奥久慈ハイキング 西金ー下野宮(県北ロングトレイル)
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- GPS
- 13:53
- 距離
- 23.3km
- 登り
- 2,040m
- 下り
- 1,983m
コースタイム
- 山行
- 11:34
- 休憩
- 2:19
- 合計
- 13:53
天候 | 雨のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
恒例により西金駅に駐車して歩きました。 縦走後は下野宮から水郡線で西金へ戻りました。 水郡線は郡山と大子の間に夕立の巣があり、豪雨のためによく不通になります。もともと汽車は2時間に1本程度なので、不通のダメージは終列車逃しと同等です。縦走中に雨が降っていなかった場合でもリスクはあるので、スマホの鉄道情報などに注意します。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
難しくはありませんがちょっとしたつまづきが死亡事故につながるルートです。 男体山入り口は以前崩落し、コンクリ補強されましたが、その先も崩落の危険があります。 男体山一般コースの頂上稜線は一方が断崖です。特に夏場は崖が草に覆われているので、草の生えているところは絶対歩かないようにします。 月居山縦走路は道の崩落が進行しています。そういう箇所を通るときは安全そうなところをを見極めながら、場合によっては潅木や木の根をつかみつつ、四つんばいで進行します。 月居山ー山王山から生瀬富士への途中は渡渉があります。通常は靴脱ぎ必須です。長靴が用意してありますが対岸に偏っている場合もありますから、自分は渡渉用サンダルを用意します。ただし今回は空梅雨の影響で冬季並みの低水量で、靴を濡らさずに渡渉できました。 渡渉点から生瀬富士、そして大子21峰のコルまでは急登、急降下が続きます。特に危険な箇所はロープが張られているのでうまく使いながら登り降りします。 生瀬富士の北峰は縦走をしていると見落としがちです。南峰山頂から真北へ向かいます。数百メートル北に、いわゆる天使のプレートの置かれた通称ジャンダルムがあります。北峰はその少し北です。 大子アルプスは県北ロングトレイルとして再開通(?)してから格段に歩きやすくなりました。しかし這って登り降りしなければならない急斜面もあるサディスティックな急登、急下降が連続するルートであることには変わりありません。また、最近歩かれることが多くなったことの影響か、枝道が増えてきたような気がします。道迷いの恐れがあるので、県北ロングトレイルの黄色いテープを辿っているかどうかを確認しながら歩き続けます。基本的には一番明瞭な踏み跡なのですが、今回は正解と同じくらい明瞭な枝道も散見しました。もしかしたら「正解」のルートはきつすぎるのですべてのピークを辿らなくてもいいような迂回ルートを作っているのかもしれません。 |
写真
装備
備考 | ヘッドランプ 帽子+防虫ネット 手袋(ゴム引き軍手、商品名「タフレッド」) 渡渉用サンダル ファーストエイド 雨具 スマホGPS 携帯電話 タオル 着替え(下着一式、Tシャツ、ショートパンツ、体拭きタオル) 飲料水4L、ペットボトルコーヒー900mL、ミニあんぱん、塩補給飴。 ダイソーの虫除けネット+キャップがお気に入りです。この山域の縦走中は無数のくもの巣を突っ切っていきます。また暖かくなるとブユや蚊の歓迎を受けますが、今回はそれらはまったく気にならず、快適な縦走でした。ただ、メンタルな理由かもしれませんが、後半暑苦しく感じて、何度と無く網をかぶるのをやめようかと思いました。しかしたちまち虫の歓迎を受けるのでか続けましましたが。色は反射が少ない黒のほうが視界が良いと思いますが、若干ですが手元足元は見えづらいところがあるので、三点支持がちな場所ではまくって通過しました。 網をかぶっていたので虫除けはつけなかったのですが、自分は安物の日焼け止めが最強の虫除けクリームだと思ってます。 登山を開始しますと水場はないので水分、塩分は十分担いでください。自分は今回は水3.5Lとコーヒー500mLを飲みました。体調が途中悪くなったことを考えると、喉の渇きとは無関係にこまめにかつ少量ずつ飲み続けることが必要だったかと反省しています。 |
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感想
