【木曽駒】中御所谷(本谷)遡行


- GPS
- 09:26
- 距離
- 8.3km
- 登り
- 1,979m
- 下り
- 1,034m
コースタイム
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
往復バス+ロープウェー片道:1人3030円 始発近い時間のバスは前夜から並ばないと乗れない。チケット売り場の列と乗車券売り場の列があるが、乗車券は購入していなくても車内で現金で支払えるため、1人の場合はバスの乗車列にだけ並べばよい。2人以上いるなら、両方の列に並んでおくとよい。 なお、前夜から人が並ぶわけではなく、場所取りの物を置いておけば良い。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・日暮の滝までの観光路は通行止めになっているが、特に通行に支障はない。 ・遡行中は、滝を大高巻きすると遡行価値が下がる上、藪漕ぎで時間を浪費すると思われるため、小さく巻くことを心掛けるべきである。登れない滝のうち、小さく巻けない滝はない。 ・この時期人気の沢かと思っていたが、後続1P3人を確認したのみ。日暮の滝2段目以降で姿を見ることはなかったが、1時間程度後に千畳敷に上がってきたらしい。 |
その他周辺情報 | ・中御所谷は人気のある沢だが、意外と書籍には掲載されておらず、登山大系しか確認できていない。 ・WEBでは「その空の下で」の弘田氏及び京都雪稜クラブによる遡行図付きの記録が公開されている。 http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade5/page003.htm http://setsuryo.jpn.org/02_kiroku/0610-01.html |
写真
装備
備考 | ・ロープは50m1本でちょうどだったが、4人以上なら2本あるほうが速いと思われる。 ・ラバーソールだったが、水流中はぬめる箇所が多く、フェルトが有利な可能性もある。 ・カムが使えるクラックが多いので、ロープを頻繁に使うなら、カムを多めに持っていくとよい。 |
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感想
【計画の経緯】
この週は沢以外の予定があり、沢には行かない予定だったが、天気が良すぎる。話の流れで、土日のうち1日の予定をキャンセルして、yoriponの行きたいリストにある沢のうちこの時期が適期と言える、中御所谷へ行くことに。
【山行】
○入渓まで
前夜、23時過ぎに菅の台駐車場に入り、とりあえずバス待ちの列に荷物を置いておき、適当な軒下で就寝。起きると、空いていた駐車場は満車、列は長蛇になっていて、恐るべき人気。
早くに並んだおかげで1台目のバスの補助席に乗れて、明るくなったころにしらび平に到着。トイレに行ってから装備を整え、日暮の滝への遊歩道に入ると、いきなり通行止め。当然無視して通過すると、何の問題もなく入渓。
○遡行
最初の日暮の滝は、2段の滝。とりあえず1段目をtamoshimaが凹角から登ったが、フリーソロしている人も多いという割には難しく感じた。あまり良い終了点がなく、細めの木で終了点としたが、実はロープが半分しか出ていなかったので、2段目もまとめてリードしたほうが良かったかな。2段目は快適なスラブだった。
弘田さんも苦労しているということで警戒していた11mCS滝は、右凹角ではなくその左のカンテを登ったところ、登りやすくて拍子抜け。多少のゴーロを経て小滝を越えていくと、宝剣滝と呼ばれているらしい(名前は下山後に知った)斜瀑群。なかなかに美しい。簡単に登れるかと思ったが、ラバーソールではいやらしく感じるところが所々あり、ロープを適宜出しながら登って行った。
10mCS滝は、右から巻こうとしたところ、残置リングボルトがあったので、もしかして悪いのかと思って念のためロープを出したが、見た目通り難しくなかった。なぜこんな堅い岩にわざわざボルトなんて打ったのだろう。
