乗鞍岳 剣ヶ峰直登〜BCスキー滑降は厳しくも最高でした!!


- GPS
- 07:57
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,439m
- 下り
- 1,426m
コースタイム
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 8:00
天候 | 快晴。 ただし、稜線上は西から厳しい強風。 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
休暇村乗鞍高原の駐車場を利用(無料) 他に松本IC、高山ICからのアクセスも可能です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●休暇村駐車場〜かもしかリフト終点; Mt.乗鞍スキー場のゲレンデを上がっていきます。シール登高で直登可能。 ●かもしかリフト終点〜ツアーコース〜位ヶ原山荘分岐(ツアーコース終点); 新雪の登りやすい登山道のような斜面です。 一部急なところもありますが、シール登高で問題なしです。 ●ツアーコース終点〜車道横切り地点(肩の小屋口付近); 最初だけ急になってますが、ほとんど平らな雪原です。 ●車道横切り地点(肩の小屋口付近)〜剣ヶ峰直登谷筋ライン; ウインドスラブと氷結斜面になっています。シュカブラの凹凸が凄いです。 ウインドスラブは一ヶ月以上前からのもので焼結済み。 この日も安定しており標高2800m過ぎくらいまでは問題なくシール登高できました。 標高2900m過ぎくらいで完全に氷結斜面だけになります。 ウィペットも刃部しか刺さらず、アイゼンも前爪のみしか刺さりません。 スキー背負って立って進むのは危ない斜度とアイス状態です。四つん這いで進みました。 ●剣ヶ峰直下; 稜線に出てからは歩きやすい氷結面ですが、西から猛烈な風が吹いています。 危険個所はないですが、まともに歩くのが大変です。 [スキー滑降] ●剣ヶ峰直下〜蚕玉岳付近; まず岩場とツルピカ氷結斜面しかない上に猛烈な風が襲うので板履き替えが大変です。 両足板を履いてしまえばアイスバーンのようになんとかドロップポイントに移動できます。 ●蚕玉岳の直下ドロップポイント〜車道横切り地点(肩の小屋口付近); 硬めの高速パウダーで快適です。雪崩もなさそう。 時折アイスバーンが現れますが、エッジがかかるので乗っても問題なし。 ●車道横切り地点(肩の小屋口付近)〜ツアーコース〜かもしかリフト終点; シュカブラの凹凸を吸収しながら緩斜面を滑ったあとはツアーコースに合流。 午後なのでツアーコースは食い荒らされてる上に、重雪で太腿にキマス・・ ●かもしかリフト終点〜休暇村駐車場; ゲレンデに合流です。正面の中級斜面を滑った後は、右方面へ滑って行けばゴールです。 ●docomo電波状況 スキー場では電波良好。 ツアーコースから先も概ね良好ですが、低温強風なので機器がフリーズしてしまいます。 |
その他周辺情報 | ●下山後の温泉; 休暇村施設内「天峰の湯」600円/人。鍵付きロッカー無料。タオルなし。 露天あり。飲泉あり。ボディソープ、シャンプーあり。 |
写真
装備
個人装備 |
GPS 1 GARMIN VENTURE HC
ストーブ・ライター 1
ダウン防寒着 1
オーバージャケット 1
ビーコン 1
シャベル 1
アイゼン 1 10本爪
ゾンデ棒 1 3m
ヘッドライト 1
ピッケル 1
携帯電話 1 iPhone5c
地図 1 1/25000
ツエルト 1 2人用
カイロ 3
ゴーグル 1
グローブ 2
携行食 1 2日分
熊鈴、笛 1
救急セット 1
着替え 1 アンダー、ソックス
ピッケルストック 1
スキー板一式 1
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感想
今シーズンも標高3000mから滑りたい!