序盤から蒸し暑くばて気味だったが、早出が役に立って目標の5時32分の汽車に乗り、車窓から奥久慈の風景を楽しんで車に戻ることができた。
−−−以下自分用のメモ−−−
■スタートは3時でないと
なんだかたくさん歩けそうな気がしたので、県北ロングトレイルを久しぶりにやってみることにした。
やるなら超早出、稜線を早朝に通過すれば雲海も見られるかもしれない。西金駅スタート3時が望ましい。
そんなわけで金曜日の夜は早寝しようと思ったのだが、荷物の準備やら食事やらで11時近くまで起きてしまった。そして土曜の朝は起床4時。これだと西金到着は5時だ。微妙な時刻。ゴールの下野宮駅までは12時間はかかるので目標の5時32分の汽車に乗るためにはぎりぎりだ。しかも、今自分に12時間で歩ける体力があるかはわからない。そして4時に勝手に目が覚めたとはいえ、身体はやや重く、体調万全ではなさそうだ。土曜日の山行はよく日曜日に順延することにした。
さすがに準備が終わっている土曜日は早寝ができた。念のため、今回は3時に目覚ましをセットした。しかし起床は目覚ましの力を借りずに2時少し前。これなら体調的にも万全だろう、深夜の国道を八神純子の「夢見る頃を過ぎても」を聞きながら西金へ向かった。
■蒸し暑い
西金駅に到着して車を降りると、生暖かく湿った空気に驚いた。いままでの山行では真夏でも西金の朝は爽やかか、悪天候でもひんやりと感じたものだ。これは体力をそがれそうだなと思いながら3時10分前に出発した。
蒸し暑くても悪いことばかりではない。国道118号を渡って暫くすると右手先に貼りついている山田に明滅を見て取れた。ホタルの歓迎だ。視力が落ちてるから今年はホタルは無理かもしれないと思っていたから喜びもひとしお。
そんなときに携帯が音を立てて鳴り出した。こんな真夜中に何事だろうと思っていたら、3時にセットした目覚まし時計が鳴り出したことがわかり苦笑した。うんうん、早出は大成功だ。黙々と歩こう。
ガスっているのだろう。眺望は全くない。快晴ならば星空をバックに見える奥久慈岩稜も全く望めない。最近整備が進んだ街灯と、ヘッドランプのお世話になりながら、マイペースでアプローチを目指す。
吐く息が白くなってきた。冬の寒さに気温が下がったわけではない。湿度があまりにも高いので、吐息の温度が体温より少し下がると露点を越えて湯気になるのだ。そういえば以前高尾山徹夜ハイクなどしたとき、同じ現象に出くわしてびっくりしたことを思い出した。もう5年以上前のことになってしまうのか。
感慨に耽るうちに大円地駐車場を通過した。当然のことながら車はゼロ台。大円地山荘前でガスの中の男体山に道中の無事を祈って取り付いた。
恒例により登りは一般コースだ。健脚コースで上がると近道になるし、大円地越から頂上にかけての気持ちのいい頂上稜線を省略してしまうからだ。杉の植林帯を根気良く歩いて高度を稼いでいく。蒸し暑いせいなのか、体力不足なのかあまりペースが上がらない。大円地越に4時40分到着。気温はもう20度近い。真夏とはいえ、この気温は少し高めではないか。
頂上稜線に乗るために一気に歩くケヤキの急登も足取りが重いし、稜線直前の岩場も三点支持でのろのろ上がる感じだ。今日はあまり調子が良くないのか。男体山で止めておくか。でもそこまでばててないし。月居山まで歩いてそこから袋田に出てもいいだろう。月居山まで3時間くらいで生ければ標準タイムだし。
■月居山へ
頂上稜線へ出たころから雨がぱらつきだした。雲海、かも知れないが自分も山も全部その雲海の中だ。奥久慈男体山の頂上岩壁さえ見えない。安全祈願だけ済ませてさっさと先へ急ぐ。急ぐといっても頭を空っぽにしてただただ歩くだけだ。
月居山は個人的に男体山あずまやから、白木山・高崎山分岐まで。次にその分岐から下りきったところまで。次に下りきったところからきつい登り返しを通過し、さらにアップダウンを若干繰り返してちんすうこうこと第二・第一展望台まで。そして展望台から散々下った挙句に急登で登り返し、そこからクライムダウンしてまた急登をひと登りで月居山山頂、という具合に分割して考えている。
最初の白木山・高崎山分岐はいやらしいくだりが続く。(ちなみに往復だと復路ではここの登りで止めを刺される)。雨交じりで熊笹を通過するたびにズボンが濡れる。どうせ晴れていても汗でずぶぬれになるのだから、雨具はつけていなかった。そのそのせいか、中盤以降靴の中が渡渉で水没したかのようにぐじゅぐじゅになってきた。靴の中が濡れると足の皮がはがれたり爪がやられたりしていいことがない。かつて赤谷山から剱岳をやろうとして、剱岳の岩稜を遠望して興奮しつつも諦めたのは、靴の中を濡らしたせいで足の裏の皮がむけてしまったことも一因だった。もうあれからも5年も経つのか。
