知床連山縦走(カムイワッカ〜羅臼)、斜里岳(清岳荘よりピストン)、雌阿寒岳(オンネトーより周回)


- GPS
- 39:13
- 距離
- 48.4km
- 登り
- 4,812m
- 下り
- 4,902m
コースタイム
- 山行
- 6:52
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 7:07
- 山行
- 8:57
- 休憩
- 4:51
- 合計
- 13:48
- 山行
- 5:28
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 5:47
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 6:57
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 7:27
天候 | 6:雨,7:雨後晴,8:ガス,9,10:ガス(山頂風強し) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
飛行機
概略行程: 0日目 移動(関空⇒女満別空港⇒ウトロ) 国設知床野営場 テン泊 1日目 硫黄岳,羅臼岳縦走 第一火口キャンプ指定地 テン泊 2日目 硫黄岳,羅臼岳縦走 羅臼平キャンプ指定地 テン泊 3日目 羅臼岳〜羅臼登山口 羅臼温泉野営場 テン泊 4日目 斜里岳(ピストン) オンネトーキャンプ場 テン泊 5日目 雌阿寒岳、阿寒富士 羅臼温泉野営場 テン泊 6日目 移動(羅臼⇒釧路空港⇒関空) 往路; 8/5 大阪10:40-(空港連絡バス,1600円)-11:41関空12:50-(peach M121,15650円)-14:55女満別空港15:05-(網走バス[女満別線],1050円)-15:31網走16:17-(JR,970円)-17:08知床斜里17:20-(バス,1650円)-18:10ウトロBT ※網走バス[女満別線]は、飛行機の到着時刻に合わせて出発 ※関西〜女満別、釧路線 ・7月1日〜10月28日のみ運航 ・女満別線:月、水、土 ・釧路線 :火、木、金、日 移動: 8/6 知床自然センター8:15-(シャトルバス,650円)-8:55カムイワッカ湯の滝 ※シャトルバス(知床自然センター発) https://www.goshiretoko.com/kamuywakka/access/ ・2023/7/22〜8/19はシャトルバス運行 ・8:15,9:00,9:45,... ・知床自然センターでチケット購入(片道650円) ・逆コースの場合は、硫黄岳登山口(担当:カムイワッカ湯の滝スタッフ)で 後払いチケットをもらって乗車可能 ・知床自然センターで熊スプレーレンタルも可能 1100円/日。(手続き約20分、要免許証。羅臼ビジターセンターで返却可) 復路: 8/11 羅臼営業所7:10-(バス[釧路羅臼線],4940円)-10:50釧路11:55-(バス,950円)-12:40釧路空港17:10-(peach M121,24000円)-20:00関空20:12-(空港連絡バス,1600円)-21:23大阪 ※peach(予定16:20釧路発)は50分遅れで飛んだ |
コース状況/ 危険箇所等 |
知床連山縦走路: ・全域、クマの気配有り。知床はクマ密度高し。熊鈴、ホイッスル必携。 ・硫黄山登山口から硫黄山までは雨天時はスリップ注意。 ・硫黄山からサシルイ岳はハイマツ多し、ハイマツアタックを掻い潜って進むべし。 ・羅臼平から羅臼登山口へは、屏風岩周辺が少し登山道が判りにくい。登山道を良く見極めて進むべし。 斜里岳: ・沢の渡渉箇所多数。雨天後はスリップ注意。 雌阿寒岳: ・よく整備された登山道。 |
