ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 5019299
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
谷川・武尊

ただ谷川岳を見つめたくて...冬、ラッセル🔥白毛門!!

2022年12月21日(水) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
08:26
距離
6.2km
登り
1,075m
下り
984m
歩くペース
ゆっくり
1.21.3
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
7:44
休憩
0:57
合計
8:41
7:28
7:35
145
10:01
10:25
134
12:39
12:58
76
14:14
14:16
100
15:56
15:58
1
16:00
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
白毛門登山口駐車場(Googleマップに入れると、メイン道路のバス停で終了になる。そこを右に入るべし)
コース状況/
危険箇所等
のっけからそこそこの嫌らしい急登。松ノ木沢の頭以降もテクニカルかつ鬼ラッセル
その他周辺情報 水上町営、湯テルメ谷川(まあ、そこそこ。悪くはない)
7時前にインも、完ソロの模様
2022年12月21日 06:51撮影 by  SC-53A, samsung
8
12/21 6:51
7時前にインも、完ソロの模様
馬蹄形を頭に刻む
2022年12月21日 07:23撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 7:23
馬蹄形を頭に刻む
登山ポストとからスタート
2022年12月21日 07:23撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 7:23
登山ポストとからスタート
まず沢に架かる橋を渡る。上流側
2022年12月21日 07:24撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 7:24
まず沢に架かる橋を渡る。上流側
下流側
2022年12月21日 07:24撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 7:24
下流側
この橋に階段が数段が付いていて、その下りが坪足だとちょっと緊張する。なので、スタートからチェンスパにしておけばよかった
2022年12月21日 07:24撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 7:24
この橋に階段が数段が付いていて、その下りが坪足だとちょっと緊張する。なので、スタートからチェンスパにしておけばよかった
のっけの急騰で、チェンスパ装着
2022年12月21日 07:38撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 7:38
のっけの急騰で、チェンスパ装着
かなり序盤から谷川岳を見つめられる
2022年12月21日 07:57撮影 by  SC-53A, samsung
8
12/21 7:57
かなり序盤から谷川岳を見つめられる
西黒尾根
2022年12月21日 08:05撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 8:05
西黒尾根
この辺りで早々にピッケル、アイゼンに
2022年12月21日 08:13撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 8:13
この辺りで早々にピッケル、アイゼンに
谷川岳を見つめることが今回の主目的
2022年12月21日 08:31撮影 by  SC-53A, samsung
5
12/21 8:31
谷川岳を見つめることが今回の主目的
ズーム
2022年12月21日 08:31撮影 by  SC-53A, samsung
6
12/21 8:31
ズーム
この山も綺麗だった
2022年12月21日 08:32撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 8:32
この山も綺麗だった
何回でも見つめる
2022年12月21日 08:51撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 8:51
何回でも見つめる
雪が多い
2022年12月21日 09:04撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 9:04
雪が多い
初めて少し分かりにくい所を登った所
2022年12月21日 09:21撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 9:21
初めて少し分かりにくい所を登った所
トレースの「跡」も早々に消えた
2022年12月21日 09:32撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 9:32
トレースの「跡」も早々に消えた
谷川岳で癒される
2022年12月21日 09:55撮影 by  SC-53A, samsung
7
12/21 9:55
谷川岳で癒される
ロープウェイ側
2022年12月21日 09:55撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 9:55
ロープウェイ側
上州武尊山と奥に日光白根山
2022年12月21日 09:55撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 9:55
上州武尊山と奥に日光白根山
赤城山
2022年12月21日 09:55撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 9:55
赤城山
これが見たかった!
2022年12月21日 09:55撮影 by  SC-53A, samsung
9
12/21 9:55
これが見たかった!
ロープウェイの右手は田尻尾根か?左の尾根は何だろう。高倉山に繋がってそう
2022年12月21日 09:56撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 9:56
ロープウェイの右手は田尻尾根か?左の尾根は何だろう。高倉山に繋がってそう
