蛇峠山(阿智セブンサミット)
- GPS
- 05:06
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 514m
- 下り
- 498m
コースタイム
- 山行
- 2:55
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 5:05
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません。 |
その他周辺情報 | 下山後は、昼神温泉「湯ったりーな昼神」で日帰り入浴ができます(定休日は火曜)。 |
写真
感想
<プロローグ>
深田久弥の終焉の地(山)として知られるのは、甲斐の茅ヶ岳(1704m)であるが、深田久弥は登頂直前に脳溢血で倒れて他界してしまった。つまり頂を踏んでいないのである。その頃、深田は暮れから正月にかけて4日間、群衆を避けて静かな雪山に登ることが習慣になっていた。つまり誰も行かない山で、適当に高山の気分が味わえ、しかもあまり深い雪で難儀しないところという条件であった。1970-1971年にかけて、深田は南信州の飯田からさらに南に位置する蛇峠山(1704m)と大川入山(1908m)の二座に山仲間数人と登る計画を立てた。そして1971年の元旦に快晴の下、蛇峠山に登頂を果たしている。続いて翌2日大川入山に向けて登ったが、ラッセルが大変で1660m辺りで敗退している。その後、3月21日に茅ヶ岳に登ろうとしたのであるから、深田が最後に頂を踏んだのは蛇峠山ということになる。私は、このことを知って、昨年5月9日に治部坂峠から登ってみたが、2時間ほどで登れるお手軽登山ができる山であった。今回は、雪山ということで、かつ快晴の天気予報も手伝って、北・中央アルプスや南アルプスの山々の眺望が得られることを期待して登ることにした。
<治部坂峠駐車地>
蛇峠山は、阿智セブンサミットのひとつに選定されていて、登山口は国道153号の治部坂峠付近にある。ここから南に登れば蛇峠山、北に登れば同じく阿智セブンサミットの大川入山である。中央道の園原ICを降りて国道256号(はなもも街道)を昼神温泉に向かい、温泉を通過すると右折して国道153号に入った。20分ほど進むと、治部坂峠スキー場があり、登山口駐車場はそれに隣接している。結構広い駐車場ですでに10台ほどの車が駐まっていた。10人ほどの登山者が出発の準備をしていたが、ワカンやスノーシューを担いでいた。しかし、事前の調査によると、このところ結構な登山者があり、登山道はよく踏まれているようなので、アイゼン(チェーンスパイク)だけにした。
<治部坂峠駐車地口〜馬の背>
まずは、舗装された道路を登って行くことになるが、このあたり一帯は以前から別荘地として開発されており、道路の左右には別荘が点在していた。よく見ると別荘は古いものが多く、主に避暑地として利用されているのだろう。蛇峠山を案内する標識も立っていて迷うこともない。やがてお亀池にやってきて、道路から少しだけ右に入ったところに池がある。さすがに池も雪に埋まっていた。さらに進むと、2枚目の標識があり、ここから舗装道路を外れて右に入ると登山道となる。自然林の中を右手に別荘を見送りながら進むと、「いこいの森」「遊歩道入口」という案内板がある。ここが蛇峠山登山口である。積雪は30僂らいと思われるが、登山道にはしっかりとトレースがあり、踏み固められているので沈むことはない。白樺の林の中を緩やかに登っていくと、最初の車道を横切るところに出た。「馬の背蛇峠山⇒」と標識がちゃんとある。ここからは急登のところもあるので、アイゼンを着けることにした。15分ほど登っていくと、開けた尾根に出た。「ここは馬の背1457m」と記された標柱がある。ここから20mほど北に寄ったところにアルプス展望台あった。
<馬の背展望台>
展望台の正面に飛び込んでくる白い峰は中央アルプスだ。真ん中のひときわ高く見えるのは空木岳、その右に南駒ヶ岳、左には木曽駒ヶ岳が白く光っている。中央アルプスの左側向こうにも白い山が二つ見える。穂高連峰(前穂と奥穂であろう)と乗鞍岳である。反対の右側には、南アルプスの甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳と北岳が見える。北岳より南の山々はここからは山に遮られて見えない。左手の近くに大きな山が見えるが、もちろんそれは大川入山だ。まだそんなに白くなっておらず斑模様だ。右の近い尾根を見やると、蛇峠山にある電波塔が二つ見えている。
