記録ID: 601111
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積雪期ピークハント/縦走
日高山脈
チロロ林道からヌカビラ岳・北戸蔦別岳・戸蔦別岳を経て幌尻岳へ
2014年10月11日(土) ~
2014年10月12日(日)
北海道
snufkinjr
その他1人
体力度
7
1~2泊以上が適当
- GPS
- 29:39
- 距離
- 26.0km
- 登り
- 2,406m
- 下り
- 2,395m
コースタイム
1日目
- 山行
- 9:08
- 休憩
- 0:54
- 合計
- 10:02
距離 15.6km
登り 2,153m
下り 834m
2日目
- 山行
- 5:10
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 5:43
距離 10.3km
登り 269m
下り 1,573m
長い間憧れてきた幌尻岳に登ってきました.日高の山は初めてでしたが,その素晴らしさに圧倒されました.ルートは,日高町のチロロ林道からヌカビラ岳・北戸蔦別岳・戸蔦別岳を経て幌尻岳に至るロングルート.日が短くなっているので,さすがに日帰りは難しい.それに,せっかくの日高の山なので,存分に山を味わいたい. テントを担ぎ上げることにしました.チロロ林道は開放されているはずなので安心していたのですが,ネットで確認すると,狩猟が解禁されるので10月1日からは施錠されるとのこと.慌てて日高北部森林管理署に入林許可のファックスをながし,ダイヤル錠の番号をファックスしてもらいました.
あとは装備と食料等の準備です.2000m級の山で10月中旬ですから,いくら天気が良くても冬山装備に準じて準備した方が良いと考えました.マットは,冬用のThermorest NeoAir XThermがあるので,Sky High Bag 300(快適睡眠温度-5℃,極限温度-12℃ )にして,ウェアで調節.水分は,1L,550ml,500mlのペットボトルの水,OS-1ゼリー4パック.それ以外に途中の水場で追加するために,Platypus BIG ZIP 2.0L.予備にSalomon Soft Flask 500mlを2本.あとは途中でなにかジュースを1本購入予定.
2014年10月11日土曜日
2時半に起床.3時過ぎに出発.
途中から急に熊のことが心配になってきました.千加子は,熊鈴を忘れてきたっていうし...とりあえず,熊鈴は2個持ってきてましたが,熊スプレーはないし,七つ沼カールに止泊まって夕食はカレーの予定(強い匂いは熊を誘うらしい).北広島のローソンで止まったときにネットで検索すると,七つ沼カールは羆の楽園...ポケットナイフとポールで立ち向かえるだろうか(それは無理でしょう)途中で雨も降り出すし,目的地を変更するか引き返すか...
とにかく,北広島から高速に乗り,道央道から道東道へ.夕張で降りて日高町へ.入林申請書の原本を日高北部森林管理署のポストに入れてチロロ林道へ.
チロロ林道ゲートには,6時に到着.開錠しゲートを開けて車を進める.
チロロ林道からの紅葉は見事でした.ただ,林道は,あちこちで崩れていて,油断すると川に落ちそう.明るくなってからで良かった...
二岐沢のゲートに着き,カップラーメンとおにぎりを食べて,準備を整え,7時6分に出発です.3.1kmの林道歩き.紅葉を眺めながらなので退屈しません.いくつもの滝が現れます.
7時50分.北電取水施設に着きました.ずっと登り基調でしたが,最後は下り.
この坂を帰りに登るのはちょっと憂鬱かも.登山口からは,二ノ沢沿いに渡渉を繰り返しながら進みます.荷物が重いので,ちょっと危なっかしいところもありますが,概ね簡単な渡渉で,注意さえすれば足を濡らすことはないでしょう.
9時8分.幾重にも連なる滝を左に見て急登が始まります.途中で写真を撮る余裕がなかったくらいの急登.荷物が軽ければ,このくらいたいしたことはないのですが,88Lのザックに縦走テン泊装備なのでこたえます.
そろそろトッタの泉があるはずと思いながら登るのですが,なかなか出てきません.「トッタの泉あと10分」の標識も出てきません.トッタの泉の標高を確認してなかったので,まさか通り過ぎたりしていないだろうかと不安になってきました.水を補給できないと泊まることは難しい.
でも大丈夫でした.無事にトッタの泉に到着.9時42分.トッタの泉を過ぎたあたりから少しずつ雪が増えてきました.霜柱もあちこちに出来ています.水でさらに重くなったバックパックを背に我慢の登り.
