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Yamareco

記録ID: 5460987
全員に公開
山滑走
鳥海山

鳥海山BC 新山滑走 湯の台から

2023年05月04日(木) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
11:31
距離
15.8km
登り
1,569m
下り
1,570m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
10:11
休憩
1:20
合計
11:31
5:05
160
スタート地点
7:45
7:54
234
11:48
11:48
23
12:11
12:11
28
12:39
12:44
20
13:04
13:29
3
13:32
13:38
14
13:52
13:55
30
14:25
14:25
12
14:37
15:02
28
15:30
15:37
59
16:36
ゴール地点
天候 快晴、午前中西の風やや強い
過去天気図(気象庁) 2023年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
湯の台は雪の溶けたところまで車で上がれます。
基本スタートからしばらく車道をシートラすることになります。
コース状況/
危険箇所等
・入山地点からC1,000あたりまでの雪がかなり少なくなっており、宮様コースでは今後藪漕ぎは避けられないように思います。
・滝の小屋のトイレは利用可
・その先の雪渓は藪の迷路のようになっていて、今後ますます判断力が問われそうな感じ
・外輪や、七高山から新山の鞍部まではほぼ夏道が露出。シートラで歩く際は危険箇所沢山ありますので慎重に。
・鞍部からはシールで新山に楽に上がれました
その他周辺情報 湯の台温泉
田んぼの水鏡に映る、夜明けの鳥海山。
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田んぼの水鏡に映る、夜明けの鳥海山。
道路の雪解けは先日よりだいぶ進んでおり長い車道歩きの距離を稼ぐ事が出来た。
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道路の雪解けは先日よりだいぶ進んでおり長い車道歩きの距離を稼ぐ事が出来た。
入山地点は雪の下を水があちこち流れています。
入山地点は雪の下を水があちこち流れています。
池のようになっているところもあったよ!
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池のようになっているところもあったよ!
ブナの芽吹きは去年より遅いのに、雪は少ない。不思議。
ブナの芽吹きは去年より遅いのに、雪は少ない。不思議。
ツリーホールと小枝の藪がうるさい序盤
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ツリーホールと小枝の藪がうるさい序盤
2つめの急登を終えるとようやく山の本体が見えてきた。雪も増え歩きやすくなってくる。
2つめの急登を終えるとようやく山の本体が見えてきた。雪も増え歩きやすくなってくる。
いつも最後に楽しむ斜面との間に広がる藪の切れ目を確認したよ。
いつも最後に楽しむ斜面との間に広がる藪の切れ目を確認したよ。
昨日から何度も見ている月山。今日は一段と綺麗。
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昨日から何度も見ている月山。今日は一段と綺麗。
滝の小屋が見えてきた。風がとても強く寒いです。
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滝の小屋が見えてきた。風がとても強く寒いです。
八丁坂を登る人々
八丁坂を登る人々
シールの効きは今日も良好
シールの効きは今日も良好
絵になる単独スキーヤーを激写!実は後から友達の友達と知り、友達になった。笑
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絵になる単独スキーヤーを激写!実は後から友達の友達と知り、友達になった。笑
八丁坂を登り終え、沢筋を目指す雪渓の取り付きまで歩きます。向かい風がつらい。
2
八丁坂を登り終え、沢筋を目指す雪渓の取り付きまで歩きます。向かい風がつらい。
寒さに耐え切れずPさんヘルメット着用している模様。私も藪の陰で同様に装備の変更追加をした。
寒さに耐え切れずPさんヘルメット着用している模様。私も藪の陰で同様に装備の変更追加をした。
あっ前回ホワイトアウトの登頂をした月山森だ!
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あっ前回ホワイトアウトの登頂をした月山森だ!
正面に登る雪渓が見えてきた。そろそろ藪を渡りたい…
正面に登る雪渓が見えてきた。そろそろ藪を渡りたい…
軽めの藪突破で済みました
軽めの藪突破で済みました
右の雪渓はそのまま上まで繋がっているのでここを登ります。
右の雪渓はそのまま上まで繋がっているのでここを登ります。
一段目を登り終え外輪前の最後の休憩。ここから標高差380mの超急登を登ります。
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一段目を登り終え外輪前の最後の休憩。ここから標高差380mの超急登を登ります。
直登はすぐに諦め、私は早い段階でジグを切り始めました。
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直登はすぐに諦め、私は早い段階でジグを切り始めました。
歩くラインが各々違うので、同じ雪渓上にいても声が届かない。トランシーバーがあって良かった。
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歩くラインが各々違うので、同じ雪渓上にいても声が届かない。トランシーバーがあって良かった。