その他周辺情報 | 知床縦走時の水場: ・第一火口野営場の入口には大きな雪渓が残る。(例年は9月まで持つ) ・オッカバケ岳を下りサシルイ岳の登り返しの登山道脇の 雪渓の小さく、直に消失すると思われる。 ・岩清水は、雨天が続いたためジャージャー出ていました ・二つ池や三ツ峰の野営地周辺の水場は要煮沸 宿: ※以下、◯印は今回利用 ◯国設知床野営場 https://blog.shiretoko.asia/2023/05/51061.html ・料金500円 ・ウトロ温泉BTから徒歩15分 セブンイレブンから車道の坂を上がって。最初のカーブの左手海側から 上の台地に上がる歩道あり。これを使えばさほど苦にならずに到着可能。 ・ウトロ温泉夕陽台の湯 500円、14:00〜20:00 https://daimarublogxyz.com/shiretoko_yaeijyo/3833/ ◯羅臼温泉野営場 ・料金300円 ・熊の湯温泉(川の対岸にあり) ・利用者用駐車場あり ・ニコニコレンタカー羅臼船見町店まで徒歩3.6km(40分) ・阿寒バス 羅臼営業所まで徒歩2.9km(32分) ・クリオネキャンプ場 ・料金550円 ・斜里温泉400円 (15:00〜20:00[最終受付19:30],翌朝7:00〜8:00[最終受付8:00]) ※キャンプ場利用者は半額 ◯オンネトーキャンプ場 ・料金1000円 ・車で10分のところに、雌阿寒温泉(野中温泉)有り ・日帰り入浴 10:00〜18:00(露天風呂 11:00〜) ・料金 大人400円 子供 200円(2021年現在) ・清岳荘(斜里岳山小屋) ・小屋泊1570円 (すごく綺麗な小屋でした。電子レンジなどもある。前泊にお勧め) ・車中泊 520円 燃料アルコールの調達: ◯調剤薬局ツルハドラッグ網走北店 ・電話:0152-61-1281 ・営業時間:09:00〜22:00 ・電話:網走駅から徒歩12分 ・バス:オホーツク合同庁舎前で下車して、徒歩で網走駅に戻る レンタカー: ◯ニコニコレンタカー羅臼船見町店 https://www.2525r.com/hokkaido/menashigunrausu/store-01403-001.html ・N-BOX(ホンダの軽)、8/8 18:00- 8/10 18:00(48h),11000円 ・電話0153-87-2203、営業09:00-18:00 下山後の食事: ◯羅臼食堂 https://shiretoko-syokudo.com/ ・知床食堂(2Fレストラン)の営業時間は9:00〜18:00(閉店18:30) ヒグマ対策: 知床財団のホームページに詳細があります https://www.shiretoko.or.jp/higumanokoto/ 参考レコ: 【知床連山縦走】カムイワッカ?羅臼温泉★快適バスの旅,dominonさん https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4576756.html 灼熱の知床連山縦走 2021.7.25~27 https://center.shiretoko.or.jp/natureblog/2021/07/11665.html |
写真
感想
待ちに待った憧れの知床へ向かいます。以下、道中記録です。
◆0日目 移動[関空⇒女満別空港⇒ウトロ](知床野営場テン泊)