<馬の背展望台〜アルプス展望台>
馬の背でしばしアルプスの眺望を愉しんでから、蛇峠山に向かう。馬の背から少し下ると車道に出るが、その途中に2mあまりの高さの金属塔がある。これは「電子基準点」と言われ、現代風の三角点のようなものである。違うのは、地上約2万劼砲△GPS衛星が発する電波を受信し、つくば市にある国土地理院にデータを送信していることである。このデータは、土地の測量、地図の作成、地震や火山噴火予知の基礎資料となっているそうである。車道に降りたところにまた登山口があり、ここには阿智村が設置した蛇峠山の説明板があった。蛇峠山には、かつて「蛇ヶ池」という大蛇の棲む池があり、その大蛇が「深見の池」(阿南町)に移ったと言われ、また池の水は日照りの際に雨乞いに供えられたと説明されていた。ここからは尾根伝いに登っていくことになるが、傾斜はそう急ではない。途中で3回車道に出合ったが、その都度また尾根に登って行った。やがて電波塔が見えてきたが、最初にものがKDDI(AU)、次がdocomoの中継塔である。さらに進むとテレビ局の中継塔が二つあった。最後の塔を通過すると、白い建物の屋上に丸いドームがあった。これはレーダ雨量計で、屋上のドームの中にある回転アンテナから電波が発射され、それが雨に当たって反射して戻ってくる電波の強弱により雨量を測定している。車山高原にあるレーダ雨量計と同じものであろう。この先が広くなっていて、ここがアルプス展望台となっている。
<アルプス展望台>
正面には、馬の背展望台と同じく中央アルプスの空木岳と宝剣岳、木曽駒ヶ岳が縦に並んで見える。その左手(北)には、北アルプスの穂高連峰と槍ヶ岳、その左には乗鞍岳、さらに左には馬の背では見えていなかった御嶽山も大きく見えている。特徴的なのは南アルプスの山々である。馬の背では甲斐駒ヶ岳から北岳までしか見えていなかったのが、光岳までずっと並んで見える。南アルプスの連嶺は、私の面前に一列横隊で並んでいた。仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、塩見岳、悪沢岳(荒川東岳)、赤石岳、聖岳、上河内岳、光岳に至るまでの3000mの高嶺群が、まぎれもなく眼に痛いほどの輝かしさで名乗りを上げていた。それらの山々の頂に、これまで私の足跡が残されているだけに見る目が違うのである。いつまでもこの眺望を愉しんでいたいという欲望があったが、蛇峠山山頂はもう少し先にあるので、山頂を踏んでから再度戻ってこよう。
<アルプス展望台〜蛇峠山山頂>
アルプス展望台の片隅に、蛇峠山山頂に向かって武田信玄が作ったと言われる「狼煙台跡」があった。信玄は火急のときの連絡網として狼煙台を作った。蛇峠山の狼煙台は、三河(家康)との国境にある杣路峠の狼煙を受けて、これを鎌沢岳(大鹿村)などに伝え、さらに八ヶ岳を経由して、遠く甲斐国まで短時間で情報を伝えたと言われている。ここからは、少し下って登り返すと蛇峠山山頂に到着する。山頂には鉄製の展望台が設置されていて、2階に上がってみたが、樹林に遮られて眺望はイマイチである。それでも樹間から、光岳から南にある、いわゆる南アルプス深南部の中の尾根岳などの山々を垣間見ることができた。山頂には、阿智セブンサミットのひとつであることを示す標識(蛇峠山1664m)が立てられている。10分ほどの滞在でアルプス展望台に戻った。
<アルプス展望台〜治部坂峠駐車地>
アルプス展望台に戻ってからは、お待ちかねのランチタイムである。この日は、豚しゃぶしゃぶを用意した。食材はたくさん持ってきたので、時間をかけてのランチタイムとなった。快晴無風の下、アルプスの峰々を眺めながらのランチは最高である。やはり山は晴れてなんぼということを実感するときでもあった。お腹が満腹になったので、そろそろ下山する時間である。登ってきた道を下っていくだけのピストンなので楽である。それでもまあ時間的余裕はあるので、ゆったりとしながら下山した。下山後は、昼神温泉の日帰り温泉「湯ったりーな昼神」で汗を流した。ここには狭いながらもサウナがあるので90分費やした。風呂上がりにはレストランで「遠山ジンギスカン定食」をいただき、帰途についた。
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