奥穂高岳・テン泊BC(直登ルンゼ滑走)
- GPS
- 50:04
- 距離
- 39.4km
- 登り
- 2,219m
- 下り
- 2,207m
コースタイム
8:40上高地 - 9:40明神 - 10:40徳沢 - 11:40横尾 - 13:25本谷橋 - 15:25涸沢(テン泊)
【2日目】
7:25涸沢 - 9:30穂高岳山荘 - 10:10涸沢岳 - 10:50穂高岳山荘 - 11:50奥穂高岳山頂12:00 - <直登ルンゼ滑走> - 12:50涸沢(〜13:30カール滑走)
【3日目】
6:00涸沢 - <スキー滑走> 6:30本谷橋 - 7:40横尾 - 8:55徳沢 - 10:30上高地
天候 | 1日目:曇り時々晴れ 2日目:晴れ 3日目:雪→下山途中雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
駐車場は1日500円。 GW中でも満杯になっていなかった。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■コース状況 ・上高地〜横尾までは他のレコ多数につき割愛。ハイキング。 【横尾〜涸沢】 ・横尾〜涸沢は本谷橋までは夏道と残雪のミックスだが特に危険箇所はなし。 ・本谷橋からは夏道は右岸だが、残雪期は左岸を歩く。(ただし雪が少ないためか下山時には夏道沿いにベンガラで目印が付けられていた) ・スキーの場合本谷橋手前からシールハイク可能。 ・涸沢のテン場はヒュッテ横の仮設テントで受付を行っている。(大人一人1000円) ・この日のテントは300〜400張程度。 【涸沢〜穂高岳山荘〜涸沢岳】 ・基本的に涸沢から白出のコルに向かって直登する。 ・朝のうちは凍結しているが徐々に緩んでくる。 ・穂高岳山荘〜涸沢岳までは稜線で風が強く狭い雪道のトラバースになるので滑落に注意する。 【穂高岳山荘〜奥穂高岳山頂】 ・いきなり山荘横のハシゴ(雪に埋まっているが)の場所が核心部。渋滞もひどく滑落に注意。 ・ハシゴを上りきった後はピッケルアイゼンを確実に効かせて一歩一歩雪の壁を登って行く。 【奥穂高岳山頂〜直登ルンゼ滑走】 ・山頂の祠脇の雪庇からドロップするか、少し下がった場所から滑り込む。 ・この日はハードパックされた荒れた斜面で最高レベルの難易度。 ・頂上付近の斜度は50度くらいあり、直下にはいくつもの岩が出ているので転倒は絶対に許されない。 ・カールまで滑り降りると段々雪が緩んで来るのでザラメ天国を満喫できる。 ・カールにはデブリが多く、コースが限定されるため滑走ルートをあらかじめ確認しておく。 ■ドコモ電波状況 ・徳沢〜涸沢は電波が入らない。 ・稜線では電波良好。 ■その他 ・涸沢ヒュッテのトイレは和式、洋式共にあり、紙も常備されていて使いやすい。(行列ができるほど混んでいなかった) ・いきなり雪が降ったり、朝晩は氷点下になるので冬山テン泊の準備が必要。 ・当然だがテン場は整地の必要があるのでスコップを持参する。 |
写真
感想
いよいよ2014年最大の目標である「奥穂高岳・直登ルンゼ滑走」に挑戦する日がやってきた。
このイベントにターゲットを合わせて不帰dルンゼも富士山も滑った。
後は天気にこの身を委ねるだけだ。
そして、予報によると・・・GW後半の4日間のうち、最も天気が良さそうなのは5月4日。
この日をアタック日と決めて涸沢へ向かうことにする。
上高地・・・やはり混んでいる。
観光客と登山客が極端に二分されているこの雰囲気は特徴的だ。
ある意味、富士山五合目や立山のそれに似ているかもしれない。
スキー兼用靴+二泊三日のテン泊装備+スキーという三重苦の状態で涸沢を目指す。
テン泊自体が1月の甲斐駒以来なので、この重さが肩にのしかかるのも久しぶりだ。
しかし不安はなかった。
去年もほぼ同じような日程、距離を槍ヶ岳で経験しているからだ。
とはいえ・・・わかってはいたが横尾までの道のりが長いこと・・・
その先の本谷橋までの道中も楽しんで歩く感じにはならなかった。
本谷橋からはいよいよ雪が繋がってスキーハイク開始。
荷も軽くなり、快適なスキー登行を楽しむ。
涸沢に到着すると、カールを取り囲むようにそびえ立つ山々の圧倒的な景観に感動する。
そうそう、目的のひとつはこれだったんだよ。
テン場(というか広大な雪原)には既に多くのテントが設営され、一大テント村を作り出していた。
自分も多少の風の中テントを設営し、翌日に備えてマッタリとくつろいだ。
2日目、
いよいよ今日は山頂アタック(というか直登ルンゼアタック)の日だ。
あまり早く出発すると雪が硬い可能性があるのでゆっくりと朝食をとったり支度をしたり。
