《三遠南信》大嵐駅-三遠信国境-八嶽山-茶臼山32キロ
- GPS
- 14:50
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 2,311m
- 下り
- 1,322m
コースタイム
- 山行
- 5:04
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 5:07
天候 | 両日晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
下山 茶臼山妻のクルマでお迎え |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道は茶臼山のみ |
写真
装備
個人装備 |
地下足袋+脚絆
焚き火セット
ノコギリ
弁当
水筒
軍手
ラテルネ
地図磁石
防寒具
雨具
寝袋+カバー
マット
|
---|---|
共同装備 |
ツエルト
鍋
|
感想
一日目
30分で登れちゃう愛知県最高峰に普通に登りたくない。三遠信の三国境(天竜川の川底)から、三河信濃国境を延々歩いて茶臼に登る計画を数年前に考えた。秘境駅、大嵐(おおぞれ)に鉄道入山。紅葉の行楽で飯田線といえど人多め。もう5回目くらいの飯田線秘境駅下車は毎度心が弾む。
大嵐から三国境まで車道を歩く。南麓の旧高山村集落も見たかったが、今回時間はタイトだ。三境の川底へは降りなかったが降り口に慰霊碑あり。佐久間ダムやこの道の建設工事だろうか。ダム湖には戦艦のような轟音の砂利運搬船が航行している。法面の壁の弱点、路傍の2mの石垣をよじ登って尾根末端へ。ここまでの1.5時間の路上歩きで、八嶽山の南面を眺めてきたがどこも急崖で、この県境尾根が一番ゆるそう。全体はゆるいがそれでも急な斜面もあり。ずっと杉の植林で晴天なのに暗い。黙々と登っていると海の底の深海魚のような気分だ。
ほぼ展望なし。県界標識連打の尾根。急斜面の杉林で、道はないがヤブもない。ステップのない急斜面には地下足袋が心地よい。足の第一指の付け根に体重をかけ、足の前半分で柔らかい地面を踏みしめ、のしのしと登っていく。こんな急斜面によくぞ杉ばかり植えて。杉材に夢を託した地域の歴史を思う。
八嶽山山頂。山頂近くでようやく紅葉の広葉樹林が見られる。2リットルは持ってきたが今日の泊まり場は水が汲みたいな。少し先へ進み、東又峠下の土場から信州側へ林道を標高差50mほど下ったところでせせらぎを見つける。予想通りの場所に水の音がして嬉しかった。ここも昔は南信の国超え峠ルートだったようで、稜線直下南側のテラス状地形に小さな廃村集落があったと何かで読んだ覚えがある。落ち葉の上にツエルトを張り、薪を集めて火を焚き、カレー雑炊。明るい月が昇るのを見る。杉林で、星は見えない。
二日目
少し寒かった。いろいろ昔の夢を見て起きる。火を熾しマルタイラーメン。稜線は寒いそよ風があり、かっぱ上着を着る。延々国境を上り下りする。尾根の登りはたった一つの高みに向かうだけで間違えないが、下りは分岐だらけで罠だらけ。何度か間違えて登り返す。人生と同じで、下り坂は間違えやすく怖い。無心だと間違える。地形図と磁石で確認すると、思い込みのほうが正しく感じる。杉林のあいまの広葉樹の紅葉に、朝日と青空が垣間見える。誰も歩かない地面は足に優しく気持ち良い。いくら歩いても疲れない。
1154を越えると北側の地形がゆるくなり皆伐なのか、展望も時折効くようになる。送電線を越えると、遠くに茶臼山が見えた。紅葉の海の彼方にこんもりと立ち上がる高まり。こういう山姿の山に茶臼の名はふさわしい。まずはこの距離感を感じて登りたかった。1061の東のコルで、南斜面に上がってきた立派な舗装林道と接近する。この先はなるべく県境稜線を行くがヤブで踏み跡が絶えたり、時間がタイトになったりで後半は舗装道も使う。紅葉はむしろ、舗装林道沿いのほうが美しかったりする。クルマは一台も来なかった。この舗装歩きで多少時間を短縮したおかげで、茶臼山の山頂に届いた。
新野峠では車が走っていた。1198へは、林道ではなく、県境稜線をたどる。ヤブもなし。1198の東の山頂につくと、信州側は広い牧場になっていて、柵で囲われていた。おかげで茶臼山はじめ、北面の大川入山方面や売木村の村落などが展望できた。山頂も紅葉と苔の良い佇まい。良い山頂を見つけた。りんごをかじって再起動。
アテビ平小鳥の森の登りへは、再び舗装林道から離陸してヤブ気味の尾根へ。尾根は平らな植林杉林になり歩きやすいが、またも突然の牧場柵に阻まれる。ヤマレコの「みんなの足跡表示」で150mほどササのヤブを漕げば道に出られるのを知らなければちょっとためらう笹薮だった。地形図には無い道に当てそのままアテビ園の遊歩道へ。この遊歩道も地形図には一切線が描いてないので、足跡表示に助けられる。これながければ完全に迷路だ。
アテビ園は気合い入れて整備したのだろうけど、茶臼山からの距離があり、クルマでわざわざこっちに来て森をさまよう人は多くなさそうで、かなり放置され、いい感じになっている。が、ヤマレコの足跡表示するスマフォがなければ、ちょっと気楽に散策はできないなあ。
足跡表示で最短の道を選んで茶臼山を目指す。道標は無いか読んでもわからないものばかり。茶臼の北東山麓へ。登り30分、標高差150m。10時間の行動の末に山頂へ。アベックと家族連れ4組とすれ違う。かなり立派な展望台が山頂にあり、北面の日陰から日向に出る。紅葉の海の彼方に南アルプスと意外に鋭峰揃いの奥三河の山々、渥美半島の山、太平洋も見えている。
山麓駐車場付近は草原などが整備され、ちびっこも遊んでいた。愛知県民必訪の高原景勝地である。駐車場に、かめさん(妻)が迎えに来てくれていた。すすきの原でおにぎりを食べたり、萩太郎山のリフトにのったりして、遊んでいたそうだ。2日ぶりに人と話す。
当初はまる二日で根尾村役場前のバス停の18時30分まで更に3時間歩く計画だったが、時間読みが甘く、バスのためには茶臼山をカットしなければ帰れないところだった。クルマのお迎えに感謝だ。バスで帰るなら、やはり初めの計画通り3日は見込まなければならないだろう。ここから豊田行きバスが出てくれれば良いのに。
三県境と県最高峰をつなぐ長年持っていた独自計画。茶臼山がどんどん近づいてきて、遠くから高みを目指す古代人の気分だった。踏み固めていない地面を歩き続け、足の裏が喜んでいた。
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