藤倉>小河内峠>御前山>奥多摩湖。植生喪失で登山道荒廃を実感
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- GPS
- 06:53
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,263m
- 下り
- 1,237m
コースタイム
- 山行
- 0:333
- 休憩
- 0:68
- 合計
- 0:00
天候 | 朝方曇り、日中快晴。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小河内峠からの稜線と、大ブナ尾根は、登山道が一部崩落したり、荒れている場所がある。 |
写真
感想
まだ歩いていない尾根道からの近所の山巡り。年末の大岳山に続いて、今度は御前山に登りました。
登山口は北秋川のバスの終点・藤倉です。この一帯は、芽吹きや花見の季節に何度もやってきたところ。今回は初めて登山道を使って尾根の広葉樹林を歩き、何か新しい発見があるかもしれないと楽しみにしてきました。というのも、葉が落ちた自然林は、見通しがよく、地形、沢筋、樹種などの調査には最も能率が上がる時期だからです。7時40分、藤倉バス停発。
登山道の取り付きの確認をおろそかにしたために、陣馬尾根を進むはずが、西隣りの猿江分岐コースに入り込んでしまいました。200mほど先で気がついて、戻るのは面倒と、そのまま暗い人工林を進みました。山腹を行く道は、途中、廃屋が転々と数件あり、ここにも奥多摩の山道のさびしい景観が見られました。
かなり上部へ進んだところで、右手の広葉樹の林を陣馬尾根に登りあがって、予定の登山道に転進しました。
その先の2つの山道の合流点(猿江藤原分岐)からは、人工林と自然林が半々くらいの道が続きます。縄文時代の竪穴式住居跡が発掘されたという立て札がありました(6000年前、中ノ平遺跡)。そこは標高930mほどの緩斜面。こんな山腹の広場でどうやって生きて行けたのか、想像がつかない場所です。温暖だったあの時期には、食べきれないほどの木の実や山菜、そして落とし穴を掘ってのイノシシ狩りなど、けっこう食べ物は得られたのかもしれません。でも、塩はなく、保存は難しかったかもしれない。水は北東側に下った惣岳沢でなら得られた様子でした。
藤倉から2時間ほどで稜線の小河内峠に接続しました。
昼食です。御前山とは反対方向に140mほど上がった小さなコブの上にベンチがあり、ここで昼食。
ここから惣岳山を経て、御前山への道は、地図から予想した楽ちんな稜線歩きの予想が外れました。どんどんと高度を上げる登りがいのある道です。しかも稜線の左手は足元から切れ落ちて、注意がいる崖際の登り下りが続きました。
惣岳山の手前で、いったん右手に分岐がありました(崩落個所回避の巻き道)。
これを見送り、そのまま稜線の踏み跡をたどって上がると、大きな岩混じりの急な登りに。そのまま石、岩を縫って小さな小ピークに上がりました。(ソーヤノ丸デッコ)
この場所からは、三頭山から大菩薩、飛竜山、雲取の稜線へと続くまずまずの眺めが得られました。
この小ピークを下ったところにも、稜線を右から巻いて進むまき道がもう1箇所設定設定されていました。稜線通しの従来の道の崩落のためと後でわかりました。体力的にはこちらのアップダウンが小さくて、楽。が、この稜線の様子をつかむには、地図通りのこの道も知っておいて良かったように感じました。
小ピークから、いったん下り、また左側が奈落のように切れた鞍部を越えて、ようやく惣岳山へ登り上がりました。
ここまでの尾根筋では、ところどころ、植生保存調査のために、鹿の食害避けの囲いを設けた場所が見られました。小さな囲いの内側にだけは緑色、枯れた色の草が見られます。しかし、囲いの外は地面が裸同然。鹿が植生を失わせ、それが尾根と登山道の崩落を加速しているようなのです。鹿の増えすぎは対策がむずかしい。7年ほど前の酉谷山でも体験しましたが、樹木だって表皮を剥かれて枯死してゆくものが目立ちます。奥多摩の山と森の変化を感じさせられました。
惣岳山から御前山への登り。登り返しの途中で、富士山のほぼ全体が大きく見える展望ベンチがありました。
11時55分、御前山に到着。私は3回目、カミさんは2回目のこの頂でした。
カミさんは、前回は、真夏で木に葉が茂って暗い山頂だったのに比べ、冬の御前山は梢越しに周囲の山々が眺められ、雪の山頂もとても明るいのが、好印象だったようです。
下山は、もう一回、惣岳山にもどって、大ブナ尾根を奥多摩湖へ。
長男が4歳のころ、11月末に2人で下った道でした(1986年)。
http://trace.kinokoyama.net/kanto/gozennyama-1986.htm
あのときと同じ積雪数センチの急な下り。でも、あのときと違うのは、斜面が赤土やザレの裸の斜面になっている区間が多くなったことです。下る際に手がかりにつかめた笹や潅木が、今はほとんどないことです。下生えも、灌木もめっきり減りました。笹の斜面はどこにあるのか、出会うこともできませんでした。裸どころか、登山道の地表が流れ出したり、崩落しだしたところもある。植生が失われつつあるところに、雨と人の作用が加えられています。
29年ぶりで同じルートをたどって、見えてきた実感です。
泥道の枯れ沢の急な滑り台のような場所もあり、下降の難度は数段上がった感じです。
ブナの場合は、鹿などの食害が影響しているだけでなく、温暖化・乾燥化で、ブナ林そのものの更新じたいが困難になっていることが、関東の山で広く見られている現象です。
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-17426
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-16873
大ブナ尾根のこのルートは、これからいっそう急速に姿を変える予感があります。
なんとか膝を痛めず、累計高度差940mを下りきって、14時16分、ダムの上に降り立ちました。
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