関空から女満別空港へ移動して北海道へ。ついにその時がきた。南の海上で猛威を奮う台風6号に、遠く北海道に掛かる前線が刺激され今回は荒天の予報である。加えて知床半島は世界的にもヒグマの高密度地帯でも知られる。この縦走は油断禁物である。
途中、網走駅近くのツルハドラッグで燃料アルコールを調達して、電車で斜里へ。一両編成の田舎の電車が海岸線を各駅停車でゆるゆると走る。同じ電車で乗り合わせた方は東京から法事で故郷の斜里に戻られた方でした。「このデカザックで知床を歩くのはすごいな。普段は高尾山くらいかな。ヒグマがいっぱいいるからね。無事を祈っているよ。」と声を掛けてきたので、少しお話させて頂いた。北海道帰省時はレンタカーで移動するが、直前で手配できず電車移動となった。大きなスーツケースには礼服が入っている。子供さんも中学生となり、部活動が忙しくなり故郷の斜里に行くといっても付いてこなくなった。いろいろと忙しくなるからそれどころではないのでしょう。その方とは斜里駅でお別れしました。
そこからバスでウトロの街へ移動。この日は、知床キャンプ場で宿泊。
◆1日目 硫黄山登山口〜硫黄山〜第一火口野営地(テン泊)
朝起きて、雨の中、テントを撤収して知床自然センターまで国道沿いを歩く。(ウトロBTから路線バスも走っているが時間が遅い。シャトルバスの1便に間に合うように徒歩で移動した)。途中、雨が本降りとなる。高台にある知床自然センターまでは標高差がかなりあるので、結構きつかった。自然センターに着くと雨は止んだ。いきなしビショビショやん。(;_;)
知床自然センターで、縦走路の情報を得る。道は問題ない、ヒグマは普通にいるので出会い頭にならないように音を出して歩くこと、最近、歩いた人がいないので水場の情報は得られなかったが、第一火口の雪渓は例年ならばまだ残っているはずとのこと。シャトルバスのチケットを買って、バスに乗り込む。バスはカムイワッカ湯の滝を楽しむ家族連れの方を多く乗せて進む。登山者は私1人だった。
小一時間ほど揺られてカムイワッカ湯の滝に到着。少し歩くと滝に到着。これが有名なカムイワッカの滝かぁ。そこで爆竹とホゥホゥと人の叫ぶ声を聞く。どうやらクマが近くにいるらしい。なんだか、いきなりやなぁ。
登山届を提出していると、湯の滝の関係者の方が戻ってきた。「これから山に入るのですか?クマが登山道のすぐ脇にいるから気をつけて」だって。様子から伺うにどうやら通れないことはないらしい。
意を決してホイッスルを吹きながら道を進んでいくと、例のクマが居た。金網の外をお尻をこちらに向けてトコトコと進んでいる。体長は約1m、単独の若い成獣でした。ホイッスルを吹き鳴らすとクマが前に進む。なんとか脇を抜けないと登山口にたどり着けない。ホイッスルを吹くのをやめると、クマがコチラを振り返って立ち止まった。目を見つめ、どうやら興奮してはいないことを確かめて、熊鈴だけで脇を通り抜ける。クマは金網の外でじっと立ち止まっていてくれた。進む速度を一定にして、クマと距離をとって一安心。登山道入り口でクマが付いてこないことを確認した後、山道に入った。どうしても後ろが気になり、しばらくは休憩無しで進んだ。
いきなり知床の洗礼を受けた。クマの住処にお邪魔していることを肝に据えて、それからは事あるごとにホイッスルを吹き続けた。(熊鈴だけでは心許ないと思う)。
硫黄山への標高差は約1300m。雨の降る中、なかなかハードな初日となった。途中からは沢を登る。涸れ沢のはずだったが降り続く雨の影響か水も流れている。濡れた岩はスリッピーで摩擦係数が低い。最近張り替えたビブラムソールのグリップを信じて沢を登る。急な所は、4つんばいで体重を手に逃しながら進んだ。気を使う登りだった。