上州武尊山
2022年12月21日 09:56撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 9:56
上州武尊山
至仏山と別の笠ヶ岳、日光白根山
2022年12月21日 09:56撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 9:56
至仏山と別の笠ヶ岳、日光白根山
なかなかに登る
2022年12月21日 09:56撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 9:56
なかなかに登る
松ノ木沢の頭から、白毛門
2022年12月21日 10:02撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 10:02
松ノ木沢の頭から、白毛門
谷川岳、一ノ倉岳、蓬峠
2022年12月21日 10:02撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 10:02
谷川岳、一ノ倉岳、蓬峠
谷川岳
2022年12月21日 10:16撮影 by  SC-53A, samsung
6
12/21 10:16
谷川岳
左から、上州武尊山、剣ヶ峯山
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 10:19
左から、上州武尊山、剣ヶ峯山
日光白根山
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 10:19
日光白根山
左から、至仏山と別の笠ヶ岳
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 10:19
左から、至仏山と別の笠ヶ岳
赤城山
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 10:19
赤城山
谷川岳ズーム。東尾根がすごい
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
11
12/21 10:19
谷川岳ズーム。東尾根がすごい
一ノ倉岳から、武能岳
2022年12月21日 10:19撮影 by  SC-53A, samsung
5
12/21 10:19
一ノ倉岳から、武能岳
白毛門を見上げる
2022年12月21日 10:20撮影 by  SC-53A, samsung
5
12/21 10:20
白毛門を見上げる
雪庇もかなり育っている
2022年12月21日 10:28撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 10:28
雪庇もかなり育っている
後ろには自分の足跡だけ
2022年12月21日 11:03撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 11:03
後ろには自分の足跡だけ
道なき道を行く
2022年12月21日 11:03撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 11:03
道なき道を行く
振り返るのも楽しい
2022年12月21日 11:19撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 11:19
振り返るのも楽しい
ラッセルしながらも、谷川岳を見つめるのは忘れない
2022年12月21日 11:29撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 11:29
ラッセルしながらも、谷川岳を見つめるのは忘れない
なかなかの鬼ラッセル
2022年12月21日 11:29撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 11:29
なかなかの鬼ラッセル
でも、何度も見つめる
2022年12月21日 11:46撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 11:46
でも、何度も見つめる
山頂を捉えた!
2022年12月21日 12:08撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 12:08
山頂を捉えた!
左から、この笠ヶ岳と大烏帽子(朝日岳は見えない)
2022年12月21日 12:08撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:08
左から、この笠ヶ岳と大烏帽子(朝日岳は見えない)
ビクトリーロードか
2022年12月21日 12:19撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 12:19
ビクトリーロードか
この稜線を歩きたい
2022年12月21日 12:20撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 12:20
この稜線を歩きたい
これを見に来た!
2022年12月21日 12:20撮影 by  SC-53A, samsung
12
12/21 12:20
これを見に来た!
スッキリ
2022年12月21日 12:20撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:20
スッキリ
白毛門登頂
2022年12月21日 12:33撮影 by  SC-53A, samsung
8
12/21 12:33
白毛門登頂
左から、燧ケ岳、至仏山
2022年12月21日 12:33撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:33
左から、燧ケ岳、至仏山
日光白根山(中央左)、上州武尊山(中央)
2022年12月21日 12:33撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:33
日光白根山(中央左)、上州武尊山(中央)
武尊山ズーム
2022年12月21日 12:33撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 12:33
武尊山ズーム
日光白根山ズーム
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:34
日光白根山ズーム
至仏山(左)ズーム
