厳冬期槍ヶ岳(中崎尾根)敗退
- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 1,804m
- 下り
- 1,803m
コースタイム
天候 | 28日:快晴無風 29日:降雪、無風、高気温 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
アクセス | 車で新穂高温泉無料駐車場利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
滝谷出合〜槍平間の雪渓にて雪崩有。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
厳冬期は槍ヶ岳を目指しました。
昨年は怪我で厳冬期の登山が出来なかったので、一昨年の南八ヶ岳縦走から一年空けての厳冬期登山となりました。
合計20kg程度4日間の装備を詰め込んで新穂高温泉より出発。
登山口前にある山岳救助隊の事務所で登山届記入して提出。隊員の話によると昨日で70組は入山しているとの事だった。
28日は驚く程の快晴で気温も高く、グローブが不要な程で汗ばむ。
トレースもよく踏まれていてラッセルで一日労する必要はなさそうだ。
とりあえず雪がついていて踏み外すと膝下まで潜るのでスノシューを装着。
しかし直ぐ歩いていて不要だと気づいて外す。
でも、せっかく持ってきたので、途中からスノシュー装着。
樹林帯で照り返しもそれ程ないのに、まぶしい程に晴れいてサングラスをつけて歩く。
後ろに2組程続いているのがわかったが、今日の入山者としては一番手らしい。
午前中に槍平に到着。テントは5張程度で殆どは今日アタックといった様子だった。
明日のアタックに備えてテントを張る。場所は小屋から離れすぎない所を選ぶ。スキーヤーが何組か入っていて避難小屋にいるらしい。
アタックから戻ってきたPTも居て厳冬期にしては賑やかな様相だった。
槍平では若干電波が届くので天気予報を確認。明日以降は天気が下り坂との事。
ようだが、
mountain forcast の予報では今夜12mmの積雪との事だ。
トレースを見失ってラッセルとなれば一気に登頂の可能性が低くなりそうだ。
明日、早めに出発して夜間でも迷わないように稜線まで偵察に出発。
夏道でCT1時間半のルートを2時間かけて登る。相当な人数が登っているらしくトレースは深いので、ある程度降ってもトレースを見失う事はなさそうだった。
しかし北アルプスの雪質は先週までいた八ヶ岳のそれとは違って細かく、ふわふわしていてキックステップなどでは登りにくい。
3組以上が下山してきておそらく全員登頂できたのだろう。
うらやましい限りだが、天気ばかりはうらんでもしょうがない。
中崎尾根稜線に出ると穂高連峰が一望できる。滝谷の岩壁もよく見えて、北方向には槍の穂先がちょこんと見えた。
下りはあっという間に戻れて16時頃にテントに戻り夕食を作って17時には就寝。
3時起床。偵察がすんでいる稜線に出るのと同時に夜明けを迎えるように調整して準備を進める。
夕方から降り始めた雪は降り続け、テントをサラサラと音を立てていた。
外張りに付いた雪を落として外を覗くと、風もなく静かな夜だった。
それ程、寒くもなさそうだ。
心配していたトレースは残っていて一先ずホッと一息をつく。
朝食は簡単にビスケットを食べ、お湯を作って出発。明日以降の天気が悪いので、今日で登れなければ今年は厳しい状況となる事から、テントは置いてビバーク装備と行動食だけ持って出発する。
ツェルトとスコップ、そして火器だけあれば雪洞を掘って耐えられる。
雪降る中を出発。
トレースは残っているものの積雪は20cmを超えていて斜面などはトレースが曖昧になっていた。
それでも基本的に尾根上の自然なルートをなぞればトレースに当たるので迷う事なく進んでいく。
傾斜が強いと何度か踏みつけて段差を作ってやらないと登れずに難儀する。
予定通り2時間程度かけて稜線上に立つ。少しずつ夜が明けてきている。
ガスが山を覆っていて目指す先は見えない。
前日の天候ならば穂高を右手に気分がいい稜線歩きとなっただろう。
序盤は順調にトレースをなぞり、快適とは言えないもののある程度予定通り距離を稼いでいたが、途中でトレースが埋り、ラッセルしながらのアルバイトが始まった。
スノシューを履いて進むが、おもう様に距離を稼げずに焦りが募り始める。
真っ白すぎる景色は、トレースの跡らしき少しの凹凸がわからなくさせる。
凹んでいるように見えた場所にストックを突き刺すと盛り上がっている部分だったりして神経を使う。目標となる槍も見えないので、ひたすら続く真っ白な景色に精神力から削れて来る。
ルートは尾根上を歩くだけなので迷う事がないのだけが救いだった。
12時までに千丈乗越に到達しなければ撤退と決めていたが、期待していた下山者とのラッセルが交差する事もなく時間ばかりが経っていく。
