残雪の秘峰くらます周回
- GPS
- 05:27
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 766m
- 下り
- 781m
コースタイム
- 山行
- 5:22
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 6:21
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登りのルート途中まで林道。その先道なし |
その他周辺情報 | 波賀温泉 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
アイゼン
ストック
|
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感想
このシーズン、雪山を存分に楽しんできたが、それでも宿題が残っていた。兵庫・鳥取県境付近の主だった山々をすでに登ってはいるが、気になりながら結局未踏となっている「くらます」である。この山には道らしい道はなく、一方積雪期には卓越した眺望が得られるということで、雪の時期に是非、行ってみたいと思ってきた。しかし、急登と急降下の続くワイルドな山で、アクセスも良くないので、登るタイミングを計るのが難しい。今年のような大雪となると、ラッセルして山頂に達するには体力的に厳しく、また雪の状態によっては危険でもある。できれば雪が締まってサクサクと登れ、しかも山頂部には豊かに雪を擁する春の初めに行きたいところだ。今シーズンは、雪が多かった半面、早い時期に気温の高い日があったため、一気に雪解けが進んだ。あっという間に山の雪は消滅へと向かった。雪が締まるのを待っているうちに、一気に融けてしまった感がある。ところがここ数日、再びぐっと気温が下がった。これなら、融け残った雪が固まってくれるだろう。あとは、山頂部にどれくらいの雪があるかだが、3月末に近隣の山で撮られたくらますの写真から、まだ雪はあると踏んだ。今日は県南部の天気は崩れるが北部は好天が見込まれる。よし!今日こそ「くらます」へ。
何やら緊張する。前夜は早く目が覚めてしまった。それでも、「くらます」への期待から意識は先鋭な状態にある。中国道を山崎で降り、戸倉峠へと国道を走る。戸倉トンネルが近づくと、まだまだ積もった雪が周囲を埋めている。岩屋堂への道に入り、奥の牛舎の先のスペースに車を置いて振り向くと、天高く白銀のピークが聳え立っていた。ここから見る雪の東山は神々しい。
雪解け水がゴーゴーと流れる江浪谷川に沿って車道を歩き始める。ほどなく路上を雪が覆って、未だ通行不能の状態であることを知る。車道がヘアピンカーブをなして曲がるところから、沢沿いの林道を辿る。しばし林道を進み、登りに使う小尾根の末端から植林の中の踏み跡を辿る。屋号を書き込んだ杉の幹に囲まれてしばらくは踏み跡があるが、小尾根が激急傾斜となるあたりから判然としなくなる。ただ、このルートはある程度登られているようで、マーキングはそこそこ残っている。傾斜はきついが、雪はモザイク状に残る程度。雪に圧せられておとなしくなった落葉とその下の腐葉土とが、丁度いいクッションとなり、激急傾斜ながら足を受け止めてくれるので、木の幹に縋りつつ、登ってゆける。傾斜が一旦緩くなるあたりでようやく自然林となる。背後には木々の間から、まだまだ白い東山が立派だ。前方に大きな稜線が見えてくる。それを目指して登る。稜線に出ると、雪庇の残骸がずっと続いている。右手には三室山(あとでそうとわかったのだが)がどっしりと構えている。雪庇の残渣を踏んで登ってゆく。次第に雪が多くなって、稜線が白くとんがった屋根型をとると、もうそこが「くらます」の山頂なのであった。周囲は好ましいブナの林だ。ここで昼食とする。風はなく、心地よい日差しの中、東山を眺めつつ、珍しくゆっくりと過ごす。
休憩の最後に、アイゼンを装着して出発する。ここから北峰方向は雪がたっぷりと残っているからだ。緩い傾斜のブナ林の中を北峰へと向かうと、正面に素晴らしい眺めが開けた。なだらかでまだ多くの雪をまとった大きな山が目前に寝そべっている。それは数週間前に登った「氷ノ山」なのだが、これまた、それと認識したのは後になってのこと。それにしても息を飲む素晴らしい眺め! さらに進むと、北峰の山頂が見えてきた。広々として雪原となっている。ほぼ全方位に見事な眺望が得られる。今日初めて(そして今日最後の)人に出会う。6人のパーティーだ。その中の詳しいかたに、いま見えている山を順番にお教えいただく。左から扇ノ山、その右のかたまりが陣鉢山、青ヶ丸、仏ノ尾、続いて氷ノ山、その背後には植松山、さらに右には三室山。
下山は北峰から派生する西の尾根を下る。この尾根にはマーキングはない。道もないがさしたる藪もないので、問題なく下れる。上部は意外になだらかで、自然林の中を気分良く下る。雪は断続的に残る程度なのでアイゼンを外して進む。途中、尾根型がまるで見えないところが複数あるので、ルートファインディングに慎重を期す。吉川集落が近づいたところで、右の尾根に入っていくが、ここから傾斜が急になり、下部では肝を冷やす激急傾斜の植林帯を通る。尾根筋を外さぬように注意しつつ下り、すぐ下に道路が見えるところで傾斜の緩い右手へと進んで、橋の脇へと下山した。こうして念願の「くらます」探訪が成就し、今シーズン最後の雪の山行を無事終えることができた。
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