白猪山−棚田の集落から石尊大権現が祀られる里山に登る
- GPS
- 03:44
- 距離
- 5.8km
- 登り
- 577m
- 下り
- 585m
コースタイム
- 山行
- 2:40
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 3:40
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道は整備されていて、危険箇所もありません。 |
その他周辺情報 | 下山後は、道の駅「飯高駅」にある香肌峡温泉「いいたかの湯」があります。 |
写真
感想
<プロローグ>
松坂にある伊勢三山とは、局ヶ岳、堀坂山と白猪山である。白猪山の麓には、深野の棚田(だんだん田)が広がっており、棚田百選にも選ばれている。そして山頂直下の二ノ峰には「白猪山石尊大権現」が祀られている。その本尊は不動明王で、いつも霧がかかり雨の多いことから、雨降神社とか、阿夫利神社などと呼ばれている。山名の由来については、諸説あるらしいが、宮の御料として猪を飼っていたためだとか、あるいは山中に白い猪が棲んでいたという伝承もある。かつては、請願成就の本尊として伊勢地方の人々が参詣し、信仰登山が盛んに行われていたようである。登山道は、裾野の各集落から通じていて、北側からの阪内(さかない)コース、南側からの谷・都コース、大城(おおじょう)コース、矢下(やおろし)コース、夏明コースとたくさんあって、これらを組み合わせてルート設定することができる。今回は、山頂で鍋料理を堪能するために、比較的短時間で歩けるコース設定として、夏明登山口から夏明コースを登り、二ノ峰から山頂に到達し、下山は二ノ峰から矢下コースを下って周回することにした。
<夏明登山口>
櫛田川に沿って国道166号を進んでいくと、大石の白猪山登山口の看板を見送り、さらに進むと、深野で「松坂牛発祥の地/日本の棚田百選・深野のだんだん田/登山道夏明ルート・白猪山」という右折を指示する看板があった。この看板の前には松阪牛のモニュメントと古い石尊大権現の標柱が立っていた。これに従って右折し、風呂屋川沿いに北上していくが、かなりの急登の坂道になっていて、道幅も狭いので離合するのに苦労する。次第に石垣の段々田が出てきたが、棚田ではこれほど石垣がきれいに積み上げられているのは珍しい。宝泉寺という寺を過ぎると間もなく石尊大権現の石灯籠がある夏明登山口に着いたが、もう少し上がったところの左側に数台の車が駐められる登山者用駐車地があった。
<夏明登山口〜石尊大権現>
駐車地から舗装された坂道を登っていき、右手に夏明配水池を見送ると、樹林の中に入っていく。すぐに矢下コースに向かう分岐があったが、ここは左側を直進する。植林帯の中をコンクリート舗装された道が続いているが、結構な急勾配になっている。途中で御所平(ごしょびろ)という分岐があったが、どこの向かうのだろうか。やがて小沢を渡ったところにトタン張りの避難小屋「不動小屋」があった。参詣者の休憩所であろう。さらに進むと左手の立木に注連縄がかけてあり、不動滝という標識があったので、少し下ってみた。3mほど滝が二段になって落ちていた。登山道に戻って再び植林帯の中を登っていくと、左手に平坦なところがあり、不動祠が祀ってあった。不動祠は約1mの御影石に唐破風造りの石室で、前には左右一対の石灯籠があった。「宝暦十四年(1764年)廓譽上人代」と彫られていた。コンクリート舗装の登山道はまだ続いており、やがて左手に階段があり、大きな鳥居が見えた。これが石尊大権現であった。28段の急勾配の石段を登ると金属製の大鳥居があり(平成3年奉納)、その向こうに本殿があった。本殿の板塀は最近改築されたようで真新しい。その前には立派な一対の石灯籠があり、「明和七年(1770年)七月」と記されていた。また東側には「南無妙法蓮華経」と彫られた題目碑もあった。この石尊大権現縁起には「石尊大権現は、宝暦9年(1759)3月15日上郷宝泉寺10代法誉上人とその弟子11代形誉上人によって、今の神奈川県大山寺より迎え祀られた。本尊は不動明王である。石尊というのは、奈良時代の有名な良弁僧正が大山寺を建立しようと山を開き登っていくと、山頂に大きな岩石があり、その前に生身の不動如来を拝み、いよいよ仏教有縁の道場として大山寺を建立され、その岩石を尊崇されてきた。大山寺3代目弘法大師がこの岩石に対して石尊大権現と命名され、大山寺の鎮守とされたという。」と記されていた。
<二ノ峰〜白猪山山頂>
石尊大権現を過ぎると、大石コース・矢下コースと合流して、右手にこんもりとした丘があった。草地になっていて、陽もよく当たっていたランチ場としてはよいところだ。ここは北側は遮られているが、東から南にかけての眺望があった。合流点まで戻ると、あと山頂まではわずかだが、ちょっとした急登になっている。わずかの辛抱であるが、登っていくと左手に草地があり、何かの基礎が残っている。急坂を登り切ると右にちょっと進めば白猪山の山頂に到達した。山頂には二等三角点があり、白い猪を描いた山名板があって微笑ましい。また「己亥(つちのと・い)歳 新春登山平成31年1月3日」と記されたプレートがあった。2019年(平成31年)は亥年であったことから、この山にもたくさんの登山者が登ってきたのであろう。山頂からは北側と東南方向の展望があり、北側には切り開かれた樹間から堀坂山と伊勢湾が、東南方向には向こうに薄く七洞岳や獅子ヶ岳などが見えていた。山頂の南斜面の風除けができて陽の当たる場所で豚しゃぶしゃぶ鍋を堪能した。まったり登山の醍醐味でもある。
<まつさか香肌イレブン>
山頂にはもうひとつ整った山名プレートがあり、「まつさか香肌イレブン第11座白猪山」と記されてあった。調べてみると、松阪市が「まつさか香肌イレブンプロジェクト」として、地元の山好きや一部のマニアにしか登られていなかった香肌峡にある峰々から11座を選定し「まつさか香肌イレブン」と名付け、登山道や縦走ルート、案内標識を整備して、登山マップの作成が完了し、令和3年3月21日キックオフイベントを開催したそうである。その11座とは、局ヶ岳、栗ノ木岳、三峰山、高見山、木梶山、明神岳、桧塚、池木屋山、迷岳、烏岳、白猪山であったが、私的には烏岳以外はすべて登ったことがある。グレードが高いのは池木屋山と迷岳か。
<白猪山山頂〜矢下登山口〜夏明登山口>
白猪山山頂でまったりランチタイムを愉しんだ後は下山となるが、まずは二ノ峰まで戻る。ここから分岐をまずは谷・都(大石)コースに下る。登山道は樹林帯の中を下っていくが、よく整備されていて、標識・標柱もたくさんある。次の分岐は、谷・都/矢下分岐で、ここはちょっとしたベンチがあって休憩できる。ここでは右の矢下方向に下っていく。直ぐに次の分岐である夏明/矢下分岐に着くが、矢下方向に下っていく。やがて登山道には広葉樹の落ち葉が広がってきた。送電線の鉄塔を通過してどんどんと下っていく。「白猪山登山道 矢下道3/10」という標柱があり、あとどれくらいで登山口に着くかの目安になる。あっという間に矢下登山口まで下ってきた。登山口手前に廃屋があり、倒木に潰されていて痛々しい。矢下登山口からはアスファルト舗装の車道を15分ほど歩いて夏明登山口まで戻った。
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