前方に登山者が下りてくるのが見えて喜んだが、話を聞いてみると途中まで進んで引き返してきた単独行者だった。
彼のトレースが見当たらなかっただけにガッカリしたが、彼が付けた真新しいトレースが垂直に伸びていて、スノシューでは傾斜が強いと登るのが難しい。
しかし脱いでしまえば、平坦な場所に出ると大変なので騙し騙し登る。
期待していた昼前には止むという予報だった雪は一瞬の晴れ間だけで裏切られる。
何度も時計を睨んでは、進退の前後を見交わす。
予定している撤退時刻まで後2時間残っていたが、千丈乗越までは届きそうになった。
午前10時。高度2380m地点で撤退を決める。
決めてからまた少し前に進む。
先に撤退を決めた彼の姿は振り返っても見えない。
下山してくる登山者の姿もない。穂高稜線上はどういう状況なのだろう。
日が暮れても歩いて肩の小屋までたどり着いて、果たして山頂に登れる状況が残されているのだろうか。
明日以降は荒れるという予報が頭にある。一瞬の好転予報は期待してはいけない。
冬型配置になるという事は進んでしまえば引き返す事すら難しくなるだろう。
ザックに入っている食料で1日のビバークは可能でも2日以降に厳しい登山になる事は容易に想像できた。
そしてここで頑張れば2日は必要となる事も予想できた。
ここ最近は登れなくても許されるフリーやアイスばかりだったが、登山となれば登れなければ意味がないと思い知った。
諦めてしまう事が悔しくて何度も振り返りながら撤退し始める。
死なない自信はあっても、確実に成功させる自信がなかった。
吹き荒れる稜線に憧れて厳冬期の槍ヶ岳を目指していたはずなのに、そこから逃げ出し始めた。
すれ違った撤退する単独の後を追うとなるとトレースもはっきりしていて一気に快適になる。
苦労して登った斜面は滑り降り、朝から歩き通した距離は一瞬でゼロになった。
午後12時半にテントに到着。
13時40分には下山開始。
16時に新穂高温泉に到着した。
4日分の食料はわずか1日を削るだけでに留まり。
おもっていた以上に疲れていたらしく途中のパーキングで仮眠を取りながらも帰宅した。
厳冬期は夏と違って天候に左右される部分が大きいとはおもうが、今回は自分の体力技量の不足を痛感した。
もし、2日目にテントを背負って登っていれば稜線上でビバークが可能になり、強行できたかもしれない。
初日に中崎尾根まで上がってしまい目一杯まで距離を伸ばしていれば4時間分の距離がトレース有で稼げいてたからかなり登頂の可能性が上がっていただろう。
しかし、翌日の天気がもっと荒れていて降雪が激しければ進退不可能状態になる危険性もあったのは確かだとおもう。
計画も甘く、厳冬期の北アルプスは容易ではなかった。
夏では日帰りの距離に3日以上かかってしまう雪山の難しさを痛感した山行となった。
反省と課題ばかりが残る山行だったが、やはりクライミングという技術的に困難なパートを抽出したフリーなどよりも登山そのものが好きなのだとも実感できた。山に行く以上頂上に立たなければ意味がない。
それ以外はその為の練習なのだと再確認できた。
来年はより高い山に挑戦できるように努力していきたいとおもう。
失敗した山行記録はどうしても饒舌になりがち。
きっと成功していれば、
初日はトレースばっちりの快晴で気持ちのいい雪山ハイク
2日目は降雪の中でラッセルが続きましたが何とか肩の小屋に到着できました。
3日目は吹き荒れる強風の中から早朝に一瞬の好天を狙って山頂で写真だけを取って下山開始。山頂付近の下山は緊張しましたが、中崎尾根に入ってからは快適でした。
くらいで終わるんだろうな。
年明けにどこか行く事も考えて居ますが、日帰りで八ヶ岳か富士山くらいかな。
本当に悔しいけれども、今日一日休んで気が抜けてしまった気がします。
あーチクショー。
「ピークは、通過点にすぎず、ゴールではない」。
28年前に厳冬の北鎌敗退。
家に無事に帰ることが登山。忘れないでね。
MerrycocoKさん
あけましておめでとうございます。
厳冬の北鎌に挑戦するような先輩の言葉、励みになります。
ありがとうございます。
かあさん、あけましておめでとうございます。
また行く理由が出来たと思って、今回はこれで良しとしてください<笑
greveltrekより
graveltrekさん あけましておめでとうございます。
宿題ばかり溜まったままの年明けとなりましたが、今年も頑張ります。
私も去年3月に中崎尾根で撤退、
今年も年始で槍に行く予定でしたが、天気が悪く中止しました。
冬の槍はほんと遠いですね。
お互いリベンジしましょ!
お疲れ様でした。
はじめましてmaedatomoさん。
いつもレコ拝見させて頂いてます。
冬の槍はほんと遠い。遠い!
来年こそはお互い頂上に立てるといいですね!
頑張りましょう!!
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