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:34
至仏山(左)ズーム
燧ケ岳とシュラカブ
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
6
12/21 12:34
燧ケ岳とシュラカブ
燧ケ岳と至仏山
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 12:34
燧ケ岳と至仏山
笠ヶ岳と大烏帽子(朝日岳ではない)。行きたかったが時間切れ
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:34
笠ヶ岳と大烏帽子(朝日岳ではない)。行きたかったが時間切れ
蓬峠
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:34
蓬峠
武能岳
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:34
武能岳
谷川岳
2022年12月21日 12:34撮影 by  SC-53A, samsung
6
12/21 12:34
谷川岳
浅間山
2022年12月21日 12:35撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 12:35
浅間山
富士山
2022年12月21日 12:35撮影 by  SC-53A, samsung
5
12/21 12:35
富士山
一ノ倉岳(中央左)と茂倉岳
2022年12月21日 12:35撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:35
一ノ倉岳(中央左)と茂倉岳
平ヶ岳
2022年12月21日 12:41撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:41
平ヶ岳
燧ケ岳(左)と至仏山
2022年12月21日 12:41撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:41
燧ケ岳(左)と至仏山
2022年12月21日 12:41撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:41
白毛門から少し先に進む
2022年12月21日 12:41撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:41
白毛門から少し先に進む
日光白根山と上州武尊山
2022年12月21日 12:42撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:42
日光白根山と上州武尊山
燧ケ岳と至仏山
2022年12月21日 12:42撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:42
燧ケ岳と至仏山
子持山?
2022年12月21日 12:42撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 12:42
子持山?
山頂にいた時間が一番強風だった
2022年12月21日 12:42撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:42
山頂にいた時間が一番強風だった
谷川岳
2022年12月21日 12:56撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 12:56
谷川岳
この茂倉岳と武能岳の間の山が分からない
2022年12月21日 12:56撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 12:56
この茂倉岳と武能岳の間の山が分からない
この倍率では蓬ヒュッテは見えない
2022年12月21日 12:56撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 12:56
この倍率では蓬ヒュッテは見えない
空が変わり趣の変わった谷川岳
2022年12月21日 14:09撮影 by  SC-53A, samsung
3
12/21 14:09
空が変わり趣の変わった谷川岳
少し引いて
2022年12月21日 14:09撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 14:09
少し引いて
角度をずらして、武能岳を入れる
2022年12月21日 14:09撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 14:09
角度をずらして、武能岳を入れる
蓬ヒュッテズーム
2022年12月21日 14:10撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 14:10
蓬ヒュッテズーム
白毛門を振り返る
2022年12月21日 14:12撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 14:12
白毛門を振り返る
帰りは雪がなくなり、泥々
2022年12月21日 15:46撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 15:46
帰りは雪がなくなり、泥々
ゆっくりを心がけ嫌らしい下りを終える
2022年12月21日 15:54撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 15:54
ゆっくりを心がけ嫌らしい下りを終える
さあ、もうすぐ駐車場
2022年12月21日 15:54撮影 by  SC-53A, samsung
1
12/21 15:54
さあ、もうすぐ駐車場
もう一度馬蹄形を頭に入れる
2022年12月21日 16:01撮影 by  SC-53A, samsung
12/21 16:01
もう一度馬蹄形を頭に入れる
6時間かかりました😓
2022年12月21日 16:01撮影 by  SC-53A, samsung
2
12/21 16:01
6時間かかりました😓
帰ってきても独り
2022年12月21日 16:04撮影 by  SC-53A, samsung
6
12/21 16:04
帰ってきても独り
水上町営の湯テルメ谷川
2022年12月21日 17:24撮影 by  SC-53A, samsung
4
12/21 17:24
水上町営の湯テルメ谷川