脆い10m滝は、巻いている記録が多かったような気もしたが、登れそうなのでとりあえずフリーソロで左から登ったところ、上部でスタンスが大崩壊し、下に人がいなくてセーフ。良いスタンスは無くなったので、後続はお助け紐でゴボウ。続く13m滝は、通常左から巻いているが、左壁が登れそうに見える。折角なので、ロープを出してリード。中間部がかなり悪かったが、良いところに残置ハーケンがある。それならば、と思ってフリーで登るムーヴを探ったが、解決せず、その残置ハーケンに鐙をかけてA1。A1すればここは大したことがなかったが、その後も緊張感のあるクライミングが続いて、落ち口へ。中御所谷は登り応えのある滝がないかと思っていたが、登攀的にも楽しめる滝があり、良かった。が、残置ハーケンはdeepblueにより回収されたので、この滝の難度はさらに少し上がったことだろう。
続く2段13m滝は激シャワーなら登れるかもしれないが、その選択肢はないので、巻き。右岸から巻くと巻き上げられやすいようなので左岸からロープを出して巻くが、小さく巻いたら、岩の脆さもあり結構悪かった。帰宅してから弘田さんの記録を見ると、同じラインだったが、あの脆さだと、13年前は結構岩の形も違ったことだろう。
暫くでこの沢最大の直瀑、20m滝が出てくる。ここは右岸枝沢から巻くのが一般的なようだが、左岸枝沢からも登れるのではないか。しかし、水が冷たくシャワークライムはできないので、左岸壁から左岸枝沢の滝を巻き、20m滝の右の快適そうなスラブから登ることにする。一癖あるムーヴで左岸壁下部の岩を登り、藪に入って左にトラバースすると、目論見通り左岸枝沢の滝を巻け、あとは見た目通りに快適なスラブを登るだけ。20m滝はこの沢の核心の1つだろうが、この巻き方は面白みがあり結構お薦めである。
以降は簡単な滝と、簡単に巻ける滝ばかりとなり、快適。二俣の2つ先の滝は、水線近くに拘ったらちょっと難しかったが、まあ普通なら巻けばいいだけである。もっと水線を攻めている記録もあるが、真夏限定だろう。この辺りになると、標高が高いため水は非常に冷たく、全く浴びたくない。
鏡の滝は、確かに左のスラブが立派で、言われてみれば鏡かなぁという感じ。中央を攻めれば登り応えがありそうだが、快適な左を登る。その後は小滝や斜瀑が続いた後、三俣以降は概ねゴーロの沢となり、ぬめりも強いし若干退屈するが、飽き始めた頃には千畳敷カールに出て、アルプスらしい素晴らしい景観が望め、疲れは吹っ飛ぶ。癒されながら苔の綺麗な冷たい沢を進んでいくと、ちょうど水が湧きだすところで登山道に出て、その素晴らしい終わり方に感動。
○ハイキング(?)
千畳敷の人の多さに嘆息し、ロープウェイの整理券をもらうと、1時間半程度の待ち時間とのこと。長い。じっとしているのも勿体ないので、荷物を全て置いて、単独で宝剣岳を周回してみることに。
本気で登山道を登ると、息が上がり、標高が高いことを実感させられる。宝剣岳への登路は鎖が多く、いつもただの岩を登っている身からすると、如何に登りやすいことか。多少ガスっているものの、初めての中央アルプスの稜線の景観は、以前シレイ沢の後に鳳凰三山を歩いた時と似て、開放的で爽快。
荷物もないので軽快にどんどん進んで、下りの登山道では80人くらいをゴボウ抜きして、1時間弱で周回成功。沢の後のちょうど良いデザートだった。ロープウェイの待ち時間が1時間半以上もあるときには、宝剣岳をついでに登るのはお薦めできる。
○下山
下りのロープウェイでは、狙い通り沢が良く見える位置を取ることができた。前週のオジカ沢ほどではないが、やはり滝の多い沢である。下山しながら登った沢を見られる沢、好き。
それにしてもロープウェイもバスも密状態で、もうコロナは終わったのだと実感した。
【感想】
中御所谷はもう5年ほど前から行きたいとは思っていた沢で、とはいえバス利用の面倒さもあり後回しにしていたが、良い時期、良い天気の日に行くことができ非常に良かった。期待していた紅葉はいまいちであったが、あまり濡れないし、秋向きだろう。
遡行内容も期待を裏切らないものであり、しかもロープウェイ待ち時間を利用してアルプスの稜線の良さも齧ることができ、大変充実した1日だった。
【総評】
立派な滝が連続し、綺麗で快適な秀渓。一癖ある滝が多いので初級者向けではないが、中級者以上には非常にお薦め。鐙を使うような難しい滝もあるので上級者にも楽しめると思う。詰め無しで千畳敷からロープウェイで下れて爽快だが、バス代とロープウェイ代で3000円以上かかるのが欠点。3級程度。
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