しかし、例年の御嶽山に登れなくなったので、家から同じような距離の乗鞍岳をチェック。
春にバスを利用しては滑ったことあるが、この時期は初のため、入念に情報収集。
年末からのレコを大いに参考にさせてもらい計画。
氷結斜面かも知れないが、たまには氷を滑るのも良いだろう。
仕事から帰宅後に仮眠して自宅を2:30発。
御嶽山と同じ中津川インターから乗鞍岳の起点となる乗鞍高原休暇村を目指します。
御嶽山への道中のように、真っ白な乗鞍岳の姿が見えてテンションアップ。
あそこまで行くのかー。遠いような近いような・・なんてこの時点では呑気なもんです。
休暇村からはまだ営業前の整備したてのゲレンデを7:15ハイクアップ開始です。
それにしてもいわゆる雲一つない絶好の登山日和スキー日和。レイヤーは2枚で十分です。
滑りたい衝動を抑えながらリフト3本分を歩いて登って1時間ほどでツアーコース入り口に。
ラッセルも覚悟してきたが、さすがの好天気。トレースはあるようです。
ツアーコースは初めて来るので全てが新鮮。目の前に見えてる剣ヶ峰に向かって。
一部少し急な箇所はあるものの、青空の下、概ね順調にツアーコース終点へ。
ここからは風吹きさらしでトレースは消えており、ある意味自由行動?となります。
360°広がるフリーな雪原。前に誰もいないので、剣ヶ峰までのルートをどう取るか。
予報では岐阜側の天気が悪く西から強風。
肩の小屋を目指す通常ルートは稜線で西風をまともにうけるので歩けないかも・・
できれば直登して風は最小限にしたい。
ウインドスラブの安定感は?焼結度は?氷結斜面の硬さは?斜度は?風は?
遠目には行けそうな気もする・・
吹き溜まりも年末からあって焼結が済んでいるようだし、ほぼ山頂まで続いてるし。
そのままシール登高で取り付きへ。氷結斜面とウインドスラブの境界線を進んでみる。
シュカブラは凄いが、雪質は安定してそうだ。大丈夫。直登できると判断。
でも何が起きるかわからないので、ウインドスラブの端を歩くことにします。
・・もちろん?後続者は通常ルートへ向かっていきます。
しばらくは順調。
絶景に囲まれる中、雪も安定感があり、氷結斜面にもクトーがよく噛むし、風も弱い。
しかし当然のことながら斜度はどんどん急になっていき、風も強くなっていきます。
さらには、表面1cmほどがサラサラのためシールが噛まなくなります。
だいたい伊吹山でいう8〜9合目くらいの斜度。
半ば無理矢理シール登高を続けていたが断念し、板を背中に担ぎます。
雪面はまだ柔らかいので、アイゼンなしのスキーブーツ蹴り込みでも十分です。
残りは250mほど「これならまぁ30分もすれば着くかなー?」気分も変えて再スタート。
・・が、やはり甘かった・・
雪面が柔らかいのでプチラッセル状態。
一歩踏み込んでもズズズっと半歩くらい落ちる感じ。さすが3000m峰は違います。
強風に乗った雪粒に耐え、少々の疲労も出てきて、5分で10mくらいしか進んでない・・
おまけにiPhoneで写真を撮ろうとするとフリーズで再起動繰り返したりして余計にロス。
それでもなんとか牛歩で登り続け、残り150mほどに。
「もうすぐだ!」
このままアイゼンなしで行けるかと油断しかけたその時。。急に現れました氷結斜面。。
誰がどう見てもツルツルテカテカ。。
スキーブーツ蹴りこみでは無理なので、急斜面テカテカ状態の中でアイゼンを履きます。
それにしても氷の硬いこと・・
ウィペットも刃先しか刺さらないし、アイゼンで思い切り蹴り込んでも前爪が入るのみ。
斜度も立てるか微妙でちょっと怖いので四つん這いでダブルアックスで進みます。
