ただ谷川岳を見つめたくて...冬、ラッセル🔥白毛門!!
- GPS
- 08:26
- 距離
- 6.2km
- 登り
- 1,075m
- 下り
- 984m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
のっけからそこそこの嫌らしい急登。松ノ木沢の頭以降もテクニカルかつ鬼ラッセル |
その他周辺情報 | 水上町営、湯テルメ谷川(まあ、そこそこ。悪くはない) |
写真
感想
「こっち方面の山ほとんど分からないんだよね」
日光白根山の山頂から至仏山方面を見ながら、ある男性登山者がメンバーの女性に話しかけていた。僕もだった。いつも自宅に帰ってきてから、現地で撮った写真を見ながら猛復習するが、武尊山の背後に写っていた谷川岳にすら気付いていなかった自分にショックを受けた。
谷川岳は去年の3月に西黒尾根から一度登頂している。しかし、登山を始めて半年ほどで、周囲に目配りする余裕はあまりなかった。局所的にトマの耳の形などは覚えているが、周囲の山を含めた鳥瞰図は全く頭に入っていなかった。それに、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根がそうであるように、谷川岳を見つめたければ西黒尾根ではなく少し距離を取る必要がある。谷川岳の随一の展望台は白毛門(しらがもん)だ。
白毛門から谷川岳を嫌というほど見つめるべし
こうして、毎日暇人の恩恵を享受すべくWindyを見ながらチャンスを窺っていると、21日(水曜日)が嵐の谷間の晴天に見える。19日に4回目のコロナワクチンを打ち体の節々が痛かったが、水曜日を逃すとまた荒天続きの予報だ。それに、18日の日曜日に白毛門まで鬼ラッセルをやったレコがあり、月・火は晴れていた気がしたので、水曜日は白毛門に楽々登頂できると思った。しかし、それは完全なる間違いだった。
やはり体が重く、午前2時半に掛けた見覚ましですぐには起きれない。何とか這うように起きだし、身支度をして自宅を出たのは3時半頃だった。午前3時45分頃、最寄りのインターから高速に乗った。この時間なら2時間半くらいで白毛門登山口駐車場に着き、少し遅いが6時30分には山行をスタートできるはずだ。しかし、予想外に圏央道青梅IC辺りでトラックがトンネル内の壁に激突する事故があり、事故渋滞に巻き込まれた。結局6時50分に駐車場に到着し、山行開始は7時半頃になってしまった。(ちなみに帰りも同じ辺りで事故渋滞が発生していた。事故スポットなのかもしれない)
Google Mapに入れた「白毛門登山口駐車場」はバス停の後ろの空き地で終了してしまったので、不審に思いながらもそのスペースに止める。車は一台も止まっていない。かなり違和感を感じ、白毛門のレコをヤマレコで見ると、どうやらそこを右に曲がるようだ。車に再びエンジンをかけそっちに進むと、すぐに本物の駐車場に到着した。雪の路面にタイヤの跡は無数についていたが、車は一台も止まっていなかった。「やはりこの時期の平日は安定の完ソロか...」。そういうモーメントを発信した後に、車が一台やって来て僕の隣に駐車した。程なくしてさらに一台やって来て入口近辺に車を止めた。いつもの如く身支度に手こずっていると、隣のかなり高齢の登山者が先にスタートして行った。少し遅れて、僕も7時半前にツボ足で山行をスタートした。駐車場の奥に進み、馬蹄形の概念図の看板と登山ポストに挟まれたところから前に進む。まず沢に架かった階段の付いた橋を渡る。ここで既に階段の下りでは滑りそうで少し緊張する。その橋を渡ってすぐに、そこそこの傾斜の登りが出て来た。「ちょっとツボ足ではキツイな…」と、スタートしたばかりだが、ここでザックを下ろしチェーンスパイクを装着した。
そこからすぐに先ほどのシニア登山者に追い付いた。彼はザックからアイゼンをぶら下げ、まだツボ足のようだった。木々の合間からかなりはっきり見える雪山を指差し、「あれが白毛門ですか?」と質問すると、彼は驚いたように「いえいえ、あれは谷川岳ですよ!」。アカン、いきなりあほな質問してもうてる...。そんな愚かな質問にも彼は丁寧に説明を加えてくれる。「その手前に尾根があるでしょ、それが西黒尾根です」。「あー、あの下が黒い?」。「そう、そして上半分が白くなってるでしょう」。いきなり西黒尾根もここまではっきり認識できるとは!と彼に感謝した。彼に先を譲っていただき少し歩いた所で、後ろから声が掛かった。「何ですか?」と聞き取れなかったので、後ろを振り返り質問した。すると、「今、右からもう一つピーク見えて来たでしょ、あれが一ノ倉岳です」。「あー!あれが一ノ倉岳ですか!」と確かに見覚えのあるピークがはっきり見える。「遠くから見ると、一ノ倉岳のほうが谷川岳より高く見えるんですよね!」と言うと、「実際、あんまり高さ変わらないんですよ」と教えてくれた。なぜに同じ高さなのに、一ノ倉岳の方が明らかに高く見えるのだろう?
