黒部源流周回縦走回顧録 鷲羽岳・黒部五郎岳 [百名山07・08]【24.03.23作成】


- GPS
- 104:00
- 距離
- 45.4km
- 登り
- 4,000m
- 下り
- 4,000m
天候 | 【1日目】晴れ 【2日目】雨 【3日目】雨 【4日目】雨 【5日目】晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
この写真を撮影した直後にゲリラ豪雨並みの土砂降りに襲われ、レインウェアの下を履いていなかった我々は一瞬でなすすべなく靴の中までずぶ濡れになります。
それにしてもここの登りが最も印象に残っていますね、登山道が完全に沢になっていたので。
しかもこの時ちょうど山荘がリニューアルオープンした直後だったから余計に。
だがしかしテント泊をしに来たんだ!テントを張る!(バカ)
結果、夜中にテント場が沢と化してしまい、テントを守る為小1時間かけて雨の中治水工事をする羽目に。
天気は回復とまではいかずとも雨は止んだので、濡れた道具や服を必死で乾かす。
ちなみにこれより12年後、13年後に全く同じ場所にテントを張ることになる。
というか三俣のテント場、ここ以外の場所にテント張ったことないというくらいここ、マイプレイスw
飯の中に飛び込んでくるし。
だがもはや多少の事では動揺することのない鋼のメンタルを手に入れていた我々であった。
むしろトラブルも楽しんだれ!という心境(ヤケクソ)
やった!!晴れた!
ちなみにこの周辺クマが出没するらしく『誰が一番手行くのかチキンレース』が勃発w
小屋前のベンチでは皆周りを窺いながら結構のんびり支度してらっしゃる。
あぁいいさ!
我々が一番乗りしてやろうじゃないか!熊鈴持ってねぇんだけどなw
鷲羽がダイヤモンドで山頂がウヒョー!!ww
↑マジこのテンションだったw
ちょうどダイヤモンド鷲羽が見えるタイミングだったんですね、神も粋な計らいをなさる。
感想
2010年08月13日(金) [5日間]
『黒部源流周回 鷲羽岳を目指す旅』
◆登山の背景
2010年のハイライト、北アルプスは黒部源流周回テント泊縦走です。
折立から入り雲ノ平、水晶、鷲羽、黒部五郎と黒部源流をぐるっと周回する縦走計画。
登山を始めた時から温めていた計画で、登山初期の集大成ともいえる山行でした。
これまで1泊2日しか経験していなかったのですが
更に膝痛という予測不能な不安材料を抱えた状態で、4泊5日の長丁場テント泊山行ということで
相応のリスクを覚悟しての山行となりました。
特に奥地(雲ノ平、鷲羽)まで足を踏み入れてしまうとエスケープが難しくなり
否が応でも歩き切るしかなくなるので『撤退判断は迅速に』を念頭に入山した記憶があります。
膝痛対策は様々な方法を模索した結果
最終的に膝へのテーピングで対処することになりました。
これが果たして吉と出るか凶と出るか?
登山を始めてから最も壮大にして最長の山行の幕が上がります。
◆登山の詳細
【1日目】
山行前、8月11日〜12日にかけて台風4号が日本海側を掠めて北上しました。
台風次第では山行当日の天気も危ぶまれたのですが、影響は少なく無事予定通り折立へ。
実際初日の天気は雲こそあったものの、比較的穏やかな天気。
この時の私は『台風一過、ここから天気が回復するのだ』と喜び勇んで登り始めました。
ちなみに荷物重量は
私26kg 妻21kg
私の膝痛リスク軽減のため、妻の荷物がかなり重くなってしまった結果、過去最重に。
ただその大半が食料なため、日ごとに荷物が軽くなる計算だから頑張れと励ました記憶w
さて、先日の膝痛による撤退からおよそ1ヶ月。
今回は膝へのテーピングを施しての再挑戦です。
これでダメなら初日から膝痛発症するだろうから、その時は潔く撤退のつもりだったのですが…
拍子抜けしてしまうくらい問題ナシ。
天気も体調も絶好調ではありませんか。
おやおや、これは日ごろの行いが出てしまったかな?などと冗談を言う余裕がありました。
2日目の朝を迎えるまでは。
【2日目】
朝起きるとテントを叩く水音が聞こえる。
は?雨??(;´Д`)
嘘だろ??台風一過で晴れるって言ったじゃん(誰も言ってない)
台風一過は晴れると勝手に思い込んでいた私はここで軽く半ギレ。
実際は台風こそ抜けたものの、日本列島付近には前線が停滞し、2〜3日は不安定との予報に。
さぁどうする?行きますか?行きませんか??
行きまぁす!
ということで雨の中山行継続を決定。
幸いにして出発する頃には雨もほとんど止み、ガスで軽く湿るくらいになっていました。
さて、雲ノ平へ向け未踏の地へ足を踏み入れることになりましたが、ここからが地獄の始まり。
当初ほとんど降っていなかった雨でしたが、薬師沢小屋を過ぎた途端に突如土砂降りに
雲ノ平への急登が一瞬で沢と化しました。
しまった!と思うも時すでに遅し
この時、実は我々レインウェアの下を履いてなかったんですよ。
面倒くさがって装着のタイミングを逃した我々は、あっという間に靴の中までびしょ濡れに。
一度濡れてしまったので、もういいやということでそのまま雲ノ平まで気合で強行。
小屋に到着する頃には足指の感覚がありませんでした。
ここで我々は選択を迫られます。
予定通りテントを張りますか?それとも小屋に泊まりますか?
