奥久慈縦走:西金から下野宮(県北ロングトレイル)


- GPS
- 10:54
- 距離
- 23.1km
- 登り
- 2,099m
- 下り
- 2,056m
コースタイム
- 山行
- 9:34
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 10:54
天候 | 曇り午後から晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
水郡線の本数は極端に少ない(一日に8本くらい)のでダイヤは事前にチェックします。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
6月中旬としては不気味なほどに好天が続いたため、件の大子アルプスを含めコース状態は最良の部類でした。大子アルプスは真冬など乾きすぎると今度は蟻地獄になるのですが今回は滑りすぎず最高の状態でした。 大子アルプスはボランティアの方がコース整備をなさっていて、県北ロングトレイルとしての開通以前と比較すると格段に歩きやすくなっています。 とはいっても急斜面の登り下りが延々と続き、眺望もほとんど得られない試練と忍耐しかないコースです、と今までは思っていたのですが、森の緑を通り抜けて入る光と風はとても爽やかでした。いいお天気の日を選んで歩くと快適です。 今回の総累積標高は次の通り。 ■累積標高: ヤマレコによると 累積標高(上り): 1337m 累積標高(下り): 1266m 一方ヤマレコデータを記録した スマホGPSによると 累積標高(上り): 2040m 累積標高(下り): 1955m アップダウンの多さが伺われます。 その他危険箇所 男体山一般コース:赤土が露出した部分はきわめて滑りやすいです。頂上稜線は断崖沿いを歩いているので下山者とのすれ違い時は用心します。山側も急斜面になった結構やせた尾根です。 月居山縦走路:枝道が結構あるので標識に従って進みます。白木山分岐の先は道が崩落しかかっている箇所が何箇所かあるので用心します。 生瀬富士:まず生瀬滝上部の渡渉点ですが、今回の縦走時にはボランティアの方が渡渉用の長靴と、すのこの簡単な橋を置いてくださっていました。水量が多いときはこれらの用具は片付けられていますので、渡渉の判断の材料になるでしょう。筆者は渡渉は濡れることを前提にいつも持参のサンダルを用意します。 渡渉後急登を登り返すと、断崖の脇を通るところがあり、袋田の滝など眺望が素晴らしいのですが墜落に気をつけます。 生瀬富士から北側に折れると北峰(いわゆるジャンダルム)の岩稜があります。最初の岩は少し難しいのですが巻けます。巻き道も滑落の危険があるので気をつけます。 危険ではありませんがかなりくもの巣が多くなってました。今回ブユは少なめでしたが出るときは相当うるさいので虫除けを用意します。 暑いので水は多めに持ちましょう。 |
その他周辺情報 | 月待ちの滝ーから駅へ向かって暫く歩くと、会社の自販機があります。これが下山後の最初の自販機で、いつも救われています。 |
写真
装備
備考 | ヘッドランプ、雨具、ファーストエイド、手袋(ゴム引き軍手、商品名「タフレッド」)、スマホGPS、デジカメ、渡渉用サンダル、水3L、テルモスコーヒー、行動食。下山後の着替え |
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感想
■終盤に歩く大子アルプス鋸21峰は、いつも試練と忍耐ばかりだと思っていたが、アップダウンがゆるくなる第2峰以降は筆者が熱狂する男体山一般コースの大円地越から頂上稜線にも勝るようなフレッシュな緑のトンネルだった。
月待ちの滝登山口に出て初めて今日は暑いことに気がついた。案外快適な縦走路かもしれない。
−−以下自分のためのメモ−−
■3時台はすでに薄明
帰路の水郡線の汽車の時刻は11時台の次が15時32分、その次が17時29分、その次は常陸大子止まりなので西金へ戻るためには19時56分まで待つ。そしてこれが終電だ。快適に帰宅するなら15時32分に乗りたい。自分にとってこの縦走は12時間コースだから3時台スタートが望ましい。というわけで金曜日は8時台に早寝をして2時前には起床。予定より早めの3時過ぎには西金駅の駐車場に到着した。まだ暗い?いや3時を過ぎると薄明が始まる。車から降りると星の数がどんどん少なくなり、信号越しにも奥久慈の空が明るくなる様子がわかる。明るい時間帯を歩くことが基本であると考えれば、夏至に近いこの時刻はロングハイキングに一番向いているということになろう。
■日の出と主役の交代