周囲はガッスガスだけれど、折角なので硫黄山にも立ち寄った。(この縦走路を歩くことは、もう無いかもしれない)。晴れていれば最高の景色のはずだった。
疲れきって第一火口野営地に辿り着く。フードロッカーはガッスガスで見当たらない。(翌朝になって、場所が分かった)。水捌けの良さそうな一等地にテントを建てた。雪渓で水を取って、ご飯を食べて就寝。厳しい1日目をどうにかやり過ごした。
◆2日目 第一火口野営地〜オッカバケ〜サシルイ岳〜羅臼平(テン泊)〜羅臼岳(ピストン)
23時頃、大粒の雨がテントを叩いて起こされる。次第に雨が強くなり雷鳴も聞こえる。なかなかにハードな夜だった。第一火口野営地は、火口の底にあり風は吹かない。かなりの強烈な雨だったが、水捌けの良い場所(あれだけ雨が降ったにも拘わらず地面が乾いていた)を確保できたのが幸いしてテントは水没を免れた。朝起きて、無事であることを確認して、ホッとした。
朝起きて、朝食を食べてテントを撤収して出発。ガスが抜けてきて初めて自分が火口の底に居たことを自覚する。雪渓脇を登り返して縦走路に復帰。そこからはスリッピーな火口の縁を歩く。どうみても道の脇に滑ったら止まらない斜度である。気の抜けない縦走路を独り進む。
砂礫の道を抜けるとハイマツの道になる。足を引っ掛けないように注意して進む。デカザックを背負ってコケるとダメージが大きい。ソロだと前に進めなくなる状況はなんとしても避けなければならない。相変わらずガッスガスだが、気の抜けない道はずっと続いた。
二ツ池まで下りて、そこで一休み。池の水を沸かして、コーヒーを淹れてパンを頂いた。ここでようやくガスが抜けてきた。歩いてきたオッカバケやこれから進むサシルイ岳がガスの向こうに見えた。見通しがあれば、少しはやる気もでてくる。
サシルイ岳山頂で日の光が差す。山頂は隠れているも下界は見えてきた。しばらくして振り返ると歩いてきた縦走路が一望できた。なかなか良い縦走路だった。(願わくば、もっと早く、この景色を見せて欲しかった)
三ツ峰の野営地を越えて、羅臼平へと進む。今日もヘトヘトになって羅臼平に到着。ここで青空も見える。大急ぎでテントを設営して、濡れた装備一切合切を全部天日干しにかける。(前日の雨でビショビショに濡れたシュラフもすっかりドライに元通り。めっちゃラッキーでした)。テントで少し横になっている間に、どんどん天気は回復し、羅臼岳もその姿の全貌を見せてくれた。
夕方、空身で羅臼岳へ。(本当は朝一で行くつもりだったが、翌朝は天気が崩れそうなので予定を変更)。
途中、岩清水で水を汲んでおく。羅臼岳の山頂からの絶景は忘れない。海は雲海で埋め尽くされ、そこから知床連山が聳え立つ。半島の南には国後島が、後ろには斜里岳も見える。西方面には雨っぽい雲がかかるも、東半分は快晴でした。夕方の薄い夕陽に照らされた絶景をしばし楽しんだ。こんな日に山に居ることができると最高ですね。
暗くなり始めたので早めに下山。この日はテントでゆっくりと休んだ。
◆3日目 羅臼平〜羅臼登山口(羅臼野営場テン泊)
朝起きると外はガッスガスに逆戻り。昨晩、山頂を踏んでおいて良かった。テントを撤収して下山を開始。夏草が生い茂る登山道は、木の根に足を引っ掛けないように注意して進んだ。急坂をだいぶ下りて、ガスの中から屏風岩が姿を現す。ここで一休み。屏風岩は、なかなかの迫力やな〜。でもここでヒグマに遭遇したら狭い谷からは逃げ場がないぞ。いつもの様にホイッスルを吹き鳴らし先へと進む。登山道にはピンクリボンは付いているも、この時期は木が生い茂り遠くは見通せない。間違えると登り返しがやっかいな急坂を慎重に下りた。泊場で大きな沢に合流して展望が開けた。ザックを下ろして一休み。白濁した硫黄の匂いの強い沢がここが火山であることを感じさせる。支流の沢からは水も取れる様でした。