テントから白出のコル方面を眺めると小豆沢を多くの登山者が登り詰めている。
自分もザックに板をつけてまずは穂高岳山荘を目指す。
下の方の雪は既に緩んでいてコンディションは良さそうだ。
穂高岳山荘に到着すると、その屋根の向こう側に白山がそびえていた。
ちょっとだけテンションアップ↑
奥穂方面へ目をやると登下山する人で渋滞となっていた。
ちょっとだけテンションダウン↓(元通り)
まあ焦っても仕方ないのでとりあえず空身で涸沢岳に行ってみることにした。
初めての涸沢岳。
間近で奥穂と北穂を眺められることがとても新鮮だった。
しばし槍、立山、薬師、黒部五郎、南アルプス、富士山などを拝んだ後、白出のコルへ戻る。
奥穂への渋滞は解消されていなかったが、そろそろ登らねば・・・
自分より後に登ってくる人は少なかったが、下山してくる人とのすれ違いに気を使う。
なんとか要所を切り抜け、アイゼンとピッケルでガツガツ登って行くと山頂と数人のスキーヤーが見えてきた。
直登ルンゼを滑るためにルートを吟味しているようだ。
途中、先行者がドロップする所を見届ける。
滑りと音からするとかなり硬そう。
競技上がりだと思われる滑りで相当腕達者(足達者?)なスキーヤーだと思われるが、難儀しているように見える。
そして奥穂高岳登頂!わーい!・・・と、本来は喜ぶところだが、今回はスタート地点に到着したに過ぎない。
こういうマジな滑走の時はピークハントの喜びを噛みしめたり、絶景を堪能する余裕がなくなる。
レースでスタートハウスに入った時と似たような精神状態だ。
ドロップポイントを探るが、ここはやっぱり山頂脇の一番高い所からでしょ。
雪庇も相当硬くなっていて雪庇崩壊はなさそう。
あとは相棒(今回は特にエッジ)を信頼してドロップイン!
ヤバっ、予想より硬い!
谷足のエッジが流されるが山足でリカバリー。
頼りになるぜ!相棒。
下には岩が露出しているので転倒は絶対に許されない。
少し安全な場所までトラバースしていくと、ひとりのスキーヤー(S君)と会った。
S君はボーダーと一緒だったが、ボーダーの知り合いは危ないから無理、ということでアイゼン下山することになったらしく、即席でパートナーにならないかと誘いを受けた。
ソロでもよかったが、せっかくなのでその提案を受けることにした。
横滑りを多用しながら、S君のことを気にかけつつ小豆沢まで滑り降りる。
小豆沢には先行のスキーヤー集団がいたので声をかけた。
自分「いや〜凶悪なコンディションでしたね」
先行者「修行でしたねぇ〜」
快適な滑走とはいかなかったが直登ルンゼを滑走できた喜びは大きく、そこにいる全員の顔が充実感に満ちていた。
S君も無事に降りてきたのでガッチリ握手をして別れた。
その後は極上ザラメの滑走を思う存分楽しみ、我が家(テント)に戻った。
アイスコーヒーが飲みたくなったので、雪でアイスコーヒーを作ってみることに。
極上のザラメ雪で作ったアイスコーヒーもこれまた極上で、滑走後の至福の時間を大いに楽しんだ。
いつか雪のコンディションがいい時を狙って再度滑ってみたいと思う。
入ってきましたね!
地元の低山でちんたら・・・いや、のんびりしながら、なかなかレコが上がらんから今回はどこかなと思ってたわ(^^)
このGW、下界のニュースや新聞は遭難事故ニュースがてんこもり。緊張感あるレコ。なにはともあれ無事に帰還、お疲れっ(^_^;)
ところで雪の涸沢カール、人口密度高っ!
yamachanこんばんは。
下山したら遭難のニュースがこれでもかってくらい飛び込んできて驚きました。
しかも奥穂、涸沢と、近い場所が多かった。
下山日となった5日は寒かったし視界は悪かったし、まるで冬山の様相だったのでやばそうだなぁって思ってました。
BCはいつになく緊張しましたが、その分やり遂げた感もタップリ。
しばらくはマッタリBCを楽しもうと思います。
すごいですね〜!
念願達成おめでとうございます!
Sanchan33さん始め、エキスパートを唸らせる変態斜面。。
僕も今年チャレンジを企んでましたが、ちと予定が合わず・・
でもこのレポート見たら怖いな・・もう少し鍛えてから挑戦したいと思います。。
Mahitoさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
GW前半に飛騨沢を滑られたんですね。
昨年のGWにテン泊で滑りましたが、その時も今回同様カリカリバーンであまり楽しめませんでした。
その代わり稜線からのモルゲンなどの絶景は最高でしたけどね。
レコを拝見する限り最高のコンディションだったようでうらやましいです。
直登ルンゼも急ではありますが雪のコンディションさえよければ問題なく滑れる斜面だと思いますのでチャレンジしてみてください!
