北穂高岳 滝谷 クラック尾根
- GPS
- 57:46
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 2,518m
- 下り
- 2,512m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 10:55
- 山行
- 8:00
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 8:39
- 山行
- 7:27
- 休憩
- 3:54
- 合計
- 11:21
天候 | 2021/9/ 9(木)雨〜晴れ 2021/9/10(金)晴れ 2021/9/11(土)霧〜雨〜晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
バス(さわんど〜上高地):1,300円/片道 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・テン場代:2,000円/人/日(1日毎に受付。予約は不要。) |
写真
感想
当初8月に予定していた滝谷ですが、事情により9月に延期。
2人とも、1ヶ月半ぶりの山行。
直前まで天気が読めず迷ったけれど、とりあえず行ってみることにする。
クラック尾根を2日目にし、最終日にドーム中央稜〜下山の予定。
2021/9/9(木)
●前泊〜出発
道の駅 風穴の里で前泊。6:00、朝一のバスに乗車。
●上高地〜涸沢〜北穂テン場
雨。上下カッパ&ザックカバーで上高地出発。Bちゃんの傘、正解。
横尾手前で明るくなり出し、雨も上がる。
久しぶりのテン泊&登攀装備で、涸沢から北穂の登りがキツイ。
●北穂山頂&北穂小屋
北穂のテン場は初。小屋まで山頂を越えて10分ほど。
夜は満点の星空。
3シーズンシュラフで十分ですが、裸足だとかなり冷えました。
2021/9/10(金)
5:00 起床。昨日の疲れが大きかったので、十分な睡眠をとる。
6:15 出発。核心は「岩の墓場」B沢の下降の為、明るくなってから下降することに。
平日の為、先行パーティーがおらず、ほっとする。
●アプローチ(B沢下降)
大キレットへ向かう1つ目の鎖場のすぐ先に、白ペンキで×が3つ。
その周辺に、「B沢入口」(白ペンキ)の文字あり。
B沢は狭い沢で、壁の岩は脆く剥がれ、足は一歩置くだけで、すべてがザレ落ちる。
右岸側がフォールラインの為、左岸の壁伝いに1人ずつ下る。
足元が切れ落ちて見えなくなる位置の左岸に残置支点(ハーケン、リング)あり。
そこから空中懸垂5m程&50mロープ2本でいっぱいまで懸垂する。
このあたりの左岸に迂回ルートへのFIXロープと杭(足場)があると思っていたが見当たらない。(無くなったか、もっと下流だったかは不明。)
ロープが切れて2m程先の右岸に残置スリングあり。
FIXで迂回する予定だったが、尾根末端からガリーを登り返す方法に変更。
さきほどの右岸の残置スリングで40mほど懸垂下降。
崩壊した小さいガリーの向こう、尾根側壁に赤い残置スリングあり。
そこから尾根末端まで再度懸垂出来るかもだが、尾根末端がかなり遠く、ガリーの登り返しが可能かわからなかったので(B沢が悪すぎてビビったのもある)、末端まで行くことに躊躇する。
小さいガリー(ザレ場)が登れそうだったので、そこから尾根に上がることにする。
後で写真や記録を検証した結果、旧メガネのコルの少し下あたりだったように思う。
(右手(尾根側壁)が特徴的な尖塔状だったので。)
上がれなくはないが、ザレてかなり悪い。
ザレどんつきでセルフを取り、後続するパートナーの為に上からロープを投げた。
ここまで3時間かかった。
●クラック尾根
1ピッチ目 Bちゃんリード
カンテ沿いから尾根上へ。
少し上がってみて悪かったので、ここからシューズを履き替える。
手も足もとにかく動く。
足を置いた頭大の石が剥がれ、B沢まで巻き込む崩落を起こしてしまった。
尾根上できったが、形状から、ここが旧メガネのコルの対岸のように思う。
2ピッチ目 yachimayuリード
階段状のフェースからチムニーを使って上へ。
3ピッチ目 Bちゃんリード
核心のジャンケンクラック。
右にコーナークラック、正面の岩中央にシンハンドクラック、左にOWサイズ。
中央がフレーク状なので、そこと左を使えば、それほど難しくない。
右上の抜けたところで切った。
実は、ここがもうジャンケンクラックだとは気づかずに通過。