樹林帯の長ーいトラバース道にはうんざりした。標高がなかなか下がらない。気を使う道に神経をすり減らした。
トラバース道が終わると、知床峠越えの国道を走る車の音も聞こえてくる。久々の街が近い。歩みも自然と早くなる。
登山口にてザックを下ろし一休み。縦走を無事終えたことに安堵した。ヒグマ情報を書き残しておいた。(この3日間、縦走路の入り口でヒグマ一頭に出会ったのみで人とは出会わず。お盆休みは知床にも、もっと人が入るだろうと考えていたが予想は外れた。)
羅臼野営場で受付してテントを設営。「こんな日に下りてくるなんて山好きな人だねぇ」という管理人さんは、元々は羅臼の漁師さんでした。体も冷え切っていたので、野営場の前にある「熊の湯」に行く。ここは最高の温泉でした。めちゃめちゃ熱い。(近くのポンプアップする源泉はなんと90度以上)。白濁したお湯は肌に突き刺すほどに刺激がある。日焼けした手の甲は痛くて湯船に付けられないほどでした。
お風呂には桶のみで石鹸がない。居合わせたおっちゃんにシャンプーと石鹸をお借りして綺麗さっぱりの身体となった。
おっちゃんは、この温泉を一から作った地元羅臼の漁師さん。70歳とのことだが、見れば体はムキムキ、漁師の男はやっぱ違うなぁと思った。温泉は町営ではなく地元の有志が支えている。以前は蝋燭の明かりだったが、ぼや騒動となり町に掛け合って電気を引いてもらったそうな。毎朝4時には清掃に入る。メンテナンスが行き届く。そして無料。地元の方の努力に支えられて運営されている熊の湯は素晴らしい!
お風呂に来ていた羅臼の街にある寺の住職さんともお話させて頂く。なんと曾祖父さんが、羅臼岳への登山道を切り開いた方でした。羅臼岳を目指す大学の山岳会のメンバーがお寺に良く宿泊するというご縁があり、その人達の手助けをしようと道を付けたそうな。羅臼岳山頂の岩峰のどこかに、その方の碑が残っているそうだが、気が付かなかったなぁ。すっかり身体が温まってテントに戻って一寝入り。夕方、羅臼の街へ歩いてレンタカーを調達した。
◆4日目 移動[⇒清岳荘]、斜里岳(ピストン)、移動[⇒オンネトー](オンネトーキャンプ場テン泊)
雨が降る中、テントを撤収して車で知床斜里へ。途中、越えていった知床峠はガッスガスで羅臼岳の眺望無し。知床斜里の街を抜けて清岳荘を目指す。麓からはガスに包まれかっこいい斜里岳の山容は見えませんでした。最後は林道を繋いで登山口に到着。登山口に立つ清岳荘はめっちゃめちゃ綺麗な小屋でした。登山届を出していると、清岳荘の管理人さんから「昨晩降った雨で水量が多いから気をつけてね」と声を掛けられた。沢は水量が多いほど迫力がある。沢登りで有名な斜里岳はとっても楽しみでした。
少し進んで山道に入り、ほどなく沢に到着。沢はかなりの水量でした。先に出発された高齢のご夫婦はこの沢の水量を見て引き返してきたそうな。
さぁ行こうかと、木の枝を掴んで進もうとした瞬間、木の枝が前方に流れて引きずられるように右足をドボン。なんと第一渡渉で片足ずぶ濡れに(;_;)。暫くは水量の多い沢の渡渉に手こずったが、次第に渡渉のコツを掴んで進める様になった。(飛び石の上だけではなく、くるぶしくらいまでの深さの所を足掛りにすれば渡渉し易いことが分かった)。