小屋はストーブが焚かれ非常に暖かい、乾燥室も使えます、まるで天国ですよ?
『だがテントを張る』
日和ってんじゃねぇぞ、テント泊しに来たんだ、小屋に逃げるなど言語道断(バカ)
ということで誘惑を振り切りテントを張ることに(バカ)
その後、雨の中無事にテントを張り終わり、ようやく一息ついていると
テント場の上の方からジャバジャバと水音がし始めたではありませんか。
何と雨水が沢となり、我が家のテントに押し寄せてきたのです。
嘘だろ(;´Д`)
川の流れを変えるべく、雨降りしきる真っ暗なテント場で、岩をどかし土を掘り
1時間ほど治水工事を行い、何とかテントに流れ込む水を別の方向へ逃がすことに成功しました。
私は一体何をやらされているんだ?
【3日目】
雲上の楽園と謳われる雲ノ平。
朝起きて我々が見た景色は、鼻で笑ってしまうくらいに真っ白なガスの中w
そして相変わらず降り続ける雨。
当然靴は乾いてませんし、服も湿って気持ち悪いし、雨の中のテント撤収はクソ面倒。
でもね、人間ここまでメタメタにやられると逆に楽しくなっちゃうんですねw
正直、もう多少のことでは驚かなくなっていました。
何も見えんしずぶ濡れなのに、満面の笑みを浮かべた写真が何枚も残っているという恐怖w
多分いろんな意味で吹っ切れた日w
ただ、頭は至って冷静だったようで、ここで当初の予定を大幅に短縮。
この後登る予定だった水晶を中止し、その後1日かけていく予定だった双六も条件次第で中止。
3日目、4日目の工程を体力回復と状況の立て直しに充てるという判断をしました。
というわけで3日目は雲ノ平から三俣山荘までの短距離移動のみの日となりました。
おかげさまでこの日の午後には雨も止み
テント場で服や装備を乾かすことができるくらいには天候が回復しました。
そして夕暮れ時には赤く染まった鷲羽岳が眼前に。
そう、今回の山行はこのために来たのだから、鷲羽、君に登るために。
今日までの苦労は、最高の条件で鷲羽に登るためのスパイスだったといういうことだね?
天も粋な計らいをするじゃない。
翌日鷲羽岳を登る予定だった我々に希望の光が差した、そんな3日目でした。
まぁそんなの儚い幻想だったのですけど…
【4日目】
朝起きてテントから顔を出してみると横殴りの雨、何でやねん(*^^*)
おかしいだろww
昨日あれだけ晴れてたじゃねぇかww
そんなこんなで夢にまで見た鷲羽岳の山頂は、ガスと暴風雨の中でしたw
いや〜これはさすがに落胆したなぁ。
前日の夕方に登っていればと後悔しました。
しかし想定外はそれだけに留まらず、異常をきたしていたのは私の膝…ではなくテーピング。
ここまで4日間、テーピングをずっと貼りっぱなしだったんですよね。
さすがに部分的にはがれてきたので一度貼りなおそうとテーピングをはがしたのですが…
膝裏の皮膚がベロンと見事に剝がれました。
いや、痛いなとは思っていたのですが、ここまで酷いことになっているとは想定外。
テントを撤収し、本日の工程は再び雨の中、黒部五郎小舎までの小移動。
それを過ぎれば最終日、黒部五郎岳を越えて折立までの下山になります。
長かった縦走も終わりが見えてきました。
しかしここまで4日間、ロクなことがなかったのですが…このまま終わるのかww
【5日目】
深夜、ふと目が覚めると雨音がしない…
恐る恐るテントから顔を出すと、満天の星空がそこに広がっているではありませんか。
最終日にしてようやく晴天を引くことができました。
これまでが苦しい山行だっただけに、黒部五郎から見た360度の大展望は忘れられません。
最終日の感想は写真コメント参照のこと。
しかし、天候には恵まれたものの、ここまでに濡れてしまった靴は完全には乾いておらず
靴下を変えてもすぐ濡れてしまう為、靴の中は常に湿度の高い状態でした。
ふやけた脚の皮はめくれ、豆も複数個所できていました。
最終日は様々な痛みとの戦いながらの行動となりましたが、無事下山することができました。
◆登山の感想ほか
もうね、詳細まで事細かにすべて覚えている山行です。
荷物の重さも、濡れた靴の冷たさも、皮膚の剥がれた膝裏の痛みも、足裏の潰れた豆の痛みも。
何もかもすべてリアルに思い出すことができます。
初めての連泊山行にしては、かなり過酷なものだったと思います。
途中で心が折れても不思議のない内容でしたが
簡単に下山できるエスケープルートがなかったことで、逆に緊張感を維持できました。
我々の中ではこの時の山行がベースとしてあるので
以降テント泊に行く際でも、多少の悪条件などさほど気にならなくなったのは一番の収穫かも。
あらゆる面において、印象的な山行です。
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