感想







「こっち方面の山ほとんど分からないんだよね」

日光白根山の山頂から至仏山方面を見ながら、ある男性登山者がメンバーの女性に話しかけていた。僕もだった。いつも自宅に帰ってきてから、現地で撮った写真を見ながら猛復習するが、武尊山の背後に写っていた谷川岳にすら気付いていなかった自分にショックを受けた。

谷川岳は去年の3月に西黒尾根から一度登頂している。しかし、登山を始めて半年ほどで、周囲に目配りする余裕はあまりなかった。局所的にトマの耳の形などは覚えているが、周囲の山を含めた鳥瞰図は全く頭に入っていなかった。それに、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根がそうであるように、谷川岳を見つめたければ西黒尾根ではなく少し距離を取る必要がある。谷川岳の随一の展望台は白毛門(しらがもん)だ。

白毛門から谷川岳を嫌というほど見つめるべし

こうして、毎日暇人の恩恵を享受すべくWindyを見ながらチャンスを窺っていると、21日(水曜日)が嵐の谷間の晴天に見える。19日に4回目のコロナワクチンを打ち体の節々が痛かったが、水曜日を逃すとまた荒天続きの予報だ。それに、18日の日曜日に白毛門まで鬼ラッセルをやったレコがあり、月・火は晴れていた気がしたので、水曜日は白毛門に楽々登頂できると思った。しかし、それは完全なる間違いだった。

やはり体が重く、午前2時半に掛けた見覚ましですぐには起きれない。何とか這うように起きだし、身支度をして自宅を出たのは3時半頃だった。午前3時45分頃、最寄りのインターから高速に乗った。この時間なら2時間半くらいで白毛門登山口駐車場に着き、少し遅いが6時30分には山行をスタートできるはずだ。しかし、予想外に圏央道青梅IC辺りでトラックがトンネル内の壁に激突する事故があり、事故渋滞に巻き込まれた。結局6時50分に駐車場に到着し、山行開始は7時半頃になってしまった。(ちなみに帰りも同じ辺りで事故渋滞が発生していた。事故スポットなのかもしれない)

Google Mapに入れた「白毛門登山口駐車場」はバス停の後ろの空き地で終了してしまったので、不審に思いながらもそのスペースに止める。車は一台も止まっていない。かなり違和感を感じ、白毛門のレコをヤマレコで見ると、どうやらそこを右に曲がるようだ。車に再びエンジンをかけそっちに進むと、すぐに本物の駐車場に到着した。雪の路面にタイヤの跡は無数についていたが、車は一台も止まっていなかった。「やはりこの時期の平日は安定の完ソロか...」。そういうモーメントを発信した後に、車が一台やって来て僕の隣に駐車した。程なくしてさらに一台やって来て入口近辺に車を止めた。いつもの如く身支度に手こずっていると、隣のかなり高齢の登山者が先にスタートして行った。少し遅れて、僕も7時半前にツボ足で山行をスタートした。駐車場の奥に進み、馬蹄形の概念図の看板と登山ポストに挟まれたところから前に進む。まず沢に架かった階段の付いた橋を渡る。ここで既に階段の下りでは滑りそうで少し緊張する。その橋を渡ってすぐに、そこそこの傾斜の登りが出て来た。「ちょっとツボ足ではキツイな…」と、スタートしたばかりだが、ここでザックを下ろしチェーンスパイクを装着した。

そこからすぐに先ほどのシニア登山者に追い付いた。彼はザックからアイゼンをぶら下げ、まだツボ足のようだった。木々の合間からかなりはっきり見える雪山を指差し、「あれが白毛門ですか?」と質問すると、彼は驚いたように「いえいえ、あれは谷川岳ですよ!」。アカン、いきなりあほな質問してもうてる...。そんな愚かな質問にも彼は丁寧に説明を加えてくれる。「その手前に尾根があるでしょ、それが西黒尾根です」。「あー、あの下が黒い?」。「そう、そして上半分が白くなってるでしょう」。いきなり西黒尾根もここまではっきり認識できるとは!と彼に感謝した。彼に先を譲っていただき少し歩いた所で、後ろから声が掛かった。「何ですか?」と聞き取れなかったので、後ろを振り返り質問した。すると、「今、右からもう一つピーク見えて来たでしょ、あれが一ノ倉岳です」。「あー!あれが一ノ倉岳ですか!」と確かに見覚えのあるピークがはっきり見える。「遠くから見ると、一ノ倉岳のほうが谷川岳より高く見えるんですよね!」と言うと、「実際、あんまり高さ変わらないんですよ」と教えてくれた。なぜに同じ高さなのに、一ノ倉岳の方が明らかに高く見えるのだろう?

