奈良倉尾根(大菩薩小屋平〜牛ノ寝通り〜奈良倉山〜権現山〜要害山)
- GPS
- 10:22
- 距離
- 38.6km
- 登り
- 1,711m
- 下り
- 3,019m
コースタイム
- 山行
- 8:24
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 10:20
天候 | 霧、曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所なし |
写真
感想
大菩薩から東に伸びる牛ノ寝通り。この尾根のうち牛ノ寝通りと呼ばれるのは松姫峠や奈良倉山のあたりまでであることが多いようだが、果ては上野原まで続く長大な尾根だ。権現山稜までの尾根全体の名称が見つからなかったので、尾根中ほどにあり、印象としてもこの尾根の代表としてふさわしいと思われる奈良倉山からとって、「奈良倉尾根」と勝手に名付けさせていただいた。
大菩薩連嶺、国道411号線沿線、中央線沿線といった人気エリアに囲まれたマイナーな山域だが、コースタイムを調べてみると、距離の割にサクサク歩けるらしい。下りなら1日で行けそうだ。バスを待つと遅くなるので、車の回収のことは後で考えることとして、上日川峠に車を走らせた。
小屋平付近の空き地に駐車。雲が低く垂れこめている。今回の目的はあくまで奈良倉尾根なので、大菩薩嶺山頂には寄らず、最短で牛ノ寝通りに入るルートをとった。
標高1800mくらいで霧に突入した。程なくして樹林帯を抜け、開けた笹原になる。晴れていれば非常に眺めが良さそうだが、視程は50mあるかないかだ。
牛ノ寝通りに入る前に、尾根の頭である天狗棚山を踏んだ。ここが今日の最高峰だ。ここまで登山開始からわずか40分、あとはおおまかに言えば下るだけだが、距離にすると1/20ほどしか来ていない。まだまだ先は長い。
ここまでは大菩薩らしい大変立派な登山道だったが、ここからは普通の尾根道になる。張り出した笹に付いた朝露が靴を濡らす。パラパラと雨が降り出してきたが、暑くないのは良いことだと言い聞かせ淡々と下る。
しばらくすると下草はなくなるが、結局落ち葉で足はグッショリしてしまった。丁寧に切られたつづら折りを快調に下る。
一旦榧ノ尾まで下り切ると、地形図からもわかるように平らな道になる。地図上では平らなようで、実は細かいアップダウンがあるというパターンは多いが、ここは本当にずっと平らで感動した。なんならたまにあるごく小さなピークにまで、丁寧に巻道がついていることもある。これはコースタイムが短いわけだ。
榧ノ尾、牛ノ寝通り、狩場など、明確な地形のないところに地名の看板がポツポツとあるのが不思議な感覚だ。
珍しいということで言えば、山梨の山には珍しく針葉樹林の植樹帯がなく、尾根の両側とも広い範囲で広葉樹林である。明るく雰囲気が良い尾根だ。
狩場山、大マテイ山、鶴寝山などの名前の付いた大きめのピークにも、例の通り巻道があるが、それではつまらないので踏んでおいた。
松姫峠には車道が通っており、立派なトイレがある。テントが晴れそうな平坦地も多い。このルートを満喫するなら、ここで一泊すると良いだろう。
ここから奈良倉山方面も相変わらず真っ平な尾根なのだが、印象がやや異なってくる。
まず尾根上に林道が伸びている。基本的にその上を歩くことになり、これまで以上に巻くピークが増える。メジャーなピークには登山道があるが、マイナーなピークには微かに踏み跡がある程度だ。
林道があるということは林業が営まれているということである。これまであまり見なかった、ヒノキやスギの針葉樹林が表れ、森が少し暗い印象になる。
奈良倉山は林道から50m以上登る大きなピークだ。別に巻かなくても車で登れそうな斜度の登山道で頂上に立った。足元を見ながら歩いていたら「富士山展望所」という看板が目に入ったが、見上げずとも真っ白な空間が広がっていることが予想できたし、実際に全くその通りの景色だった。
温湿度計があったので見てみると、気温17℃、湿度83%を指していた。これだけ湿気っていて、湿度計の中に結露までしている状況でこれなら、この湿度計は二度と湿度100%を指さないんだろうな……。
奈良倉山はバスの入る鶴峠から登られることが多いらしいが、人気のないコースになっても林道なので特に代わり映えしない。たまに気が向いたら小さなピークに登りながら淡々と距離を伸ばす。
西原峠で1050mまで標高を落とすと霧雲の下に出た。雁ヶ腹摺山から東に伸びる尾根が見える。どうやら標高1100mくらいが境界になっているようで、案の定またすぐ霧の中に突入した。
意外なことにいつまでも続くと思っていた林道は小寺山の手前で終わり、普通の尾根道になった。林道が尾根上に通らなくなったということはそれだけ地形が急であるということだ。大菩薩の稜線を下ってからずっと平らだった奈良倉尾根もついにしびれを切らし、三ツ森から麻生山付近ではここぞとばかりに岩稜や痩せ尾根を繰り出してくる。濡れているので気を遣う。
権現山の直前でやっとガスから出た。南側はまだ真っ白だが、北側に坪山方面が見える。
この下りのあたりから膝が痛み始めてきた。距離は既に25kmを超えたが、まだあと10km弱残っている。雨降山、ニツクラ山、二本杉山など、小さなピークにも名前が付いているところに麓の近さを感じる。
二本杉山を過ぎるとすぐ用竹への分岐がある。ここまでの分岐には用竹の地名が出ていたが、ここで初めて「要害山」「尾続山」の名前が現れた。相変わらず日差しはないが、だんだん標高が下がり汗ばむようになってきた。
今日一番の展望は標高536mの要害山からだった。富士山や三ツ峠の山頂は雲の中だったが、上野原から談合坂までの町並みの向こうに、先月縦走した前道志の山々が一望できた。
ここからの100mの下りが、今日3000mの下りの中で一番の急坂だった。膝の痛みは今年に入って一番だ。バスの時間に間に合うことが確実になってきたので、無理をせずゆっくり下る。
山神社の裏手に下り立ち、手を合わせて里に下りた。小倉集落から振り返ると要害山が大きく見えた。県道まで下り、鏡渡橋で鶴川を渡って尾根歩き終了とした。
この日の行程は、ヤマプラで下り2875m、距離33.9km、GPSで下り3019m、距離38.6km。 これらは日帰りではこれまで最高の値だった。膝が痛くなるわけだ。
コースタイムは14時間10分のところ、休憩込みで10時間20分、抜きで8時間24分だった。休憩抜きなら時速4kmを超えている。よっぽど道が平坦で歩きやすかったということだ。
これほどまでに平らで、明るい広葉樹林帯が続く、長くて立派な尾根は滅多にないだろう。特に奈良倉山までの狭義牛ノ寝通りは、アクセスはともかくとしてかなりお勧めできる。紅葉の時期は非常に綺麗そうなので、その頃に再訪したい。
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