時折、背中のスキー板が風で持っていかれるので斜面に貼りつきながら一歩また一歩・・
そんなこんなで悪戦苦闘し、剣ヶ峰頂上に立てたのは、12:50でした・・
あまりの厳しさに思わず雄叫びとガッツポーズしてしまったくらいです。。。
頂上付近は予報予想通りの猛烈な豪風が吹きつけています。
高速道路で窓を開けて体を出したような感じ。普通に歩けたもんじゃありません。
それでもやはり山頂に来た者への十分なご褒美。360°の大絶景が広がっています。
噴火後の姿を初めて見た御嶽山は本当にドキっとするほどキレイだし、
槍穂高、南ア、中央ア、八ヶ岳、白山、全てクッキリ鮮明に見えています。
ただ、太陽が眩しすぎるのと、風で目がショボショボするのとで山座同定の余裕はナシ。
神社の東側はいくぶん風を避けられるので昼食に。ほんと生き返った〜。
だいぶノンビリしすぎて体が冷えてしまいました。。
40分以上も休憩し、いよいよ下山スキーの準備します。
本来お楽しみのスキー滑降のはずなんだが、問題が。。
まず雪の上でアイゼンからスキー板に履き替える場所が無い。。全面ツルピカなので・・
そして板もしっかりギュッと掴んで抱きしめておかないと風にすっ飛ばされそう・・
バンドや紐、フードなど、フリーなものは全て風に強く舞っています。
なんとか山頂直下の狭い岩場で滑らないように慎重にアイゼンを外しビンディングへ。
そのままエッジでブレーキ。しかし凸凹な上に氷結してるのでズリズリと滑る・・
なんとか堪えて岩を掴みながらもう片方も・・
そんなこんなで履き替えに大苦戦。15分も要してしまいました・・
両足履き替えさえできれば、氷結斜面も問題ナシ。あとはお楽しみのみです。
雪質を確かめながら登った直下の大斜面を、大絶景に向かって飛び込みます。
大部分はウインドスラブなので、狙い通りの高速パウダーです。超最高!!!
シュカブラの凹凸は柔らかいし、氷結部も、ゲレンデでいう硬めのアイスバーンくらい。
こんだけ気持ち良い斜面ってのは、山スキー人生で最高だったかも知れません。
何度も止まったり振り返ったりしながら味わうようにして降りました。
あとは朝と違う食い荒らされたツアーコースを順調に滑り、ゲレンデに降りると雰囲気一変。
あの厳しさは何だったんだろ?というほど平和です。
ノンビリ余韻に浸っていると、ゲレスキーヤーさんまでも「登頂おめでとうございます」と。
どうやらこの日の登頂者は僕だけのよう。最高のコンディションをまさに独り占めでした。
来る前はカナリ不安も多かった乗鞍岳剣ヶ峰。やはり現場に来てこそですね。
とても厳しいことも多かったが、終わってみると満足感でいっぱい。
またお気に入りのゲレンデが一つ増えました。
乗鞍の山頂はいつも強風が吹いているような感じで、未だに肩の小屋か摩利支天止まりです。テカテカつるつるだけに、アイゼンの履き替え、板の装着と、最新の注意が必要な状況に読んでいるこちらまで緊張してしまいましたよ〜
それにしてもいい天気でしたね。
苦労が感動に代わる瞬間が最高だったことでしょう。
ありがとうございます!
御嶽と違って、乗鞍は強風が止まないみたいですね。。
ただ、山スキーなら摩利支天の斜面が本当は良いみたいです。
私も春にしか滑ったこと無いので、機会があったらそちらの斜面も滑ってみたいです。
スキー履くのはホント苦労しました。。
よく他の人の記録でスキー履くのに数十分要したみたいなこと書かれてるのを見ますが、
まさに今回それを体験できました。。よい経験だったと思います。
滑降は本当に幸せでした。。
いつもピークハントにこだわると良い雪を味わえないんですが、今回はさすがこの時期、最高の雪質でした!