相変わらずばて気味で、これは月居山まででやめておいたほうがいいかなと思いつつ、他のことは忘れて、目の前の一歩一歩を安全に進めることだけに集中した。普段ならば鎖や補助ロープに触れずに進むところもあったが、普段使わないのはここ一番のときに取っておくためだろってわけで、借りられるものはすべて借りていくことにした。そして、何とか白木山分岐を通過した。ここから本格的に月居山への縦走路が始まるという展開になっている。
再びいやらしい下降が始まり、崩落しかけた急斜面に張り付いている踏み跡をたどり、暫く快適に水平の道をたどって奥久慈自然休養林の倒れかけた看板を通過すると、中盤のヤマ場の急登が待っている。ここは体調関係なしに体力をそぎ落とされる。がんばらないがんばらない。ペースは落ちてもばてないで歩くことだけ考える。体力をそがれるだけそがれてから、少し広めの登山道に出る。もうすこしでちんすうこうだ。しかしちんすうこうの前にやはりイヤラシ目の下りが何回か続くのだ。転倒しないように気をつけなくては。防虫ネットが視界を妨げるのだが、くもの巣はもとより、アブとブユがさっきからぶんぶんと隙をうかがっている。うっとうしくても被っている方がはるかに快適だろうし、歩くことに集中しやすいだろう。予定通りにちんすうこう(第二展望台)を、そして第一展望台を通過した。眺望はなし。
ここから杉林のなか、滑りやすい赤土斜面を下降する。ここは天気がぐずつき気味のときには歩きたくないが、逃げるわけにも行かず、窪んだ登山道に内側から突っ張るようにして摩擦を稼いで高度を下げると、とどめの急登とクライムダウンがやってきた。
がんばらないで歩くことに精を出しているのが効いているのか。あまりばてていない。これならば生瀬富士くらいまでなら歩けるのではないか。とどめの急登は、一気に上がるには少々きつすぎる。ここはもう前進していればいいやという心構えで高度を稼いでいく。岩に張り付くようにしてちょっと岩稜欲をみたしながら、急登を通過し、月居山のジャンダルムと筆者が勝手に呼んでいる岩塔に立った。相変わらず眺望はあまりよくない。ここのところバランス感覚があまりよくないので、こんなところでよろけて一生を終えたくない。さっさと安全第一でクライムダウンし、最後のコルへのいやらしめのクライムダウンを通過した。じつは岩塔よりも、このコルへの土付きクライムダウンのほうが難しい。木の根を丁寧に探して、そして落ちているだけの木をつかまないように細心の注意をして降りた。ここまで来れば一安心。もう一度急登はあるが距離は短い。ひと踏ん張りで月居山山頂に到着した。ここでは文化財「6灰皿」を写真に収めてさっさと通過した。
■体力テストに合格し、生瀬富士を経て21峰へ
生瀬富士方面へ行くかどうかは、月居観音堂を通過して山王山への急階段を元気に登れるかどうかで決めることにした。このルートをやるようになった始めのころ、月居観音堂の階段でいつも脚がつっていた。つっていたけれども、そのあと何とかゴールまで行けている。今の足の調子はどちらかというといいほうだ。もしも例の急階段を安定して通過できるのであれば体力的には大丈夫だろう。序盤が悪かったのは時刻が早すぎて体が目覚めていなかっただけかもしれない。
前回の男体山ー月居山往復と比較すると、月居山からの下山は身体がばて気味だったが、筋肉が悲鳴を上げるというほどではなかった。
そして体力テストの山王山急階段。1段目の段差が何故だか非常に大きい。ここでいきなりけいれんが来たりするのだが、今回はどうか。驚いた。まるでつらない。序盤に比べるとどちらかというと元気になっているくらいではないか。きっと21峰行けるだろう。
山王山は急階段で登り、急階段で下る。途中生瀬富士と立神山の雄姿を望めるはずなのだが、今回はそこに山があることすらわからないほどのガスだった。眺望店はさっさと通過し、お楽しみの渡渉点を目指して、転倒しないように高度を下げていった。やがて階段からそれて、国道461へ誘導する登山道を下っていく。
恐らく岩盤の崩落を防ぐためのものだろう。ワイヤーが道をいくつも這っている。ワイヤーのいくつかは経年劣化で千切れかけており、それにうっかりぶつかれば針金で手を貫かれることもあるかも知れない。なのでワイヤーを見ると緊張してしまう。
