八ヶ岳・阿弥陀南稜
- GPS
- 56:00
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 1,297m
- 下り
- 1,232m
過去天気図(気象庁) | 2009年01月の天気図 |
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アクセス | |
ファイル |
非公開
3628.xls
計画書
(更新時刻:2010/07/28 08:54) |
写真
感想
途中まで、CL予定だったkenちゃんが別パーティになったため、
精神的支柱無しでのバリエーションとなった。
9日夜発で深夜美濃戸口にて仮眠。
10日は、9時間行動予定だったため、
5:30起床で7:30に舟山十字路発。
計画では3時間かかるはずだった旭小屋まで40分程度で到着。
ここで大幅に時間短縮となった。
ここから急登になって、昨日降ったばかりの新雪を膝下ラッセル。
だんだん雪が深くなりアイゼン装着中に、
日帰りの2人組に抜かされた。
ここからはトレースができていたが、
すぐに新雪で埋まっていく状態。
とぼとぼ歩いて13:30頃P1, P2コル着。テント設営。
暇だったので、他パーティに無線で呼びかけるが反応無し。
数回繰り返しても反応がないため、ひょっとして
入山しているのはうちらだけか???などと疑問が生じつつ・・・。
雪から水を作るのに結構の時間がかかったりしながら
テントでもんもん。。。
11日:5:30起床で7:30発予定だったが、
降雪と風の条件から、隣のテントのパーティに先行してもらおうなどと
待っていたため、8:00発。
個人的には、突っ込むか撤退かの判断基準が難しく、
メンバー全員の経験も乏しいため、状況を判断しながら、、
行動について相談しようかなどと考えながら歩き始めた。
だんだん強風になりつつ、P1, P2を越え、
行くか、撤退か難しい決断をしなければ、と思っていたところ、
P3のところで先頭を歩いていたtoriちゃんが、
ロープを持っていた僕に出すように促したため、
迷い吹っ切れ前進することになった。
ただ、その直登を行くには条件が悪すぎたためため、
左に下降気味に回り込んでルンゼを登ることに。
ここで2人組に抜かされた。
二人のロープワークがやや緩慢だったため?
待ち時間が長く体が冷えてきた・・・
我々は4人でダブルロープ1本。
toriちゃんとkuriちゃんにアンザイレンしてもらい、
marinaさんと僕はフィックス状態で登る作戦をとった。
実際上はノーロープでも行けるような斜面だったかな。
3ピッチで稜線に出て4ピッチ目はトラバースしてP3を抜ける。
強風は高度感を増してますます厳しく感じた。
P4の手前でロープをしまったが失敗だったか。
左へ回り込むトラバースは幅が足幅くらいで、
途中二カ所ほど50cm程度スタンスが無く大股が要求されるが、
いいホールドもなく、かなりのバランス感覚を必要とした。
こここそロープを出すべきところだったかもしれない。
トラバースの後は急斜面を直上しP4に出て、さらに5mほどの急斜面を登ると
平らな広場に出た。数メートル歩くとそこが頂上だとわかった。
メンバー全員と握手して、この条件下で登頂できたことを祝った。
中岳沢〜行者小屋経由で赤岳鉱泉に到着し、
他パーティのテントがあったときは、ホッとした。
4人ともバリエーション経験が豊富ではないため、
雪や風などの状況判断が難しく、
行くか退くかが曖昧なまま行ってしまったのが、反省点。
今回の山行が一つの基準になればと思う。
いよいよ阿弥陀南稜に挑戦する時が来た。天気は冬型。寒気が入ってくるのが気
になるが、きっと快適な山行になるだろうと期待していたが・・・・甘かった。
初日、スカッとしない天気の中、舟山十字路から林道を歩き旭小屋に向かう。ど
んだけ歩くのかと思ったらものの30分で着いた。この調子だとテン泊地まです
ぐに着いちゃうんではないかと変な心配をする。他に2人組が入っていたが、彼
らは広河原沢に行こうとしてこっちに来てしまったらしい。先行しているPはいな
いようだったので我々が先頭ということになる。意外に少ない。尾根へ取り付く
には若干急な斜面を大岩の間を縫うようにして上がっていく。尾根に上がってし
まえば後は一直線。展望のない樹林の間を黙々と歩いていると前夜の睡眠時間の
短さもあって眠くなっていく。やがてつぼ足ではきつい上りが出たところでアイ
ゼン装着。せまい場所で着けていると後ろから2人組が追い抜いていった。彼ら
は日帰りらしい。この雪の量だとラッセルもあるので大変だろう。特に難所もな
く、「青ナギ」に到達。噂の青ナギ。どこまでもフラットな雪の斜面が右側に切
れ落ちている。その後も特に問題なくP1を越え、P2との間のテン泊地に到着。時
計はまだ13時。当日発でも良かったか。テントの中にいると後から人数がいるP
が到着。翌日は先に行ってもらって楽しようなどと画策。
2日目。いよいよ岩稜越え。ガチャをつけると否がおうにも気合が入る。阿弥陀
方面には青空が出ている。昨日後から着いたPはまだ出ていない。我々の様子をみ
たのかな。P2に向かって進むと雪が深くなってくる。先頭なのでちょっとしたラ
ッセルだ。でもひざ下なので進んでいける。やがて西からの風が強くなってくる
と左頬が痛くなってくる。フードを上げ、なるべく風をよけるが凍傷の恐れを感