登山道には、この日曜日のものと思われるトレースの跡が残っていた。トレースの跡なので、トレースではないのだが少なくともルーファイは必要なくありがたい。しかし、所々結構沈みこんだ。しかも、この登山道は結構いやらしい角度の登りが続く。「これ、帰り大丈夫かな...」と思いながら引き続きチェンスパとストックの組み合わせで登って行く。あまりにいやらしい登りが続くので、1000mを超えた辺りで早々にアイゼンとピッケルに装備変更した。その後もうっすらあったトレースの跡が徐々に消え始め、1200mくらいではすっかりなくなり、1250m辺りで少し道が分かりにくい所が出てきた。とにかく雪の量が思ったより多い。今年は、あれほど雪山スタートが遅かったのに、ここ最近で急速に遅れを取り戻したようだ。むしろ、12月のこの時期としては例年よりも雪が多くなったと聞いていたが、ここも例外ではなさそうだ。それでも、それなりのラッセルとルーファイで松ノ木沢の頭までは辿り着いた。時刻は10時頃だった。
この松ノ木沢の頭は最高の展望台だ。左手の谷川岳を「これでもか」という絶好の角度で見つめることができる。前方にはこれから行く白毛門をばっちり望むことができる。しかも、完全無風のぽかぽか陽気だ。ピークハントにさえこだわらなければ、ここでゆっくりバーベキューでもしたいところだった。なので、「ここでカップヌードル食ってくかな」とザックを下ろした。テルモスの山専用ボトルのお湯をビックカップヌードルに注ぐ。テーブルを持ってきていなかったので、作業がかなり面倒だった。お湯を入れた後のカップヌードルを置く場所がない。雪に突き刺すとすぐに冷めてしまうので、麺がうまく仕上がらないかもしれない。仕方がないので、テルモスをザックから取り出し地面に埋め、その上にカップヌードルを置いた。やはり、日帰りでもちょっとしたテーブルがあると便利かもしれない。無事にしっかりできたカップヌードルを立ったまますすりながら、谷川岳を見つめる。「これがやりたかったんだ!」と、ここから先が試練になるとは想像だにしていなかった。
たっぷりと休憩を取り、松ノ木沢の頭をスタートした。時刻は10時半頃だった。ここからののっけが難しい。右から少し下るのだが、ちょっと進まないと先の道が見えない。「なんかおかしいな?もしかしたらあの小トップから道が続いているのかな?」と、一度頭に引き返す。しかし、やはり先は行き止まりだった。「やっぱりこっちちゃうな...」と元に戻り、再度右から下って行く。不安を感じながら先に進むと、登山道がそっちから続いているのが確認できた。しかし、ラッセルの度合いがかなりひどくなってきた。それでもまだアイゼンだけで行けるレベルだったが、「もう今日は白毛門までにするか!」と、ここでマジックマウンテンのラッセルEvoの試し履きをすることにした。本当は朝日岳まで行く気でいたが、スタートが遅すぎたので所詮無理だった。中途半端に笠ヶ岳まで行く意味もないだろう。先日、アイゼンを付けたままワカンを装着するときにベルトがねじれる件で、マジックマウンテンからウルトラC回答をYouTube動画でもらった。それに従い、ヒールストラップのわっかに2重リングが付いた紐をくぐらせた。アイゼンの爪でEvoベルトが取り付けられたデッキベルトを切ってしまうと意見が多かったので、慎重に爪がベルトに干渉しないように取り付けようとするも中々に難しい。もう今日は白毛門までと決め、時間はたっぷりあるので、座り込み納得のいくまで完璧に装着しようと何度もやり直す。やっと両方をきちんと装着し歩き始めた。