登山道には、この日曜日のものと思われるトレースの跡が残っていた。トレースの跡なので、トレースではないのだが少なくともルーファイは必要なくありがたい。しかし、所々結構沈みこんだ。しかも、この登山道は結構いやらしい角度の登りが続く。「これ、帰り大丈夫かな...」と思いながら引き続きチェンスパとストックの組み合わせで登って行く。あまりにいやらしい登りが続くので、1000mを超えた辺りで早々にアイゼンとピッケルに装備変更した。その後もうっすらあったトレースの跡が徐々に消え始め、1200mくらいではすっかりなくなり、1250m辺りで少し道が分かりにくい所が出てきた。とにかく雪の量が思ったより多い。今年は、あれほど雪山スタートが遅かったのに、ここ最近で急速に遅れを取り戻したようだ。むしろ、12月のこの時期としては例年よりも雪が多くなったと聞いていたが、ここも例外ではなさそうだ。それでも、それなりのラッセルとルーファイで松ノ木沢の頭までは辿り着いた。時刻は10時頃だった。

この松ノ木沢の頭は最高の展望台だ。左手の谷川岳を「これでもか」という絶好の角度で見つめることができる。前方にはこれから行く白毛門をばっちり望むことができる。しかも、完全無風のぽかぽか陽気だ。ピークハントにさえこだわらなければ、ここでゆっくりバーベキューでもしたいところだった。なので、「ここでカップヌードル食ってくかな」とザックを下ろした。テルモスの山専用ボトルのお湯をビックカップヌードルに注ぐ。テーブルを持ってきていなかったので、作業がかなり面倒だった。お湯を入れた後のカップヌードルを置く場所がない。雪に突き刺すとすぐに冷めてしまうので、麺がうまく仕上がらないかもしれない。仕方がないので、テルモスをザックから取り出し地面に埋め、その上にカップヌードルを置いた。やはり、日帰りでもちょっとしたテーブルがあると便利かもしれない。無事にしっかりできたカップヌードルを立ったまますすりながら、谷川岳を見つめる。「これがやりたかったんだ!」と、ここから先が試練になるとは想像だにしていなかった。

たっぷりと休憩を取り、松ノ木沢の頭をスタートした。時刻は10時半頃だった。ここからののっけが難しい。右から少し下るのだが、ちょっと進まないと先の道が見えない。「なんかおかしいな?もしかしたらあの小トップから道が続いているのかな?」と、一度頭に引き返す。しかし、やはり先は行き止まりだった。「やっぱりこっちちゃうな...」と元に戻り、再度右から下って行く。不安を感じながら先に進むと、登山道がそっちから続いているのが確認できた。しかし、ラッセルの度合いがかなりひどくなってきた。それでもまだアイゼンだけで行けるレベルだったが、「もう今日は白毛門までにするか!」と、ここでマジックマウンテンのラッセルEvoの試し履きをすることにした。本当は朝日岳まで行く気でいたが、スタートが遅すぎたので所詮無理だった。中途半端に笠ヶ岳まで行く意味もないだろう。先日、アイゼンを付けたままワカンを装着するときにベルトがねじれる件で、マジックマウンテンからウルトラC回答をYouTube動画でもらった。それに従い、ヒールストラップのわっかに2重リングが付いた紐をくぐらせた。アイゼンの爪でEvoベルトが取り付けられたデッキベルトを切ってしまうと意見が多かったので、慎重に爪がベルトに干渉しないように取り付けようとするも中々に難しい。もう今日は白毛門までと決め、時間はたっぷりあるので、座り込み納得のいくまで完璧に装着しようと何度もやり直す。やっと両方をきちんと装着し歩き始めた。