西金駅から山田の脇を通り、湯沢、北沢の集落を抜けて大円地登山口を目指す。歩きはじめにはかえるの合唱がBGMだ。実は夜には鳥の鳴き声はほとんど全くといっていいほど聞こえない。ところがある時刻に起床の合図とばかりに一番鳥がさえずると一気に主役が変わる。今回も鳥の空耳アワーを楽しんだ。「Beach Beach Beach 来い来い来い」、中国語(書き写せない)も相変わらず長いスピーチだ。鳴き声から鳥の種類が聞き分けられたら山歩きの楽しみも膨らみそうだ。
前回に比べて鳥のさえずりは控えめ。曇りがちだったことと関係があるのかもしれない。
■花の主役はニッコウキスゲかヤマホウシか
この時期のお楽しみのひとつは、男体山頂上稜線に咲くニッコウキスゲだ。今年のニッコウキスゲは当たり年ではないか。まだ一面に咲き誇るというほどではないが、例年ひとつふたつまばらに咲いている様子を大事に拝見しているだけだったが、今回は一度にいくつ物黄色い花を眺めることができ、しかもまだ相当数のつぼみが断崖に沿って広がっていた。
一方、だんだん勢いを増してきた緑のなかでいよいよ純白の存在感を見せるヤマホウシが素晴しい。奥久慈岩稜や月居山を臨めば所々に満開を見ることができた。特に袋田の滝の近くにその白さを競うようにして咲いていた幾本ものヤマホウシの木、その袋田の滝を覗いた後で立神山を目指す途中に突然飛び込んできた白い花に驚かされた。
■快適な大子アルプスでも激辛には違いない
生瀬富士のあとはいよいよクライマックスの大子アルプスだ。といってもワクワク感はない。これでもかとばかりに急登と急下降が続く。それでも県北ロングトレイルとして開通してからはボランティアの方のご尽力と増えたハイカーの踏み跡のおかげで、急斜面にもステップが切られるようになってきて回を追う毎に歩きやすさを実感している。
それでも辛いことには変わらない。またあまり劇的なメリハリもなく登り下りが続くので辛さにばかり頭が向いてしまう。それはそれで頭を空っぽにする、馬鹿になってひたすら歩くというのも悪くないが、今回は途中からピークの数を数えてみることにした。15個くらい数えたところで三角点「釜田」を通過することができた。歩いているときにはピークだと思っていても、そこはピークとして数えられていないような踊り場もあり、それが大子アルプスのしょっぱさをます原因のひとつとなっている。
■脚はつらなかったが止まった
奥久慈体力使いきり縦走と位置づけているこのハイキングを始めたころは、大子アルプスで両足がつり、後半戦はだましだまし歩き続けるというパターンだったがここ2回ばかりは足がつって動けなくなることはなくなった。とはいっても足が止まることには変わらない。林道を横断したあとからの急登がたまらない。間もなく三角点「釜田」なはずなのだが、ピークと思っていたところがピークでなくて登って登って登って、ちょっと緩むと今度は劇下りと、止めを刺される。足が止まり、水を飲む回数が増えてくる。水以外の飲み物が欲しくなる。
林道からの登り返しでギンリョウソウ(ユウレイダケ)を発見した。地面ばかり見て這いまわる大子アルプスではこうした小さな植物に癒される。芭蕉の句:山路来て何やらゆかしすみれぐさ、の心境になったような気分だ。
今までは謎のベンチとしてスルーしていた、5峰のところにあるベンチにとうとう座り込んで休憩してしまった。ボランティアの皆様ありがとうございました。このベンチは終盤直前で力尽きた人が最後のエネルギーを取り戻すために一息つくためのものだったのだ。
不思議なものでこれだけぼろぼろになっていても1峰を過ぎて後は楽な下りだけだと思うと、気分の悪さも消え、脚にも力が戻ってくる。ただし戻ってきているように感じるのは、ここからは緩やかな下りでそもそも一番身体を使わなくて良い道になるからでもあることは、忘れてはならない。
余裕が出てきて、日中であるにもかかわらず、風が涼しく、それでいて木立のトンネルは明るく快適であることに気がついた。この雰囲気、自分が大好きな男体山の頂上稜線にも似ている。
そして涼しい。今回の縦走が気温的には快適であったことが、下野宮駅のベンチで汽車を待つ間に気がついた。日陰でも駅はむしむしと暑かった。それでもあれだけ厳しく感じた縦走路では暑さで苦しむことは全くなかったのだ。まだ夏に入ってから歩いたことはないが、案外快適な道なのかもしれない。
車道とリンゴ園の屋根が視界に飛び込む瞬間がなんともうれしい。ひと歩きして更新塚に到着。頭を下げて縦走路のメインは終了した。登山口には到着したが、まだこの痕下野宮まで2km異常の距離を歩かねばならないが、水郡線の鉄路、岩がちな久慈川の表情、そして自販機の冷たい飲み物と、おたのしみが沢山だ。
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