ワカンはスノーシュー対比効果が分かりにくい。ワカンを付けた後も、猛烈なラッセルに全くワカンのありがたみを感じることはなかった。松ノ木沢の頭以降、ほぼ完全にトレースの跡も消えた。ルーファイもしながら、かなり厳しいラッセル続ける。しかも、時折かなり激しい登りや、痺れるトラバースが出てきて、ワカンはむしろ邪魔だと感じた。本来はそこでワカンを外すべきかもだが、「これも練習」と思い、しつこくワカンを装着したまま前進していく。松ノ木沢の頭に着く前は、「これ、やっぱり白毛門までは登山口から3時間はかかるね、意外に」と思っていたが、3時間どころか4時間でも着きそうになかった。
苦労しながらも山頂直下にやって来た。ここは道が分かりにくいとフィールドメモでコメントが付けられている。ここからのラッセルはかなり「鬼」の部類だった。今年の4月に八ヶ岳の広河原から西岳まで全ラッセルした時よりは多少マシだったが、ワカンのせいか滑って中々上に進めない。踏み込み、膝で雪を踏み固め、何とかもう一歩を踏み出す。その繰り返しだった。時間に余裕があり、焦りは全くなかったので、ラッセルを楽しむ。体力にもまだまだ余裕があった。そうやってもがいている時、ふと後ろを振り返ると、かなり序盤で抜いたシニア登山者らしき人が眼下に見えた。しかし、なぜか彼はこちらに向かってこずに引き返しているようだった。もがいている僕を見て、「もういいや」と思ってしまったのだろうか。
かなり至る所で雪庇が育っていた。そういうナイフリッジを雪庇に気を付けながら進んで行く。引き続き猛烈ラッセルだが、時間・体力とも十分で、精神的余裕があった。しかし、Sunnto9 Baroが突然振動した。
Storm is coming.
よく出るアラートだが、確かにかなり強風になって来ていた。雪煙が舞い上がり、雪山度を上げてくれる。そこかしこにシュカブラもできていて、とても綺麗だった。
いい感じの負荷を楽しみながら、遂に山頂が視界に入り、ビクトリーロードの取り付きに到達した。相変わらず吹き上がる雪煙越しの山頂をみて、久しぶりに思い切り吠えた。最後のナイフリッジを行けば山頂に到達だ。しかし、この最後の短いビクトリーロードも猛烈ラッセルだった。「最後まで楽しませてくれるな😅」。もがきなから、遂に白毛門の山頂に到達した。かなりちゃっちい山頂標識と、円形方位盤がある。眺望は360度の大絶景だ。見つめ続けた谷川岳は勿論、これから始まる馬蹄形の笠ヶ岳、朝日岳がでかい。振り返ると、燧ケ岳、至仏山、もう一つの笠ヶ岳の稜線が一望できる。さらには、やはりウルトラプロミネンスの日光白根山の存在感がスゴイ。上州武尊山のピーキーさも新鮮だった。残念ながら、山頂にいる時間が一番強風で、なかなか長居はできそうになかった。それでも、朝日岳方面へ少し進んでみる。そこからは、平ヶ岳が視界に収まっていたはずだ。猛烈にここからさらに先に進みたい衝動に駆られた。しかし、「お楽しみは冬期馬蹄形テン泊縦走に取っとくか…」と、今回も不完全燃焼を我慢する。「さぁ、帰るかな」。相変わらず吹き上げる雪煙越しの谷川岳を見つめながら一歩を踏み出した。
コメント
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冬の白毛門からの谷川岳の眺め、いいですねー♪
冬季はなかなか晴れない印象ですが、冬の間に行きたいな。
鬼ラッセルお疲れ様でした。
仕事納め後の平日の天気が冴えない中、やっと晴れ間を見つけられました😃この山域としては当たり前かもですが、山頂は風は少し強めでしたが十分楽しめました🎵
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