二股からは沢道を登る。水量が多い沢はとっても迫力があった。基本、大きな滝には脇道が付けられており、慎重に進めば大丈夫でした。上部二股を越えて更に標高を上げる。最後に沢は涸れ沢となり、急坂を直登する。稜線に出ると爆風でした。ガッスガスの山頂で写真だけ撮って下山開始。帰りは旧道の熊見峠経由で下りた。
長い距離を歩いて、ヘトヘトになって清岳荘に戻った。見上げると青空が。もっと早く出てほしかったなぁ、と思った。東屋でパンを食べながら、濡れた装備の一切合切を天日干しした。
更に車で移動して、オンネトーへ。この日は、オンネトー湖畔の野営場で宿泊。
◆5日目 阿寒富士〜雌阿寒岳(周回)、移動[オンネトー⇒中標津⇒羅臼](羅臼野営場テン泊)
朝、準備を済ませてオンネトー登山口から歩き始める。全域、よく整備された良い道でした。ここは子供連れのご家族や外国人観光客の方も訪れる人気のお山でした。森林限界を抜けて展望が開けるも、相変わらずガッスガスで見通しが利かない。結局、阿寒富士山頂も風が強く、写真だけ撮ってそこを離れた。
途中、お花畑で可愛いお花達をしばし撮影。水玉をまとったお花達に癒やされました。雌阿寒岳山頂も爆風状態。岩陰で風を避けてコーヒーを淹れようとするも、鍋ごと強風に飛ばされ、あえなく断念。パンだけ食べて少し粘るも、回復の見込み無しと見て野中温泉へと下山を開始。こんな日でも多くの人が歩かれていました。人気のお山ですね。
高度を下げると、少しガスが切れて青空が出てきた。対岸にはかっこいい雄阿寒岳が姿を現す。山麓に広がる緑も美しかった。野中温泉まで下りて、オンネトー湖畔の散策道でオンネトー野営場まで戻った。
この日は、車を走らせ羅臼に戻る。途中、初めて北海道に来てKIRAWAYを歩いた中標津を通る。地平線まで真っ直ぐに続く一本の道。脇は広大な牧草地帯。ときおり、放牧された牛たちと出会う。この風景を求めて全国のライダー達が通称、ミルクロードを目指す。窓を全開にして、流して走ると気持ちよかった。
羅臼の街に戻り、しれとこ食堂に立ち寄る。ホタテいくら丼は鮮度抜群で美味かった。熊の湯で、漁師さん達が取っていると聞いた地元のブランド「羅臼昆布」もお土産に購入。(道の駅「羅臼」には羅臼漁協直営店が入っていた)。
その後、レンタカーを返して、羅臼野営場まで戻った。夕方は熊の湯へ。北海道での最後の一夜を楽しんだ。熊の湯では住職さんと再会。皆さん毎日同じ時間にお風呂に来ているそうです。教えて頂いた道でスムーズに斜里岳まで行くことができたことにお礼を言う。しれとこ食堂からは対岸の国後島がよく見えたことを話すと、「その昔(50年ほど前)、トド撃ちの船が、流氷に行く手を阻まれ、国後島に流れ着いた。長らく帰ってこないので、家族はすっかり無くなったものと思い葬式の準備をしていたら、外務省からロシアに拿捕されている、とお寺に連絡が入った」ことがあったことを教えてくれた。笑い話で済んで良かった。
すっかりポカポカに温もってテントに戻る。熊の湯は腰に効く。寝返りも打てない狭いソロテントでの生活にはありがたかった。
◆6日目 移動[羅臼⇒釧路空港⇒関空]
朝起きて、テントを撤収して羅臼の街まで歩く。阿寒バスの羅臼営業所から2時間ほど、バスに揺られて釧路の街へ。羅臼在住の高齢のご夫婦と隣席となった。札幌にいる娘さんと会いに行くそうな。(娘さんも私と同じくらいの年でした)。旦那さんはやはり漁師さん。羅臼の街は人口4000人程の集落で、7,8割は漁師さんだそうな。足を悪くしてあまり外にでていないおばあちゃんは、久しぶりの札幌行き。丸山動物園に行き、美味しいものを食べることを楽しみにされていました。娘さんに会える札幌旅行を楽しんでくださいね。そのご夫婦とは釧路駅でお別れした後、釧路空港へ移動して夕方の便で大阪に戻りました。