10時20分,ついに森林限界を越えました.一面の樹氷.歩き出してからここまで熊の糞もなく,熊の気配もありませんでしたが,ここに来て登山道を降りてくる熊の足跡が点々とついていました.大きさからいって小熊の足跡.注意して見てみましたが,母熊の足跡はありませんでした.
ハイマツに樹氷がびっしりついているなかを歩きます.西斜面で日が当たり出したばかりなので,まだ樹氷が溶け出していないから今の所,濡れることはありません.
ヌカビラ岳への最後の登りから稜線に飛び出すと,目の前に大展望が広がります.
樹氷の北戸蔦別岳を登り,11時40分.北戸蔦別岳(1912m)山頂標識はエビのしっぽで覆い尽くされていました.
テントが二張りできるテン場は,風もなく快適.サンドイッチとココアで昼食.
12時7分出発.
1881峰付近.ハイマツと岩場が続きます.気温が上がってきたので,樹氷が溶け出して,ズボンもシューズも濡れてぐしょぐしょ.歩き続けている限り冷たくはありませんが...
13時9分.戸蔦別岳(1959m).眼下に広がる七ツ沼カール.七ツ沼カールのコルに向けて下降.七ツ沼カールへの降り口は,戸蔦別岳側と幌尻岳側の2ヶ所があります.戸蔦別岳側の降り口には,ハイマツに隠れるようにしてちょうどテントを張るのにちょうど良いスペースがありました.悪天候時はここに避難すれば良さそう.まだ昼過ぎなので,もう少し先に進むことにしました.
午後2時.コースタイムで幌尻岳まで2時間程度だと思われるので,身軽になれば余裕で戻ってこれるでしょう.幌尻岳側の降り口にザックをデポ.熊は大丈夫だと思いますが,キツネにいたずらされると困るので,レインカバーで包んで,車のキーなど貴重品は持つようにしました.
手前の2010mピーク.2010mピークに隠れていた幌尻岳は,まだ先です.14時58分.幌尻岳(2052.8m).15時11分.
寒いので,15時21分.下山開始.
ザックのデポ地点に戻ったのが,16時6分.北戸蔦別岳のテン場を目指すことにしました.コースタイムは2時間くらいでしょうか.急げば間に合わない行程でもなかったのですが,戸蔦別岳の中腹で日が沈み始めました.絶景です.
日が沈み,17時過ぎて.戸蔦別岳山頂.戸蔦別岳山頂にテントを張ることにしました.BlackdiamondのHighlightは優秀な山岳シェルターなので,少しくらいの風なら問題ないはずです.風向きが途中で変わるかもしれないし,へたに斜面に張って,滑り落ちても困るので,堂々と山頂の真ん中でテン泊.誰も来ないから許してもらおう.
テントの入り口は,もちろん東向き.テントを設営し,中に入ってあるだけのウェアを全て着込みます.溶けた氷でびしょ濡れだったズボンは,幌尻岳への往復の間に体温でほとんど乾いていました.問題は,シューズと靴下.なんと換えの靴下を持ってきていなかったのでした.仕方がないので裸足です.あまりにも冷たいので,ダウンジャケットの腕の部分に足をつっこんで暖を取ることにしました.夕飯はレトルトカレーとサラミ.外は満天の星空.でも,寒くて写真を撮る余裕なし...風も少しずつ強くなってきました.
19時過ぎには就寝.ありったけのウェアを全て着ているのですが,とにかく寒い.特に足が冷え切って眠れません.千加子も寒くて眠ることができないようです.冬用のエアマットなのだけが唯一の救いでした.テントの中に干していた靴下や手袋は,凍ってしまっていることに途中で気がつき,慌ててウェアの内ポケットに入れました.
テントの内部は結露が氷結しています.
さらに一晩中続いた強風.暴風.この時期,日高の稜線上それもとんがり山の戸蔦別岳山頂にテントを張っているのですから当然と言えば当然.一時は,このまま飛ばされるのではないかと危惧しました.飛ばされたら,戸蔦別岳の急斜面を転がり落ちて命はないでしょう.大丈夫だと信じながら,シュラフの中で凍えながら丸くなり,長い長い夜を過ごしました.朝になって日が昇れば風は止むはず.
2014年10月11日土曜日
明け方近くなり,ようやくウトウトしました.そして,5時30分過ぎ.テントの入り口を開けて外を覗くと待ちに待った朝日が昇ってきていました.ついに朝が来ました.フリーズドライのパスタと昨日のお昼の残りのサンドイッチ,ココアで朝食をとり,テントを撤収して7時10分下山開始.
