宮之浦岳縦走(淀川登山口→白谷雲水峡)
- GPS
- 16:25
- 距離
- 36.5km
- 登り
- 1,901m
- 下り
- 2,625m
コースタイム
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 8:55
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 7:25
天候 | 1日目: 霧雨時々曇り時々晴れのち雨 2日目:霧雨時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
合庁前〜淀川登山口:屋久島交通タクシー |
写真
感想
行ったことのある友人たちは口々に「屋久島よかった」と言うものの『山登りはじめました2』を読んで汚トイレ事情がひどいという印象しかなく、あまり興味がなかった屋久島でした。(元々南の島にも興味を引かれない)
昨年末に仕事・学業・趣味等で多忙にしている前職の同僚と大山を歩いている際に、来年屋久島に行こうとしていることを聞きました。その時点では「そうなんだ」という思いのみでしたが、GW頃にふと思い立ち同行を願い出ました。
本来はSWの予定でしたが、雨女が3人集まった結果台風14号が上陸し2度の往路欠航に。
一番はやい便に振り替えても6日間中3日が消失するため、今回にリスケとなりました。
6日間の日程で天候が読めないなか、一番マシだろう4日目5日目に決行です。
荒川登山口から淀川登山口へ縦走するのがメジャーですが、私たちは淀川登山口から白谷雲水峡への逆ルートで歩きました。
往路はバス・タクシー会社の営業所がある合庁前まではバスを使い、営業所でタクシーに乗り換えました。
山道では車酔いしやすくなっている昨今でしたがドライバーさんの運転が素晴らしく、カーブの多い山道もまったく車酔いせずに済みました。
なお車内から紀元杉を案内くださったのですが、残念ながら夜明け前で見えませんでした。
淀川登山口には車が5,6台、ハイカーさん2組が既に準備をしていました。
私たちも準備をしているとその後もハイカーさんたちが。
まだ木々が高いあたりではトレイルが暗いため、ヘッドライトを点けてのスタート。
ガスっているものの雰囲気いいねと話しつつ、前日に私はモッチョム岳、2人は蛇の口滝を歩いていたのを3人して「整備されていて前日よりもめちゃくちゃ歩きやすい」という感想で始まりました。
淀川小屋での一休み、『還らざる聖域』ではここに軍が陣営としたんだなと思いつつ、雨が降ってきたのでレインジャケットを羽織ります。
透湿性があっても南の島のまだ標高がそこまで高くない気温のトレイルなので、歩いているとやはり蒸れる。
が、そのうち少し雨脚が強くなってきたのでレインパンツも履きました。
日本最南端の高層湿原、小花之江河・花之江河も『還らざる聖域』で描写がよかったのが頷けました。あいにく雨で写真のような眺めでしたが、天気がよかったらとても感動したんだろうなと。
花之江河をすぎると岩場と設置されたロープ出てきました。
花崗岩なので擦り減ったトレランシューズのソールでも滑らず安心&わくわくしつつ進みます。
なお、天気が残念で眺望もないだろうと黒味岳はスキップしました。
振り返ると、悪天候で眺望がないとは言え投石平あたりから平石岩屋くらいまでの景色が雄大で一番好きだったなと。
『もののけ姫』の舞台としては白谷雲水峡あたりの苔むす森が有名ですが、この辺りも数カットはあるはずだ、帰ったら観ないとなと思った次第でした。
宮之浦岳山頂では先行のハイカーさんがいらっしゃったので、写真を撮っていただきました。
ほんの短い時間、陽がうっすらと出たものの動いていないと寒い。山頂でお弁当を食べ終わる頃には完全に冷えてしまったので、レインジャケットの下にフリースを着ました。
