強風の那須岳【三斗小屋温泉 大黒屋】
- GPS
- 11:47
- 距離
- 11.8km
- 登り
- 780m
- 下り
- 1,043m
コースタイム
- 山行
- 4:17
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 5:26
- 山行
- 4:17
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 5:05
天候 | 両日とも晴れ ただし強風(一日目23m/s、二日目18m/s) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
那須高原駅西口より9:15発 那須ロープウェイ行きバス(関東自動車)10:32那須ロープウェイ山麓駅着 10:40発ロープウェイ⇨10:44山頂着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道迷いの心配はなし。 牛ヶ首、峰の茶屋跡避難小屋、朝日の肩あたりはとりわけ強風注意。 朝日岳周辺の岩場は鎖が続く。 5月下旬でも一部尾根に残雪あり(軽アイゼンの必要はない程度) |
その他周辺情報 | 大黒屋 三斗小屋温泉 https://www.mountaintrad.co.jp/~sandogoya/index.html |
写真
感想
【風で身体を飛ばされるのも繰り返し転ぶのもはじめて】
そろそろ山小屋デビューしてみよう!というわけで、同行人が先週予約してくれた三斗小屋温泉 大黒屋。
(Webでは満室でしたが、電話したところ空きが出たのです)
待ちに待った週末がやってきました。気になっていたお天気も、土日とも一時間予報ですべて晴れ。万事OKと思っていたのですが、甘かった。
山頂まではロープウェイで。
降り立ったところで「本日強風のため、運行を停止する可能性があります」とアナウンスが流れます。
この時、私たち小屋泊するから関係ないもんね、ああ雲の流れが早いね〜と気にも留めませんでした。
普段低山ばかりで過ごしている二人には、標高が上がるほど風速も強まるという当たり前のことに思い至らなかったのです。
この後、身をもって知らされることに。
まずは茶臼岳に登ろう、と広い登山道を進みます。
ガレ場の急登で、後からいらした男性グループの長と思しき方が追い抜いて行きます。
見ると、ベストとスラックス、手提げ鞄という出立ち、足元も革靴のよう。なのにものすごく早い。
つい気になって目で追ってしまいます。
私たちは来た道を振り返り展望を楽しみながら登りますが、同時に着ているシェルのはためく音、耳の痛みが気になってきます。
直立していると風に煽られる!危機感を覚えた時にはもう山頂を目前にしていました。
出発時、東京駅の新幹線ホームでもお見かけした某大手ツアーの方たちが山頂から下りて、ガイドさんの指示を受けてひたすら身を低くしています。
同行人も私もそれに倣いしゃがんで待機。
待っていても風が止むわけではないのですが‥
一団が身を固くしている間にも、フォーマルな装いのおじさんは実に軽やかな足取りで風をものともせず下山していきました。
ツアーの方々が動き始めたのを機に、私たちも腰を上げて覚束ない足取りで下山します。茶臼岳の山頂を諦めたわけです。
「他にも行くところあるからいいもん」‥当然、行く先々で風の洗礼を受けることになるわけですが、この時はまだ呑気なものでした。
風がしのげる大きな岩の狭間にはまってお昼を取り、下山を続けます。
すると今度は、フォーマルではないけれどとても軽装なおじさんが向かいから登ってきます。
すれ違う際同行人に「よかったらこれ」とペットボトルの烏龍茶を渡します。「?」「思いつきで登ることにしたんだけど、邪魔になっちゃって」
手ぶらになったおじさんは軽快な様子で登っていきました。おじさん、水分なくて大丈夫かな。
牛ヶ首に向かうのですが、茶臼岳から下りてもまだ風が強い。むしろ強まってる!
牛ヶ首でまたツアーの団体さんと合流。皆、身体を飛ばされないよう大きな岩にしがみつきます。
最初、引率のガイドさんは「三斗小屋まで行きます」と伝えていたのですが、いよいよ強まる烈風に引き返す判断をされていました。
残るは私たち含め個人の登山者。避難小屋方面からいらした方に他のパーティーの方が様子を尋ねています。「斜面によって風が弱まる」とのこと。たしかに、牛ヶ首が風のピークとも思える。
失礼ながら横で聞かせていただいて「行くしかないですよね」とパーティーの女性と意見の一致を見ます。(その節は、ありがとうございました!)
