白神山地 追良瀬川ウズライシ沢から白神岳
- GPS
- 55:10
- 距離
- 23.4km
- 登り
- 1,075m
- 下り
- 1,351m
コースタイム
・21日(月)06:45C1−8:00ー15ウズライシ沢出合−10:40ウズライシ沢Co610 C2
・22日(火)07:20 C2−10:30-11:00白神岳−15:00白神岳登山口
天候 | 一日目晴れ 二日目曇り 三日目雨のちガスのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2009年09月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
冗長で何もない沢も好きだ。
白神の貴重な要素は、白神ラインという林道で串刺しにはされているけれど追良瀬川、赤石川の、海まで続く長い沢の中流、上流部に平行した林道が入っていない事である。美しい川でも林道が通ると崩壊で沢は荒れる。これはあちこちで嫌と言うほど見てきた。道が見えている沢を遡行するのはたとえ目を伏せても野暮なものだ。人造物にまったく会わずに数日逍遥できる懐の広さ、それが白神第一の魅力では無かろうか。おもしろい函や滝が出てこなくても、別にかまわない。
白神が何故世界遺産になったのか、未だにわからない。万人受けするわかりやすく美しいポイントもないし、それを推薦した人や決めた人が「誰もいない沢をそぞろ歩く自由のうまさ」を熟知していたとも到底思えない。まして世界遺産を見物に来る人や行政や観光業界が、どれほどこの見た目に地味な森林が他と違うのかを見極めているのかも知らない。この山の価値は、何日も沢を足で歩いて彷徨ってみないとわからないのではないか?丸一日道の無い沢に、誰でも登って来られなくてもそれで良いと思う。ただ入域完全排除と観光開発はそれを知らないから浮かぶ案だとは思う。
一日目
たがじょの面々と合計8人、沢の経験はまちまちだが、長い沢を歩きたいというパーティーで。たがじょでもこの本流をずっと行く山行、毎年やっているわけでもないという。山中二泊の日程がとれるのも、この秋の五連休のおかげ。
白神岳登山道に車をデポして白神ラインに向かい、山を一つ乗っ越して追良瀬川堰堤まで。追良瀬川をのんびり進む。右へ左へ、淵有りトロ有り。秋の五連休なので別パーティーが3っつ。地形図には岩記号がたくさんあるが、障壁にはなっていない。
歩き始めてわりとまもなく、巡視員のパトロールに会う。焚き火や釣りをしていないか見回っているとのことだ。
一ノ沢(岳沢)出会を超えたCo370あたりに淵をへつるところあり。右岸を行く。手を伸ばし足を探ればちょうどかっちりいいのがあって楽しめるところ。僕以外は全員左岸を巻く。
五郎三郎の沢出会は遠くから水柱が見える見事な滝。その先三の沢(シワラノ沢)を過ぎてすぐまた淵の右岸をへつるポイント有り。すべて水際を行く。みんなは前半小さく巻いて後半水辺のへつりに戻るルート取り。下りだったらプカプカ流れるところ。
滝ノ沢を過ぎたあたりで泊まろうとしたら先行2パーティー7人がすでにタープを張っていた。どこでも泊まれそうなので天場を探して進む。左岸にいい感じの場所があり、決める。なかなか良いところ。
面々の沢山の荷物からはおいしいものが沢山出てきた。ビール好きの御二人は各々六本も運びこんでいる。さんは油を持ってきて、野菜天ぷらを作ってくれた。とっても豪勢。僕のいつもの行動食、ギンビスのビスケットと柿ピーだけと言うとかなり驚かれた。たがじょの食事は銘々勝手に作るのだが、おいしいものを沢山作って振る舞ってくれる。僕はいつもいただくばかりで。
夜は星と天の川が出て晴れ渡り、結構冷え込んだ。
二日目
本流はこれと言って難所もなく、ウズライシ出会いはすぐだった。この二股は緑の淵がたっぷりしていて美しいところ。ウズライシ沢に入るといくつか数メートルの小滝があるが、どれも楽しんで直登出来るクラス。メンバーによりお助けヒモを使う。緑色凝灰岩グリンタフの岩相がおもしろい造形を作る。フリクションも良き決まる。メンバーはスパイク地下足袋半分、フェルト底半分。
Co610m右岸には大々的な天場があり、ブナの森の中にタープふた張り余裕の整地場がある。きょうは半日で泊。中には結構足を痛めたメンバーもいたので。午後はやっぱり天ぷらやミズの和え物など。身欠きニシン、青森の人は大好きだ。僕もこっちに来てから、毎日欠かさぬようになった。山でもうまい。半日、思い思いに過ごす。さんは少し上流で熊にあったと帰ってきた。きのうのお隣パーティーは、有名なガイドのツアーパーティーだった。午後になって到着し、あいさつをかわして藪の向こう側に天場を張った。
夜更けまでさんとあっちこっちの山や沢の話。同じような山登りをしている人に新しく会うとうれしいものだ。バーボンを飲み過ぎた。
三日目
朝、支度をしていると雨。本流にいるときでなくて良かった。上流を目指す。特筆することもなく傾斜を増していく。地図読みも難しくない源流にはリンドウのつぼみ。藪こぎもなく、笹のトンネルをくぐって山頂と小屋の間に出た。このすぐ下で水を汲める所がある。
山頂に出ると沢山の登山者。視界は全く無しのガスガス。でもまあ僕には初登頂、新しい仲間との三日間の最高点だ。どんな天気でもうれしいもの。三日もかけてきたからこそ価値ある山頂だ。
下り道はフェルト足袋にはよく滑る泥斜面だが、良くできた道で文句ない。標高差1200m下るから長い。みんなの他愛のない津軽弁と南部弁のヨタ話をヒアリングしながら樹林帯を下る。上の方はブナ、後半はヒバが加わり、日の差し始めていた森が輝いている。ビッコ引きながらのメンバー込みでも4時間、よく歩いた。
追良瀬林道に車を取りに行って海岸に戻るともう夕暮れ時。日本海側は、北海道の檜山を思い出す。今回もご近所のさんに送り迎えしてもらった。
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