後方羊蹄山
- GPS
- 09:10
- 距離
- 18.0km
- 登り
- 1,892m
- 下り
- 1,879m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年05月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
最初の尾根の取り付きは藪が多く、残雪気はルート取りが難しい。 上部の急斜面は凍っていたらかなり危険なので、アイゼンは必携。 |
写真
感想
5/5(火)
利尻島からの長距離移動の末、21時に比羅夫駅到着。
駅の扉には猫が佇んでおり、いきなり見ず知らずの旅人にじゃれてくる。
この猫は比羅夫駅の名物ネコらしく、その名を「しま太郎」と言うらしい。
本当はステビでも良かったのだが、この駅は日本で唯一の駅が宿になっている珍しいスポットなので、思い出づくりも兼ねてここに泊まることにする。
夜遅く訪ねてきたにも関わらず、宿のオーナーは親切に接してくれ、食糧がないといったらおにぎりまで作ってくれた。
ひとまず丸太風呂のあるログハウスで汗を流し、ワインを飲みながら他の宿泊客の方も交えて、様々な話に花を咲かせる。
話によるとこの宿はラストプレゼントというドラマのロケ地になったことがあるらしく、しま太郎は安倍なつみに抱っこされたごとがあるらしい。
何故か最後はテレビ業界の裏話になり、24時頃にようやく解散。
5/6(水)
宿のPC(Windows98!?)で本日の飛行機の予約を取り寝ようとするが、移動中ひたすら寝ていたので眠れない。
なので2時ごろに準備をして出発することにする。
2時15分、比羅夫駅出発。
天の川が綺麗に引かれた満点の星空の下、暗闇浮かぶ羊蹄山はとても幻想的。
3時頃倶知安口登山口に到着するが、この辺は雪がまばらでほぼ夏道なので、そのまま板を背負って進む。
少し雪の出てきた辺りで夏道は尾根に取り付いているようだが、赤テープが見当たらないので適当に登る。
面倒なので兼用靴に履き替えずにスニーカーで登るという、いかにも素人のやりそうな愚行を犯してみたが、やはりヤブの濃い雪の斜面は大変であった・・・。
尾根に取り付いてからは再び尾根上に露出した登山道を歩き、適当なところで右の雪斜面へずれてシール歩行を開始。
後ろを振り返ると、モルゲンロートに染まるニセコアンヌプリと、蝦夷富士の大きな影が姿を現し、思わず感嘆のため息を漏らす。
個人的に満点の星空から、静寂の朝焼けという流れは、その登山の価値を高める静謐で変化に富んだ美しいプレリュード。
森林限界付近からは傾斜が急になるので、板を引きずってのアイゼン歩行にチェンジ。
尾根のやや左側をひたすら外輪へ向かって登って行く。
前日は移動日で休めたとは言え、前四日間ひたすら山スキーをやっていたので、体が重くなかなかペースが上がらない。
数歩歩くごとに立ち止まり、高所登山のペースでゆっくりと登る。
7:00長い急斜面を登りきり、外輪直下に到着。
宿のオーナーに作ってもらったおかか入りのおにぎりがとても美味しい。
眼下に展開される広大な景色を見ながら、天上人になって気分でしばし悦に浸る。
羊蹄山の外輪内には大きなお釜と小さなお釜があり、まずはその間を進み、大きなお釜の外輪に位置する羊蹄山の最高点を目指す。
岩の剥き出た道を慎重に進んで、8:00羊蹄山山頂に到着!
快晴の下、後志国の山々が360°視界に広がる。
ニセコ、積丹、札幌近郊は勿論のこと、洞爺湖や遠くは内浦湾の彼方、駒ヶ岳までハッキリと見渡せる。
帰りは岩場を戻るのが面倒だったので、一度お釜に滑り込んでから、再び上り返して向こう側に出ることにする。
山頂直下から雪の斜面があるので、早速スキー板を履いて滑り出す・・・が、斜面はガチガチのクラストで非常に危険。
頑張って攻めようとした矢先、板が斜面に引っかかってビンディングが外れ、転倒した格好のまま、あっと言う間に火口へと吸い込まれる。
お陰様で指と腕は擦り傷だらけ・・・。
お釜の中から滑り落ちた斜面を見上げると、ターン弧ではなくぶっといストレートラインが引かれており、美しさの欠片も無い。
筋肉痛と擦過傷の痛みに耐え、這う這うの体でお釜から抜け出す。
9:00再びスキー板を履いて外輪から滑降開始。
ニセコを遥か眼下に眺めながら、最高の一時を満喫・・・と行きたかったが、ガチガチの急斜面は非常に滑り辛く、しかも斜面は遥か下までヤブなどのストッパーが無い。
つまり一度の転倒≒大惨事という完全に無茶をしては行けないパターンであり、先ほどの滑落の件もあるので、横滑り多用で無難に高度を下げて行く。
横滑りにも飽きた頃、ようやく斜度がゆるくなったので、今度こそ本来の山スキー滑降。
調度下に登山客のギャラリーもいたので、ジャンプも交えて快調に飛ばす。
この登山客はこの山行で出会った唯一の人達で、GWの真っ只中で快晴だというのに、なんで登山客がいないんだろうねと不思議がっていた。
お互いそれぞれのGWの自慢話を交わし、別れを告げる。
尾根の取り付き付近では、雪があるところを執拗に選んで滑っていたので、後半で登山道をロスト。
最後は板を担いでのヤブ漕ぎになり、しばしの試練を耐えた後、10:40登山口に到着。
あっと言う間であったが、天気にも恵まれ最高の山行であった。
後はアスファルトの道路を歩いて比羅夫駅へと戻るだけ。
比羅夫駅では再びしま太郎がお出迎え。
宿のオーナーも、宿でゆっくりと休んでいったらええよと言ってくださったので、軽くシャワーを浴びて荷物の整理をする。
駅のホームでは暖かい春風が吹いており、新緑萌える初夏の香りを感じさせる素敵な一時を満喫。
昼過ぎに出発の函館本線に揺られ、旅の締めくくりとなるニセコ・羊蹄山の地を後にした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する