渋の湯-東天狗岳-本沢温泉-硫黄岳-夏沢鉱泉-茅野駅
- GPS
- 32:00
- 距離
- 37.1km
- 登り
- 1,677m
- 下り
- 2,719m
コースタイム
day2 本沢温泉7:23-8:36夏沢峠-9:39硫黄岳10:07-夏沢峠10:56-11:44夏沢鉱泉12:21-19:13茅野駅
天候 | 12/29 晴 12/30 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山時は夏沢鉱泉からは徒歩。宿泊しなければ、アクセスは非常に悪い。公共の交通機関では難しい。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
白砂新道冬季通行不可 |
予約できる山小屋 |
黒百合ヒュッテ
|
写真
感想
茅野駅近辺の旅館に前泊。茅野駅早朝出発のバスに乗って、渋の湯に到着。バスを降りたときの冷気が雪山に向かう緊張感を高めます。この時点で買って間もないコンパスの紛失に気づきます。昨日の夜、駅から旅館までの案内に活躍していたのですが・・・。でも、これが、今回の山行を用心深いものにしてくれたかもしれません。渋の湯でトイレ、身支度をすませ、登山届けを出して、登山道に入ります。トレース有り、雪も締まって歩きやすい道です。無風。稜線では吹いているはず。こんな簡単な山のはずはない。
黒百合平に到着。東天狗へはスリバチ池沿いの登山道を使うことにして登りはじめます。途中で二人程、風がきつくて戻ってきた人とすれ違いました。そして稜線に出たとたんに強風。迷いましたが、後ろから追い抜いていくパーティーがあり、私も足を進めます。が、風に加え、岩で歩きにくいことったら。稜線を天狗経由夏沢峠まで行こうと思っていましたが、この吹きさらしでは先が思いやられます。標準ルートの中山峠からの道は途中まで樹林帯に覆われているのが見え、楽な方で登ろうと、いったん黒百合平に戻ります。その途中で、今回はじめて使うスパッツに穴あけてもうた・・・。
中山峠から東天狗への道は途中まで快適。森林限界を越えると、当然風も強くなり、急斜面を何人もの登山者が登っている様は、雪山に来たという気持ちが高まります。雪山なので、登山道で無いところにも踏み跡できてしまい、時々違う岩に乗ってしまいますが本当の登山道が一番お気楽に歩けます。足元とその周辺を良く見て、正しい道をたどりましょう。上っている間に北の稜線はガスで覆われており、山頂に付くと、南側も夏沢峠への視界はあるものの、視界が明瞭というほどではありません。西天狗に上るパーティーが斜面におり、見ている間に山頂に到達してました。
さて、自分のこれからの行程を考え、行き道を観察すると、夏沢峠へのトレースはある様子でしたが、歩いている人は見つけられませんでした。時刻はすでに12時半。視界が効き続くかの確信はもてず、コースタイムは短いものの、標高を下げて稜線に入り込んでしまうと、突き進むしかなく、撤退する余裕は無い、と判断し、時間はかかるものの、確実なルートとして、中山峠を東に降りて本沢温泉に向かうルートを選択。下山途中北八ッの視界も明瞭に。変化激しいですね。
中山峠からの下りは地図を見ると結構な斜面。厳しい九十九折と想像しましたが、果たしてそのとおり。ですが、ふかふか雪に覆われている無風の樹林帯なので、気持ちよく高度を下げることができます。雪がないほうがたぶん大変。その後は平坦か、緩やかなアップダウンの道。踏み跡しっかり、雪の締まり具合もしっかり。ですが、これまでの比較的にぎやかな登山道とは違い、ここからはほとんどすれ違う人はいません。しらびそ小屋への分岐を右に折れ、本山温泉にたどり着くまでにすれ違った人は二人組だけ。そして今日のお宿をここにした狙いは、もちろんこの、温泉。石楠花の湯。湯温は十分高く、指先、足の先まですっかりあったまりました。なお、野天風呂の雲上の湯は、あまり水温が高くなく、お勧めできないとのことでしたので、今回はパス。湯温はほぼ体温で気温はマイナス11℃。なので、一度入ると出られないとか。入ったという人もいましたが、結構根性が必要なようです。もう少し穏やかな季節にまた来ます。
早朝、この温泉のある谷は東向きに開けており、この時期は太陽は東南から昇るので日の出は見えません。夏場はどうなんでしょ。朝食後出発。縦走して展望荘まで行く予定をしていましたが、風を前にすると、弱気に。たぶん行かないだろうな、なんて思ってる時点で既に止めた方がいいでしょう。夏沢峠への道の途中では自然の活動的な荒々しさを象徴するような山肌の硫黄岳爆裂火口壁が見えてきます。夏沢峠からは硫黄岳めざして傾斜が高まります。そして、強風も。防寒具の使い方や風の中での動作がまだ拙いな、と反省点有り。体温調節、耳や頬の守り方、カメラの出し入れ。もっと上手にできるはず、と今後に生かすことにします。晴れているので、目標は明瞭。突風に体があおられそうになりますが、実際に飛ばされるほどではありません。