登山道にはわき道へそれることを防ぐためのロープがいくつも張られていた。実際登山道の下部は枝道がいくつかでていて、生瀬の滝の上部などに進むこともできたのであるが、もしも川に落ちたら取り返しがつかない。県北ロングトレイルでこのルートの認知度が一気に上がっているし、ある程度の縛りがかけられることも仕方ないかもしれない。などと思っているうちに渡渉点の別荘を通過した。
渡渉点では裸足にサンダルで、川の水に足を浸して疲れを癒そうと思っていたのだが、靴を脱ぐ必要はなかった。今年の空梅雨の影響だろうか。川の水は冬並みに少なく。水没どころか靴を濡らす必要さえなく、岩伝いで対岸近くまで進むことができた。最後の1歩、いかだの橋がかけられているところが少しだけ勇気が必要だったが、浅めのところに足を着いて、踏み抜かないようにやさしくいかだに乗った。時間の節約にはなったが、水遊びできなかったことは少しだけがっかりしたか。
渡渉点から生瀬富士までのアップダウンはいつでもきつい。足取りは重いけれども、けいれんが全然出ないということは,去年これをやり始めたころくらいには体力が戻ってきているということか。ありがたい。
こまめに水を飲みながら高度を稼ぐ。滝のぞきまでやってきた。スカシユリというのだろうか。岸壁に張り付くように咲いているオレンジ色のユリ越しに袋田の滝が見える。滝の勢いは渡渉点から察せられるように控えめだ。でも山王山からは全く望めなかった眺望が開け始めたことには元気をもらった。特に山王山を従えて屹立する月居山は山容は女性的であるとはいっても力強さを感じる。
そして男体山方面への山並みも視界に捉えられ始めた。今朝のうちに奮闘してきた尾根尾根がかすみがかって見えて、何やらすごい距離を(実際大変だが)歩いたような気になってうれしくなってくる。
立神山までは山王山からは単調な登りに見える。そのせいで急登とそのピークにつくたびにいよいよ頂上かと思うのだが、期待に裏切られる。一箇所など竹ざおが立ってもいるのだ。この竹ざおの偽ピークは山頂ではないけれども岩塔に立ったような気分になって岩稜欲を少し満たしてくれる。初めてやったときにはまだ山頂じゃないのかとふうふう言いながらの登高だったが、さすがに何度かやっていると、期待を裏切られることにも慣れてくる。何度かの急登の後に立神山山頂に到着した。
ここをまっすぐ進みたいところなのだが、直進すると県北ロングトレイルのルートから外れて北東尾根に入ってしまう。いつか茨城県北東尾根シリーズなんてのをやってみたいところだけれども、今日は普通に頭を空っぽにして標準コースを歩くのだ。
あたかも来た道を戻るかのような不安を感じさせる右側の急な下降を使っていく。するとどこでどのように巻いたか判らないうちに、生瀬富士の山頂直下の取り付きに到着する。山頂直下は袋田駅側ほどではないものの結構な急登であり、終盤は岩にしがみつくようにしながら山頂に這い上がり、南峰に到着したが、先ず南峰は素通りで北峰へ向かう。
北峰のクライマックスは岩稜への取り付きの壁だ。普通はここは巻くが、岩稜欲の足しにするには直登するのが良い。悪天候で諦めていたが、生瀬富士山頂では晴れ間さえ出始めており、それに伴い岩も乾いていた。奥久慈の岩はホールドだらけなのだが、どのホールドもすっぽ抜けるか崩れ落ちる危険に満ち満ちているれき岩質で、緊張する。安定したホールドを探し、てっぺんまでの手順を慎重に決めて一気に進むと、北峰へ向けての岩稜が伸びる。この壁からの下りも少しどきどきさせてくれるが、取り付きほどではない。
ボルダリングごっこを楽しんでから、北峰へのプチ岩稜縦走を楽しんだ。北にはどこを進むのかわからない21峰を含んだ奥久慈の峰々が続いている。本日のクライマックスが待っている。アクエリアスのペットボトル一本を岩稜で回収し、安全縦走のおまじない(ごみ拾い)とした。北峰から再び岩稜をたどり、最後に壁を慎重にクライムダウンして(登りよりも悪いことはいうまでもない)。南峰に戻った。山頂の登山者の方と歓談してから、21峰へ向けて下降した。袋田駅側の下りは垂直の壁があるのだが北峰の往復で岩慣れしたせいか、あっという間に21峰の取り付きとなるコルまで降りてしまった。
■21峰は甘くなかった。
県北ロングトレイルが開通してから、道が格段に歩きやすくなった。序盤の第21峰のピークを目指す急登は、かつては歩くことさえできないほどのざれた、そして雨にはぬかるんだ急斜面だったのだが、今回は急登には違いないもののずり落ちることもなくじわじわと高度を上げていくことができた。一度急登を登りきってしまうと、暫くの間はゆるい登り降りになる。古い標識を通過して、ハイペースということはないが、安定してマイペースで歩けるかに見えた。途中、下野宮川からロングトレイル整備の方が軽装で通過し、歩きやすくなったお礼を申し上げた。