後半はクトー装着。緩んだザラメで谷足がずるっとしたが、歩きながらコツを掴んで最後までそのスタイルで。
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後半はクトー装着。緩んだザラメで谷足がずるっとしたが、歩きながらコツを掴んで最後までそのスタイルで。
Pさんは終盤シートラにチェンジ。
Pさんは終盤シートラにチェンジ。
Pさんはそのまままっすぐ藪に入って行った。
Pさんはそのまままっすぐ藪に入って行った。
私は雪渓の1番奥まで登り、そこから板を手で持って外輪の夏道へ。
私は雪渓の1番奥まで登り、そこから板を手で持って外輪の夏道へ。
外輪に出たらシールの水を切って、ザックに取り付けた。
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外輪に出たらシールの水を切って、ザックに取り付けた。
ここから新山までが思いのほか長く、スキーブーツでは辛い道だった。
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ここから新山までが思いのほか長く、スキーブーツでは辛い道だった。
伏拝岳山頂付近で久しぶりの休憩!
伏拝岳山頂付近で久しぶりの休憩!
千蛇谷にたくさんの人影が見えた
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千蛇谷にたくさんの人影が見えた
新山を目指す人々
2
新山を目指す人々
外輪では1ヶ所だけ雪の上を歩く事ができてほっとした
外輪では1ヶ所だけ雪の上を歩く事ができてほっとした
土の上はまだ良い。岩や石の上をハードブーツでバランスとりながら歩くのは辛すぎる!
土の上はまだ良い。岩や石の上をハードブーツでバランスとりながら歩くのは辛すぎる!
新山の角度が徐々に変わり、ゴールが近付いてきていることを知る。
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新山の角度が徐々に変わり、ゴールが近付いてきていることを知る。
昼過ぎだと随分人も少なくなってくるのね
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昼過ぎだと随分人も少なくなってくるのね
新山は去年とは雪のつきかたが全然違った!
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新山は去年とは雪のつきかたが全然違った!
七高山から降りる。板を引っ掛けないようにとても気を遣って歩いたので、この区間が1番疲れたな。
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七高山から降りる。板を引っ掛けないようにとても気を遣って歩いたので、この区間が1番疲れたな。
新山にはシールで行けた
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新山にはシールで行けた
ビクトリーロード!
2
ビクトリーロード!
ああいよいよだ。ここまで気付けば8時間もかかってしまった。
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ああいよいよだ。ここまで気付けば8時間もかかってしまった。
13:00新山登頂!
まだ雪たっぷりで、あちこち歩き回れたよ。
まだ雪たっぷりで、あちこち歩き回れたよ。
新山東面の滑走!
この一本のためにわざわざ板を担いできたんだ。
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新山東面の滑走!
この一本のためにわざわざ板を担いできたんだ。
シュプールは沢山でどれが自分のかよくわからなかった。でもそんなことは些細な事だ。大事なのは滑ったという事実だ。
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シュプールは沢山でどれが自分のかよくわからなかった。でもそんなことは些細な事だ。大事なのは滑ったという事実だ。
前日滑った笙ヶ岳の斜面までよく見えた。この時間はもう人がだいぶ少ないな。
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前日滑った笙ヶ岳の斜面までよく見えた。この時間はもう人がだいぶ少ないな。
再びシートラで戻る。誰もいない。
再びシートラで戻る。誰もいない。
最後に名残惜しく新山を目に焼き付けた
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最後に名残惜しく新山を目に焼き付けた
クタクタになって伏拝岳まで戻ってきた
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クタクタになって伏拝岳まで戻ってきた
雪渓へと戻る
板を履いて、水を得た魚のように復活!
板を履いて、水を得た魚のように復活!
雪渓を一気に滑る。
スキーは足につけた翼!
2
雪渓を一気に滑る。
スキーは足につけた翼!
途中の藪はこんな感じ
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途中の藪はこんな感じ
冒険も終わりが近づく
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冒険も終わりが近づく
最後の斜面はボコボコだったけれど、私は踊るように楽しく滑った!
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最後の斜面はボコボコだったけれど、私は踊るように楽しく滑った!
テクニカルゾーンを抜け
テクニカルゾーンを抜け
藪漕ぎもして無事車道へ戻った
藪漕ぎもして無事車道へ戻った
私達の長い長い冒険が終わった
3
私達の長い長い冒険が終わった