やがて登頂。ちょうど、赤岳、赤岳鉱泉、夏沢峠からの登頂者が集まり、広い山頂がにぎやかに。360度の風景。青と白の世界。風の音があるはずなのに記憶の中は静寂に包まれています。稜線を通り過ぎる雲。横岳、赤岳、阿弥陀の岩稜。横岳から硫黄にむかってくる曲線。鋭い岩峰とそこから伸びるやわらい線という二つの対照的な線の構図が美しい。指先が冷たく痛くなっても、もう少し目に焼き付けていたい、とその場にたち続けてました。写真ではうまく表現できて無いのが残念。撮り方を勉強すればもっと上手に撮れるはず。
冬の赤岳を見るにはこの山ですね。で、その山容のすばらしさに、この山を縦走するには、もちょっと経験をつんでからと納得し(←言い訳、理屈は通ってない)、夏沢峠に下山。冬季にここを縦走するなら、営業期間中の天望荘に宿泊し、赤岳側から朝一で横岳の核心部を通過するのがいいのでは。風が多少きつくても、硫黄岳に登り返す体力があれば、あとは夏沢峠へ下る道。いつか歩こう。そういうことならば、今年の2月に天望荘に泊まったときが絶好の機会だったのかも。
下山に取り掛かると、登るときには薄いガスに覆われていた爆裂火口壁が良く見えました。山頂にいたときよりも風は強い印象です。たまたまそういう時間帯だったのか、地形の影響か。まだ夏沢からは大勢の人が登ってきています。樹林帯に入り風が落ち着き、一息つきます。そしてやまびこ荘に着きますが、さて、これからどうしよう。どっか泊まってもいいし、帰ってもいいし。天望荘に行く予定がなくなると、次の予定がありません。トレースがあり、天狗に向かうこともできそうでしたが、稜線にでる気合はもうないので、あまり深く考えず、夏沢鉱泉に。もしかしたら宿泊するかも。
快適に下り、夏沢鉱泉に到着。コーヒーを一杯いただきました。ツアーや登山教室らしき団体さんが多く、ごった返してたので早々に後にします。たまたま時間帯がそうだったのかな。宿泊客の混み具合はどうだったのだろう。なお、ここからは公共の交通機関のアクセスは絶望的です。
さて、これからの行程は、長い林道歩きではつまらないので、古田溜池に向かう登山道を行き、その下山口から一般道を通って、尖石の湯に立ち寄って、そこからはバスかタクシー、なんて予定を立てていました。時間もぎりぎり大丈夫そう。ただ冬道として使われているか不明なので、そのときは林道歩きをするしかないな、と。
夏沢鉱泉を発ってから、分岐を見落とし、桜平まで行ってしまい戻り返し、分岐を確認。30分ほどロス。そこから古田溜池につながる道に入りました。この登山道の雪はあまり締まってません。小型の重機ぐらいなら通れそうなくらい道幅は広いのですが、踏み跡は一人分だけ。樹上の目印はなく、トレースがなければ登山道と確信を持てるか不安。林業関係だったり、自然保護関係だったり、なんらか都合で登山道を外れている人の踏み跡かもしれず、すくなくとも一般の冬道ではない雰囲気。これが下山口につながってなければ、その時点で私は登り返すしかなく、時間によっては相当厳しい状況に追い込まれます。なんてことを考えて、20分ほど進んだものの、結局このリスクは取れない、と登り返します。林道歩き決定。
このあとは消化試合のような行程。だらだらと下ります。唐沢鉱泉分岐まで1時間半ほど、そこからさらに1時間強で尖石の湯(この時期営業してませんでした・・・)。さらにちょっと歩いて広見のバス停着。最終バスは30分ほど前に出てました(トホホ・・・)。そこから縄文の湯まで30分ほど歩いて、湯船への執念を見せますが、月曜日休館(・・・)。ここまで歩いてタクシーを呼ぶのも癪なので、ライトを照らしながら歩き続けて約2時間、茅野駅まで徒歩。途中のデイリーヤマザキで買ったどら焼きがおいしゅうございました。茅野駅が見えた瞬間、特急電車が滑り込んできて、そして、出発していきました(・・・・・・)。
夏沢鉱泉からの林道歩きはとても人には進められません。退屈なだけです。まして駅まで歩くなんてあほです。赤岳への縦走がなくなった時点で、予定を組みなおしたので下調べがほとんどありませんでした。予感はあったのですが。
当初予定は、
day1 渋の湯-東天狗-夏沢峠-本沢温泉
day2 本沢温泉-夏沢峠-硫黄岳-横岳-赤岳天望荘
day3 赤岳天望荘-赤岳-阿弥陀岳-御小屋尾根-美濃戸口
でした。大分スケールダウンしましたが、私にとっては、身の程に落ち着いたとも言えるでしょう。
登る山、見る山としての南八ッの魅力を十分に感じた山行でした。
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