8時43分.北戸蔦別岳.12時.北電取水施設.12時42分.ゲート到着.
お昼は,そば処夏川.混んでました.歩きながらずっとカツ丼が食べたいと思っていました.
温泉は,沙流川温泉ひだか高原荘.もう少し熱いお湯だと良かったのですが...
あとは装備と食料等の準備です.2000m級の山で10月中旬ですから,いくら天気が良くても冬山装備に準じて準備した方が良いと考えました.マットは,冬用のThermorest NeoAir XThermがあるので,Sky High Bag 300(快適睡眠温度-5℃,極限温度-12℃ )にして,ウェアで調節.水分は,1L,550ml,500mlのペットボトルの水,OS-1ゼリー4パック.それ以外に途中の水場で追加するために,Platypus BIG ZIP 2.0L.予備にSalomon Soft Flask 500mlを2本.あとは途中でなにかジュースを1本購入予定.
2014年10月11日土曜日
2時半に起床.3時過ぎに出発.
途中から急に熊のことが心配になってきました.千加子は,熊鈴を忘れてきたっていうし...とりあえず,熊鈴は2個持ってきてましたが,熊スプレーはないし,七つ沼カールに止泊まって夕食はカレーの予定(強い匂いは熊を誘うらしい).北広島のローソンで止まったときにネットで検索すると,七つ沼カールは羆の楽園...ポケットナイフとポールで立ち向かえるだろうか(それは無理でしょう)途中で雨も降り出すし,目的地を変更するか引き返すか...
とにかく,北広島から高速に乗り,道央道から道東道へ.夕張で降りて日高町へ.入林申請書の原本を日高北部森林管理署のポストに入れてチロロ林道へ.
チロロ林道ゲートには,6時に到着.開錠しゲートを開けて車を進める.
チロロ林道からの紅葉は見事でした.ただ,林道は,あちこちで崩れていて,油断すると川に落ちそう.明るくなってからで良かった...
二岐沢のゲートに着き,カップラーメンとおにぎりを食べて,準備を整え,7時6分に出発です.3.1kmの林道歩き.紅葉を眺めながらなので退屈しません.いくつもの滝が現れます.
7時50分.北電取水施設に着きました.ずっと登り基調でしたが,最後は下り.
この坂を帰りに登るのはちょっと憂鬱かも.登山口からは,二ノ沢沿いに渡渉を繰り返しながら進みます.荷物が重いので,ちょっと危なっかしいところもありますが,概ね簡単な渡渉で,注意さえすれば足を濡らすことはないでしょう.
9時8分.幾重にも連なる滝を左に見て急登が始まります.途中で写真を撮る余裕がなかったくらいの急登.荷物が軽ければ,このくらいたいしたことはないのですが,88Lのザックに縦走テン泊装備なのでこたえます.
そろそろトッタの泉があるはずと思いながら登るのですが,なかなか出てきません.「トッタの泉あと10分」の標識も出てきません.トッタの泉の標高を確認してなかったので,まさか通り過ぎたりしていないだろうかと不安になってきました.水を補給できないと泊まることは難しい.
でも大丈夫でした.無事にトッタの泉に到着.9時42分.トッタの泉を過ぎたあたりから少しずつ雪が増えてきました.霜柱もあちこちに出来ています.水でさらに重くなったバックパックを背に我慢の登り.
10時20分,ついに森林限界を越えました.一面の樹氷.歩き出してからここまで熊の糞もなく,熊の気配もありませんでしたが,ここに来て登山道を降りてくる熊の足跡が点々とついていました.大きさからいって小熊の足跡.注意して見てみましたが,母熊の足跡はありませんでした.
ハイマツに樹氷がびっしりついているなかを歩きます.西斜面で日が当たり出したばかりなので,まだ樹氷が溶け出していないから今の所,濡れることはありません.
ヌカビラ岳への最後の登りから稜線に飛び出すと,目の前に大展望が広がります.
樹氷の北戸蔦別岳を登り,11時40分.北戸蔦別岳(1912m)山頂標識はエビのしっぽで覆い尽くされていました.
テントが二張りできるテン場は,風もなく快適.サンドイッチとココアで昼食.
12時7分出発.
1881峰付近.ハイマツと岩場が続きます.気温が上がってきたので,樹氷が溶け出して,ズボンもシューズも濡れてぐしょぐしょ.歩き続けている限り冷たくはありませんが...