さて、歩きやすくなってこれは順調にいけると思っていた大子アルプス21峰であったが、赤坂の三角点を過ぎて頭痛が出てきた。この症状去年も出たことがある。恐らくザックを背負っているせいで放熱が悪く、軽い熱中症になってきたのだろう。それとほとんど同じタイミングで大子アルプス名物のサディスティックな昇り降りが始まった。
ピークをすべて追うということは諦めた。とりあえずマイペースで歩き、ザックをこまめにおろして背中を放熱しよう。塩レモン飴も水も頭痛に伴う吐き気のせいで欲しくない。こころなしか暑いのに寒ささえ感じるようになってきた。暑いはずなのに滝のように出ていた汗が出なくなってきた。
急な昇り降りは太ももにも着実にダメージを与え、程なくして両太ももがつり始めた。脚がつることも経験済みだが、この熱中症気味とのダブルパンチには堪えた。道は程よく湿っていて歩きやすかったが、足取りがしっかりしていないので、悪目のところは積極的に四つんばい。こんなときにはタフレッドのゴム引き軍手がありがたい。暑いからゴム引き軍手などはめていたくないのだけれども、四足歩行のことを考えると、手袋を脱ぐわけにはいかない。木の幹や根をつかむときの安定感が違う。
7峰から林道への下りまでが長かった。そして林道からの登りはもっと長かった。脚はつる。頭痛と吐き気で元気が出ない。そして相変わらず昇り降りは厳しいルートが続く。頭痛と吐き気が熱中症だとしたら、身体を冷まし、水分補給しなければならない。もとより動きがのろのろしているのだから、思い切って休憩を積極的に入れた。10分おきくらいにザックをおろし、薄着になって、水をこまめに、少しずつ飲んだ。
それが効いてきたのか、身体が暑さを感じ、汗がじわーと出始めた。頭痛も治まってきた様だ。そしてくたびれたところで謎のベンチ。ちょうどここで力尽きるということを知っているかのようなベンチの場所に感謝して、この縦走初めての座っての休息を取った。このベンチには去年も何度も救われている。また、ベンチがあるときとないときとを知っているので、一見取って付けたようなベンチなのだが、ありがたみが一層わかる。
こつこつ歩いて、何とかなかなかたどり着けない釜田の三角点を過ぎると。2峰へ向けて殺人的な下降が始まった。今までのアップダウンがかわいいくらいの急な下降が続いていく。下野宮側から県北ロングトレイルをやるときは、ここを登らされるのだが、想像もしたくないようなきつい登りになるだろう。下りとて、もしふらついて滑落したら大変なことになる。安全第一で、悪いところははいつくばって降りていった。
降りるだけ降りると、岩がちなところへ登り返していくのだが、登りはきついといってもここが最後の登りだ。筆者が勝手に奥久慈のチマグランデと呼んでいる前歯のような3枚の岩壁、3峰から1峰を通過していく。2峰と1峰からは、足許には久慈川沿いの美田と、遠くには久慈川右岸の山々を眺めることができる。前半の眺望の悪さとは打って変わって、青空さえ広がりつつある。中盤の調子の悪さもほとんど退いてきた。終盤の歩きは何の障りもないだろう。
1峰を過ぎれば、気持ちのいいハイキングコースになる。普通のペースで歩ききって、月待ちの滝近くの登山道入り口にたどり着いた。下野宮駅まではもう一歩きだが、この体調なら心配はない。
■今後の課題
大子アルプス21峰で足がつるのも、頭が痛くなるのも、足が止まるのも経験済みだが、総合的に体力が足りなかったか。盛夏にもやっているからと甘く見ていたが、ザックをおろしての休憩をもっとたくさん入れたほうが、結果的には体力を落とさずに歩ききれたのかもしれない。
むしろ男体山までの序盤でばてたことが気になる。普段のトレーニングの様子から考えて、後半にばてるのはともかくとして一般コースで疲れを感じるようなことはなかった。おなかが下るのを嫌って朝食抜きで出発したせいでシャリばてが来たのかもしれない。序盤に菓子パンでカロリー補給しているから、その効果が中盤に出てきたと考えれば、理解できるような気もする。
また、翌日今回担いでいったコーヒーを飲んだら頭痛が出たので、今回んんだコーヒーが自分の身体に合わなかったということもあるのかもしれない。
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