【燦燦作戦】笠取山・唐松尾山・将監峠・竜喰山・大常木山・飛龍山【乙63.2】
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- GPS
- 10:28
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 2,041m
- 下り
- 2,051m
コースタイム
- 山行
- 9:29
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 10:30
天候 | 晴れ 寒い 稜線風あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況 特に西側の山域において上部積雪。 竜喰山〜大常木山の稜線コースは藪道。藪下に倒木、岩、枯れ枝、木の根、段差等が隠れており慎重を要する。一般コースは途中崩壊跡があったりするが、ほぼ平坦な笹道。 将監小屋からの道は車も通れるほど広く緩やか。 |
写真
感想
気がついたら33歳。記念に一歩きするかと思いはしたが、いくつも歩いていると、今まで歩いた所にもう一度行くか、それとも新規開拓を推し進めるかという問題が浮上してくる。
深田の百名山や新百名山等々よりも「自分自身の百名山」を探していく上では、未踏の山にどんどん行くのが良いが、12月は雲取にまた行こうかな〜と思っていたし・・・。
ん?雲取・・・。あ、そうだ。今年の和名倉山行で跳ばした竜喰〜大常木がいいんじゃないか。作場平の下見にも行ったことだし。というわけで、今回のルートは決定。
12月の2000m稜線歩きは冬季雲竜作戦(雲取〜飛龍)以来だが、折りしも寒波到来。氷点下10度は覚悟しなければならぬ。上5枚、下3枚の重装備で臨むこととした。
なお、頭・耳・手の防寒も重要なことは言うまでもない。
駐車場で車中泊すると寒くて寝ていられないと思い、家を未明に出て5時頃作場平到着を目指す。山梨県内に入ると既に気温は「−2℃」の表示。道の駅で用を足して、路面が乾いていることを祈りつつ一ノ瀬高原への狭い道に入り込む。道中、天体観測をしている人がいたくらいで、擦れ違いも路面凍結も無く駐車場に到着。しかし、駐車場の土面は霜や氷で星空の下きらきらとほのかな光を放っていた。
真っ暗闇の中歩くというのは怖いことである。月も下弦で光は乏しい。しかし、他にも夜間活動している人がいると、少しばかり不安は和らぐ。暗いといっても日の出1時間前だ。作場平を出発する。
暗いとは言っても道は広めでしっかりとしている。所々大きな岩があるが、整備も行き届いているようで歩きやすい。沢沿いを歩き、橋を三度渡って、高度を上げていく。分岐などあちらこちらにベンチがあって休めるようになっており、周囲の雰囲気と相まって歩くにやさしく、楽しい山行ができるように思う。
「一休坂」と改まって書いてあると、厳しい登りが待っているのではないかと思えるが、実際のところはハードな坂道ではない。東の空が朱に染まっていくのを見つつ止まりつ感嘆しながら歩いていけばよい。
木の合間に富士山が見えるようになると、日の出る方とは反対側の斜面に巻く。すると途端に道が真っ白に染まる。雪が積もっているのだ。おお、これは期せずして雪山山行になってしまった。気を引き締めてかからねばと思ったのだが、パウダースノーで積雪量も大したことないので、サクサクと歩ける。歩くたびにギュッギュッとなる足音が、なんとも言えず、「あ〜雪道だ〜」と感じ入りながら歩く。
静かな笠取小屋に到達すると日の出時刻を迎える。残念ながら日の昇っているところは見えなかったが、東天の輝きに太陽が顔を出すところを想像する。
笠取山へ向かうと木の間に太陽が顔を出し、西側の山肌は赤く染まる。そして、これから好展望のオンパレード。分水嶺前のだだっ広い尾根道や、笠取山の山頂部、唐松尾山は山頂は樹林帯だが、そこへ至る稜線、そして唐松尾を過ぎた所から、南方は富士山及び周辺の山々、南アルプス、東は奥多摩、丹沢の山々に旭日に煌く大海、西側は奥秩父の甲武信ヶ岳へ延びる稜線に黒金山や乾徳山、北側は両神山から信州の浅間山まで、青く高く澄み渡った大空に、或いは白く輝き、或いは黒々と横たわっている。トータルでは360度の見晴らしだ。
西御殿岩で初めて対向者と遭遇。山の神土から将監峠は雪上にたくさんの踏み跡があるが、人影全く無く、足跡の多くは前日以前のものだろうと推察できる。
将監峠からは竜喰〜大常木の稜線へ。地図上にも載っている道を「一般ルート」、これから歩く道を「稜線ルート」と呼ぶこととする。稜線ルートの取り付きは、笹が生茂って一見するだけでは道があるのか無いのかよくわからないが、目を凝らしてよく見れば、道が浮かび上がってイメージできる。これがイメージできない場合、不測の事態が生じかねないので、大人しく一般ルートを歩くのが良い。