焼野三叉路で永田岳への標識を見ていいなぁ行きたいなぁと思いつつ、新高塚小屋までの道のりを歩きます。
好みだった雄大な景色から苔と杉の森に変わったこともあり、第二展望台あたりから雨脚が強まり閉口気味になってしまいました。
が、グループだったおかげでおしゃべりで気分を上げることができました。ソロだったら辛さを感じただろうと思います。
宿泊する新高塚小屋には既に7人いらっしゃり、私たちを合わせると10人。その後2人増えて、最終的に12人になりました。
翌日高塚小屋に寄った際に居らっしゃった宿泊者から聞いた話では、そちらの小屋は利用者6人だったそうです。
なお高塚小屋は新高塚小屋より古いと思っていたのですが、新しくなっていて快適そうでした(ただし新高塚小屋より小さく収容数が少ないのと、水場が離れているはず)。
新高塚小屋では通路左手1階の真ん中辺りを使わせてもらいました。
雨に降られて到着したのでレインウエアや濡れた手袋靴下等を干しました。
ネズミが出ると聞いていたので食糧も吊るしましたが、出た気配はありませんでした。
防水のないトレランシューズなため靴下もずぶ濡れ、小屋では予備の靴下に履き替えたものの末端冷え性で足先が冷たかったので、就寝時は足先にカイロを入れました。途中起きたときには足先も温まり、それ以降は外しました。
翁岳を過ぎたあたりで順ルートで来た2人のハイカーさんを連れたガイドさんから「修学旅行生が来ていて登山道は行き交えず渋滞となるから、明日9時には大株歩道入り口に抜けられていた方がいいよ」と助言をいただいていたので、逆算して4時に起床することにしました。
が、就寝時「これだけ人がいればアラームは迷惑になるだろうし誰かしら先に起きるに違いない」と3人ともアラームはかけませんでした。
ふと起きると4時20分過ぎ。少し予定を過ぎている。隣りの友人が起きている気配があったので、支度することに。
私たちがガサゴソし出したら周囲も起き出しました。自分たちが最初の起床者になるとはと誤算だったねと言い合いました(起床はいちばん早かったものの、支度している間に皆さん次々と出発していきました)。
食事を済ませ支度をし、予定よりは30分ほど遅れているものの夜明け前にヘッドライトを点けて出発。連続した木の階段を黙々と降りていきます。
木の階段も木の根も濡れて滑りやすく、まだ暗いこともあってか皆さん何度か転ばれたものの、大きな怪我はなく済みました。
同じ頃に後方遠くで悲鳴のようなものが聞こえたのですが、きっと滑って転んだんだろうという話になりました。
縄文杉、夫婦杉、大王杉、ほか名のない立派な屋久杉を見たり雨露を含み瑞々しい苔に触れながらウィルソン株に着いた頃には、順ルートからのハイカーがかなり多くなってきました。
あと少しで大株歩道入り口でしたが間に合わなかった。修学旅行生と思われる集団も続々と来てやはり行き交えず、渋滞に巻き込まれました。
なお島に到着して2日目の島一周ドライブもメジャーとは逆ルートの反時計回りで周ったのですが、その際にレンタカーのご主人に「屋久島の案内標識はメジャーな時計回りで見やすいようになっているらしい。逆で周ると直前まで案内板に気づかなかったり行き過ぎてしまうらしいから気をつけて」と言われ、実際そのとおりでした。
登山道における標識も同様な箇所があり縄文杉〜苔むす森辺りではいくつか杉の名前が書かれている表示版を見逃し、過ぎてから「あそこにあったよ」と聞きました。
大株歩道入り口に出てからは渋滞とさよならでき、トロッコ道をひたすら歩きます。
トロッコ道も『還らざる聖域』に出てくるのですが、その描写が出てきたときには面白みを感じなくなってしまっており、そんなことも思い出して友人たちと話をしながら歩きました。
標高が下がったからか、曇りでありつつも陽が出てきて「もっと手前で出てくれれば」と思いました。まだ最後のビューポイント太鼓岩が残っていたので、そこの眺望には期待。