じる。P3の基部に着いたときには、すさまじい風と雪(砂?)粒攻撃を受けたが、
なんとか岩陰に入ってしのぐ。ここでロープをザックから出すが、ここは直登ル
ートのようで、目指すルンゼはさらに左から回り込んで行く必要があった。ここ
まで我々が先頭だったが、後から来た2人組に先を譲る。これが失敗で、ルンゼ
の入り口に着くと、彼らが登り始めるまでずっと寒い中待たなくてはならなかっ
た。これはしんどく、その場で足踏みしたり、とにかく耐えた。後ろに昨日の大
人数Pが来たころにようやく我々もスタート。ルンゼは最初の2mぐらいが凍って
いたが、後は雪がついていて、フリーでも問題ないぐらいの難度。草つきの手前
で1回ピッチを切る。ここから先行する2人組を追ってやや右側に見える稜線を
目指して草つきを登るのだが、まっすぐ行くのが本来か。草つきは少しいやらし
かったが、変なところに足を乗せなければ問題ないだろう。前にPがいたので、
途中にある潅木でまた短くピッチを切ってしまったが、そのまま稜線に抜けても
よかった。なお、無雪期に出ているといわれるFIXロープは見当たらなかった。
稜線に出ると、本来抜けると思われる方の終了点に向かって1回トラバースする。
寒いのと手袋でスリングの収納やロープのセットに手間取る。トラバースを終え
ると、なだらかな稜線に出るんで、コンテに切り替える。ここでも余ったロープ
の処理がうまくできないわ、風はますます強くなって飛ばされそうになるわ、で
この先大丈夫か少し心配になる。やがてP4を左から巻く形で細いトラーバス道が
見えたのでロープをしまうが、このトラバース道がこの山行で一番緊張を強いる
ほど危なっかしい感じで、個人的にはここが核心だった。ここを越えてしまえば
難所はなく、しばらく岩場を上がると、丸っこい丘と何やら標識が。もしかして
阿弥陀山頂か!と思いながら標識に辿りついた時には、安堵感と達成感がないま
ぜになってこみ上げてきた。一同互いに握手して祝福。
下山は急な雪壁についたトレースを下る形で危なっかしく、滑落の危険もある為
神経を使った。鎖が埋もれているならロープを出した方がよいかもしれない。
中岳沢を下りるとあっという間に赤岳鉱泉。お疲れ様でした。
前週の赤岳主稜も自分の中では大イベントであり、かつ抜群のコンディション
だったにもかかわらず、何かくすぶるものがあった。それが今回の山行で解消さ
れた気がした。それは無意識の中にある連れて行ってもらう感覚と自分で切り開
いて行く感覚の差。アルパインの醍醐味であり、自分の求めている物に他ならな
いと図らずも自覚した。今はもう次にチャレンジするルートのことを思う。
突出したレベルのリーダーなしでのアルパインは今回が初めてだ。
これまでの山行には、どこか甘えがあったのは確実だ。
それは説明できるような明確な何かではなく、気持ちの上での部分が大きい。
いつかはこういう挑戦が必要だったが、覚悟なしに突然そうなった。
雪の判断、撤退の基準、全てがなんとなくであって、判断というよりモチベーションがそのまま判断となってしまうだけ。
こんなことではいつかは事故を起こす。雪や天気、確固たる判断基準を学ばなければいけない。
結果的に無事に通過できたが、万一のときにはどう対処できただろう?
まだまだ、自立したクライマーへの道は遠い。
装備においては大いに反省。重すぎる、余計な荷物が多すぎる。2kgは減らせたはず。
その他ジャケットの性能、ゴーグルの性能、随時アクセスする羽目になる行動食や飲み物の収納、ハンマーホルダーの必要性・・・考える点はかなり多かった。
山行自体だが、低温、強風がつらかった。
先行パーティを待機している間にグイグイ体温が奪われていく。
足も冷え切り、大事な一歩を踏み出すのがブレて恐ろしい・・・
核心となるP3は結局3ピッチを切った。下部は慣れたクライマーならフリーソロでも大丈夫だろう。中間部も同様。
時間短縮のためフリーソロをしたが、半端なルーティングのために危険な目に。
ルンゼ上部の草の露出した60〜70度ほどでトラバース。
アックスはしっかり刺さらず気持ち程度。片足は草上に半分乗っている。
3点のどれもが確実ではなく、どれかが崩れれば遥か100mは滑落するだろう。
そんな数歩を進んでどうにか安全地帯に。
確保されていればなんてことはないのに・・・
P4のトラバースが最も難しい。
落ちても大きく滑落することはなさそうなのが救い。
これさえ抜ければ、あとは簡単な岩場を登って阿弥陀の頂上へ。
久々に得た安堵感。よく頑張ったなあ。
眺望もなく風も冷たく、さっさと下山。
阿弥陀の下りは先週の繰り返し。
2度目だからかあるいは雪の状態か、記憶していた難しさはない。
中岳沢を下りれば安全圏に。
他のパーティも無事にテントまで来れて集中は大成功。
荒天の中、みんなおつかれさんでした。
夏のアルパインはどこまで頑張れるかを試す場。
冬のアルパインはどこまで耐えられるかを試す場。
そんな風に感じた。
悪条件で阿弥陀を越えてきたメンバーが充実した顔でした
ナイスです
少し大人になった気がします
うっすら毛が生えてきた程度
みんな無事で良かったね。
悪条件の中でやり遂げられて良かったね。
kenちゃん不在の緊張感が充実度をupさせたかも。
戻れないのね、あの頃には
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