憧れの知床をようやく歩くことができた。羅臼岳山頂から見た絶景は忘れられない。もうここに来ることはないかもと心に焼き付けた。無事歩くことができたことに感謝です。
今日も良い山でした。
(1日の消費量 水2L、荷重17kg、アルファ米 4/12食)
コメント
この記録に関連する登山ルート
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素晴らしくドラマティックな思い出の数々、
レコを拝見を拝見して感動しました。
知床縦走での
・レンタカーを女満別で手配せず、鉄道移動を含めた
詳細なプランニングで旅気分UPですね。
・登山開始直後のヒグマとの遭遇、的確なご判断
・悪天ののちの、劇的な羅臼平滞在時での快晴と
最高の山頂アタックのタイミング、素晴らしい展望
・知床連山縦走だと、ウトロ方面への下山が
多い中、羅臼側へ向かわれるコース取りの魅力
・地元の方との触れ合い〜熊の湯は、ドキュメント番組で
見ましたが、本当素晴らしいお風呂なんですね。
斜里岳の渡渉コースは楽しいですよね。雌阿寒は
残念でしたね。オンネトーの深い緑は
自分も印象的でした。
3座とも登山を体験していますが、自分の体験とは
次元もスケールも違う感動を
自分が歩いた訳ではないのに感じさせて
いただきました。
世界遺産の知床を歩くことをずっと楽しみにしていました。どうせ歩くなら一番歩きたいコースと思い、ヤマレコでフォローさせて頂いている方がお勧めする今回のコースを選びましたが、計画段階では、いろいろと葛藤がありました。
白山を歩いた時に出会った山の経験豊富な大学時代元探検部の人も、知床をテン泊する勇気がない、などと聞いてしまうと、どうしようかなと思うことも有りました。でも、実施するまでにはすっかり腹落ちして、何が合っても必ずやり遂げる覚悟(途中撤退も含めて)の上で、今回の縦走に臨みました。
「警笛ならせ」の標識は無いのですが、見通しのない道ではホイッスルを吹き鳴らさずにはいられない。「クマさんの住処にお邪魔します。ちょっと通してくださいね」の思いを込めて吹き鳴らしました。
キタキツネ、エゾシカ、エゾリス、ヒグマと今回、多くの野生動物に出会いました。知床は日本の縮図でも有るかと思います。人と動物の距離がどんどん縮まっていて、生活圏がオーバーラップが進んでいる。熊の湯で出会ったご住職も「今年は、1ヶ月で4回もヒグマを見かけた。こんな年は過去には無かった。」と仰っていました。
心無い観光客がヒグマにウインナーを与える、ヒグマは人が美味しいものをくれるものと学習し、人に近づくことを覚える。そのことが結果的には、ヒグマを殺すことにつながる。クマと人の関係をどう保っていくか?いろいろと考えさせられますね。
縦走するにはレンタカーはかえって足枷となるため、シャトルバスの利用ができる夏季シーズンを選びました。この時期はハイシーズンなので、もっと人が入っている者と予想していましたが、予想に反して誰とも合うことなく静かな縦走を楽しむことができました。
今回、山で出会った人も、羅臼、斜里、雌阿寒はセットで3日間掛けて登る人が多かったです。深田久弥の百名山の影響力は絶大ですね。もしまた行く機会があれば、羅臼側から海沿いを歩いて知床半島の先まで歩いてみたいなぁ、と思いました。
コメント頂き、ありがとうございました。
今回も壮大な山行レコですね。
羅臼岳山頂からの雲海に浮かぶ知床連山の絶景には惹き込まれました。
それにしても、いきなりクマと対峙とは肝を冷やしましたね!