しかしながら太鼓岩の手前の辻峠でまた標高を上げたからか雨女が集まっているからか、再び雨が降ってきてしまい太鼓岩での眺望は皆無なのでした。
太鼓岩で時刻を確認したところ13時台のバスに間に合うかもしれない時間。
逃すと次は最終便の16時台なので、先頭を代わらせてもらい少しスピードアップ。
再び雨が止みときどき日が射すトレイルで石をひょいひょい飛び渡っていった結果、バスの時刻20分前に到着できました。
なお帰りのバスの乗り継ぎのタイミングでも強い雨に降られ、最後まで雨女ぶりを発揮する3人でした。
濡れた衣類やリュック、登山靴(は洗ってから)等を民宿の乾燥室に入れシャワーを浴びて一息つくと夕食の時間。
今回の旅行では朝食のみのプランだったのですが、縦走後は外に出る気力もないかもしれないからと縦走前夜に夕食をお願いしていました。
が、食堂に行くと自分たちの部屋番号の札がない。
夕食をお願いした際に、民宿のご主人が晩酌&他のお客さんと歓談中だったからか失念されてしまっていました。
ご主人から謝られ、お詫びに外食から帰ってきたら特製の焼酎をごちそうしてくださるとのこと。
1日目昼も利用させていただいたた最寄りのお店にてビールとジュースで乾杯し、お刺身や定食でお腹も満たされ宿に戻りました。
部屋で荷物を片付けたり翌日のソロでの愛子岳の準備をしていると、ご主人が仕事を終えて夕食・晩酌をするのでいつでも食堂にきてくださいと。
当初は私はいただくつもりはなかったのですが、焼酎のハニージンジャーシロップ割り…間違いなく美味しいよなぁと、ご相伴に預かることにしました。
ご主人は養蜂家でもあったそうで(食堂に蜂の巣も飾ってありました。言われるまで気づかなかった)、特製シロップ割はとても美味しかったです。
焼酎をいただきつつご主人からいろいろな話を聞きましたがどれも興味深く、また滞在している間もとても親切にしていただき、よい民宿を利用できたなと思いました。
翌日が最終日なことを話すとよければ案内したいスポットがあるということで、愛子岳より一期一会の方が大事だなと話にのらせていただきました。
最終日は「屋久島はひと月に35日雨が降る」から仕方ないとは思えぬ5日間の天候からは想像のつかないほどの晴天で、眺望があるときにまた屋久島の山々を歩きたいと強く思いました。
苔と杉の森もよかったけれど、個人的には花之江河の湿原と宮之浦岳周辺の雄大な景色の方が好みだったので、永田岳や黒味岳も歩きたいです。
来年あたりワーケーションして晴天を狙いつつ、今回登らなかった山々、永田岳、黒味岳のほか愛子岳、太忠岳、七五岳に烏帽子岳等にも足を伸ばせたらなどと思っています。
とても楽しい毎日で、到着したのがはるか以前に感じられるあっという間の6日間でした。
同行させてくださったお二人に感謝です。本当にありがとうございました!
最後に今回に際して読んだ書籍をご紹介。
『ワンゲルガイドブック 屋久島』 … 出版年が古いため掲載店が閉店していたり商品が値上がりしたりしているものの、登山情報中心によくまとまっている
『ひかりのあめふるしま屋久島』 … 屋久島経験のある友人に勧められ。こちらも古いが、屋久島に対する好感度が一気に上がった
『還らざる聖域』 … 南ア山岳救助隊K-9シリーズで有名な(と言いつつ積読未読)樋口氏の最近の作。導入部および地図と照らし合わせながら読むのは面白かった(総合的には好みではない
ついでに再読あるいは読もうとしている書籍も
『山登りはじめました2いくぞ!屋久島編』 … 汚トイレしか記憶に残っていないものの、訪れた後の再読はまた感じ方が違うかもという思いから
『屋久島トワイライト』 … 『還らざる聖域』の次作。K-9シリーズ未読のまま樋口氏の著書はもういいかなと思いつつ、屋久島が舞台ならこちらも読んでおこうという気持ち
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