道がイメージできて脚を踏み入れれば、自然と進むべき道がわかってくる。そして再びの展望。竜喰山の山頂部こそ樹林帯となっているが、稜線は長い。山頂でなくても、いくらでも展望は目に飛び込んでくる。竜喰山は展望歩きの気晴らし、一休みに最適の山頂である。大常木は竜喰よりも標高は低いが、山頂部が岩稜で木々から飛びぬけているため、展望に優れている。それまで主に南側の展望ばかりだったところに北側の秩父の山々に対して展望が開けているのが新鮮でよい。
大常木山頂を下り、一般ルートとの合流を図る。しかし、先述の通り笹が生茂った稜線である。上りの時でさえ道がわかりにくいのだ。下りの際は、笹の葉の下が見えないので非常に危険であり慎重さを必要とする。また、基本的に稜線上を歩くといっても岩があったり、木が生えていたりで巻かなければならないところがあり、一回、巻いているうちに稜線を外れてしまった。おかしいなと思ったら、すぐに現在地の確認をすべきだ。斜面が急なので、わからずに歩いたり、無理に下りたり上り返そうとすると、思わぬ事故を呼ぶと考えねばならない。笹の下は木の根、倒木、枯れ枝、岩、段差・・・何でもありだ。それらが靴底に引っかかって何度もつまづきそうになる。ただでさえそうであるので、慎重に落ち着いて臨むべきである。
何とか稜線に復帰し、無事一般ルートに戻る。なかなか手ごわい稜線だった。結構下りで疲弊したような気がする。そんな中では最終目的地である飛龍山がやたら大きく見えた。救いは道が飛龍に近づくにつれ緩々と高度を上げていく感じだったことで、これが飛龍の直前まで平坦で、最後にガツンと急登ということだったら力尽きていたところだ。今回の山行は山道に恵まれている。道は狭いが歩きやすい。
飛龍権現でお久しぶりのご挨拶の後、飛龍山頂に到達する。展望はイマイチだが何となく落ち着くのは、やっと着いたぁ〜という思い分もあるだろう。それに展望ばかりが山頂の売りではない。木々は風を遮ってくれ、落ち着いた食事休憩をとれる。
それにしても今回は全く人に遭わないな。さすがに雲取山は大盛況だろうが。
禿岩は飛龍山の一角に突き出した岩場で、雲取から南方をぐるっと巡って、これまで歩いて来た稜線までの広範囲の展望を得られる。展望を得つつ休憩をとりたい人は山頂から降りてきた後にここで休みをとるとよい。
帰りは一般ルート。飛龍山から大ダルに下りてくる所で何も遮るものが無い最後の大展望。以降はほぼ木立の間から遠くの山を望むこととなる。木漏れ日は好きだし、何かの越しに見るというのは覗き見のようで胸が高鳴る。しかし、昼の時間帯となると日が高く上り、強すぎる太陽の光に周囲が白んだり霞んだりしてしまう。稜線ルートを往路でとったのは、こういった点からも成功だった。
たまにガレた箇所や上り下りはあるものの、基本的に起伏の少ない笹原の小道を行くので意識は「下山は何時頃になるか?」「下山後は温泉に行くか?」「温泉に行った場合、帰宅は何時頃になるか?」といった下山後のことに移る。途中、3名ほどのパーティに遭遇。これが2回目の山人遭遇。「小屋から来たんですか?」と訊かれたので、雲取の山小屋泊の予定なのかもしれない。今の時間から考えると、雲取山で日没を見るか。それもまた良いかもしれない。
将監小屋への分岐に至ると気分は完全に下山モード。山域によっては、気持ちが下山モードになった後に上り下りが連続して精神的に疲れることがあるが、山小屋からは車も通る下り道のため安心だ。しかし、途中でGPSの電池が切れてしまった。寒さのため足が早いのだ。予備電池を十分持たなかったことは反省点である。電池が切れるのは寒さのためなので、電池を入れ替えたりなど、いろいろと試行錯誤してみる。その結果、手に持っていれば、手の温もりで電池が案外持つということが判明した。ポケット等に入れていると、すぐに冷たくなってしまうのだ。
そんなアクシデントはあったものの、無事将監登山口に出て、作場平に帰還。
雪が積もっていたり風が冷たかったりで最初はどうなることかと思ったが、山道や山の木々、草原の助力を得て歩きとおすことができた。実に感謝感激である。
また、展望にあっては、全くかすみ一つ無い満天快晴の青空に、四方八方の山々がくっきりはっきりと映り、これまた読んで字の如く「有難い」展望散歩を楽しめた。その有難さにありがたい気持ちでいっぱいだ。
感謝の気持ちを表すため、最後に、山々に対して手を振って別れを告げたのであった。
〜おしまい〜
今回の出会い
鹿:大常木山からの下りで1頭。
猿:帰りの車から最低6匹視認。
人:西御殿岩分岐で1人。飛龍からの帰りに1パーティ。将監小屋からの下りで5人程度。
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