知床周辺は学生時代に単車でツーリングしたエリアで、懐かしく拝見しました。しかし山に登ったことはありません。いつかは歩いてみたい道としてお気に入りに加えました。テン泊準備を始める気になりました。
Kumainkobe ฅʕᵔᴥᵔʔฅ
知床にはバイクツーリングの経験があるのですね。オフロードバイクだとカムイワッカまで入れますね。北海道は未舗装路の長い林道も多いので、オフロードバイクツーリングも楽しいかもしれません。ウトロや羅臼の野営場にも、多くのツーリングライダーが訪れていました。スーパーカブにリヤカー仕様の相当な気合の入ったおっちゃんもいて、面白いなぁと思いました。
いきなりクマに遭遇は予定外でしたが、金網の外だったのでまだ冷静さを保つことができました。まともに素手で戦ったら勝ち目はなく、逃げてもすぐに追いつかれる。熊スプレーレンタルも検討しましたが気休め程度にしかならないので、今回は携行しませんでした。クマも相当に賢い動物、きちんと距離を保てば、不幸な事故が起こる可能性は減らせると思いました。
とは言え、私は結構テンパっていて、夜中にテントで起きた時にもシュラフの中からホイッスルを吹き鳴らしていました。羅臼野営場にも数年前にクマが出て、テントを揺すったことから、熊よけ電気柵が設置されたそうです。後、オンネトー野営場では、キタキツネが食料を探して、テントを破ることもあるので注意!と警告看板がありました。北海道は野生動物の宝庫、テン泊の難易度は高めかもしれませんね。
羅臼岳山頂からみた絶景は凄かったです。山の上だけ晴れていて、裾野は雲海が果てしなく広がる不思議な光景でした。知床連山の稜線上には小屋は無く、時間に余裕のあるテント泊ならでは見れる景色だったのかもしれません。20年以上も前に羅臼岳に行かれたのですね。山頂からの風景は今も昔もそれほどかわらなかったと思います。羅臼側に下りる道は旧道にあたり、今はよく整備された岩尾別から登る人がほとんどみたいです。
「知り合いの猟師さん曰く、最近のクマは人を恐れなくなってきている。」と熊の湯で出会った住職さんから聞きました。熊撃ちの猟師さんが減り、クマにとって人は脅威では無くなっているのでしょう。クマの行動範囲は広く、雄の成獣だと、知床半島の北端から南端まで行動範囲がありクマにとっては狭すぎる。なので、餌を探してクマ達が安心して暮らせる国立公園内を出ることも多くなり、人と接触する機会も増え、なにかのはずみで脅威と見なされれば駆除される。いろいろと考えさせられます。
雌阿寒岳は今も活動する活火山。その頃の入山規制は1998年の小規模噴火の影響でしょうか。稜線上は強風が吹き、ガッスガスで火口の中すら見通せなかったですが、ときおり漂う硫黄臭が火山であることを感じさせました。花の百名山でもある雌阿寒岳には、山の名を冠するお花も多い。お花は最盛期は過ぎていましたが、まだ咲き残っていたもの一生懸命探して撮影しました。良く群生していましたので、最盛期のお花畑はすごいでしょうね。道は良く整備されており、晴れた日のハイキングには良いお山と思いました。もう一日あれば、対岸に見えたかっこいい雄阿寒岳も登りたかったです。道東には個性的なお山がいっぱい。またいつの日か、再訪頂ければと思います。
緊張感走る記録でしたが、賢いクマですね。
クマも人間もお互いに距離感を間違えず平和に過ごしていける方が良いですね。
今後の参考にさせて頂きます。
まだまだ先の話になりますが。
北海道のお山に魅せられて、私も毎年夏山に通うようになりました。旭岳からトムラウシへの縦走などは最高ですね。どこまでも続くお花畑は圧巻です。白雲岳から眺めるゼブラも絶景。北海道の屋根といわれる大雪山系ならではの光景だと思います。
知床半島は野生動物の楽園。カムイワッカの滝に向かうシャトルバスの中からもいくつかのエゾシカの群れを見ることができました。こういったエリアを歩く時、ヒグマの生活圏内にお邪魔させてもらっている感覚をしっかりと持って、野生動物たちへの思いやりを持って歩くことが大切かと感じました。
コメント頂き、ありがとうございました。
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