すごい侵入角。。ドロップ
ふぁ〜っ。
まさに、落ちるって感じですね。
こんだけ、BCやりこんでる人もいるなんて。
恐ろしや。。
夜の雪山に灯りがともると素敵な風景ですね♪
naminoriさん、こんばんは。
夜の雪山に灯りがともると・・・そうなんです、あまり他では見れない光景なんですよね。
幻想的でとてもいい感じでした。
月明かりと星の演出も最高でしたよ。
それにしてもnaminoriさんのレコは歩く距離もハンパないですが、登山というより探検といった感じですね。
山登りとは別のワクワク感があって楽しく読ませてもらっています。
人それぞれ、いろんな山の楽しみ方があって面白いですね!
Sanchanさん、こんにちは^^
ズコイーーーーーしか言葉が出てきません
あの斜面を滑られたんですよね?信じられない
私はその頃、槍ヶ岳でした。
山頂では絶景パノラマでした
下山時、飛騨沢滑るスキーヤー一人もいなかったんですよね。
凍ってカリカリだったからかな?
飛騨沢滑落して行った人もいました。もう少しで巻き込まれるところだったの
ともあれ、お互い無事で何よりでした
kazumiさん、槍登ったんですね!おめでとうございます。
2日で往復って結構大変だと思いますが、体力的にも技術的にもどんどんレベルアップしている感じですごいです。
飛騨沢は去年のGWも気温が低くてカリカリだったんですよ。
自分も登っている最中に誰か滑落するのを見てしまいました。
飛騨沢も槍沢もコンディションがいい時にリベンジしないと・・・
この時期の雪山も危険ですが、リスクに見合ったご褒美があるのでやめられないんですよね・・・
凄い斜面。
私の経験だと鳥取県伯耆大山の残雪期クライミングルートくらいの斜度なのかなぁ〜
当然人が降りるような斜度じゃないのに・・・ これから上は凄いところって情報があれば、先に進まず途中でドロップインでエスケープします。
ちなみにバインディングの開放値はいくつくらいでしょうか?
(可能であれば装備込み重量・・・体重が分かってしまいますが )
chusakaiさん、こんばんは。
あ、コメントみて気がつきましたがchusakaiさんはクライミングもされるんですね。
レパートリーが多くてすごいですね。
自分もクライミングしてみたいなぁ・・・と思いながらも、いやいや、これ以上風呂敷広げてはいけない!と多少我慢しているところです(笑)
開放値の件ですが、体重63kg、装備は10kgくらいで開放値8にしています。
普通に滑っていて外れたことはありません。
変な転び方したら外れるかもしれませんが、実績なしですね。
競技やっていた時はスピードも板の長さも全然違うので12とかにしていましたが、今はこんな感じです。
ちなみに装備はどんな過酷な滑走でもスコップ、ゾンデ、アイゼン、ピッケル、ツェルト、水分に食料など安全確保のために必要なものは重くても惜しまずに持っていきます。
Sanchan33さん、こんばんは
当たり やはり奥穂からのBCでしたか
僕も奥穂は大好きなのであの急斜面を良く覚えていますが、僕のような一般的な登山者からみると、あの急斜面を飛び下りて滑るなんて気が狂ったか?(失礼)と思える程の衝撃です
奥穂でも遭難事故がありましたね。 あれだけの人数が登れば難易度の高い奥穂では遭難が起きる確率も上がるでしょう...。
ところでSanchan33さん、BCでは凍った斜面でも滑れるものですか?
kaikaireiさん、こんばんは。
当てられちゃいましたね。
kaikaireiさんが当初の予定通り涸沢に来ていたら感動的な出会い!?になって面白かったですね。
ひとつ突っ込みを入れさせていただくと、kaikaireiさんは一般的な登山者ではありませんのでお間違いなく(笑)
斜面を飛び降りる・・・確かに今回のドロップはそんな表現が適切なのかもしれません。
ですが、その後の質問にある「凍った斜面でも滑れるのか」に繋がるのですが、よほどツルツルの斜面でない限りスキーのエッジのホールド力はすさまじく、大抵の斜面ではグリップしてくれます。
さすがにセブンイレブンの板氷みたいな斜面では無理ですが(笑)
なので、アイゼンだと歩く自信がわかないような斜面でもスキーを履くと行けちゃう気がしてきます。
自分にとっては最強の登山道具だと思っています。
うんちくをダラダラと語ってしまってすみません。
もうしばらくBCシーズンが続きますが、無雪期になったらニアミスに終止符を打って是非コラボしましょう!
声をかけさせていただいたSです。
その節は大変心強く、お世話になりました。
お陰様で無事涸沢に帰れました。
細々とブログをやっているので、宜しかったら覗いてみて下さい。
http://mtshark.exblog.jp
また何処かの山で!!
jn_sitさん、(S君の方がしっくりくるかな?)こちらこそお世話になりました。
今回は緊張感のある滑走となりましたね。
ブログも少し拝見しましたが、現場の緊張感が生々しく描写されていて素晴らしい内容だと思います。
随分前からヤマレコユーザーさんなんですね。
これからもよろしくお願いします。
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