Mahitoさん、おはようございます
この季節が到来してからがMahitoさんの真骨頂でしょうか
僕は乗鞍岳に行った事がなので手に取るように状況が分からないのですが、BCの方はビックリするような斜面も滑って行くのできっとMahitoさんもそういう方なのでしょうね
僕もiPhoneを使っていて、正月の南アルプスの小屋の中で「高温注意」と出て何で逆なんだ?としばらく考えました
低温に何か良い対策は無いのですかね?
こんばんわ!
お久しぶりというか、、ご活躍はいつも見させていただいておりますよ。。
僕はどちらかというと、まったり滑る方なので、想像されているような感じじゃないかもですが、、冬は大好きな季節です。
・・・kaikaireiさんの足元にも及びませんケドネ・・・
iPhoneはホントなんとかしてもらいたいですよね・・
撮りたいときに限って「高温注意」や電源が落ちてたり・・復帰まで時間かかるし・・
結構、ネットとかで調べましたが、まだ対策は温める以外ナシですね。。電池が弱ってるのかも知れませんが。。
◎ いやぁ〜凄いパワーで登頂ですね! 何処からそのパワーが!?素晴らしい景色や良質のパウダーが呼んでるのでしょうか!?
◎ レコも完璧でハラハラドキドキが伝わって来ました! 急斜面で氷結、しかも強風の中でどう考え行動したら良いのか勉強に成りました!と言っても今はやりたくない気持ちです。 怖い!怖い!
◎ 苦労して登った分、倍返しで感動が帰って来て良かったですね! 何時かは真似したい!でも出来ない! >^<;;
◎ ゆっくり休んで下さい! そして又完璧で勉強に成るレコを期待してます! お疲れ様でした! m(_ _)m
いつもありがとうございます!
ホントその通りで、山頂からの景色は山頂に立たないと見ることはできませんのでね。。
ついつい頑張ってしまいます。。
氷結斜面や強風に対しては、やはり今までの白山や槍での経験が活きている気がします。。
でもまだまだ僕も勉強の段階ですので、すべてが新しい良い経験です。
mypaceさんも、これからピンチ迎えたりするでしょうが、無理せずトライ続けてくださいね!!
こんばんは!
分岐のところで少しお話させてもらった者です
ハイクアップ、早かったですね〜
真っ直ぐ直登ルートに行かれたのでアイスバーンになっていないか
気にして見ていましたが、見る見るうちにガリー直下まで行かれてましたね。
ガリー右側のウインドスラブは良さそうで魅かれましたが、無難な肩の小屋
経由ルートを選んで見事に強風の洗礼を受けてしまいました。
スキルも装備も計画も万全だからの結果ですね!
素晴らしいです。
こんばんわ!コメントありがとうございます!!
あの時お話できて良かったです。こちらも孤独だったので元気がでました。。
私も現場に着くまではアイスバーンやウインドスラブが不安でしたが、なんとか登ることができて良かったです。
見守っていただいてありがとうございました!
結果的には直登でピークハントできましたが、条件によっては肩の小屋経由の方が良い場合もあるでしょうね。。
BCスキーを楽しむ者同士、またどこかでお会いできることを楽しみにしています!!
くるんパッカーさん、こんばんは
氷結急斜面、よう登られましたね。
自分、以前この時期ここで「氷の中って青いんや」って知りましたよ
登頂おめでとうございます。
プチ情報
ビーコンがスマホの信号を拾っちゃうって、どこかのブログでみましたよ。
たぶんMahitoさんの使ってるモデルで!
一応用心をば
くるんパッカー。。
ついにその称号を得ることができましたか。。光栄です。。
・・でも実はいつも1本か2本しか食べれないんですよねー・・まだまだ本物のパッカーにはなれていない気がします。。
氷結斜面は厳しかったですが、白山や塩見とかよりは短かったし、
ウィペットを両手に持てるとだいぶ楽ですね。。
ビーコンの件、プチ情報というか、とても重要な情報ありがとうございます!
家で電源入れると、いつも2〜3人遭難者を拾うのでおかしいなぁと思っておりました。。
頭にいれて行動したいと思います。
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