13時9分.戸蔦別岳(1959m).眼下に広がる七ツ沼カール.七ツ沼カールのコルに向けて下降.七ツ沼カールへの降り口は,戸蔦別岳側と幌尻岳側の2ヶ所があります.戸蔦別岳側の降り口には,ハイマツに隠れるようにしてちょうどテントを張るのにちょうど良いスペースがありました.悪天候時はここに避難すれば良さそう.まだ昼過ぎなので,もう少し先に進むことにしました.
午後2時.コースタイムで幌尻岳まで2時間程度だと思われるので,身軽になれば余裕で戻ってこれるでしょう.幌尻岳側の降り口にザックをデポ.熊は大丈夫だと思いますが,キツネにいたずらされると困るので,レインカバーで包んで,車のキーなど貴重品は持つようにしました.
手前の2010mピーク.2010mピークに隠れていた幌尻岳は,まだ先です.14時58分.幌尻岳(2052.8m).15時11分.
寒いので,15時21分.下山開始.
ザックのデポ地点に戻ったのが,16時6分.北戸蔦別岳のテン場を目指すことにしました.コースタイムは2時間くらいでしょうか.急げば間に合わない行程でもなかったのですが,戸蔦別岳の中腹で日が沈み始めました.絶景です.
日が沈み,17時過ぎて.戸蔦別岳山頂.戸蔦別岳山頂にテントを張ることにしました.BlackdiamondのHighlightは優秀な山岳シェルターなので,少しくらいの風なら問題ないはずです.風向きが途中で変わるかもしれないし,へたに斜面に張って,滑り落ちても困るので,堂々と山頂の真ん中でテン泊.誰も来ないから許してもらおう.
テントの入り口は,もちろん東向き.テントを設営し,中に入ってあるだけのウェアを全て着込みます.溶けた氷でびしょ濡れだったズボンは,幌尻岳への往復の間に体温でほとんど乾いていました.問題は,シューズと靴下.なんと換えの靴下を持ってきていなかったのでした.仕方がないので裸足です.あまりにも冷たいので,ダウンジャケットの腕の部分に足をつっこんで暖を取ることにしました.夕飯はレトルトカレーとサラミ.外は満天の星空.でも,寒くて写真を撮る余裕なし...風も少しずつ強くなってきました.
19時過ぎには就寝.ありったけのウェアを全て着ているのですが,とにかく寒い.特に足が冷え切って眠れません.千加子も寒くて眠ることができないようです.冬用のエアマットなのだけが唯一の救いでした.テントの中に干していた靴下や手袋は,凍ってしまっていることに途中で気がつき,慌ててウェアの内ポケットに入れました.
テントの内部は結露が氷結しています.
さらに一晩中続いた強風.暴風.この時期,日高の稜線上それもとんがり山の戸蔦別岳山頂にテントを張っているのですから当然と言えば当然.一時は,このまま飛ばされるのではないかと危惧しました.飛ばされたら,戸蔦別岳の急斜面を転がり落ちて命はないでしょう.大丈夫だと信じながら,シュラフの中で凍えながら丸くなり,長い長い夜を過ごしました.朝になって日が昇れば風は止むはず.
2014年10月11日土曜日
明け方近くなり,ようやくウトウトしました.そして,5時30分過ぎ.テントの入り口を開けて外を覗くと待ちに待った朝日が昇ってきていました.ついに朝が来ました.フリーズドライのパスタと昨日のお昼の残りのサンドイッチ,ココアで朝食をとり,テントを撤収して7時10分下山開始.
8時43分.北戸蔦別岳.12時.北電取水施設.12時42分.ゲート到着.
お昼は,そば処夏川.混んでました.歩きながらずっとカツ丼が食べたいと思っていました.
温泉は,沙流川温泉ひだか高原荘.もう少し熱いお湯だと良かったのですが...
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年10月の天気図 |
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snufkinjrさん
10月の日高稜線での天泊、日没・御来光の景色の素晴らしさ。
北戸蔦別岳標識のエビの尻尾、初めて拝見しました。
何もかも凄くてインディージョーンズ博士かと思いました。
あまりの発想力と実力に唖然
私、少々の事では驚かない体質になりそうです(^-^)
憧れのインディー・ジョーンズなんて言ってくださり,ありがとうございます.
冒険の計画は,しっかり立てた上で,あとは現場判断で柔軟に変更するのがポイントです.そのためには,その変化に対応できるしっかりとした装備が重要.この時なら,ブラックダイヤモンドのシェルターですね.これがあったらからこそ,戸蔦別岳山頂でテン泊できました.
このコースお薦めです.日帰りも可能ですが,やっぱりテン泊ですね.
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