていて問題なかった。
渡りきってしばらくして、また迂回の高巻きがある。
今度も怖そうなルート。
今回は、崩壊ルートのほうが安全だと判断、
落ち着いてしっかりワイヤーを握っていれば大丈夫な道だった。
ここからは紅葉がどんどんきれいになっていく。
危険箇所ももうほとんどなく、落ち着いていく、
つまり・・・今度は水平道に飽きてくる。
景色はきれいだけど、さすがに平坦な道を8時間9時間歩くのはつらい。
内蔵助谷出合に辿り着くまでが本当に本当に長い道のりだった。
ここまでくれば、危険なところはもうない。
でも、何時間も『絶対に転んではいけない』プレッシャーの中歩くのは相当なものだった。
いつもの登山はいかに気を抜いて歩いてるのかを思い知った。
ここから、森の中の道に入り、ダムが見えてくる。
観光放水の時間で、上のほうに人の姿も見える。
あぁ、今からあそこまで登るのか・・・・
最後の最後で登りなんだ、嫌になってくる。
でも、今の足の状態からすると、下りはもう足が踏ん張らないで無理だ。
おかしなことに、登りの方が体はつらくない。
最後の登りを無事登りきって、
ちょうど4時35分のトロリーに乗れそうだったので、飛び乗った。
扇沢へ到着、車で温泉へ向かう。
温泉は薬師温泉。
もう月明かりの中で入る温泉はとっても風情があって、いい感じだった。
渋滞にも巻き込まれず無事帰宅、
とてもとても長い3日間が終わった。
いろいろと濃い山行だったみたいですね。
雪渓とか紅葉とか丸太橋とか・・・
記録読んでると緊張と緩和の連続ですね。
帰ってからふにゃふにゃになってませんか?
連休後半は晴天でよかったですね。
そらと岩と紅葉がとても綺麗です。
ところでtamtamさんは高所は得意なの苦手なの?
なんだかチャレンジしまくってますけど。
私は高所駄目なのにスリルが欲しかったりします。
Shin1さん、こんにちは。
今回は体力的にも精神的にも、かなり堪えました。
でもしばらくすると、また登りたくなるんですよね・・・
おかしなことに。
今週はお休みを取ってまた2泊です。
私は高所は好きなほうだと思います。
でもそれは『絶対に落ちない』保障があった時だけ。
頑丈な吊橋ならいくら揺れても平気ですが、
丸太橋とか、雨で濡れてる木の橋だったりすると、
途端に怖がりになります。
でも、今回の経験で少しは強くなった・・・気がします(笑)。
水がきれいですね。なんともいえない、コバルトブルー。行けそうで行けないのが、剣岳なんです。若い時に会の合宿で満点の星空を見たのが今でも忘れられません。紅葉の時期も短いのでたくさんの山に行けないのが残念です。写真で楽しませてまらいました。
riekoさん、こんにちは。
夏山が終わったと思ったら、
今度は紅葉の季節が駆け足で過ぎていきますね。
私は剣にはまだ行ったことがありません。
でも今回、剣の雄姿を初めて間近で見て、
私の目標になりました!
来年・・・か再来年・・・・
是非登ってみたいです。
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