この後も2人で「どこがジャンケンクラックだろう」と言いながら終了してしまった。
4ピッチ目 yachimayuリード
リッジを上がり、目の前のフェースを右に回り込む。
10mほど上で切れそうだったが、ロープの流れを考慮し、ここで切る。
尾根全体を見下ろすことが出来、自分たちがどこから上がって来たか分かった。
5ピッチ目 Bちゃんリード
4ピッチ目のすぐ上まで。緩いリッジを上がり、垂壁前で切る。
6ピッチ目 yachimayuリード
ハーケン残置が数個の垂壁。
出だしは、細い残置スリングをアブミにして離陸。左カンテ側に上がるとリッジ&ガレ場だった。
新トポでは、ガレ場80mを上がるルートのみだが、チャレアルに載っている「右のフェースから」のルートをとったもよう。
・・・IV級にしては、かなり辛い。
ガレ場をどんつきまで50mいっぱいまで伸ばす。ここが大テラス。
(トップアウト後、上から見て大テラスだと分かった。)
7ピッチ目 Bちゃんリード
支点から直上、右のカンテ沿いを上がる。
新トポでは左の凹角を左上するルートしかないが、チャレアルには直上ルートも載っている。そちらに進んだらしい。
8ピッチ目 yachimayuリード
直上する。
最後、右のカンテを回り込んだら、目の前5mの位置に赤い小屋の壁があってびっくり。
大キレットへの登山口の降り口真横にトップアウト。
ハーケンは豊富だが、グラついて動くものも多く、抜けたものもあった。
トポどおりにピッチを切っていないので、ほぼカムとナッツで支点構築。
脆く、綺麗なクラックはないので、小さめナッツがかなり役に立った。
横に見える第1尾根の高度と比較したり、稜線が近くなるのに「核心はどこ?」状態。
まだ核心前だと思っていたし、また小屋下に出る予定だったので、2人とも唖然。
一旦テントに戻り、小屋のテラスで写真や記録を見比べて検証してみたところ、
ちゃんとジャンケンクラックは抜けていた。
尾根上をほぼルートどおりに登ったことがわかってほっとした。
改めて、生ビールで乾杯!
明日早いので、早めに就寝。
22時頃、雨音で目が覚める。
予報では24時まで雨マークとなっていた。
岩が濡れていなければいいのだけれど。
2021/9/11(土)
●アプローチ
今日は、ドーム中央稜後に下山予定。
11時テント撤収がタイムリミットのため、3:30起床。
この時点でまだ雨音が聞こえたが、外に出ると霧雨。
外に置いていたガチャがほぼ濡れていなかったので、5:00予定どおり出発。
南稜から奥穂への分岐より、南峰へ上がる。
1つ目のコル(前にツルム、右後方にドームの位置)から右手に登山道をそれる。
このあたりから、霧雨が雨となりつつあった。
踏み跡はある。
一旦ツルム方向に向かうが、クライムダウンし、ドーム側にスイッチバック。
(30分ほど右下方向へ下り、1mくらいの尖塔がある場所の壁に懸垂用の残置があるはずだが(from 下調べ情報)、)
雨が本格的になり、岩も濡れてしまったので、敗退を決める。
風速8m/sくらいか、濡れた身体は冷たく、かなり寒く感じた。
5:55頃。テントで火を焚いて、身体を温める。
雨雲レーダーでは7:00頃上がりそうだったので、それまでテントで過ごす。
●下山
霧雨の中テント撤収し、下山。
いつもは通過もしくはソフトクリームだけの徳澤園。
今日はのんびりなので、みちくさ食堂で、手作りカレー&コーヒーソフト♪
具が大きくてサラサラのカレー&しっかりしたライスは、とても美味しく幸せ。
<装備(クラック尾根)>
・50mダブルロープ
・カム(#0.3〜#3。#2までしか使わず。+リンクカム4本)&小さめナッツ
・フォローがザックを背負う。
<感想>
2人とも、何故かまだ行けていなかった北穂滝谷。
(私は2年前の北海道地震で帰京出来ず、行けなかった因縁の滝谷。)
初見だけれど、どうせ行くなら2本登ろう、ということでこの2ルートをチョイス。
アプローチの難しさと岩の脆さにアルパインを思い出し、気を引き締める。
結果としてクラック尾根しか登れませんでしたが、
色々な意味で、今の自分にはちょうどよい選択だった気がします。
ドーム中央稜を残したので、今度は東稜とセット(小屋泊)で来るのもいいかも。
(北穂小屋は眺望が最高&雰囲気が良かったので)
久しぶりにアルプスの稜線でクライミングが出来て満足。
次の穂高は、母の涸沢テント泊デビューかな(笑)。
楽しい3日間、ありがとうでしたー!
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