感想




2023年5月4日、湯の台から鳥海山山頂の新山へ向かう。
始めはシートラでアスファルトの車道を歩きその後はブナ林を越えていく。
湯の台をスキーで登るのはもう5回目。慣れたもんだ。
滝の小屋へ到着し一休み。
小屋付近からは風が強まったためアウターを着込んでヘルメットやゴーグルも装備した。
外輪山直下はかなり急な斜面を登ることになる。
途中でシール登高を諦めて板を担ぎ外輪山の伏拝岳までを登り詰めた。
その後スキー靴での外輪道歩きは岩がゴロゴロで歩き難かった。
そして新山無事へ登頂。今日はここまでが長かった!
山頂からの滑走に拘わる自分。
湯の台から頑張って登り詰めた新山の斜面を気持ちよく滑走出来て大満足だ。
最後は伏拝岳からの大雪渓を滑る。
斜度もあり広々とした大斜面。
雄大な景色の中をスキーであっという間に降りていく。
山スキーは最高に楽しい。
2023年シーズン最高の山スキーを楽しんだ。





ちょうど1年前、私ははじめて新山からスキーで滑走をした。
あの時はギャラリーの多さにとても緊張して、とにかく板についていくのに必死だった。
やり遂げた自分自身に感動し、山に刻まれた自分のシュプールを眺めて涙を流していた。


今回、当初の計画は中島台からの登頂だった。
けれど最近のそのルートの人気ぶりを知るうちに、もっと人がやらないような特別なことをやりたいという気持ちが、徐々に大きくなっていった。
それならばやはり湯の台しかないだろう。
過去何度も冒険の思い出がある湯の台以外に、選択肢はなかった。

鳥海山の南エリアは、序盤は長い車道歩きからはじまり、樹林帯を2時間ほど歩いてようやく森林限界に出られる。
その先は急な雪渓と藪の巨大迷宮が広がっていて、体力も判断力も総合的に試されることになる。
面白そうじゃないか。
私の腹は決まった。


寝不足と前日の山行で、疲れが若干残っていた。
滝の小屋あたりから強風をもろに受け、寒さと風への抵抗で、体力が普段より奪われていくのを感じた。
頭の中のイメージでは、沢筋を行けば順当に狙った雪渓に出られるはずだったけれど、実際は藪が思いのほか多く、仲間と相談を重ねた。

雪渓に取り付くと、緩んだザラメの急斜面が延々と続く。
はじめは直登で、次第にジグを切り、後半はスキーアイゼンを付けた。
少しでも気を抜くと谷足がずるっと滑る嫌なザラメだった。

この春私は多くのザラメ急登を登ってきた。
どのような姿勢で、どのくらいの歩幅で、どこに重心を置けばアイゼンがしっかりと効くか、それだけをひたすら考えながら試しながら歩いてきた。
今日はまさにその集大成となる登攀だった。
最後までスキーを担ぐことなく、また、息を切らせることもなく、安定して登り切る事ができた。
転んだら間違いなく滑落するような斜度だったけれど、恐怖はなかった。
しっかりと練習を積んできた者の自信が、私にはあった。

無事に雪渓を登り詰めるとそこからはスキーをザックに取り付けて、ハードブーツで夏道を歩いて行くことになる。
慣れないシートラ歩行が始まった。
ザックが重くなるのは我慢できるとして、Aフレームに取り付けた板が邪魔で頭を上げることができず、取りたい姿勢を維持できないことがとてもストレスになった。
硬いブーツで岩の上を歩いたり、ハシゴを登ったりする登山道だ。
油断をすると板のテールが岩に引っ掛かったり、自分の後ろ足を板に引っ掛けて転倒する恐れがあるので、体の向きや歩き方にかなりの神経を使った。
そんな調子だったので、外輪の通過にはだいぶ時間と体力を削り取られた。

1番厄介だった七高山の降りが終わると、ようやく板を履いて歩く事ができた。
新山へのビクトリーロードを進む。
時刻は13時。
人はまばらになってきていた。
スタートから8時間が経っていた。

ザックを放り投げると夢中で最後の岩を登った。
去年のように涙が止まらなくなることはなかった。
そこに立っていたのは、自信という鎧を身につけた新しい私だった。
とても清々しい気持ちで、写真だけ撮ると後ろ髪を引かれることもなく、すぐに岩を降りた。
新山の滑走も同様だった。


一年で人はここまで変われるものなのだろうか。

人生という名の山の頂はまだ遥か遠くにあり、そこへ向かって私は歩み続けている。
私は自分の未来に、無限の可能性を感じることができる。
今日も鳥海山はそのことを私に教えてくれたのだった。

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コメント

まさかの湯ノ台でしたか〜
テクニカル要素満載のコース走破さすがです!
外輪山への急登も気が抜けなさそうですし
スキー靴での外輪往復、かなり足に堪えそうですよね。
やっぱり天気が味方してくれるのは大きいですね。
お疲れ様でした(^^)
2023/5/7 12:39
manaby12さん
スキー靴で岩の道なんて歩くもんじゃ無いですね😂
たぶんブーツの寿命1年縮んだ…
お天気あっての鳥海山ですよね、本当に。
3日連続で好天で最高過ぎました☺️
2023/5/7 22:35
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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