たしかに風は弱まりましたが、谷側に斜度のあるザレ気味な道を通ります。苦手‥おっかなびっくり進みます。
ようやく、峰の茶屋跡避難小屋に到着。
避難小屋なのに、ここは牛ヶ首以上の爆風です。小屋の手前で風に煽られ転倒しました。右膝をしたたかに打ち、しばらく動けない。
にも関わらず先を行く同行人は私が転んだことにしばらく気づかない。小屋の地図に見入っています。
山行=人生の縮図と考えると、この人どうなのよ?と思う瞬間です。
歩くのに支障が出るほどではないので、そのまま避難小屋に入りルートについて考えることに。
ここでまた三斗小屋温泉から来られた数人組のパーティーの方にお話を伺います。
「下りてしまえば風は気にならない、行って行けないことはない」とのこと。
小屋に止まっていても身体が冷えるばかり、意を決して目的地を目指すことにします。
(この時、パーティーのお一人からいただいたお菓子に慰められました。ご親切ありがとうございます)
幸い、強風吹き荒ぶあたりは柵があり、支柱に掴まりつつ進むことができました。本来掴まる用ではないかもしれませんが‥
ほどなくして樹々が茂る道となり、いきなり無風地帯に切り替わります。
オオカメノキの木々に咲く白い花が気分を明るくさせます。緊張から解放されて、足取りも一気に軽くなります。
至る所から湧水が滲み出て、小さな沢を作ります。陽の光を受けて水面が輝き、道沿いにはイワカガミやタチツボスミレが群生しています。
ご機嫌な気分のまま、三斗小屋温泉 大黒屋に到着。
とても感じのよいスタッフさん達が迎え入れてくださいました。
スタッフさんによると、やはり強風の影響で少なからずキャンセルが出ているとのこと。例の大手ツアーの団体さんもキャンセルとなったそう。
部屋に入りさっそくお風呂に行こう!と服を脱いだ時、サポートタイツの右膝が破けて出血していたことに気付きました。とうに止血しているものの、とほほ。
お風呂、岩風呂は(スタッフさん曰く、季節的なものもあり)少しぬるめですが、大風呂はとても気持ちの良いものでした。さほどの距離でもないのに、風がために転んだり這ってみたりして酷使した身体がほぐれていきます。
人心地ついたところでお夕飯。お部屋(個室)に膳を運んでいただけるのが嬉しい。山小屋、というより(タオルやアメニティがなくシャンプー類使用不可なことを除けば)普通の宿という方が近いですね。備え付けのお布団も、シーツ用意されており清潔です。
21時に自動消灯。この辺りは無風と思いきや、夜半、激しい風が窓ガラスを揺らし大きな音を立てます。嵐の夜、山奥に逗留する妙を感じます。
(実際には、布団のなかで声を顰めた同行人から延々すべらない話を聞かされる)
【二日目】
朝もおひつを空にして美味しく食事をいただき宿を後にします。大黒屋がコラボレーションしたナルゲンボトルを買ってもらって喜ぶ。
お昼用に、チェックイン時にお願いしていたお弁当(\500@1人前)を受け取ります。
今日は隠居倉から熊見尾根を通り朝日岳を目指すことに。気になる風については、昨日が23m/s、今日は18m/sの予報。
温泉神社の鳥居をくぐり、苦にならない急登を進むと、やがて道沿いに白濁した水の流れが現れます。
水‥といっても、触るとぬるい。これ、温泉ですね。やがて硫黄が噴出する場所に行き当たります。
ガレ場をワイヤーで固定して階段状になった急登などが続き、どんどん標高を上げていきます。それに伴い植生の変化が早く、飽きさせない道です。
展望も申し分なし!
昨日は風の恐怖でそれどころではなかった同行人も、今日は気持ち良く口笛を吹いています。曲は「爆風スランプのrunner」‥相変わらず上手だけど、ちょっと縁起わるい笑
隠居倉でおやつを取り、ヤマザクラと展望同時に楽しめる素敵な道を過ぎると、岩場だらけの景色に切り替わります。
ここで嫌な予感‥強風ふたたび。
朝日の肩で強風ピーク。まさに爆風です。
ふたたび煽られ(ちょっと身体浮いた)転倒のはずみで今度は両膝を打ちます。
「もうやだ、朝日岳には登らない!」峰の茶屋跡避難小屋を経由してロープウェイ山麓駅を目指します。
剣ヶ峰に続く道、崖に沿った鎖場や岩場のオンパレード。私が行けるくらいなので難易度はたいしたことないと思いますが、なにせ風が吹き付ける。とにかく慎重に進みます。
さらに避難小屋の手前はしっかり雪が残っています。硬くなってはいないのでチェーンスパイクを動員するまでもありませんが、想定外なので焦ります。
その後もザレ道と強風のコンボで転び、痛さと情けなさで満身創痍。同行人は昨日の反省からか都度手を差し伸べてくれたものの、ふと便意に襲われ「トイレまで俺先に行くねん」と瞬足スイッチを入れました。置き去りです。
強風エリアは抜けたけど、急に心許なくなりとぼとぼ足を進めます。軽快に追い越していく煙草屋旅館の歩荷さんや山伏の方が眩しく見えます。
あの背中に背負っているほら貝吹いてみたい。そんなことを考えていたら後方の方に「お疲れですね」とお声がけいただきました。
あー恥ずかしい。
峠の茶屋で合流し、山麓駅に停車していたバスに無事乗り込んでやまびこで帰路に就いたのでした。
帰宅して、両膝の派手な痣を確認。
以前なら見苦しいと嫌で仕方なかったけれど、今はこれも山行の証と思えてくるのです。顔とか目立つところが傷付いたら、そんなことも言ってられないのだけど。
•今後は行先の風速もチェックする
•そもそも吹き飛ばされやすすぎる。耐風姿勢と体幹について考えてみる
反省して、次に繋げていきたいと思います。
わたしもこの日、煙草屋さんのテン泊しておりました。
尾根に出て三本槍は断念しました(;^_^A
何度もきている那須ですがあれほどなのは初めてでした。。
はじめまして!こちらこそ、フォローありがとうございます😊
今思い出してもものすごい風でしたね。。
朝日の肩で吹き飛ばされたのがトラウマで笑 どこのピークも踏めませんでした。
私たちは大黒屋さん泊でしたが、煙草屋さんのお風呂素敵ですね!次は煙草屋さん目当てに再訪したいと思います。
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