ワカンはスノーシュー対比効果が分かりにくい。ワカンを付けた後も、猛烈なラッセルに全くワカンのありがたみを感じることはなかった。松ノ木沢の頭以降、ほぼ完全にトレースの跡も消えた。ルーファイもしながら、かなり厳しいラッセル続ける。しかも、時折かなり激しい登りや、痺れるトラバースが出てきて、ワカンはむしろ邪魔だと感じた。本来はそこでワカンを外すべきかもだが、「これも練習」と思い、しつこくワカンを装着したまま前進していく。松ノ木沢の頭に着く前は、「これ、やっぱり白毛門までは登山口から3時間はかかるね、意外に」と思っていたが、3時間どころか4時間でも着きそうになかった。

苦労しながらも山頂直下にやって来た。ここは道が分かりにくいとフィールドメモでコメントが付けられている。ここからのラッセルはかなり「鬼」の部類だった。今年の4月に八ヶ岳の広河原から西岳まで全ラッセルした時よりは多少マシだったが、ワカンのせいか滑って中々上に進めない。踏み込み、膝で雪を踏み固め、何とかもう一歩を踏み出す。その繰り返しだった。時間に余裕があり、焦りは全くなかったので、ラッセルを楽しむ。体力にもまだまだ余裕があった。そうやってもがいている時、ふと後ろを振り返ると、かなり序盤で抜いたシニア登山者らしき人が眼下に見えた。しかし、なぜか彼はこちらに向かってこずに引き返しているようだった。もがいている僕を見て、「もういいや」と思ってしまったのだろうか。

かなり至る所で雪庇が育っていた。そういうナイフリッジを雪庇に気を付けながら進んで行く。引き続き猛烈ラッセルだが、時間・体力とも十分で、精神的余裕があった。しかし、Sunnto9 Baroが突然振動した。

Storm is coming.

よく出るアラートだが、確かにかなり強風になって来ていた。雪煙が舞い上がり、雪山度を上げてくれる。そこかしこにシュカブラもできていて、とても綺麗だった。

いい感じの負荷を楽しみながら、遂に山頂が視界に入り、ビクトリーロードの取り付きに到達した。相変わらず吹き上がる雪煙越しの山頂をみて、久しぶりに思い切り吠えた。最後のナイフリッジを行けば山頂に到達だ。しかし、この最後の短いビクトリーロードも猛烈ラッセルだった。「最後まで楽しませてくれるな😅」。もがきなから、遂に白毛門の山頂に到達した。かなりちゃっちい山頂標識と、円形方位盤がある。眺望は360度の大絶景だ。見つめ続けた谷川岳は勿論、これから始まる馬蹄形の笠ヶ岳、朝日岳がでかい。振り返ると、燧ケ岳、至仏山、もう一つの笠ヶ岳の稜線が一望できる。さらには、やはりウルトラプロミネンスの日光白根山の存在感がスゴイ。上州武尊山のピーキーさも新鮮だった。残念ながら、山頂にいる時間が一番強風で、なかなか長居はできそうになかった。それでも、朝日岳方面へ少し進んでみる。そこからは、平ヶ岳が視界に収まっていたはずだ。猛烈にここからさらに先に進みたい衝動に駆られた。しかし、「お楽しみは冬期馬蹄形テン泊縦走に取っとくか…」と、今回も不完全燃焼を我慢する。「さぁ、帰るかな」。相変わらず吹き上げる雪煙越しの谷川岳を見つめながら一歩を踏み出した。



















































































お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:836人

コメント

TtmDerivさん、こんにちは。
冬の白毛門からの谷川岳の眺め、いいですねー♪
冬季はなかなか晴れない印象ですが、冬の間に行きたいな。
鬼ラッセルお疲れ様でした。
2022/12/23 12:51
Kgcmさん、ありがとうございます!
仕事納め後の平日の天気が冴えない中、やっと晴れ間を見つけられました😃この山域としては当たり前かもですが、山頂は風は少し強めでしたが十分楽しめました🎵
2022/12/23 13:12
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら