9歳児とゆくキノコと高山花と白砂ビーチの日向山【山梨百名山】
- GPS
- 04:40
- 距離
- 5.3km
- 登り
- 608m
- 下り
- 601m
コースタイム
- 山行
- 3:18
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 4:31
天候 | 曇りときどき晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
完璧な整備、危険個所なし 錦滝方面は登山道、林道ともに通行禁止 |
その他周辺情報 | 尾白の湯 でっかい露天風呂がふたつ |
写真
感想
8月下旬、天気は微妙。こんな日だけど、妻と自分の平日休みが重なった。夏休みの息子とどこに冒険しに行こう?
少し変わった山にしようか、ということでちょっと遠いけど日向山に登ることにした。この山、山頂に白い砂のビーチがあるのだ。
下(尾白川渓谷駐車場)から登ると高低差900mだけど、山道を車で登ってから(矢立石駐車場)だと600mそこそこで行ける。早起きのあまり得意でない我々が東京から向かうのだから、余裕をもって歩ける行程がいい。
平日ゆえ渋滞のない中央道を長坂インターで降り、道の駅はくしゅうでお昼の弁当と地場野菜を買う。ここは南アルプス天然水がジャバジャバ出ていて汲み放題なので帰りに寄ることにする。
べるがの森を横目に別荘地を抜け、高度を上げる。カーブのところが駐車場になっていて、道はそこで行き止まり。ここが矢立石駐車場だ。平日だが何台か車がとまっている。晴れた休日など、ここはすぐ埋まってしまいそう。
うっすら霧がたちこめているので、日の光がさしているところだけ光のヴェールみたいになっている。ちょっと楽しい。
登山口からあがって、気持ちのよい林の中へ。勾配はどちらかというとゆるめ。のんびり森の中を歩く感じ、今日はちょっと暑いけど秋口なんか最高だろう。
さてこの日の前に雨が降ったこともあり、林の中はキノコだらけ。シロハツあるいはツチカブリ、チチタケはたくさん。イグチ系もけっこう生えている。森の中にキノコを探し、観察しながらのんびり山登りするのはこれまた楽しい。
気温は止まっていれば涼しいが動くと暑いくらい、霧というか雲の中なのでけっこう湿気が強い。登山道はゆるいようでいてたんたんと歩くと少し足に来る、そんな微妙な斜度。たまに「10\3」という、矢立石から数えて何合目かを示す看板がある。ずいぶん歩いたように思ったあたりで5合目の表示があった。
キノコを愛でながらコンスタントに高度を上げていくと下草が笹やぶにとって代わられて、やがて傾斜があまりなくなった。このあたりでとてもおいしい食菌であるでっかいハナビラタケを見つけたけれど、人気の山の道端なのでとらずにおく。9合目のところに雨量計が立っていた。
笹の中の平坦な道をゆく。霧の中の林、天気がよくないなりに幻想的でこれも素敵だ。三角点の分岐があったが、あとでたどることにして直進。ほどなく視界がいきなり開けた。日向山山頂に到着である。
濃密な霧の中の、真っ白なビーチ。ちょっとなかなかお目にかかれないほどの幻想風景がそこにあった。さほどきつくない山を登ってきてこの風景、これは人気が出るのがよくわかる。
ご年配のハイカーさんが、あっちに南アルプスにしかない高山植物が咲いてるよ、と教えてくれた。白いビーチが霧の中に続いている。どことなく遠い異国の砂漠のような風景の中を進む。
岩のわきに、鮮やかなピンクの花がかたまって咲いていた。タカネビランジというそうな。あきらかに、平地にはない姿。白砂の砂漠のようなところにピンクの花束というのがまた美しかった。
ヤマレコのマップ上で「雁ヶ原」となっているところまで進もうとしてみた(「雁ヶ原」=白砂と聞いていた)が、切り立った岩の上に出てしまったので断念。そこに神様がおはしたので息子とツーショットをお願いした。
山頂標のあるあたりに戻ると、雲にすきまができて陽が差し、眼下に八ヶ岳の裾野が広がった。ちょうどまっすぐ前に、息子と去年登った編笠山が見える。ずっと曇りだと思っていたので、思いがけない絶景がうれしい。
ビーチに腰を下ろして、お昼ごはん。道の駅はくしゅうで買っておいた弁当のおいしいこと! 山頂ではインスタントラーメンを食べることが多いので、こうして手のかかったごはんを食べられるのは相当なぜいたくに感じられる。
お昼を食べ終えた息子さんがビーチを端から端まで走り回る。ガケから落っこちないか少し心配だけど、もう9歳、200以上の山に登っている男なのだから大丈夫だろう。岩陰にはタカネビランジ、コバノコゴメグサ、シナノオトギリ、ヤマハハコが並んでいた。手軽に高山植物に出会える山でもあるらしい。
さて、山をおりよう。食事をとっていたところから軽く上がったところに「雁ヶ原」という木札がかけてある。ということはここが雁ヶ原、山頂は三角点のほうになるのだろうか。ヤマレコのマップがいうところの「雁ヶ原」は通過点記録を見ると「錦滝分岐」になっていたりする。うーむ。まあいいか。
山頂付近はほぼ平坦、ゆえに息子さんは最初からぶっ飛ばしておりていく。いやいやせっかくだから三角点寄ろうぜ(これが真の山頂なのかもしれないし)、ということで息子さんを呼び戻す。ブーブーいいながらも写真におさまってくれた。
晴れてダッシュしほうだいな息子さん、どんどんおりていく。その速さには親ふたりともついていけないので、息子さんはときどき止まってはわれわれを待つ、その繰り返しでおりていく。
チチタケが折られて落ちていたので、傘のウラのヒダを傷つけてみるとものすごい量のチチ(乳液状の汁)が出てきた。菌糸のかたまりでできているはずのキノコからこんなに汁が出るというのは、どういう仕組みなんだろう? チチタケはこの付近にどっさり生えていたけれど、ここは南アルプス国立公園。動植物の採取はできない。どうやらものすごくおいしいという話を聞いているが、よく観察しておいて次回どこかの山でいただこう。
さほど急ではない坂道を下っていくのがとても気持ちよかったけれど、息子さんの駆け足につられてわりとさっさと下りてしまった。もうちょっと森歩きを味わいたかったけれど、この超速山下りは息子さんの楽しみのひとつなので仕方がない。そんなわけで駐車場到着、おつかれさまでした!
帰りはすぐ近くの「尾白の湯」へ。強アルカリの泉質もさることながら、どーんと広い露天風呂(しかも湯舟ふたつ)がいい。ただこの日はまだ夏休みで隣接のキャンプ場「べるが」からと思われるお客さんがたくさんいてちょっと混んでいた。
このあと、道の駅はくしゅうで南アルプスの天然水を空いたペットボトルにひたすら詰め、続いて宿場町・台が原にある山梨名醸で「七賢」の純米吟醸を、金精軒で水信玄餅を買って帰路へ。
……と思ったが、中央道が新笹子トンネルから大月まで3時間かかるというとんでもない工事渋滞が発生。一宮御坂インターで降りて富士吉田に抜ける。結果、今日は会えないと思っていた富士山をおがむことができた。今回も1日に詰め込むだけ詰め込んでいろいろやったけれど、うまくいったので大満足。
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